「えー、先生のせいで印象が薄いかもしれませんが、馬の耳と尻尾は自前です。時速60から70キロくらいで長時間走ることができます。握力は250キロ出せます(前の世界での記録)。剣術には自信がありますが学力は低いのでよろしくお願いします」
(((こっちもこっちで化物が来た!!)))
((うひょー! 人外美人だ! すげぇー!!))
クラスの大半が私に対しても驚愕する中、一部の男子は興奮を隠せないで居た
烏間さんが私に対しても補足説明をする
「先ほども言っていたがコイツの名前はロンメル。自称超破壊生物のカウンター生体兵器だと言っているが、政府でもコイツにどの様な能力を持っているか把握できていない。コイツは生徒としてクラスに入るが、耳は帽子で隠せるが、尻尾が隠せないようなら学校行事は基本的に参加させないつもりだ」
「あ、烏間さん大丈夫です。尻尾なんですが保護色にすることで見えないようにする能力を手に入れたので耳は無理ですが尻尾なら見えないようにできますよ……ほら」
そう言うとロンメルの尻尾がみるみると透明になり、風景と一体化した
ロンメルは学校生活に支障があると尻尾や耳を何とか消そうと死神さんと相談した結果、触手の色が変化する性質を利用し、毛の色を変化させた
触手ではない部分ではあるが、色を変えるくらいなら容易い為試してみたところすんなり上手くできた
問題は消えているのではなく色を同化させているだけなので誤って踏まれると痛いというのと、耳は皮膚がどうやっても変色しなかったので空中に耳の一部が不自然に浮くという現象が起こってしまう
これはもう帽子を被るしかないと判断し、尻尾も隠せないと思っていた政府はテストの時は個室にて事情を知っている理事長が試験官として対応するという特例を貰っていた
「この様にコイツに至っても政府は多くのことを知らないが同じターゲットを狙う以上協力関係を築いて欲しい」
と烏間さんが締めてロンメルと死神さんの説明を終わる
「それでは皆さんまずはホームルームから始めましょうか。ロンメルさんは奥田さんの後ろ(最後列の窓際から3つ離れた席 停学中の赤羽業の左横の席)に座ってください」
「はい」
「それでは出席を取ります。磯貝君」
「は、はい!」
「岡島君」
「はい」
・
・
・
キーンコーンカーンコーン
「はい、昼休みですね、先生京都へ湯葉刺しを食べに行ってきますので何か有れば電話してください。電話番号は黒板に書いておきましたのでね。では!」
バビューンと死神さんは京都へ行ってしまった
「えっとここから京都までマッハ20だから」
「約1分で到着するんじゃない?」
「やベー速すぎ」
「試しにハンドガンで撃ってみたけど全然当たらないじゃん」
「木村しかたねーよ、マッハ20だせ、俺らが発砲してから1秒で何百メートルも移動できるんだから無理だって」
「そー簡単に100億は無理か……授業の妨げになる暗殺も禁止されたからな」
「でもよ100億だぜ! 100億! 1人ずつに割っても26人だから3.8億は固い! それだけあれば普通に生活していれば金に困ること無いからな」
「でもよ俺達エンドのE組だぜ……」
「そうそう」
椚ヶ丘中学校3年E組……通称エンドのE組
偏差値66、生徒定員570名
創立10年でここまでの進学校に成長させたのはひとえに理事長の手腕があってこそであった
E組を酷く差別することで残りの生徒は自主的にやる気を出し、勉学に励む仕組みだ
なおE組は古くて汚い隔離校舎で本校とは待遇や内部進学ができない、学校行事は見せ物扱い等の様々な差別に耐えなければならない
そんな環境なので腐る生徒が多いのが現状である
雪村先生は彼らに希望を与えたいと願って亡くなった
意志を継ぐのは私と死神さんしか居ない
