ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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テスト勉強の時間

 暗殺バトミントン

 

 それは木製で作られたナイフで軽いボールを突いたりしてやるバトミントンとバレーを混ぜた様な遊びである

 

 烏間先生が考案し、ルールはナイフの腹で当てる斬撃とナイフの先にで突く刺突の2種類がボールに触れる方法であり、斬撃で相手陣地に着弾させれば1点、刺突で相手陣地に着弾させれば3点、パスミス等で自陣に着弾すれば相手に1点入り、斬撃でトスして良いのは3回まで、刺突であれば何度でもトスをしても良いというルールであった

 

 斬撃と刺突以外の場所でボールに触れたら相手ボール、場所はテニスコートの半分を使う

 

 人数は3対3であり、その競技で無双する者が居た

 

 ロンメルである

 

 ロンメルにとってこの遊びは目を瞑ってもできる簡単な物であり、最初は手を抜いて遊んでいたが、倉橋さんや中村さんに

 

「手を抜いてるのバレバレ」

 

「ロンメルさん本気でやってよ」

 

 と言われたので軽く力を出したら、コートが狭いこともあってどんなシュートも対応してどんなミストスでも刺突で相手コート内にボールを突き刺すので人数を3対1にされ、目隠しをした上で戦うはめになり、最終的に烏間先生より殿堂入りと言われてしまうのであった

 

「しくしくしく」

 

「ロンメルさん強すぎ! ナイフの扱い方上手すぎでしょ」

 

「泣かないで! 手を抜いてたのも私達に合わせるためってわかったし……ごめんって!」

 

 この事でクラスの皆がナイフに関してはロンメルが数段上であることを認知した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんは今全校集会をしていますが……ロンメルさん、お久しぶりですね。編入の時以来か」

 

「お久しぶりです。浅野理事長」

 

 私は今、怪物と対峙していた

 

 

 

 

 

 椚ヶ丘中学には月に1度全校集会が行われる

 

 全校集会は昼休み明けの5時間目に行われ、E組の生徒は昼休みを返上して山の上の隔離校舎から本校舎体育館に移動しなければならない

 

 その際、他のクラスよりも先に整列しておく必要がある

 

 更にE組の差別はここでも行われ名指しで馬鹿にされたり、プリントが配布されなかったりする

 

 この行事にロンメルも本来ならば参加しなければならないが、耳を隠せない関係上免除してもらっている

 

 ただ今回はロンメルは理事長に呼ばれたので皆と共に山を降りて本校舎に来ていた

 

 そこで上記の会話となる

 

 浅野理事長……教育界の風雲児と呼ばれている人で3つの教育理念に基づきこの椚ヶ丘学園を創設した

 

 ・合理性に基づいた教育

 ・競争こそが成長の原動力

 ・実社会に通用する人材の育成

 

 である

 

 この理念に基づいた結果、今E組が使っている古びた廃校舎を使った私塾からスタートし、僅か10年足らずで全国有数の超進学校にしたカリスマ経営者でもある

 

 私はそんな人を昔見てきた

 

 その人は熾烈苛烈で人々を焚き付け動かし、自らも動いて皆に示し、あらゆることを成功させてきた

 

 晩年の信長様に近い

 

 その信長様よりも合理性だけならば更に先を行っているのが目の前に居る浅野理事長であり、ロンメルは怪物と呼ぶ

 

「私を呼び出して何か御用ですか? 浅野理事長?」

 

「用事が無ければ呼びませんよ。まぁ君と少しお話してみたかったという個人的な感情も有るがね」

 

 嘘だろう、目の底が座っている

 

 私に対して警戒しながらも自然体でいる

 

 今私が浅野理事長を殺そうとしても殺れない可能性が高い

 

 纏っているオーラと呼べば良いか……常人のそれと違う

 

「殺気が漏れていますよ。抑えなさい」

 

「これは失礼しました。強者を見ると殺れるか殺れないかで考えてしまう……悪い癖だ」

 

