「何処へ行っていたロンメル」
「ちょっと今川館まで行っていました」
「そこへ行って何をした」
「義元の嫡子氏真と剣術勝負をし、その後酒盛りをしました」
「勝ったのだな」
「はい」
「ならばよし。何か考えがあってのことだろう。何を得られた」
「本来の目的は料理に使える調味料の確保なのですが、教えてくれませんでしたのでこちらでも作ろうと思います。材料は見当がつきましたので……それと義元が天下を狙うと発言しました」
「……ほぉ、詳しく話せ」
「義元の師である太原雪斎は天下三分の計を行うつもりで甲相駿三国同盟を締結したようですが、私が煽ったことで天下統一を目標と定めると明言しました。この話は武田や北条に流れると思われますのでどの様な影響が出るかは未知数……ただ、天下を取るのは今川義元ではなく信長様ですがね」
「ふふ、よく言うわ……ロンメルこの書状を持って清洲城へ行き、信友を殺してこい。奴の役割は終わった。清洲に拠点を移すためにトドメをお前に任せる」
書状には信光が信友に手を貸すという信光本人が書いた偽証であった
「叔父上に一芝居して貰った。もっとも叔父上も欲張りで城2つと尾張下四群のうち二群ほど渡すことになったがな」
「よろしいので?」
「熱田、津島そして清洲の町を抑えていれば問題ない。ロンメルやれるな」
「必ず遂行して見せましょう」
「よし、では去れ」
「は!」
天文23年(1554年11月2日)
信長から受け取った書状を模写し、鉄砲母衣衆からロンメルに忠誠心の高く頭が回る者を数名選抜し、書状を清洲の城に届けるように指示し、そのまま城内に入れ、城内をわかる範囲で探らせる
夜城から出て落ち合った母衣衆数名の記憶を頼りに城内の構造を紙に描いていく
信友の居ると思われる場所に目星をつけたロンメルは闇に紛れて城壁を越えて侵入、そのまま屋根裏に忍び込み、時を待つ
ロンメルと別れた母衣衆は城壁に火薬を設置し爆発、これを合図とする
まず異変が発生した場合立場の低い者と当番の者が現地へ行き何が起こったのかを確認する
それを上司(足軽大将クラス)に話し、上司が城内の大部屋に集まった家臣達に話し、そこで一旦話し合われ、最後に信友に報告される
これは信友の能力がそこまで高くないことと重臣である坂井大膳の力が大きいことがあげられ、坂井大膳が緊急事態の時は対応するというシステムが出来上がっていた
この話はロンメルが個人的に雇っている忍達に清洲の町の情報を集めさせていた時にたまたま知れた情報で、ロンメルはその情報を教えてくれた忍を後で甲賀の里まで行って引き抜きを行い直臣に加えるほど重宝することとなり、名を半乃助(はんのすけ)といい、この後起こる清洲崩れの功労者として信長から町田の名字を授けられる
ちなみに鉄砲母衣衆筆頭に任命されたためロンメルも数名の家臣を持つことになるのだが、半乃助が最初の家臣である
閑話休題……信友に坂井大膳が伝えに行くところをロンメルは襲撃し、信友と坂井大膳に刀を抜かせる前に自慢の剣術で首のみを跳ね、首をもって堂々と部屋を出る
襖を開け大部屋に出てロンメルは叫ぶ
「逆賊織田信友及び奸臣坂井大膳は妖怪ロンメルが討たせて貰った! 主君及び忠臣を討った大悪党なり! こやつらと同じ様になりたい者は刀を取れ……相手をしてやる」
2つの首を部屋の中央に投げる
男達はその首を見て自身の主君であった者だと理解し、城内にいつ侵入されたのかわからず思考が止まる
「の、信友様! おのれ妖怪! ここで成敗して?」
「遅い」
刀に手を掛けた男の胸にはロンメルの愛刀の大太刀が突き刺さっており、大量の血液を撒き散らしながら絶命した
「首を跳ねぬだけ有り難いと思え……次は誰だ」
「や、やぁぁぁ!!」
数名がロンメルに斬りかかるが、ロンメルは1人を掴むとおもいっきり振り回してそのまま投げた
押し潰された者はもがくが、ロンメルが投げた人物ごと思いっきり踏み抜く
ボキッぶちゃぶちゃ
肋骨が折れ上の人物を貫通し、下に居た男は圧死する
もちろん上にいた男も激痛と内臓を潰されて苦しみ、絶叫をあげながら死んでいく
「次は誰だ」
その様子を見ていた他の男達は顔を真っ青にし、頭を下げた
「頭を下げた者の命は取らぬ。問おう織田弾正忠家に使えるかこの場を去るか……ここで死ぬか。閻魔とは話をつけている。喜べ地獄で逆臣の家臣として苦痛の限りが待っているぞ。死ぬに死ねない極楽だ。なに、私は優しいからな。ここで死ぬ選択肢をしたら一族ごと地獄で会わせてやろう」
