京都……それは暗殺の聖地である
時の権力者が暗殺されることは勿論、その家族や一族、家臣達が暗殺されることは日常茶飯事であり、更には応仁の乱等の乱や変といった短期にしろ長期にしろ人の血がこびりついた都市でもある
「そういえば無惨もここで生まれたんだよなぁ」
「無惨って? ロンメルさん?」
「あ、いや、何でもない、1人ごと」
更に京都には3つの鬼の伝説もあり、怪物達が蔓延っていた都市でもある
そんな血塗られた都市で今回暗殺を目論むのは私達の先生である殺せんせー
ロンメル達の班は暗殺名所巡りをしながらお土産等を買ったりして楽しんだ
坂本龍馬暗殺の近江屋跡地や本能寺等
ロンメルは本能寺に着いた際手を合わせて涙を流した
「あれれ? 泣いてるの? ロンメルさん」
「……思い出がここに詰まっていましてね……」
「そっか」
カルマ君は深くは探らない
ロンメルは気持ちの整理をつけると皆と同じく観光を楽しんだ
特に朝から始まった班行動で最初に行ったコーヒー屋さん……甘くてスイーツやサンドイッチが絶品でコーヒー3杯にケーキ5個、サンドイッチ10個をペロリと平らげる
そんなんだからお会計で少し後悔したのはナイショ
そうこうしているうちに殺せんせーと回る時間が近づいてきたので暗殺に適した場所に移動することにした
殺せんせーを殺すのに選んだのは祇園の裏道
一見さんお断りのお店が多いため人通りも少なく暗殺にぴったりな場所であった
ロンメルは気がついていた
「ひーふーみー」
「? ロンメルさんなに数えてるの?」
「あ、襲撃者の数、カルマ君、渚君、杉野君女の子をお願い」
「え? え?」
「ありゃ? バレてたか」
「うひょー良い女が2人も居るじゃねえか金髪(ロンメル)と黒髪(神崎さん)の」
「本当うってつけだよ! 何でこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」
6人の高校生が現れた
「何? お兄さんら? 観光が目的っぽくないんだけど」
「男に興味はねぇ。女置いておうちに帰んな」
「あ、カルマ君、大丈夫。このレベルなら私1人でやるわ」
「やれんの? ロンメルさん」
「お? 嬢ちゃんなんだ? 俺と遊びたいのかな? ……」
ドサッ
「な? ……ダチに何しやがったこのクソガキ」
金髪ニット帽の女がダチの前に立ったと思ったらダチが膝から崩れ落ちた
失禁しながら気絶してやがる
「腹部に1発、顎に1発、両足及び金的に1発……計5発蹴りと拳で決めさせてもらったよ。なーに手加減はしてるから安心しなよ」
「おい」
「ああ」
他の奴が懐からスタンガンや警棒、木刀を取り出す
「田中の奴は油断してたが俺らはそうはいかねぇぜ!!」
小菅と工藤がダッシュで襲い掛かるが
金髪ニット帽の女は小菅の頭をジャンプして掴むとそのまま体重をかけて工藤もろとも押し倒した
「て、てめぇ!! が?」
「良い武器だ使わせてもらうよ」
工藤から木刀を奪いやがった
だが木刀持って油断したな
「死ねぇ!!」
ドンと衝撃が襲い掛かる
なんだ? トラックに跳ねられたみたいな衝撃は……柄で殴られた? 見えなかった……そのまま崩れる俺の腕を掴むとそのまま仲間に俺をボールでも投げるかのようにぶん投げた
「「ぐわ!?」」
「はい、死亡ね」
木刀が俺の真横を通過する
コンクリートが砕けて木刀が地面に突き刺さる
「ひ、ひぇ」
俺らはその恐怖で気絶した
「カルマ君撮れた?」
「バッチリ」
「はい、正当防衛完了! 後は身分証漁って有れば写真撮って殺せんせーに報告で良いよね」
「まぁこんなんだし持ってないだろうね。身分証」
「顔写真だけ撮っておくか」
「いやいや、ロンメルさんもカルマ君も手慣れすぎでしょ」
「これくらい少し心得有れば誰だってできますよ」
「でもビックリした……コンクリートを木刀で搗ち割るなんて」
「コツさえ身につければ誰だってできるよ」
「木刀全く傷ついてないし」
「お土産の安物だけど手にフィットした! 戦利品として持って帰ろ!」
「いや、それ泥棒」
「大丈夫大丈夫目撃者皆しか居ないし、たぶん彼ら私の顔良く覚えてないから」
「どういうこと?」
「顔を認識しにくいように意識を別の場所に移していたからたぶん覚えられてないよ」
「す、すげぇ達人って感じかだった」
「ロンメルさんもしかして相当強い?」
「そういえばロンメルさん最初対先生用生物兵器って言ってなかったっけ?」
「……普段は協調性重視で私がメインで暗殺することが無かったからね。まぁそろそろ何かしらアクション起こすよ」