「ロンメルさんから私は殺れる相手に写ったのかな?」

 

「いいや、手こずると判断しました。殺れなくはないというのが正解でしょうか」

 

「なるほど……殺せんせーでしたか暗殺対象の先生の名前は」

 

「はい」

 

「なぜ貴女は彼と同じ実験をして完全なる人外にならなかったのですか? 貴女の信念は強さでしょう。矛盾していませんか?」

 

「私はウマ娘という種族ですが、それを超えてしまえば制御のできない強さだと感じています。現に殺せんせーは制御に失敗し、大切な者を失った……私にとっても大切な人を」

 

「雪村先生ですか……彼女は実に惜しかった。教育に対して誰よりも熱意があり、それでいて過酷な教員の職務を十全にこなせる肉体と一定水準以上の知識を身に付けていた。彼女はこの学校を任せることができる教師の素質を持っていた」

 

「でも雪村先生は落ちこぼれだろうと救いあげようとする優しさが合った。浅野理事長にはそれが無いように感じますが?」

 

「何を根拠に?」

 

「目ですよ。貴方は何かに絶望した目をしている。過去に数人そんな目の人を見てきた……貴方は諦めてしまっている。何を諦めたかは知りませんが……」

 

「君は面白いことを言うね。さて、そろそろ本題に入ろうか……君の暗殺報酬の話だ。もし仮に殺せんせーを君が殺し、地球を破壊しなくてすむ……君の体が爆弾とならなくなった場合高校はどうするのですか?」

 

「高校ですか……考えてませんでした」

 

「まぁE組なので内部進学は無いですし、隔離校舎でもないので貴女のことを隠すことはできないとだけは伝えておかなければと思いましてね。ただ人ならざる存在というのは興味が有りますので住むところに困れば連絡してください。それ相応の場所を用意しますのでね」

 

「まぁ実験施設でしょうね……まぁまずは生存を第一に行動しますよ。私に100億は興味は無いですがせっかく現代に来たのですから美味しい料理やお菓子、様々な技術を学びますよ」

 

「君は進学校の我が校よりも高専や工業高校等に行った方が良かったかもね」

 

「いや、殺せんせーの授業が受けられるのはここだけですし間に合ってますよ」

 

「時間を取らせた下がりたまえ」

 

「失礼しました」

 

 ロンメルが退室した後浅野理事長はボソリと

 

「なんとも悲しき生物だ。世界を救う救世主となるはずが、世界を滅ぼす巨悪となるとは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テスト勉強の季節がやってきました

 

 中間テストまで残り2週間

 

 殺せんせーも気合いが入り

 

「学校の中間テストが迫ってきました! そんなわけで先生の分身が1人ずつマンツーマンでそれぞれの苦手科目を徹底して復習します」

 

 と27名全員分の分身を作り出し、苦手科目の鉢巻きをして復習を開始した

 

 ちなみに2人だけ鉢巻きが学科ではなく

 

「何で俺だけNARUTOなんだよ!」

 

 と寺坂君はNARUTO

 

「私日の丸ですか」

 

 日の丸に合格の文字が書かれた安っぽい願掛け鉢巻きをロンメルにはしていた

 

「寺坂君もロンメルさんも苦手科目(ロンメルはまだその学力に到達していない)が多いですからね」

 

 ちょっと前までは3人くらいの分身がせいぜいだったのに……殺せんせーも成長しているんだなと改めて実感した

 

 とりあえずロンメルに対してはテストに関係する基礎を学習する順番を入れ換えて教えてもらい、テスト問題の山勘が合っていれば全教科40点は超えれるかなぁというくらいには仕上がった

 

 勿論ロンメルは夜の学習も含めてこれである

 

 だいぶ詰め込んだので頭から湯気が出るくらい頑張った

 

 そしてテスト前日になると殺せんせーの気合いは凄まじく、1人に対して分身3人という物凄い物量作戦が行われた

 

