「どうですかロンメルさん、クラスの雰囲気は?」
「悪くは無いですがまだまだ結束できていません。トレーナーいや、殺せんせーを暗殺するには個々の力も協調性もありとあらゆる事が足りなさすぎます」
髪の触手でペンを持ち殺せんせーにプレハブ小屋で授業を習うロンメルはクラスの事を総評した
「今日は杉野君を手入れしましたが、E組になると部活も停止になるのは勿体ないですねぇ。彼みたいな才能を燻らせるのは特に」
杉野君というのは野球部に所属していた生徒で、野球ボールに対先生弾を埋め込み、それを投げて当てることで暗殺しようとしたが、返り討ちに有ったらしい
殺せんせーは杉野君が憧れているメジャーの選手の体を触手を使っていじくり回り、翌日杉野君にアドバイスをしたらしい
そのメジャーの選手みたいに豪速球を投げるには肩の筋肉の配列が悪い為どんなに頑張っても豪速球は無理だが、手首や腕の筋肉のしなやかさと可動域は素晴らしい
打たせて取るピッチングをするのならばメジャーの選手よりも活躍できると太鼓判を押した
「いい話だなぁ」
「ヌルフフフ! もっと先生を褒めなさい」
「……よし、終わった!」
「どれどれ……ふむ、連立方程式がケアレスミスが目立ちますねぇ」
「うぐ」
「英語も苦手かもしれませんが頑張りましょう」
「はーい」
「ただ社会に関しては3年の範囲に入っても大丈夫な様ですね。アンバランスですよ」
「社会は物事が全て連続的に繋がっているから一見関係なさそうな事件が他の出来事に絡んでくるから覚えやすいんだ」
「戦国時代の経験ですかね? ヌルフフフ」
「それも有るかな……て、信じてないんじゃ無かったっけ?」
「ええ、勿論信じてませんよ。ただ私みたいな超破壊生物が誕生している以上嘘のような本当の話が有っても良いと考えるようにもなりましたがね……じゃないとあの実験施設に入れないですし」
「まあ良いんだけど……今日は走りのトレーニングを見てくれるんでしょ!」
「ええ、とにかくフォームに無駄が多い。これでは競馬場の芝を走るには不適合です。山道や悪路等は素晴らしいでしょうがパンパンに乾いた芝でタイムを出すには工夫しませんと」
「はい!」
「ロンメルさんの今のタイムでもまずは調べましょうか! ヌルフフフ! 昨日ロンメルさんが寝ている間に東京、中山、阪神、京都のコースに似せた各々の特性を合体させたトラックを山の中に作ってみました。とりあえず芝も張りましたので走ってみましょうか」
「はい!」
ロンメルさんのタイムは1ハロンの最高タイムは12秒ジャスト
これはまだ体ができていない状態を考えればなかなかの速度ですねぇ
ただ、ロンメルさんの武器は無尽蔵のスタミナです
無酸素状態活動時間が異様に長く、独特な呼吸により有酸素状態でも一定以上のパフォーマンスが発揮できる
その為試しに3000メートルを測ったらところ3分3秒と菊花賞なら馬換算なら勝負できるスピードは有った
ただ私が走りの無駄を無くし、本格化と呼ばれる身体能力が向上したらどうなる
異次元の記録が出せるのではないか
「ヌルフフフ本格化と呼ばれる兆しは入ったとのことここから半年かけて本格化するとなると期待できますねぇ……」
エネルギーは反物質のお陰でほぼ無限に有る
肺や心臓の肥大化も目一杯動けるここなら時期に始まるだろう
満足に1年近く動けていない状態でこれなのでロンメルの伸び代は沢山有る
「少なくとも競馬で言うならディープインパクトは超えてもらわなくてはなりませんねヌルフフフ」
殺せんせーによるロンメルの改造が改めて始まった
烏間さんが体育教師として暗殺教室に参加することとなった
これで体育の時間は殺せんせーの無茶な授業ではなくなる
反復横跳びで残像を3つ出しながらあやとりしろは流石に無茶である
現在はナイフの素振りを行っている
ロンメルは素振りをしながら呼吸による筋肉の破壊と超回復のトレーニングを開始していた
触手による補強で前の世界に比べて筋肉の付きが良く、前回の地点に到達するのに3ヶ月もここでならかからないだろう
研究施設では食事量が一定だったから無理だったが、山の幸と毎月10万の支給されるお金をやり繰りすれば……いけると判断
米も農家が直売しているところで買い付ければ30キロ5000円で買える農家を見つけたので東京から千葉まで走って買い付けた
リアカー転がして走ればトレーニングにもなるし、自転車をくっ付ければ案外速度が出ていてもバレないもので米90キロに芋や野菜をリアカーに大量に積んでプレハブの家に帰る
それと農作業を始めたので殺せんせーが作ってくれたトラックの中に畑を作り、芋や野菜を大量に植えた
閑話休題
ナイフ訓練をしていると前原君がこんな訓練意味が有るのか烏間先生に質問し、烏間先生が前原君と磯貝君に2人がかりでナイフを当ててみろと言った
結果は烏間先生の圧勝で、ナイフは一切当たらず、逆に2人同時に転ばされた
「この様に心構えが有れば素人2人のナイフくらいは俺でも捌ける。俺に当たらないようではマッハ20の奴に当てる確率の低さがわかるだろう」
と烏間先生から指を指された殺せんせーは砂場に大阪城を作り、着替えて茶を立てて飲んで居た
「クラス全員が俺に当てられる位になれば少なくとも暗殺の成功率は格段に上がる。ナイフや狙撃……基礎の数々を体育の時間で俺から教えさせてもらう!」
ナイフの素振りを再開する
ロンメルは集中した結果、異常な量の汗をかいて足元に水溜まりができるほどだった
