ドアをノックする音で愈史郎は屋敷に誰かが侵入したことに気がついた
日中は日光の影響で血鬼術が効きづらくなり、発見されるリスクがあったが、東京から拠点を移してから1年もたたずに発見されるとは思っても見なかった
愈史郎は直ぐに地下の研究室に居る珠世様に鬼狩りが来ていることを報告し、脱出をするように進言した
「無惨を殺すためにここで死ぬ訳にはいきません。脱出しますよ」
「いや、それをされたら困るんですよ」
(き、気がつかなかった!? 馬鹿な地下までの道中札が大量にあったハズだぞ! なぜに探知できなかった!?)
「見えない札みたいなの貼ってたでしょ。罠の可能性があったので全て斬り裂きました……まずは不法侵入を詫びた方が良いですかね珠世さんと……そちらの鬼の情報はありませんねぇ……まぁ良いでしょう」
珠世様は目の前の鬼狩りがいきなり現れたことに驚きつつも
「ご用件は何でしょうか鬼狩りさん」
「まずはこちらを」
目の前の鬼狩りをよく見ると馬の耳と尻尾が生えている
それも取り付けた飾り物ではなく身体の一部として
「お前人間か?」
「一応人間とお館様は言ってくれてるけどウマ娘という種族なんだよねぇ……異世界人ってやつ?」
「馬鹿馬鹿しい。嘘をつくならもっとまともな事を言え」
「鬼が存在しているんだから人ならざる者が他にも居ても良いでしょうに……まぁ妖怪の類だと思いなされや」
手紙を真剣に読む珠世様に対して愈史郎と鬼狩りは口論を続ける
「……本気ですか」
珠世様が口を開いた
その表情は困惑と驚きで染まっていた
「珠世様何が書かれていたのですか」
「鬼殺隊への協力要請ですよ」
「なに!?」
「鬼である珠世さんの事は産屋敷一族が永い年月言い伝えられていたらしいですよ……始まりの呼吸の剣士から当時の産屋敷当主に伝えられた事が……無惨の呪いを解いた鬼のことと無惨を倒すことに注力している鬼の話を……珠世さん。貴女の事ですよね」
「……はい。戦国の世の時にとある鬼殺隊の剣士の方が無惨をあと一歩のところまで追い詰めた際に私は呪いから外れることができました」
無惨の呪いとは無惨の名前を言ってしまうと無惨の血の力により鬼の再生能力を奪った上で、巨大な腕が体から突き破りその者を握り潰して殺してしまう呪いだ
それを珠世様は脱しており、珠世様から作られた俺はこの呪いが当てはまらない
呪いは無惨がその鬼の行動を監視するのにも通じているため呪いを外した珠世様や俺は無惨に探知されることはない
「なぜこの時期に共同研究の依頼を? もっと前でも良かったハズでは?」
「上弦の陸を倒したからですよ……炭治郎は無惨と接触し、上弦の陸を倒した……数百年の均衡が崩れようとしているのです! ……それと私の目的の為にもね」
「目的?」
「私は何者かにより世界を渡る異能を持っているのですが、世界を渡る為には何かをその世界で成さなければなりません……それが無惨討伐だと私は考えました」
「その為に私の力が必要なのですか? 鬼殺隊の技術力も進んでいると聞いていますが」
「しのぶさんの事かな? 彼女も天才ですが、珠世さんの数百年蓄積された薬学には到底及びませんよ。……珠世さん、そして横の貴方も一緒に無惨を倒しませんか?」
「しかし、鬼を滅することを生業としている鬼殺隊に鬼である私が行くのはいかがなものか……」
「私とお館様が調整致します。上弦の陸を討伐したことにより私の発言力は上がりましたので無下に扱われることは無いと保障致します……どうせ鬼の大将の無惨のことですから生存するための何かとっておきがあるんでしょ」
「ええ、まぁ」
「お館様は次の一手に命をかけるつもりです。どうか協力をお願いいたします」
目の前の鬼狩りは土下座をした
「……名前を改めて伺っても?」
「ロンメルと言います」
「ロンメルさん、わかりました。微力ながら無惨を倒すために協力致します」
「ありがとうございます!」
珠世さんの協力を取り付けたロンメルは無惨によって鬼にされたが呪いを解除したもう一人の男性(浅草の人)の協力も取り付け、ロンメルはそのまま蝶屋敷に向かい、しのぶさんに珠世さんとの共同研究を行うように依頼した
しのぶさん頭に青筋が! 怒りマークが!