 ロンメルはあまりに頭を使ったので飴を舐めながら授業に参加し、1時間終わる毎に買い込んだドライフルーツを口に掻きこんでいった

 

「うける! ロンメルさん頭から湯気出てる! ヤバくない」

 

「漫画みたい!」

 

「つ、疲れました……過去一疲れました……」

 

「殺せんせーもダウンしてるし」

 

「……さすがに相当疲れた様だな」

 

「なんでこんなに一生懸命先生をするのかねぇ」

 

 と先生が頑張る理由を聞くと

 

 殺せんせーは皆の点数が上がれば尊敬して皆暗殺したがらなくなり、噂を聞いた近所の美人巨乳女子大生にも勉強教えられるのではという邪念ばっかりな理由であった

 

 これに対して皆は

 

「いや、勉強の方はほどほどで良いよな」

 

「うん、なんたって暗殺すれば100億だし」

 

「にゅにゃ!? そ、そういう考えをしてきますか!!」

 

「俺達エンドのE組だぜ殺せんせー」

 

「テストなんかより暗殺の方がよっぽど身近なチャンスだし」

 

 この言葉はさすがに殺せんせーもキレた

 

「今の君達には暗殺者の資格はありませんねぇ」

 

 全員グラウンドに出るように指示され皆グラウンドに出る

 

 イリーナ先生に殺せんせーは聞いた

 

 プロの殺し屋として仕事をする時のプランは1つかと

 

 答えはNo

 

 予備のプランを綿密に作るのが暗殺の基本と答えた

 

 烏間先生に殺せんせーは聞いた

 

 ナイフを生徒に教える時に重要なのは第一撃のみかと

 

 答えはNo

 

 第一撃は勿論最重要ではあるが、第二撃、第三撃をいかに高精度に繰り出せるかが勝敗を分けると答えた

 

 つまり殺せんせーは自信の持てる次の手を持ちなさいということだ

 

 次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる

 

 が、今の皆は暗殺があるから良いやと勉強を低く捉えてしまっている

 

 それはよろしくない

 

 殺せんせーが誰かに暗殺されるか、殺せんせーが逃げてしまえば残るのはエンドのE組という劣等感しかない

 

「そんな危うい君達に先生から警告です! 第二の刃を持たぬ者は暗殺者を名乗る資格無し!!」

 

 殺せんせーはグラウンドを一瞬で綺麗にした

 

「先生は地球をも消せる超生物……ここら一帯を平らにすることなど容易い」

 

 殺せんせーは明日の中間テストでクラス全員が50位を取りなさいと言ってきた

 

 皆唖然としているが、ロンメルは大量の汗が出ている

 

(え? 私まだ中学1年後半から中学2年前半でいっぱいいっぱいなんだけど! 結構無茶して今回のテストは赤点ギリギリ回避かなぁくらいなんだけど……え? マジ!?)

 

 ちなみに50位というのはE組から他のクラス(2年時のクラス)に戻れるという救済システムのことで、テストが50位以下かつ元のクラスの担任が許可をすればE組から脱出することができるシステムである

 

 つまり殺せんせーは全員エンドのE組ではなく普通のクラスと同等の学力を……いや、それ以上の学力を手に入れていると言いたいのだ

 

 それがなせるとも殺せんせーは言った

 

 なおロンメルは深夜まで殺せんせーが作ったテストの山勘問題集を死ぬ気でおこない、一夜漬けを敢行した

 

 なおテストは2日あるので地獄は2日も継続するのだった

 

 ロンメル曰く

 

「前の世界の鍛練よりも精神的にキツかった。私が失敗したら皆も失敗だから……」

 

「いや、ロンメルさんは第二の刃を持っていますし、先生的にも無茶言いました」

 

「皆って殺せんせー言っちゃったじゃん! 湯気通り越して髪の毛変色して真っ赤なんだけど! めっちゃ熱持ってるし」

 

「知恵熱ですかね」

 

「ですかねじゃなくて!!」

 

 ロンメルは桶に水を張って髪の触手を冷やしながら勉強するのであった

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