ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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吉原遊郭

「悪いねロンメル呼び出してしまって」

 

「いえ、お館様のお呼びで有れば何時でも参陣致します」

 

「私を無理やり主君と思わなくても良いのだよ」

 

「何を言いますか。私はあなたを主君に値すると思ったから従っているまで……認めてなければ鬼殺隊から技術を持ち逃げしていた可能性すらありますからね」

 

「そうやって思っても無いことを言うんじゃないよロンメル」

 

 炎柱の煉獄杏寿郎が上弦の参に殺されたことで柱に空席ができてしまった

 

 お館様に呼ばれたのは継子である私が炎柱を継承するという話である

 

 お館様の病気は更に悪化しており、透けて見える身体の不調ヵ所が更に広がっていた

 

 そんなお館様の体調の中、炎柱の継承が行われ、ロンメルは炎柱となった

 

「お館様、炎柱は炎の呼吸のみを扱わねばならない等の縛りはありませんよね?」

 

「あぁ、勿論だ。好きなようにしなさい」

 

「わかりました」

 

「……結局十二鬼月は倒せなかったね」

 

「申し訳ございません」

 

「でもその代わりに鬼を250体も倒すのは普通の人にはできない立派な功績だよ。胸を張りなさい」

 

「は!」

 

 そう、ロンメルはまだ十二鬼月を討伐できていない

 

 煉獄さんと共に行動していた為、血鬼術を使う鬼と出会っていたがこれからは一般隊員が手に負えない鬼を回されることとなるので強い鬼であることに変わらないが、それがロンメルにとって手応えがある相手かはまた別である

 

「ロンメル、私はね鬼舞辻無惨が炭治郎と接触したことにより止まっていた運命の歯車が動き出したと考えているんだ」

 

「ほう……それはなぜですか?」

 

「勘と言えば良いかな……今代の柱は歴代の柱に比べても特に優秀だと思っているよ。勿論過去の柱が弱かったとは言ってないよ……嶼行冥を筆頭に皆下弦の鬼を五体満足で楽に倒せる位には強いからね……ロンメルも私の見立てではその域に居ると思うよ」

 

「クックックッ……お世辞は要りませんよお館様」

 

「お世辞ではないよ。本心からそう思っているんだ」

 

「そういうことにしておきます……さて、私も次の任務に向かいます。人を守るためにね」

 

「あぁ、無理をしないようにね」

 

 

 

 

 

 

 柱となったロンメルは一旦鬼殺隊の現状を確認した

 

「……これは……不味いな」

 

 緩やかな衰退とも言えば良いだろうか

 

 大正時代となり侍が消え、帯刀も許さない文化、更に剣術よりも銃を優先する軍……学校教育という子供を育てるための機関により更に小さな頃より鬼狩りに育成できない、剣に触れさせない環境の変化により鬼殺隊の一般隊員の質の低下が顕著になっていたのだ

 

「なるほどなるほど……教育を推進していた側からすると学校教育が足枷になるなんて思っても見なかったよ……」

 

 戦国の世で学校教育を政策の柱にしていたロンメルにとって凄く複雑であった

 

 かといって鬼殺隊の鍛え直しを大々的にしようものなら鬼の被害が拡大してしまうのでそういうわけにもいかない

 

「……炭治郎や蝶屋敷に居た善逸と伊之助をとりあえず誘ってみるか? いやしかしまだ私が教えるには実力が足りないか……」

 

 ブツブツと呟きながら鬼殺隊の資料や書物が纏められている図書館とも言える場所を後にしてロンメルは任務に向かった

 

 

 

 

 

 

 12月となり、寒くなってきた頃、ロンメルは音柱より十二鬼月クラスの鬼が潜伏している可能性が高いと連絡があり、花町の吉原遊郭に向かった

 

 夜も人の目が多い吉原遊郭では人混みでも目立つロンメルの容姿の為頭巾を被った上で屋根の上を跳び跳ねながら移動した

 

「ずいぶんと早かったなロンメル……なんだその格好は! 地味だな」

 

「宇髄さんお久しぶりです。万が一町の人に見られると困るので」

 

「まぁ普通の容姿がお前はド派手だからな! ……なかなか厄介な鬼が潜んでいやがる」

 