「ちなみにロンメルさんが本気で殺せんせーを殺しに行ったらどうなるの?」
「今だと奇襲込みで単独で触手4本が限界かな? もっといけても命は取れない」
「4本……」
「奇襲って言っても前やった時はタイマンだったし……まぁ皆がもう少し強くならないと協力して暗殺しようとしても成功率が下がる可能性もあるし……皆の成長速度だと2学期後半からは面白くなるんじゃないかな」
「へー、ずいぶん上から目線じゃん」
「だって……」
その瞬間カルマ君の背後を取る
「君らとは年季が違うから……戦闘のね」
ぷにっとカルマ君のほっぺたに指を指し、ロンメルは黒蜜ラテなる飲み物をポッケから取り出し飲み始める
「まずは強くなろうや。全てはそれから」
ロンメルはニット帽を更に深く被り、通りを抜けていく
ロンメルさんは不思議な人だ
普段は皆と暗殺に協力してくれるし、適度にアシストしてくれる
どこか世間話はズレで居るところがあるけど明るくて聞き上手だし、体育で烏間先生から教わることに対して質問すれば分かりやすく教えてくれる
校庭でよく走っているが、それは人が出せる速度ではなく、時速70キロくらいで走っているのでロンメルさんも人じゃないんだなってその時思う
あとスマホを持ってないから連絡ができない
本人曰く烏間先生と協議中とのこと
そして謎が多い
種族はウマ娘って言うらしいが、この中だと落ちこぼれだったらしい……そもそもウマ娘って種族が居ること自体初めて知ったし、殺せんせーとの関係やロンメルさん自身の過去等は聞いても教えてくれない
学校から帰ったら何をしているかすら僕らは知らない
今も殺せんせーに近づいて狙撃暗殺のアシストをしているけど、足の運び方が僕らとは違う
音が全くしないし、気配に強弱をつけることで先生の油断を誘ってる
狙撃暗殺が失敗したらなぜか嬉しそうにしているし……
「渚君なにしてるの?」
「カルマ君……ロンメルさんの事を少し考えてた」
「あぁ、彼女のことね。不思議だよね……力が有るのに全く皆に見せようとしないし、ただどれだけ強いか検討もつかないや」
「烏間先生と戦ったらどうなるんだろうね」
「うーん、ロンメルさんの方が強いんじゃない?」
「どうして?」
「だって本人が対先生生物兵器って言ってるし……でもまぁ本気を全く出してないのは事実だよね」
「さっきの不良に絡まれた時に思ったんだけど……ロンメルさん対人戦闘に凄い慣れてるように見えたんだけどカルマ君はどう思う?」
「慣れてるねぇ。というか先読みしているような動きだったし……なにより木刀を握った後の動きが別次元に違った」
「確かにコンクリート突き破るのは凄かったけど」
「違う違う。確かにそれも凄いけど木刀を握った時の腕……一瞬だったけど膨れ上がってたんだよねぇ。制服でもわかるくらい異常に」
「ロンメルさんっていったい何者なんだろうね」
「だねー、まぁ少しずつ探るしかないだろうね。殺せんせーみたいに」
旅館に戻った私達はゲームコーナーの対戦ゲームで遊んでいた
「うおおおおお!!」
「ふふ」
叫ぶロンメル
対するは神崎さん
『KO』
「だぁぁ! 神崎さんに勝てない」
「ロンメルさん5敗目!」
「神崎さんすげぇ! おしとやかに微笑みながら手付きはプロだ!!」
茅野さんと杉野君が茶化したり驚いたりし、奥田さんが神崎さんに聞く
「凄い意外です! 神崎さんがこんなにゲームが得意だなんて」
「……黙ってたの……遊びができても進学校のうちじゃ白い目で見られるだけだし……ただ皆の前ならバレても良いやと思ったの……5勝したからロンメルさん約束した通り隠していること話してくれない?」
ロンメルはこのゲームをする時、神崎さんと賭けをしていた
ロンメルが勝ったら神崎さんはロンメルに京菓子を奢る
神崎さんが勝ったらロンメルの好きな人を教える
そんな賭けをしていた
「じゃあロンメルさんの好きな人暴露ターイム」
「気になる気になる!」
「いやー、負けた負けた完敗! 神崎さん強いねえ」
「ふふ、少しは特技が役立ったかな?」
「じゃあロンメルさんの好きな人教えて!!」
「あ、俺も気になる」
「カルマも気になるよな!」
「発表しまーす!! ……織田信長と殺せんせー」
「「「……はい?」」」
「だから織田信長と殺せんせー」
「いやいやいや、何で織田信長?」
渚君が突っ込む
「信長様はね若い頃はちょっとお茶目で先を見すぎていて変人扱いされたけど私をしっかり見てくれたの。私を女として見てくれたの……私の愛した最愛の人なの」
