ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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血鬼術 継子

 血鬼術……それは鬼が使う妖術である

 

 その効果は様々であり、幻術を見せる者、血を変化させるもの、冷気を操る、身体的変化をもたらす、物質を生み出す等様々である

 

 ロンメルは初めてそんな鬼と遭遇していた

 

「ぜはぁーぜはぁー」

 

「鬼の癖に息が上がってるけど大丈夫?」

 

「う、煩いこの化物め!!」

 

 

 

 

 

 

 

 その鬼は貧しい屯田兵の娘であった

 

 武士だった父親に連れられて開拓の村に来たが、作物の育ちが悪く、飢餓状態に村全体が陥っていた

 

 娘は生きるために努力をしたが、ばったりばったりと栄養失調で村人達が亡くなるのを見て次は自分かと思った時……神に出会った

 

「娘……生きたいのか」

 

 頭に指を突っ込まれ、血液を注入された娘は鬼となった

 

 娘は死体を貪りながら力をつけると植物を操る血鬼術を会得し、村は飢餓から救われた

 

 飢餓では無くなったということは同時に娘の食べる物が無くなる事を意味していた

 

 食べる物が無くなり飢餓状態になった娘は家族を食べた

 

 そのまま村から逃亡し、山奥で動物を糧にしながらひっそりと暮らしていた

 

 たまにやって来る人間も食べ十数年、娘は立派な鬼となっていた

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどなるほど、血鬼術とはこの様な物なのですね」

 

 ロンメルは次々に生えてくる木々や蔓等を躱したり切り裂き、鬼をロックオンしていた

 

 鬼はロンメルを殺そうと木々で押し潰そうとしたり、竹で串刺しにしようとしたり、毒キノコを異常成長させて空気中に散布したりもしたが、全て躱された……まるで先を見ているかのように

 

「先を見ているわけではありませんよ……貴方の血鬼術は身体と繋がっていないといけないのですよ。手を地面につけているのは草の葉や根を伝い伝達させているから……その伝達の時に栄養素を送るためか瘤みたいなのが通過するんですよ。それを見ればどの植物が成長するかわかるのですよ」

 

「な……は? 地中の事が見えているとでも!?」

 

「私は見えるんですよねぇ見えちゃうんですよねぇ……毒キノコは呼吸を扱う鬼殺隊にとって相性は良いと思いますけど、剣圧で吹き飛ばせば問題ありませんし、胞子も見えてしまえば何て事はない」

 

「ほ、胞子がみ、見える!? 人じゃない! 化物! こっちに来るな!!」

 

「人でないとは失礼な。私は立派な人類ですよー……種族は違うかも知れませんけど。人と交われば子供ができますしね! ……さてそろそろ実験開始といきましょうか」

 

「ひ、ひいぃ! 死にたくない! や、やめ」

 

「大丈夫、楽には殺さないから」

 

 ロンメルは鬼の娘の四肢を切断し、傷口を抉り血を大量出血させ続けた

 

 約1時間も大量出血をさせると血鬼術の威力が明らかに低下した

 

「なるほどなるほど、血鬼術ってだけあって血液をエネルギー源にしているから血を大量に失い続ければ威力は落ちるのか」

 

 あれ程瞬時に木々を生やしていたのに、今では木の枝を僅かに伸ばすくらいしか鬼はできなかった

 

「……」

 

「喋る元気も無くなりましたか……そろそろ頃合いですかね」

 

 ロンメルは鬼の首を跳ねた

 

 首を跳ねると植物は一斉に枯れてしまい、周囲100メートルは禿げ山と化した

 

 どうやら栄養素を鬼が過剰に出していたことで成長していた草木は栄養源が無くなったことで枯れてしまったらしい

 

「ふぅ、鬼殺し完了……」

 

「ロンメル! 乙二昇進! 乙二昇進!」

 

 ロンメルは鬼を殺しまくったことで乙まで昇進していた

 

 隊服は交換が面倒なので癸のままだが立派な上級剣士に到達していた

 

 ただし今世と言えば良いか……この世界でロンメルは鬼に対して余り運が良いとは言えなかった

 

 どちらかと言えば悪運であるが、鬼に出会うのも鎹鴉の情報便りで、ロンメルが見つけた数は0である

 

 それは本来幸運と呼べる物なのだが鬼殺隊である以上というかロンメルの技術レベルを上げるには強い鬼と戦う経験というのが絶対に必要であった

 

「……そもそも人の少ない北海道で強い鬼と戦うという前提が間違いか……」

 

 ロンメルは既に全集中の呼吸・常中を会得しており、肉体は前の世界で最盛期であった38歳の頃よりも筋力も速さも強さだって大きく上回っていた

 

「……信長様が見たら何て言ったのかな……どうせ【であるか】って言うんだろうな」

 

 ロンメルの中で信長は世界を渡れどただ1人だけの主君であった

 