その言葉で心が折れたのか大の大人達は振るえながらか細い声で忠誠を誓いますだの許してくださいだのと言い始めた
「ならば城から早く去れ」
ロンメルがそう言うと蜘蛛の子を散らす様に人々は我先へと城から逃げ出した
ロンメル伝説2つ目の清洲崩れである
「以上の経緯で清洲城を取りました」
そう信長様や家臣達が居る場で話すと信長様は爆笑し
「そうかそうか! 実に面白い! 閻魔と話した感想はどうだ?」
「閻魔様なら目の前にいるではありませんか」
「余が閻魔だと? クハハハ! 閻魔か! 良いな良いな」
「まぁ信長様なら魔王がお似合いかもしれませんがね」
「魔王か気に入ったぞ! これからは魔王信長と名乗ろうか」
「お戯れを」
「丹羽は硬いなぁ」
信長様は一通り笑った後ロンメルの功労に入る
「逆賊信友と坂井大膳は討ち取った。これで清洲は手に入れ
織田弾正忠家は尾張下四群を手中に納めたことになる。当面は清洲に拠点を移し内政を重視、国を富ませる。良いな」
今回の功績でロンメルは10石だった領地が200石まで増やされ、銭も学校の校長と鉄砲母衣衆筆頭と合わせて300貫の役職手当てで貰える様になり、今回活躍してくれた町田半乃助を家臣に加えるなどが褒美となった
あと夜にまた呼ばれて仕込まれた
「はい、まず半乃助君は私の家来ではありますが、黄坊が分家を立ち上げたら黄坊の家臣として動いて貰いまーす」
「はい?」
「いや、妖怪や女に仕えるより髪の毛の色は違うけど同じ人間で男の黄坊に仕えるのが筋でしょ」
「ま、まぁ女に仕えるというのは世の習わし的には少数でございますが論目流様は妖怪なので例外かと」
「何事も例外で押し通せる世の中じゃないからねぇ……半乃助君は家族とかどうするの? 呼ぶ?」
「いえ、元々孤児ですので身一つで成り上がる所存」
「了解了解。とりあえず200石だけど20石分の給料出すわ。物納と銭どっちが良い?」
「では銭で」
「了解」
天文24年(1555年)
この年清洲を掌握した信長は内政に力を入れる
この年は戦も起こらずに信長も信長の敵対勢力も内政や一揆、反乱鎮圧で大忙し
ロンメルは学校の運営をしながらも自分の領地の200石の田畑にて農業実験を繰り返す
ロンメルは一時期流行った稲作ゲームをしていたことで塩水選が米の収穫に大きな影響を与えることを知っていたが、比率がわからず種籾と桶と水と塩を用意して塩:水の割合で1:1から1:10までの比率の塩水を作り、種籾の選別をしたり、正条植えを行うためにロンメルが学生達と考え出した枠回しと呼ばれる木でできた六角柱状の柱を転がすことで等間隔に植えやすくしたりして収穫量を増やそうと試みた
更に冬の間に牛糞を使った肥料で土作りをしたり、鶏糞と人糞を材料にした肥料を使ったりもした結果、1:1、1:2は塩害になったが、それ以外は豊作、特に1:5と1:6は大豊作と呼べる位の収穫量となった
「薩摩芋も大豊作、大豆と野菜も肥料のおかげか豊作で、食べ物には困りませんな」
雇っている貧農の方達も全体的に豊作で一安心
ロンメルは貧農の方々を小作人として改めて雇いいれた
彼らの息子達は無償で学校に通わせ、着々と地盤を固めるロンメルであった
ただロンメルは米だけ食べると栄養が偏ってしまうので様々な作物を作ることを推奨した
特に自然薯は痩せた土地の方が発育が良いことをどこかの番組で知っていたロンメルは竹の節を貫通させ長い筒をパイプ代わりに種芋と目印棒、地中に埋めたパイプでうまいこと育ててみたり、里芋、コンニャク芋を植えたりと薩摩芋も合わせると芋ばっかりだな……
この他にも野菜も育てて鶏の卵や鶏肉、罠にかかった鹿や猪も小作人や雇っている忍の方々と一緒に食べることで結束を強めたり、栄養バランスが改善されて彼らは逞しくなっていった
ロンメルはこの年は四つ子を出産し、全員男だった事、髪色が茶色だった事から信長様が
「茶一、茶次郎、茶三郎、茶四郎でよかろう」
というあんまりなネーミングセンスにドン引きしたが、信長様は本気で良い名だと思ったのか彼らと黄坊と黄衣含めて可愛がるのだった
ただこの時ロンメルも信長も知らなかった
佐久間信盛や丹羽長秀等の重臣(丹羽長秀は信長の馬廻り衆をやっていたくらい信長に近かった人物)が改めて忠誠を誓ったり、滝川一益が家臣に加わった一方、林兄弟や織田信行等の内側の爆弾と斎藤義龍、織田信安等の外敵の爆弾が連鎖的に爆発することを
稲作ゲーム≒天穂のサクナヒメ