試合開始と同時にイトナの髪の間から触手が飛んでくる
警戒していたロンメルはその触手を対先生ナイフで切り捨てる
ビチャビチャと触手が跳ねる
その場に居た全員が理解した
イトナが触手を持っていることで殺せんせーとイトナの関係性を
そして音速を普通に超える一撃を軽々防いだロンメルの実力に驚愕した
「どこで手に入れたその触手を!!」
殺せんせーも激怒し、ロンメルの怒りの意味を理解する
「殺せんせー、こいつ柳沢だ」
「柳沢……お前か」
「おっと怖い顔をするなよ2人とも、しかし驚いたね。ナイフの使い方凄く上手いじゃないか。でも皆驚いているのはどういうことだい? まさか実力を隠して人間のふりでもしていたのかい? モンスター」
「確かに私はウマ娘という別種だ。しかし、殺せんせーや皆は私を人として扱ってくれる。モンスターではない」
「いいや、モンスターだね。殺れイトナ」
触手が再びロンメルに向かって高速で突っ込んでくる
「月の呼吸 拾肆ノ型 兇変 天満繊月」
リング内に収まる様に複数斬撃を繰り出す
「な、なんだよあれ」
俺、前原はクラスの即席リングで行われている攻防に驚きと恐怖を覚えていた
まずイトナの触手攻撃に驚いた
殺せんせー以外の触手使いの出現に俺だけじゃなくてクラス皆が驚いた
ただそれ以上に凄い驚いたのはロンメルさんの方だ
ロンメルさんは1歩も動いてないのに攻撃してくるイトナの触手を対先生ナイフで斬っている
更に気がつくと床に大きな切り傷ができている
あの柔らかい対先生ナイフでこんな傷ができるものなのか!?
ロンメルさんは俺達に実力を隠していた
そりゃこんな神業みたいなのを見せられたら誰もが納得するしかない
ロンメルさんが対先生生物兵器であることを
「おやおや、これはいけない」
シロが何かをロンメルに向かって照射した
「光?」
するとロンメルが一瞬硬直した様に見えた
次の瞬間ロンメルの腹部にイトナの触手が突き刺さった
「「「ロンメルさん!!」」」
「大丈夫……皮膚が少し裂けただけだ……筋肉で受け止めた」
ロンメルさんの服が破けて腹が露になる
血がドバッと出るが、一瞬で血が止まる
「血が……え?」
「ほぉ、前々から気になるワードだったけどこれが特殊な呼吸か……止血もできるんだね」
ロンメルさんの腹部は裂けたハズなのに直ぐに血が止まった
「おあいにく様……柔な鍛え方はしてないものでね!! 炎の呼吸 陸ノ型 円炎」
幻でも見ているのか!
対先生ナイフから炎が吹き出してロンメルさんを覆っているように見える
流石のイトナも手出しできてない
「!? イトナ後ろだ」
次の瞬間ロンメルさんは瞬間移動したかのようにイトナの背後を取った
「チェックメイトだ!!」
「はい、そこまで」
ロンメルさんとイトナの間に殺せんせーが割り込む
「これ以上は駄目です。本当の殺し合いになってしまう……先生として見過ごせません」
「俺はまだ負けてない!」
「いいえ、ロンメルさんに背後を取られた時点で負けでしょう……外部からの横槍もありましたしねぇ」
「おや? 外部からの手助けを禁止するルールは無いハズだよ殺せんせー」
「シロさん、それではロンメルさんがあまりにフェアではない……どうしても負けではないとするのならばこの勝負先生が持ちましょう」
「しかし、殺せんせーそれでは情報が!」
「ロンメルさん、大丈夫です。先生が必ず見つけます。ただ今勝負を継続すればロンメルさんが生徒で居られなくなってしまう……それはあの人(雪村先生)も望んでいない」
「……わかりました」
机のリングから外に出たロンメルさんを俺らが大丈夫か声をかける
「大丈夫大丈夫。これくらい直ぐに治るから」
とロンメルさんが破れた制服を腹に巻き付ける
「ろ、ロンメルさん下着見えてる」
「ああ? 見えて減るもんじゃないし別に良いよ」
「良くないですよロンメルさん!! とりあえずワイシャツを用意しましたのでこれを着てください」
「はーい」
ロンメルさんはいつもの調子に戻ったけど、殺せんせーはシロの方を向いて
「シロ、いや柳沢……どういうことか説明して貰おうか」
「……今はその時では無いよ殺せんせー。イトナ出直しだ……イトナ?」
「俺が……負けた? 後ろを取られた? 俺が弱い?」
「まずい! イトナ!!」
「俺は強い!! この触手で誰よりも強くなったハズだ!!」
イトナの触手が黒く変色した!
俺達にも向かってきてるぞ!!
「黙れ雑魚が」
再びいつの間にか背後を取っていたロンメルさんがイトナの首のやや上の後頭部に手刀を当てて脳震盪を起こしてイトナを気絶させた……みたいだ
「悪いね殺せんせー、皆さん。どうやらイトナはまだ学校に来れるような精神状態じゃ無かった様だ」
シロさんはイトナを担ぐとクラスから出ていこうとする
「待ちなさい柳沢。貴方にはまだ聞きたいことが山ほどある」
「止めてみるかい? 殺せんせー……力ずくでも結構だが?」
「……」
殺せんせーがシロさんに触れると触手が溶けてしまった
「対先生繊維で編んだ布だ。全身これで守っているから触ることはできまい」
「ヌゥ……」
「心配せずともイトナは直ぐに復学させるよ。3月まで時間が無いからね……私が責任をもって家庭教師を務めるよ」
そう言うとシロさんはクラスから出ていった
ロンメルさんが後を追おうとしたが、殺せんせーに止められた
「今は時ではありません。奴を追いかけても今は意味がない」
と言われるとロンメルさんは机を元の位置に戻し始めた
連れて俺らも席を戻し、一段落したところで殺せんせーの教卓を囲み
「ねぇ殺せんせー、ロンメルさんとイトナの3人の関係を教えてよ」
「ロンメルさんがシロのことを柳沢って言ってたけど誰なの?」
「いっつも自分のことになると先生はぐらかすじゃん!」
と詰め寄られた
殺せんせーが困っている様子を見てかロンメルさんが
「私と殺せんせーは柳沢によって人工的に作られた生物ってのだけじゃ皆納得しないでしょうね」
「確かにこの先を皆知りたい。何で触手に対してロンメルさんと殺せんせーは怒ったのか、殺せんせーの生い立ちや何を思って2人はE組に来たのか……」
「ヌルフフフ、残念ですが今それを話したところで無意味です。先生が地球を爆破すれば皆さんがそれを知ったところで塵になってしまいです。逆にもし先生を殺して地球を爆発するのを防げれば後から真実を知る機会も得れるつまり知りたければ行動は1つ殺してみなさい先生のことを」
俺らと殺せんせーの間にあるのは暗殺者と暗殺対象の絆
ロンメルさんもこれ以上は何も話さないだろう
でもロンメルさんの技術は驚いた
あれだけ強いならロンメルさんをメインに俺らがサポートに回れば殺せんせーの暗殺は格段に難易度が下がると思うんだけど……
チラリとロンメルさんの方を見る
椅子に座って深く呼吸を続けてる
「……とにかくまずは俺らの技術を付けるしかない」
烏間先生にこの後皆で頼んで今以上に暗殺の訓練をして貰うことになる
俺達は俺達の手で殺せんせーを殺して真実を見つけるんだ