 音柱・宇髄さんから事前に鎹鴉から届けられた情報によると4ヶ月前に吉原遊郭に宇髄さんのお嫁さんで元くノ一の須磨、まきを、雛鶴の3名が潜入していたが、定期連絡が途絶えてしまったらしい

 

 そこで新たに炭治郎、善逸、伊之助の3名を変装させて吉原遊郭に潜入させ、嫁3名を探すように命令したとのこと

 

 また怪しい遊郭も3軒に絞り込んでおり、宇髄の忍びとしての優秀さが良くわかる

 

「十二鬼月と思った理由は?」

 

「巧妙に気配を消す能力、足抜け(遊郭からの脱走)の増加したにも関わらず逃げ切れた者の少なさ、そして過去にこの周辺で7名もの柱が消息を絶っていること……以上を理由に相当力を持った鬼が潜んでいやがる」

 

「なるほどなるほど……それは強い鬼だ」

 

「おいおいそんなににやけるなよ。強い鬼と戦いたがる戦闘狂と他の隊員から聞いていたがそんなに戦いたいのか?」

 

「いや、強い鬼と戦うのが好きではなく、それを倒した時に得られる経験、より強くなるインスピレーション……考えが浮かんでくるのが好きなんだ」

 

「成長に貪欲すぎるぞお前」

 

「褒め言葉として受け取っておきます」

 

「嫌味だ馬鹿……さてそろそろか」

 

 鎹鴉と雀が集まってきた

 

 鎹鴉達は異常無しと報告していたが、雀は大泣きしながらチュンチュンと喚いている

 

「そうかわかった」

 

「雀の言葉がわかるの?」

 

「こいつも訓練を受けた雀だ。鳴き声に法則性がある。どうやら遊郭に潜入させていた我妻善逸が消息を絶った……これ以上の犠牲者を出すわけにはいかねぇ。炭治郎と伊之助は遊郭から撤退させることにしよう」

 

「クックックッ……いや、彼らは強いし使えるからこの町に潜入させたままの方がいい気がする……まぁ勘だけど」

 

「いや、上弦だった場合足手まといにしかならねぇよ」

 

「そうかな? 使えると思うけど」

 

「ずいぶんと買ってるな」

 

「炭治郎は弟弟子だし色々仕込んでいるからね……さて、私も色々探ってみるから宇髄さんよろしくね」

 

「あぁ、正直お前さんの実力も未知数だが煉獄の話が本当なら煉獄と同じくらいの実力はあるのだろ? 期待しているぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の夕方定期連絡の為に炭治郎と伊之助、宇髄さんと私が集まった

 

「あ! ロンメルさんも来たのですか!」

 

「あー! 馬女!」

 

「うん。柱にもなったしそろそろ十二鬼月の首が欲しいからねあと私はウマ娘、馬女じゃないよ伊之助」

 

「どっちでも変わんねえよ!」

 

「お前ら煩い……善逸が消息を絶った……これからは俺とロンメルで動く。お前らはこの町を離れろ……消息を絶った者は死んだと見なす」

 

「いいえ宇髄さん! 俺達は!!」

 

「恥じるな。生きている奴が勝ちなんだ。機会を見誤るんじゃない」

 

 そう言うと宇髄さんはどこかへ行ってしまった

 

「ロンメルさん俺達は戦います!」

 

「あぁ、私は炭治郎と伊之助が戦えると思ってる。2人ともずいぶんと鍛えたのがわかるからね」

 

「馬女! そんなことがわかるのか!!」

 

「私はね集中すると人が透けて見えるんだ。だから君たちがどれ程鍛えて血肉を付けたか良くわかる……頑張ったね」

 

「ロンメルさん……」

 

「馬女は強いのかよ! お前からは全く凄みを感じねぇが!!」

 

「さぁどうだろうね……クックックッ」

 

「あー! ずりーぞ濁すな!」

 

 ロンメルもその場を離れ身を隠す

 

 夜に備えて食事を取り、肉体の回復を促す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜……遊郭はいつもの様に賑わいをみせるが、ロンメルは座禅を組んで集中していた

 

「始まったか」

 

 ロンメルは戦闘音のする方向に向かって走り始める

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