お館様からの命令ということもあり、なんとか説得を完了させたロンメルは蝶屋敷に4名(珠世さん、愈史郎さん、浅草の人とその奥さん)を案内し、共同研究が始まる
最初鬼への増悪による殺気を放つしのぶさんに、それが珠世さんに向いていると感じた愈史郎さんによる騒動が発生したが、ロンメルの武力にて鎮圧し、約1ヶ月で複数の薬が完成する
1つ目が鬼を人間に戻す薬
2つ目が老化促進
3つ目が分裂阻害
4つ目が細胞破壊
の4つの薬が完成する
鬼を人間に戻す薬は浅草の人や竈門禰 豆子に使用する意図もあり、無惨を人間に戻せば大幅な弱体化を望めるという利点もあった
2つ目の老化促進は無惨が人間に戻せなかった場合この薬を混ぜることで無惨が気がつかずに弱体化させることができる
3つ目が分裂阻害は無惨は危機的状況に陥ると体をポップコーンの様に破裂して逃げるとのことなのでそれ対策
4つ目の細胞破壊は老化と合わさることにより再生能力を大きく落とすことができると踏んだ為に完成した薬というより毒である
これ等に加え浅草の人をロンメルが徹底的に鍛えたことで血鬼術に目覚め、奇襲時の一撃のみだが戦力として加算するに至る
「絶対に一撃を放ったら逃げるのですよ! 欲をだせば貴方も死にますからね」
と念押しをした
それに加えてロンメルは2人に更に2つの薬を頼んだ
強力な鎮痛剤と造血剤を依頼した
「可能ですがなんでまた?」
「しのぶさん、私でも恐らく無惨と決戦となった場合怪我をすると思う。鎮痛剤と造血剤が有れば継戦能力の底上げができるからね……あんまりドーピングには頼りたくは無いんだけどそんな安いプライドよりも倒すことを優先したいからね」
「……わかりました。強力かつ副作用が少ない様に作ります」
「ありがとう」
そして研究が続けられていると刀の里襲撃の報が入る
壊滅は免れた様だが里の施設に甚大な被害が出たらしい
襲撃したのは上弦の伍と上弦の肆であり、これ等は霞柱、時透無一郎と恋柱、甘露寺蜜璃及び居合わせた炭治郎、善逸、伊之助の3名の計5名の活躍により討伐に成功したとのこと
これにより上弦の3名が倒されたことになり、更に人的被害が今回も少なかった(刀鍛冶の人が数名殺されたため)ので悲しいは悲しいが、数百年倒されてこなかった上弦討伐が急速に進んでいるという事実と、竈門禰 豆子が太陽を克服した鬼となったことによる無惨襲撃というお館様の予想が現実味を帯だしたという不安がロンメルの心に葛藤を産み出していた
そして今、産屋敷邸では緊急の柱合会議が開かれていた
「あーあ、羨ましいことだぜぇ。なんで俺は上弦に遭遇しないかな」
風柱 不死川実弥
「こればかりは遭わない者はとことんない。甘露寺と時透、その後の体の方はどうだ?」
蛇柱 伊黒小芭内
「あっうん! ありがとう随分とよくなったよ」
恋柱 甘露寺蜜璃
「僕も……まだ本調子じゃないですけど……」
霞柱 時透無一郎
「お前らよくやった! この天元様が誉めてやる!」
音柱 宇髄天元
「死なずに上弦2体を倒したのは尊いこと」
岩柱 悲鳴嶼行冥
「今回のお二人ですが傷の治りが異常に早い。何かあったんですか」
蟲柱 胡蝶しのぶ
「宇髄さん! 私ら抜かれちゃったよ! 私ら2人で1体倒したのに対してお二人は1体ずつだもん」
炎柱 ロンメル
「その件も含めてお館様からお話があるだろう」
水柱 冨岡義勇
柱一同が揃う
「大変お待たせ致しました。本日の柱合会議……産屋敷耀哉の代理を産屋敷あまねが勤めさせていただきます」
「そして当主の耀哉の病状の悪化により今後皆様の前へ出ることが不可能となった旨……心よりお詫び申し上げます」
全員があまね様に対して頭を下げ代表して最年長の悲鳴嶼さんが
「承知……お館様が一日でも長くその命の灯火燃やしてくださることをお祈り申し上げる……あまね様も御心強く持たれますよう……」
「柱の皆様には心より感謝を申し上げます」
柱合会議が始まる