ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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島の時間 3

 6階テラス・ラウンジ

 

 まず非常階段は店内にあり、外からでは鍵を開けることができない電子ロックではなく物理的な鍵である

 

 ラウンジに全員でぞろぞろ行くと目立つ為、女性陣が作戦の結果行くこととなり、男手も必要かもしれないと渚君が女装して一緒に潜入することとなる

 

 女装させてみると全く違和感が無いのでビックリ

 

「取るなら早い方が良いよ」

 

「やだよ! 大切にするよ!! ロンメルさん!!」

 

 そう無駄口を叩きながらもラウンジ内部に侵入すると、渚君が初々しい姿だった為に同じくらいの男の子にナンパされてしまうという珍事も有ったが無事に無事に突破

 

 女性陣がスタッフを言葉巧みに誘導し、鍵のロックをロンメルが解除し、男子を非常階段から上に上げる

 

 女性陣もスタッフを上手く撒いて階段を上り7階に突入する

 

 渚君は直ぐに着替えていつもの私服に戻ったが、ボーイッシュな女の子って言われても問題ないくらいには可愛いので信長様がやっていた男漁り確かにと少々納得してしまう自分がいた

 

 7階はVIP専用の個室郡になっており、警備もホテルの者だけでなく客が個人で雇った見張りを置けるようになっていた

 

 上への階段に2人の見張りが付いていた

 

「さて、ではロンメルさんどの様な作戦を立案しますか?」

 

「カルマ君、まだガス有るよね」

 

「有るよ」

 

「ガスで1人でしょ、あと私がなんとかするのが良いかな」

 

「……」

 

 ニヤニヤと殺せんせーはにやけている

 

 何か別の答えが有りそうだ

 

「そういえば寺坂君バック持ってきてるけど何か道具有ったりする?」

 

「あ、あぁ……これなんかどうだ」

 

 出してきたのは警棒程の大きさのスタンガン2丁

 

 しかも高出力タイプだ

 

「良いもん持ってるじゃん……壊さないから2丁貸して」

 

「ほらよ」

 

「サンキュー! ……じゃあ皆見ててね」

 

 ロンメル本気で気配を消す

 

「……!? おいおい居るってわかるが姿がぶれて見えるぞ」

 

「まーたなんか隠してたのロンメルさん」

 

「1年前にとある人に教わったんだ。それを私なりにアレンジしたの……声は聞こえても見えないでしょ」

 

 まるでモザイクがかかったかの様にしっかりと姿を認知できない

 

「ヌルフフフ、ロンメルさん流石です。この人数相手に全員から認識できないのはなかなかの物です」

 

「じゃあ行ってくる」

 

 ロンメルがそういうと次の瞬間バチバチと電気の流れる音がした

 

「ほい、鎮圧完了」

 

 一瞬で場所を移動したと思ったら姿を現したロンメル

 

 足元には倒れる2名の巨漢

 

「千葉君、速水さん」

 

 ロンメルは2人に向かってある物を投げ渡した

 

「おっと……え?」

 

「マジ」

 

 渡したのは本物の拳銃……M60と呼ばれる物である

 

「烏間先生がこの調子だと発砲は無理、となると射撃の腕が一番高い2人に渡すのが合理的だと思うけどなぁ」

 

「おいおいマジかよ」

 

「私達に……」

 

「素晴らしい判断ですロンメルさん。烏間先生はまだ回復していない。今居るメンバーで一番拳銃を使えるのは千葉君、速水さんお二人です」

 

「だからっていきなり!」

 

「ただし! 先生は殺すことは許しません。君達の腕前でそれを使えば傷つけずに倒す方法はいくらでもあるはずです。さてでは行きましょうか。残る殺し屋はせいぜい1人か2人……頑張って行きましょうか! ヌルフフフ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8階コンサートホール

 

 足音がしたので全員隠れるようにロンメルは指示をした

 

 皆は椅子の後ろにバラバラで隠れる

 

「14……いや15か? 驚いた動ける全員で乗り込んできたのか?」

 

 バン ガッシャーン

 

 殺し屋が持っていた拳銃が火を吹きステージの照明の1つを撃ち抜く

 

「言っておくがこのホールは完全防音で、銃は本物……お前ら全員撃ち殺すまで誰も助けに来ねえってこった!! お前ら人殺しの準備なんてしてねぇだろ!! 大人しく降伏してボスに頭下げとけや!!」

 

 バン ガッシャーン

 

 速水さん発砲

 

 速水さんは敵の銃を狙ったが本物といういつもと反動が違うためか、はたまた緊張からか狙いがそれて後ろの照明に当たる

 

 バン

 

「俺は1度発砲した敵の位置は忘れねえ」

 

 速水さんの居た座席と座席の隙間を狙い敵が発砲

 

 僅かに20センチにも満たない隙間を狙い撃った

 

「俺は下の2人の暗殺専門の殺し屋じゃねぇ。軍人上がりだ。この程度の1対多数なんざなれている」

 

