ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ロンメルとは

「復活ッ! 復活ッ! 無惨復活ッ!」

 

 ロンメルは治療を受け、僅かな睡眠中に鎹鴉のその言葉で目覚めた

 

「治療感謝するお前達……もう良い逃げろ」

 

「逃げろって言ったって……」

 

「鴉」

 

「カァ!」

 

「皆を逃がせ……出きるだろ」

 

「デキル! デキル!」

 

「ロンメル様! 必ず生きてまた会いましょう!」

 

「「ロンメル様!!」」

 

「必ず会おう」

 

 ロンメルはボロボロの肉体を動かし戦場に戻る

 

 グラグラとこの空間がけたたましい音が響き始める

 

「何が起きている!? 無惨と誰かが戦闘しているのか」

 

 グラグラと空間が上下左右に動きだし空間がいよいよ崩れ始める

 

 すると下から凄い勢いで床が押され、天井を突き破り地上に排出される

 

「ここは……外か?」

 

「カァ! 夜明けマデ1時間半!」

 

 無惨は首を斬っても死なないので日の光に当てる必要がある

 

 遠くで戦闘音が聞こえる

 

「無惨だ……無惨と皆が戦ってる」

 

 ロンメルは再び足に力を込める

 

 足は再び痣が浮き出し

 

 僅かながらに回復した体を呼吸で治癒能力を無理矢理上げて再生を始める

 

(超回復訓練と同じだ……傷付いた肉体を回復させろ……)

 

 一歩……また一歩と戦闘がする方向に向かって走る

 

 そこでは皆が戦っていた

 

「時透!!」

 

 無惨の攻撃が時透に当たろうとした瞬間、私は彼への攻撃を庇った

 

「ガハ!?」

 

「「「ロンメル!!」」」

 

 無惨の触手な様な物でロンメルは斬られた

 

 右肩から左太ももまで深く

 

 血が出る

 

 バタリとその場で私は動けなくなってしまう

 

 それを悲鳴嶼さんが私を遠くに放り投げた

 

「無様だな。黒死牟を倒した柱が一撃で死ぬのだから……私の攻撃には人を鬼にする成分があるが、それを許容範囲外の量を接種すると人は死ぬ……あの柱はもう無理だろう」

 

「無惨! 貴様はここで殺す!」

 

「やってみろ」

 

 

 

 

 

 

 

 ドクン

 

 皆が戦っている

 

 ドクン

 

 私は何をしている

 

 ドクン

 

 地面に張り付いて動けないままで

 

 ドクン

 

 心音が聞こえる……なんだ? 

 

 ドクン

 

 無惨の言葉が本当ならば私は死んだハズ

 

 ドクン

 

 なのにまだなぜ意識がある? 

 

 ドクン

 

 心音はする

 

 ドクン

 

 音も聞こえる

 

 ドクン

 

 皆が戦っている

 

 ドクン

 

 そもそもだ……私はなぜ戦う? 

 

 ドクン

 

 家族も知り合いも家臣も主も居ないこの世でなぜ人を守るために戦う? 

 

 ドクン

 

 人は皆私を妖怪と恐れるのになぜ私は人を守ろうとする? 

 

 ドクン

 

 人は好きだ

 

 ドクン

 

 柱の皆も好きだ

 

 ドクン

 

 この世で新たな繋がりができた

 

 ドクン

 

 鱗滝さんから始まり柱の皆、炭治郎、善逸、伊之助……お館様、珠世さん……それに鬼殺隊の隊員達

 

 ドクン

 

 信長様……あぁ、私は主が欲しいのだな……主が居なければ……導いてくれる人が居ないと駄目なウマ娘なんだ

 

 ドクン

 

 私は特別なんかじゃない

 

 ドクン

 

 私は普通のウマ娘……ウマ娘故に力が強いから人を圧倒できるだけ……ただそれだけ

 

 ドクン

 

「馬鹿者」

 

 !? ……信長様!? 