私の席の横の赤羽業君が停学から戻ってきたカルマ君は殺せんせーに近づくと握手に見せかけて殺せんせーにダメージを与えた
この教室で他人が与えた始めてのダメージである
カルマ君の暗殺スタイルは精神的に追い込んでから殺すというやり方で、6時限目の小テストの時には職員室で冷やしていた殺せんせーのジェラートを勝手に持ち出して食べることでおちょくり、動揺した殺せんせーがカルマ君に近づいた時には床に転がしていた対先生弾を踏ませることでダメージを与えた
「まーた引っ掛かった! 何度でもこういう手を使うよ。授業の邪魔とか関係無いし……それが嫌なら俺でも俺の親でも殺せばいい」
「でもその瞬間からもう誰もあんたを先生とは見てくれない。ただの人殺しのモンスターさ! あんたと言う先生は俺に殺されたこととなる」
そう言うとカルマ君はテストを先生に投げて帰ってしまった
なかなか癖の強いことで……
ただカルマ君はこの短時間で2度も殺せんせーにダメージを与えた
頭の回転が速いのだろう
「なるほどなるほど……これはどの様にサポートすれば良いでしょうね」
ロンメルはニヤリと笑う
放課後私はカルマ君を探しに町を探索していたところ魚屋でタコを購入しているカルマ君を発見した
「カルマ君みーっけ!」
「ん? E組の耳としっぽ生えてた子じゃん? なにか用?」
「おっとそれは秘密なの。しっぽは保護色にして隠してるんだ。耳は隠せないからこうやって帽子被ってるの……あと名前はロンメルね! 種族はウマ娘」
「人外ちゃんって訳か……で? なにか用?」
「んー、先生に対しての忠告というかアドバイス」
「アドバイス?」
「殺せんせーは君が思っている何倍も強いよ。手入れされてきなよ。今の暗殺では致命傷は与えられない」
「……なに? 渚から聞いたけどいままでダメージを与えたの俺が初めてらしいじゃん……俺お前のこと対先生のカウンター生体兵器って聞いたんだけど! あれれ? ダメージを与えてないお前が言っちゃう?」
「クックックッ……舐めるなよ小僧」
ロンメルはカルマ君の後ろに立ち、頭に対先生ナイフを突き刺した
「……!?」
「私は多少の心得が有る。殺気を完全に消す事を心得ているから一瞬なら存在感を消せる……まあこんなのができても殺せんせーは殺れないんだけどねぇ……カルマ君、クラスメイトからの忠告です。人を信じてみましょう! 以上!」
ロンメルは魚屋で買い物をしてそのままプレハブ小屋に帰っていった
「十分に化物じゃん」
カルマの言葉は商店街の雑音で消えていった
翌日、殺せんせーに徹底マークされたカルマ君は様々な手入れをされた
朝礼では昨日魚屋で買っていたタコにナイフを突き刺して
「殺せんせーと間違えて殺しちゃったぁ! 捨てとくから持ってきてよ」
とおちょくったが、殺せんせーはそのタコを使って自衛隊の迎撃ミサイルの火力で作ったたこ焼きをカルマ君にプレゼントした
「その顔色では朝食を食べていないでしょ、マッハでたこ焼きを作りました。これを食べれば健康優良児に近づけますね! ヌルフフフ」
と本気の手入れが始まった
数学の時間はネールアートをされ、家庭科の時間ではハートのエプロンを着せられ、国語の時間は髪の手入れをされた
カルマ君は徹底的に手入れをされ、放課後ロンメルは気になってカルマ君の後をつけると崖で渚君と何かを喋っている
「覗き見とは感心しませんねぇ」
「トレーナー」
「殺せんせーですよロンメルさん。カルマ君の様子が気になるようで……恋ですか?」
「やだなぁ青臭いガキに恋なんかしませんよ。クラスメイトがどの様に変化するか気になりましてね」
「ヌルフフフ、カルマ君はまだ何かを企んでいるようですから最後の手入れといきましょうか」
殺せんせーはカルマ君と渚君の前に現れると会話を始める
「確認したいんだけど殺せんせーって先生だよね?」
「? はい」
「せんせいってさ、命を懸けて生徒を守ってくれる人?」
「勿論先生ですから」
いやいや、そこまでできるのは殺せんせーとほんのごく僅かな覚悟ガンギマリの人くらいですよとロンメルは心の中で突っ込みを入れる
「そっか良かった……なら殺れるよ……確実に」
カルマ君は崖からいきなり飛び降りた
ロンメルはカルマ君の体の動きから飛び降りるということを察知し、走り出したが、殺せんせーの触手が私を止める
それはまるで私に任せてくださいと言っているかの様だった
次の瞬間殺せんせーの触手で作られたネットでカルマ君は守られた
「カルマ君、自らを使った計算ずくの暗殺お見事です。音速で助ければ君の肉体が耐えられない。かといってゆっくり助ければその間に君が手に持っているハンドガンで撃たれて終わりです。そこで先生ちょっとネバネバしてみました」
ゴキブリホイホイのようにベタついてカルマ君は動きが取れなくなっていた
「ちなみに、見捨てるという選択肢は先生には無い。何時でも信じて飛び降りてください」
そう殺せんせーは締めた
崖の上に引き上げられたカルマ君はロンメルが見ていた事に驚いた顔をしたが、次には今回の暗殺が失敗したことで
「しばらくは大人しく計画の練り直しかな」
と満足そうな表情で言った
カルマ君の中で何かが変わったのだろう……それは良い成長であった
ロンメルはその人が決めている選択から外れた行動をした時こそ最良の結果が出るのではないかと学んだ
予想外とは恐ろしくも楽しいものであると学んだのだった