「単独での暗殺は難しいから集団による暗殺に切り替えていこうよ! それに銃にまだ慣れていないからしっかり両手で持って反動を抑える! 少しずつやってこう!」
「ロンメルさん」
「……ケッ! 良い子ぶってんじゃねーぞ化物、お前も俺らからしてみればあの化物と同じなんだよ!」
「……えっと寺坂君だったかな? とりあえずやれることをやってこう! 私は100億には興味が無いから協力は惜しまないからさ」
「勝手にやってろ! 俺らは俺らで殺る!」
寺坂君、吉田君、村松君、狭間さんの4名は教室から出ていく
(こりゃなかなか難儀だぞ)
ロンメルは巨大な風呂敷をロッカーから取り出し、5合ものご飯が入る業務用タッパーに白飯と多量のおかずを乗っけて食べる
その量を見た生徒達は食べる量まで化物かよと突っ込みを入れる
「ロンメルさんって大食いなんだ!」
「細身なのに意外!」
「えっと倉橋さんと中村さん!」
「名前覚えてくれたんだ」
「はい!」
「うわ! 唐揚げに大学芋に餃子にハンバーグ! 魚のフライもある!」
「スッゴ! これ手作り?」
「はい! 食べないとやっていけないですからね」
「ちょっと弁当箱持ってみて良い?」
「はい、どうぞ」
「重!! 何キロだこれ!」
「おかず合わせて3キロくらいですかね! 驚異の1万キロカロリーです」
「1万……」
「太らないの」
「太りますけどウマ娘という種族的に多く食べないと消費されちゃって筋肉が付かないんですよね。もし大食いのお店が有れば紹介してください! 時間制限があろうと食いきりますので」
「おお! じゃあ今度料理教えてよ! 代わりにお店教えるから」
「私も~」
「任せてください! 少々男っぽい料理ばかりになるかもしれませんが教えますよー!」
「え! 料理の話! 混ぜて混ぜて」
「原さんもどうぞどうぞ! おかず交換でもします?」
「えー! やったぁ! 凄いみんな美味しそう」
ロンメルは自然に女子グループに溶け込んでいった
食後ロンメルはグラウンドに行き少しトレーニングをする
短距離や2キロを全力で走り込む
全集中の呼吸を使えばこんな距離を走っても息切れすることは無い
更に触手による副肺や副心臓のお陰で力が更に入る
「ふー! 走った走った」
「ロンメルさんって凄く足が速いんだね」
「えっと潮田さん?」
「渚で良いよ」
「渚君で」
「ロンメルさんは先生のカウンター生体兵器って言っていたけど先生とはどれぐらいの付き合いなの?」
「1年くらいかなぁ、詳しくは話せないんだけどその頃から私にとって彼は先生だったな」
「なるほど先生は元から先生っと」
「何書いてるの?」
「先生の弱点メモ……とりあえず先生の情報を書いていくんだ」
「先生の弱点か……いっぱい有るよ。それこそ弱点が服着て歩いてるくらい……昔の先生は人を道具のようにしか見てなかったんだけどある人のお陰で変わったんだ……」
「ある人って?」
「……ふふ、内緒、私トレーニングに戻るね! 午後もよろしく渚君」
先生こと死神さんの授業が始まって数日が経過した
まだ死神さんのことはダメージすら与えられていない
ロンメルは触手の事を皆には隠して学校生活を行っている
隠さなければ私を頼りきりになり彼らの意欲を奪いかねないからだ
これは死神さんと協議した上で決めたことだ
とある日のホームルームで全員による一斉射撃を行い、全弾避けられて当たっているのに我慢しているんじゃないのかという疑問を死神さんは持たれた
「皆さんには無害ですがこの様に」
パンとハンドガンが発砲すると触手の1本が簡単に吹き飛び、ビチビチと跳ねた後静かになり、数秒で再生した
「私の細胞が効率良く壊せるように政府が開発した対先生特殊弾ですので効果は覿面です。ただ、君達も目に入ると危ないので先生を殺す時意外には使用しないように」
これが皆の目の前で見せた先生の始めてのダメージであった
ちなみにロンメルも髪を変質させると対先生特殊弾が通用してしまう