 

「お主が今までしてきた努力と功績を否定するな! 余がそれは……それだけは許さぬ! 弱気になるな! 前を向け! 歩み続けろ!」

 

 信長様……

 

「大海を目指せロンメル! お主は強い! 余の一番の家臣が弱音を吐くな!」

 

 ……はい! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴン

 

 無惨の一撃により柱及び善逸、伊之助、カナヲの3名が戦闘不能となり、無惨が勝利確実かと思われた時

 

「ほう……あの量の血を吸収してまだ死なぬか……黒死牟を倒した柱よ」

 

「ロンメル」

 

「あ?」

 

「我が名はロンメル……信長様の一番の家臣なり」

 

「……鬼殺隊の隊員の中でも飛びきりの異常者のようだな……なぜ私に構う? なぜ私の邪魔をする」

 

「私は私が良いと思った行動をするまで! 恩、義……全てに感謝を……私の役割は無惨……貴様を倒すことだ!」

 

「そのボロボロな肉体でか? 笑わせる……膝にガタが来ているではないか」

 

「だからなんだ! 私の正義をぶつけるまで!」

 

「ならば私の正義で倒そう……私の方が正しいからな」

 

 ドクン

 

 ロンメルの全身が黒色に染まった上で赤い痣が大量に浮き出る

 

 刀は真っ赤の赫刀へと変わり恐ろしい速度で技を繰り出していく

 

「水の呼吸 壱ノ型! 弐ノ型! 参ノ型! 肆ノ型! 炎の呼吸 陸ノ型、漆ノ型! 捌ノ型! 月の呼吸 玖ノ型! 拾ノ型! 拾肆ノ型! 拾陸ノ型!!」

 

 繋げられるだけ技を繋げる

 

 そもそも別の呼吸を複数やる行為は普通ならできない

 

 現鬼殺隊員の中でも別々の呼吸を使い分けられるのは炭治郎のみであり、その炭治郎も適正の関係で水の呼吸よりもヒノカミ神楽の適正が高く、水の呼吸とヒノカミ神楽を混ぜた呼吸を使っている

 

 ロンメルみたいに技毎に呼吸を使い分け、それを繋げて一連の技にするというのは本来体や肺が持たない自殺行為である

 

 しかし、ロンメルは無茶無謀な行為を普通にやってのけた

 

 更には技の繋ぎとして霸の呼吸を織り混ぜることで技に爆破を付与し、無惨の攻撃を爆破で弾いていた

 

「醜い姿だなロンメル……体から毒によって膨張した肉塊、細かい傷により爛れた顔面……元々の尻尾や耳によりいよいよ人には見れぬな……どちらが鬼かわからぬ……虫酸が走る」

 

「……私にばかり注目して良いのか無惨」

 

 スパンと無惨の背中から出ている触手が斬られる

 

「……炭治郎!!」

 

「終わりにしよう無惨! この長年の負の連鎖を!!」

 

「炭治郎ぉぉぉおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死の淵を垣間見た生き物はより強靭となることを私は知っている

 

 死を回避するために通常生きていく上で不必要だった感覚や力の扉が開かれるのだ

 

 扉を開けぬ者は死ぬ

 

 扉を開いた者は……

 

 炭治郎は死の淵で妹の力を借りず刀身を赫くした

 

 ロンメルは私の血を克服した

 

 どちらも扉を開いた訳か

 

 柱達も各々の力で刀身を赫くした

 

 だが

 

 及ばない……遠く及ばないのだお前達は……あの男(継国縁壱)には

 

 あの男の赫刀は、斬撃はこんなものではなかった

 

 確かにロンメルはあの男に今まで出会ってきた者の中で一番近いがそれでも遠く及ばない

 

 あの男の様な者が早々生まれるハズはない

 

 炭治郎は既にヒノカミ神楽の速度が低下し始めている

 

 ロンメルの限界を超えて体を動かしている故に時期に死ぬ

 

 私の勝ちは揺るがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残り50分

 

 ロンメルの限界は刻一刻と近づいていた

 

 痣が1つ1つと青くなっていく

 

 酸欠だ

 

 赤い血液にするための酸素が足りていない

 

 肺を酷使し過ぎたツケが出てきていた

 

 それでも残った肺の細胞を使い、超回復を肉体に強制させる

 

 ロンメルは全身肉離れの様な激しい激痛に耐えながら赫刀の条件である握力200キロを維持していた

 

 それでいて刀を振るい続ける

 

 炭治郎のヒノカミ神楽を邪魔しないように月の呼吸を使うと上手く技が噛み合う

 

 ヒノカミ神楽と月の呼吸は相反する様に見えて連携においては抜群の相性であった

 

 それ故に手負いで死にかけの2人でも無惨を何とか押さえ込んでいる

 