 産屋敷のお館様も主君にするに値するが、値するだけであり、ロンメルの忠義は今なお信長様に向いていた

 

 ただこの世界には信長様は居ない

 

 居ないのであれば新たな主君を見つけなければならない

 

 その新たな主君に産屋敷のお館様は当てはまっていたが

 

「やはり戦場を共にできる方と比べてしまうと……いやいや、鬼殺隊に居る以上主君はお館様なのだから迷うな私……」

 

 ロンメルは迷いながらも北海道の大自然で自己鍛練を繰り返し、成長の鈍化を感じた時北海道を旅立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロンメルは旅を続けながら藤の家紋の屋敷で補給を受けたが、ロンメルの姿を見て何ヵ所か拒絶されたりもしながら山で鹿や熊、猪を食べながら鬼を狩り続けその数150体を超え、甲に階級が上がった頃……ロンメルは産屋敷の館近くまで来ていた

 

 本格化が始まった

 

 肉体が大きくなるに従い食べる量も増え、産屋敷の館近くに鬼殺隊のお給料で借家を借り、鬼狩りを中断して肉体改造に取りかかった

 

 良く食べ、柔軟をし、刀を振るい、金で重りを購入し筋トレをして良く寝る……その間任務を中断する旨を産屋敷のお館様に鎹鴉を使って伝えた

 

 規律違反とも言える行為にそんな生活をして10日が経過した時

 

「たのもー!! ロンメル何をしている! 規律違反だ直ぐに任務に戻れ……!?」

 

 そこには全裸で大汗をかきながらスクワットをするロンメルが居た

 

 腹に50キロの重りを付けトレーニングを続ける

 

 その周囲に放つ熱気に炎柱こと煉獄杏寿郎は圧倒された

 

 ロンメルが鬼を150体近く倒している話をお館様から聞いていたが、弱い鬼ばかりで強い鬼と当たらない卑怯者だと煉獄は思っていたのだが、トレーニングをするロンメルの肉体を見てその考えは吹き飛んだ

 

 床は汗で水溜まりになっており、こちらの声かけにも集中して聞こえない

 

 しかし、煉獄も任務なのでロンメルの背中をひっぱたいた

 

「……あ、お客さんって柱の……声が大きい人」

 

「炎柱の煉獄杏寿郎だ! 任務放棄の規律違反をしていると聞いて連れ戻しに来た」

 

「あぁ、やっぱりダメですか……今肉体が本格化してきて徹底的に鍛えていたんですが……」

 

「それは鬼を狩ってからやれ!」

 

「なんか私強い鬼に全く当たらないんですよね……弱い鬼ばかりで……」

 

「お前はこの前人の為に刀を振るうと言っていた! 今も鬼によって苦しんでいる人が居る! そんな人々を守るために刀を振るうんじゃないのか」

 

「まぁそうなんですけど……今の私では下弦、上弦の十二鬼月と呼ばれる鬼を倒せるか疑問なんですよね……だから鍛え直していたんですが……頭打ち感が出てて」

 

「そんな急には強くはなれないだろう……うむ! そうだ! 俺の継子になれ」

 

「継子?」

 

「柱が直々に育てる隊員の事だ……幸い今俺に継子は居ない……成長に貪欲な姿に心打たれた……俺の継子になれ! ロンメル」

 

「確かに頭打ち感が有ったから願ったり叶ったりだけど……良いの? 貴方ずいぶん私に対して敵対心があったけど」

 

「ロンメルのあの異常な集中しながらの鍛練を見て心変わりした! 水の呼吸と炎の呼吸は混じり合わないとされてきたが……うむ! お前ならできるかもしれないな!」

 

「2つの呼吸とか肺破裂しそうで怖いけどやってみますか」

 

 こうしてロンメルは煉獄杏寿郎の継子となった

 

 煉獄の鍛練は火を多く使った

 

 サウナの中で訓練したり、蝋燭の火を紐を斬らない様に炎だけ消す訓練だったり、模擬戦も真剣で行い見て炎の型をロンメルは覚えていった

 

 同時に任務にも同行すると血鬼術を使う鬼に当たること当たること……

 

「煉獄さん悪運凄いですね!」

 

「いや、柱になると普通の隊員が対処できなかった鬼が回されるからな。必然的に血鬼術を使う鬼が多くなる」

 

「なるほど」

 

 ロンメル的には楽しくてしょうがない

 

 頭打ちだった技量も炎の呼吸を覚え始めたことで連動して全技量も上がるし、水の呼吸と炎の呼吸の良いところを融合したオリジナルの呼吸を作るのも楽しくて楽しくて……

 

 更に強い鬼と戦うことで闘争本能が刺激されてもう楽しくてしょうがない

 

 そんな生活をして半年……炭治郎が最終選別を突破した報告が届く

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