それどころか皮膚から下は対先生特殊弾が入れば致命傷になりかねないくらい触手が張り巡らされており、普通の鉛弾に対先生加工をした状態で撃ち込まれれ、2つの心臓が10秒以内に破壊された場合普通に死ぬ
この環境はロンメルに対してもリスキーな場所であった
そしてその日の午後、昼食後の5時間目の国語の時間
「それでは皆さんお題に沿って短歌を作ってみましょう。ラスト7文字を触手なりけりで締めてください。書けた人は先生の所へ持ってきなさい。チェックするのは文法の正しさと触手を美しく表現できたかです。できた者から今日は帰ってよしとします」
「先生質問」
「……? 何ですか? 茅野さん」
「今更なんだけどさぁ、先生の名前何て言うの? 他の先生と区別するとき不便だよ」
「名前……ですか……名乗るような名前は持ち合わせてありませんねぇ……何なら皆さんでつけてください。でも今は課題に集中ですよ」
「はーい!」
ロンメルは先生から出されている別の課題を解きながら少し短歌についても考える
刹那かな
人によりけり
命なる
美しきもの
触手なりけり
ロンメルはノートの隅っこにそう書いていると渚君が出来上がったのか先生に提出しに行った
先生はピンク色の顔の為緑のシマシマより油断している
というよりリラックスしている
渚君は短歌の用紙にナイフを隠し、先生に接近しナイフを振るった
「言ったでしょもっと工夫しなさいと」
渚君はふわりと先生に抱きつき
寺坂君がスイッチを押した
火薬の臭い
渚君の首に付けられていた玩具の手榴弾が破裂した
火薬によって威力が上げられているそれは渚君にとっても危険な代物であった
「しゃぁ! 100億いただき!」
「ざまあみろ! まさかコイツも自爆テロは予想していなかっただろうな」
甘いな、その程度では死神さんは死なない
ロンメルは騒ぐ皆を尻目に冷静に見ていた
煙が晴れると死神の膜に覆われた渚君が姿を現した
脱皮
死神の奥の手の1つであり、脱皮をすることで細胞を硬化させて対先生特殊弾が効かない素材に脱いだ皮をすることができ、それで渚君を手榴弾の爆発から守った
天井にへばり付いた死神さんの顔は真っ黒であった
「先生は月に1度脱皮をします。寺坂、吉田、村松……首謀者は君らだな」
「えっ! いや……渚が勝手に」
死神さんは一瞬で外に出ると瞬時に戻ってきて表札を3つ落とした
それは生徒各家庭の表札であった
「政府との契約ですから先生は決して君達に危害は加えないが……次また今の方法で暗殺に来たら、君達意外にはなにをするかわからない。家族や友人……いや、君達以外を地球ごと消しますかねぇ」
脅しであるが、死神さんの力であればできなくもない
自分で反物質の生成サイクルを暴走させれば可能である
私には知識不足でできないが、死神さんの知識なら可能だろう
その後寺坂君達は渚君を、渚君は自分自身を大切にしなかった事を怒られたが、アイデアと渚君の油断させる為の2段構えの暗殺と体運びは見事だと褒めた
「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう! 君達全員がそれができる力を秘めた有能な暗殺者だ! ターゲットである先生から君達へのアドバイスです!」
「……さて、渚君に問題です。先生は殺される気など微塵も有りません。皆さんと3月までエンジョイして地球を爆発するつもりです。それが嫌なら君達はどうしますか?」
「……その前に先生を殺します」
「なら今殺ってみなさい。殺せた者から帰ってよし!」
クラスの皆が思った
(((殺れねぇよ。今殺っても表札と一緒に手入れされるだけじゃん)))
茅野さんが唐突に閃く
「あ……殺せない先生……殺せんせーは?」
「ヌルフフフ良い名前ですね。では今日から私は殺せんせーです」
終業のベルが今日も鳴る