 無惨はどうやら気がついた様だ……珠世さんが命をかけて投入した薬の効果……老化の促進に

 

 既に無惨は九千年は老いている

 

 無惨の攻撃の精度が落ちてきている

 

 私の命が尽きるのが先か……無惨の弱体化が進むのが先か……

 

 そんな時、炭治郎がよろけた

 

「た、炭治郎!!」

 

 ロンメルは炭治郎の服を掴むと放り投げた

 

「ぐおぉぉぉぉ!!」

 

 ロンメルの全身に無惨の触手が突き刺さる

 

「ロンメルさん!!」

 

「終わったな」

 

 全身に6つもの穴を開けられたロンメルは炭治郎にニコリと笑みを浮かべると膝から崩れて地面に伏せた

 

「ろ、ロンメルさん!!」

 

 誰の目からもロンメルは助からないと思われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は無惨を倒すことが叶わないのか? 

 

 まだだ、命がまだ尽きてない

 

 傷を塞げ……立て……くうぅぅぅ力が全く入らない

 

 視界がどんどん暗くなる

 

 死ぬのか……役目を果たせぬまま

 

 私が死ねば次は炭治郎や生き残っていた柱の皆、鬼殺隊の皆……いや、民までもが大勢死ぬのだぞ

 

 奮い立て……ロンメル……立つんだ……

 

「ロンメル……お前の名前にはドイツの偉大な元帥の名前が付けられているんだ」

 

 誰だ? 何だ? この記憶は

 

「その元帥はな……敵味方問わず英雄視されたんだ! 凄いだろ」

 

「お前はきっと世界を取れる! そして英雄になるんだ」

 

「美しい尾花栗毛のお前の血にはサッカーボーイ、オグリキャップ、ナリタトップロード、トウカイテイオー、ジャスタウェイと名馬の血が通ってるんだ……まぁサッカーボーイ以外は名種牡馬とは言えんが……それでもお前ならばそれらの名馬に負けない位の活躍をしてくれると俺は信じてるからな! 頼んだぞロンメル!」

 

 これは……私の前世の記憶? 

 

 そうか……やはり私も馬だったのか……聞いたことある名前がちらほら……そんな馬だったのか

 

「ロンメル元帥は敵味方問わず慕われた偉大な英雄だ! その名前に恥じることの無い生き方をしようぜ!」

 

 あぁ、私はそんな期待されていたのか

 

 ならば役目を果たさずに死ぬわけにはいかないなぁ

 

「シイイイイ」

 

 肉が盛り上がる

 

 体の肉を集め、血管を無理矢理止血し、繋がっている血管を太く、失った臓器を他の臓器でカバーする

 

「まだ私は死なない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 何だと!? 

 

 何故立てる! 

 

 奴は殺した感触が有った

 

 確実に臓器の2つか3つは持っていったぞ

 

 なのに何故立てる

 

 何故死なぬ!! 

 

 人の範疇を超えている

 

 妖怪の類いだ

 

 私が恐怖を感じている? 

 

 あの男以外にか! 

 

 歩く度に大量の血液と体液を垂れ流し、胃と腸に大穴を開けたにも関わらず何故死なぬ! 

 

 ハァハァ……!? 

 

 息切れ! 私が!? 体力の限界が近づいている!? 

 

 復活した蛇の柱もそうだ

 

 他の者も次々に復活してきている

 

 体が鉛の様に重い……腕が上がらない!? ……害虫どもが!! 

 

「さようなら無惨」

 

「零之太刀」

 

 それはロンメルが残ったすべての細胞を犠牲にした技であった

 

 相手に刀を突き刺し走る

 

 擦りきれる、引きちぎれる、潰れるようにしてすりおろしていく

 

 高速で地面と接することで抵抗が生まれ、皮膚を肉を臓器を血を飛び散らせながら無惨は磨り潰されていった

 

「はなせぇぇぇぇ!!」

 

 ロンメルの首が飛ぶ

 

 頭を失ってなおロンメルは走り続ける

 

 頭を失って約5分

 

 体が限界を迎え地に伏した

 

 無惨は磨り潰された状態で日光にさらされ焼けるように消滅していった

 

「終わった……無惨が死んだ……ロンメルさんが殺ったんだ……死してなお無惨を殺ったんだ……」

 

 緊張の糸が途切れた柱や炭治郎達は全員倒れた

 

 

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