狭間の空間
「……またここか」
(よー新入り初めましてだな! 俺の名前はマンノウォー! ビッグレッドの名前の方が知られているか? まぁ何でもいいや! いやー俺にもこの世界では初めての後輩かぁ! 嬉しいねぇ!)
目の前には真っ赤な髪をした巨女が居た
エクリプスさんから聞いていたマンノウォーその人である
「初めまして……ロンメルです。偉大な先輩と話せて光栄です」
「堅い堅い! もっとフランクでいこうぜーロンメル」
(あら、2人とも居たのね。私が今回は最後かしら)
「エクリプスさん!」
(ようババア! まーだ生きてんのかよ! 精神年齢500は超えたろ)
(煩いわねマンノウォー、貴女が居ると静かに紅茶も飲めないわ)
(出た出た紅茶を作り出す能力……これだからイギリス人は)
(あら? コーヒー大好きな貴女には紅茶は早いのではなくて?)
(好きじゃないだけで飲めるし!)
(クスクス、まぁせっかく集まったのだし情報交換といきましょ)
ロンメルからしたらエクリプスさんは空気椅子をしながら優雅に紅茶を飲んでいる様に見えるのだが
(ババア空気椅子だぞ、椅子忘れてるぞ)
(あ? あらあら、失礼つい癖でね)
(ロンメルこのババア鍛えすぎてたまにおかしな格好になるから注意した方が良いぞ)
「あ、はい」
(じゃあ私から……私が行った世界は悪魔が蔓延る世界だったわ。強くはなれたけどこれといって特質すべきことは無かったかしら? 四肢欠損くらいなら治せるわよ)
(おお、スゲーじゃん。じゃあ俺な! 俺は宇宙世紀? て年代で超未来の話だったぜ! 戦争は楽しかったがこれといって覚えたってのは無かったな。肉体的成長は無しだ)
「じゃあ私ですね。私は鬼が蔓延る日本でした。呼吸法という技術があり、肉体をより強靭に、骨を折れにくく、筋肉を付けやすくする方法でしたが、魔法のような万能さはありません」
(呼吸か……良いなそれ。似たような世界があるかも知れねーな! そしたら行きてー)
(ロンメルさんに補足ですが、この世界では技術や物品の受け渡しはできないということをこの前言いましたよね。ですが私達には何かしらの共通点があると考えています)
(それを解き明かしたところで何があるんだ? ババア)
(まず私達が死ぬ時は異世界で何もできなかった時だと考えています。歴史に名を残す、強大な敵を倒す、技能を極める……それは単独でなくても良いわ。その世界の協力者と共同で行っても良いの)
(まぁ確かに俺も世界を8つ回ったが、単独で何かを成したことは無いな)
(逆に私は共同で何かを成したことは無いわ)
「私は……とりあえず2回とも共同で何かを成したことになるのでしょうか」
(まぁそれはどうでも良いの、私達が得た技能は別の世界でも普及させることができるわ。それこそウマ娘の世界でもね。できるかできないかは才能によるし、大抵劣化しているけどね)
「劣化……」
(まぁこれも良いでしょう……本題は私達3人の共通点です。例えば幼少期から強く速かったとか)
(まぁ俺には当てはまるからな!)
「あの……言いにくいのですが、私は劣等生も良いところで7戦0勝なのですが……」
(おお……もう……)
(じゃあこれは違うわね。後は……どこかで死んでいるとか?)
(あー、それはあるかも知れねーな。俺一回心臓止まったし)
(私は当時流行っていた疫病で死んだと思ったらここに居ましたし)
「あ、私は雷に直撃しました」
(じゃあ一度死んだという共通点があるわね……となると他にも当てはまりそうなウマ娘が居たりしない? それが新たな仲間となるかもしれないし)
(うーん、俺には心当たりはねぇなぁ)
「……あ、1人居ます」
(どんなウマ娘なの?)
(1989年のアメリカ三冠を走り抜けたサンデーサイレンスってウマ娘です。様々な逸話がありますが脱水症状で死にかけて、移動中の事故で死にかけて、虐待で死にかけて……だから運命に抗ったウマ娘って言われていました。45歳の若さで亡くなっていたハズです)
(ほー、俺の後輩にそんなウマ娘が居たのか)
(あり得るわね……)
「エクリプスさん、共通点を突き止めて何をしたいのですか?」
(今は無いかもしれないけど同じ世界に行くという可能性もあるわ。似ている世界に行く可能性も有るわ……だから情報の共有とはそれだけで大きな利益となるわ)
(例えば俺とエクリプスの一番似ていた世界ではポケモンという生物が居たりしたなぁ)
「ポケモンですか? ゲームの?」
(ゲーム?)
「はい、人気のゲーム……遊具と言えば良いでしょうかチェスとか人生ゲームとかの延長線……」
(あぁ、ゲームは俺達わかる。出身の時代よりも遥かに技術が進んだ世界に行ったことがあるからな)
「では、そのゲームにポケットモンスター……通称ポケモンというゲームが有ったハズです」
(まぁロンメルがわかるなら良いな。ポケモンの世界で成すべきことは共通している。チャンピオンになることだ)
「チャンピオン」
(そう……ただ違いが有って私はポケモンのエネルギーを取り込んで変身するという技術が有ったわ。マンノウォーはそんな技術は無くジムバッチを集めてチャンピオンに勝つことでその座を奪い取るというものだったわ)
(あの世界は楽しかったぜ。飯も旨かったしな)
「なるほど似ていて異なるけど共通する目的、目標が決まっているならわかりやすいですね」
(初動がだいぶ変わってくるからね。だからこうして会ったら初回を除いて入念に情報交換を行っているわ)
(前回はまる3日も情報交換したもんな)
(ロンメルの世界を詳しく教えてくれるかしら)
「あ、はい!」
ロンメル、エクリプス、マンノウォーが各々の世界の情報を交換する
そして2日後
(今回はこれぐらいで良いわね。呼吸というのは代償が無いから凄く良い能力ね。痣については考えなくてはいけないけれど)
「はい、ただ呼吸だけでも十二分に強いので良い能力だと思います」
(鬼は太陽の光か特殊な武器で首を斬らないと死なないんだったな……OK! 把握した)
「エクリプスさんの悪魔の世界についても興味深いです。回復系の異能も更に鍛えれば死者蘇生も可能では?」
(そうね。覚えた能力は世界を巡っても鍛えることができるわ。だからその世界の能力と組み合わせることで更に強力になることも有るわ)
「なるほど……」
(さーて、そろそろ別の世界に行こうかな! 俺は先に行くぜ)
「どちらの扉に?」
(そうだな……スポーツが盛んな世界だと良いな)
(じゃあ私も。平和な世界ほど目標は難しくなるから程よく荒れていると良いのだけど)
「私は少し考えてから行きます」
(おう、じゃあまたな!)
(また会いましょう)
ロンメルは出てきた扉を見る
【大正鬼狩り伝説 鬼の大将を討伐せしめし者 相討ちの末にここに眠る】
「皆……生き残った皆は末長く生きて欲しい……どうか穏やかな人生がおくれますように……よし!」
ロンメルは3つ程の扉を見つめる
「うーん、柄とかで決めるのかな? ……血の匂いが強いのが荒れているのかもしれないな……腐敗した匂いがするこの扉は止めよう……嫌な予感しかしない……となるとこの黄色の扉か? よし、進もう……次は死に際にリュックを背負って死にたいな」
ロンメルは黄色の扉を開けて先に進む