(((う、うわぁ……電波系だったか……いや妄想系かよロンメルさん)))
「殺せんせーは先生として好きだね! ラブじゃなくてLikeの好きだけど……これで良い? 神崎さん」
「あ、ありがとうロンメルさん」
「まるで見てきたみたいだねロンメルさん信長の事を」
「うん、だって会った事があるもん。まぁこの世界の信長様ではないけど」
「この世界?」
「これ以上は友好度がたりませーん! さて、ちょっと外に空気吸いに行ってくるね」
俺の通り名はレッドアイ……狙撃を専門とする殺し屋だ
日本政府からの依頼でタコの様な生物の暗殺を依頼された
暗殺人数35人の俺に殺れないターゲットは居ないと思っていたが、京都での暗殺は散々な結果に終わった
パターン1 嵯峨野トロッコ列車の鉄橋での停車中の狙撃はターゲットが持っていた八つ橋で防がれて失敗
パターン2 映画村の殺陣の観覧中の狙撃はターゲットが殺陣に参加して動きまくり誤射の危険が有るため狙撃できず
パターン3 五重塔から産寧坂のお土産購入中のターゲット狙撃はターゲットのあぶらとり紙に防がれ失敗
パターン4 祇園の裏道にて気を引いていた協力者達の間を狙撃したが協力者が持っていた木刀で防がれて失敗
暗殺家業を初めて8年……プライドがズタボロだ
俺のスコープに暗殺対象の血が映らなかった事は無い……それがレッドアイの名の由来だってのに……
そうとぼとぼ歩いていると暗殺対象のタコが接触してきて成り行きで湯豆腐を食うことになった
「なんもかんもお見通しって訳か……こんな怪物が居たとはな。国が口止めするわけだ。……で、俺を殺す気かい? 良いぜ殺れよ。こんな商売やってるんだ。覚悟はできてる」
「いえいえ殺すなんてとんでもない。おかげで楽しい修学旅行になりました。お礼が言いたいだけです」
タコは俺のアシストをするために生徒達は京都の地形や地理、見所や歴史、成り立ちを普通の修学旅行生よりも散々調べただろうと
「それはつまりこの町の魅力を知る機会がより多かったということです。人を知り、地を知り、空気を知る。暗殺を通して得たものは生徒を彩るでしょう。だから私は暗殺されるのが楽しみなのです」
タコがそう言うと座敷の襖が開く
「殺せんせー地図だけだと何したいか分かりづらいよ」
「ロンメルさんナイスタイミングです」
湯豆腐屋にロンメル合流
「
「いえいえ、少々特殊な生徒ですので呼びました」
「ロンメルです。スナイパーさんこんばんは」
「レッドアイだ。偽名ですまないが本名は仕事上言えなくてな」
「レッドアイさんよろしくお願いします」
「で? 何でこの生徒を紹介するんだ?」
「もし来年の3月以降も地球が存続していた場合貴方にこのロンメルさんの介錯を依頼したい」
「介錯? どういうことだ?」
「詳しくは言えませんが私が誰かに暗殺されなかった場合、彼女が次の地球を破壊する能力を得ることになります。勿論ロンメルさんの合意をした上でですが貴方にロンメルさんを倒して欲しい」
「なぜ俺なんだ?」
「貴方の狙撃の腕であれば彼女の心臓を撃ち抜く事ができる。
知り合いの皆さんに殺されるのはロンメルさんは嫌だと思うので貴方に依頼したいのです」
「おいおい、本人の前で言う会話じゃないだろ……それになんだ? お前の能力は受け継がれたりするのか?」
「それは教えることはできませんねぇ……ただ今のままでは私を殺しても地球は終わる。私と彼女を殺して初めて地球は救われるのです」
「勿論私は来年以降も地球を存続させた上で生き残るつもりだし、その方法がわかったらレッドアイさんに連絡して止めてもらいますが……もし、それが不可能である場合来年の4月12日に私の暗殺を依頼します」
「……報酬は?」
「恐らく私の暗殺報酬に匹敵する金額がロンメルさんにも付けられると思いますのでそれでお支払いしましょう」
「……やめだやめだ。俺はアンタにいかに自分が未熟者か理解させられた。1つの色にこだわらず色んな色を見るために旅に出るよ。その暗殺依頼は受けられない」
「残念でしたねロンメルさん。ほら、先生の言った通りでしょ」
「クックックッまぁ私もこのまま死ぬ気は無いからねぇ……なんとしてでも生き残って見せるからね殺せんせー」
「ええ、協力は惜しみませんよ」
レッドアイさんは湯豆腐を楽しんだ後帰り、ロンメルも旅館に戻ったのを確認した殺せんせーはポツリと
「雪村さんが残した物は必ず守る。ロンメルさん貴方の事も先生が必ず守る。絶対だ」