 敵は拳銃を口に咥えると

 

「幾多の経験で敵の位置の把握する術や銃の調子を味で確認する味覚を身に付けた……さあ、お前らが奪ったあと1丁はどこかな?」

 

「ロンメルさん、先生がここは指揮を取ります……速水さんはそのまま待機! 千葉君はまだ敵に位置を知られてない! 先生が敵を見ながら指揮するのでここぞという時まで待つのです!」

 

 殺せんせー最前列の中央の席に置かれて、敵の真ん前で指揮を取り始めた

 

 バンバンと敵の殺し屋は殺せんせーに向けて発砲するが、完全防御形態の殺せんせーには傷1つ付かない

 

 そして始まる席のシャッフル

 

「木村君1つ前列にダッシュ! 茅野さん左に3席分ダッシュ! カルマ君と不破さんは同時に8列右にダッシュ!」

 

 名前の次は出席番号、そして身体の特徴、私生活での出来事等敵に位置と名前を覚えられないようにする

 

「さて、いよいよ狙撃ですが千葉君、次の先生の指示の後、君のタイミングで撃ちなさい。速水さんはそのフォローをお願いします……が、その前に先生から表情が表に出すことの少ない2人にアドバイスです。君達は夕食後の先生の暗殺の失敗から自身の腕に自信を持てなくなっている。言い訳や弱音を見せない君達はあいつなら大丈夫だろうという勝手な信頼を押し付けられたこともあるでしょう」

 

「苦悩しても誰にも気がつかれないこともあったでしょう」

 

「でも大丈夫です。君達は1人でプレッシャーを感じる必要はない。君達2人が外した時は銃もシャッフルして誰が撃つかわからなくする戦術に切り替えます。ここに居る仲間は訓練も失敗も共有しているからこそできる戦術です!」

 

「あなた達には仲間がいる。安心して引き金を引きなさい」

 

 そして叫ぶ

 

「出席番号12番! 立って射撃!!」

 

 その瞬間敵は出席番号12番……菅谷君が作ったダミー人形の眉間を撃ち抜いた

 

 出席番号15番の千葉君が本命を放つ

 

 バン

 

「……ふふ、外したな2人目の場所もわかった!?」

 

 ガゴンと敵の殺し屋の背中に吊り照明が直撃する

 

「吊り照明の金具を狙っただと……ガキが!!」

 

 バン

 

 早かったのは速水さんの射撃だった

 

 今度こそ敵の銃を撃ち抜き敵も背中の激痛に意識を持っていかれ気絶した

 

 

 

 

 

 

 

「どんな人間にも殻を破って大きく成長できるチャンスがある。しかし、それは1人では生かしきれない。集中力を引き出す強敵や経験を分かつ仲間達に恵まれないと……だから私は用意できる教師でありたい。生徒の成長の瞬間を見逃さずに高い壁を、良い仲間を直ぐに揃えてあげられる教師に……見ていましたかロンメルさん、これが人を使うということです」

 

「はい……自身が浅はかであることが良くわかりました」

 

「個人戦闘能力で君の上に立てる者は早々居ないでしょう。しかし、仲間を使うことで戦術や戦略の幅は大きく広がります。私ができていなかった相手を良く見て……共に歩みなさい」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 9階……気配からして2人、2人共に何かしらの格闘技を会得しているのか呼吸や心音が普通の人とは違う

 

 動けるようになった烏間先生が瞬時に1人を気絶させもう一人

 

「ガストロもやられたのか……どうやら俺達はガキを甘く見ていたらしいな」

 

 残った1人がナイフを取り出した

 

「……階段に居るのはわかってる出てこい」

 

 烏間先生を先頭にロンメル以外の全員が姿を現す

 

「交渉は決裂か……あんまり殺したくはなかったがこれも仕事だ。悪く思うなよ」

 

 頭にバンダナをした男は両手にナイフを持ち警戒体勢に入る

 

「……? 怪物と言われていたガキが居ないが来てないのか」

 

「怪物怪物ってロンメルさんのことか?」

 

「あ、ああ、そうだロンメルだロンメル……ボスがそいつと烏間っていう教員には注意しろって言ってたんだ……烏間は殺気と姿からあんただろう……少し弱ってるな……25分ってところか? スモッグのガスにやられたんだろ」

 

「それがなんだ」

 

「いや、俺もロヴロ先生に仕込まれたから今回の任務は妹弟子のイリーナが居るから受けるか正直悩んだんだよ。だが、仕事は仕事だ」

 

 次の瞬間ロンメルは刀を振るった

 

 ギィィィン

 

「な!?」

 

「空気の流れがおかしかったからな。歪みってやつだ。警戒はしていた」

 

「なかなか居ないですよ私の抜刀術を受けて耐えれたの」

 

 並みの鬼なら一撃で倒せるくらいの剣速であった

 

 勿論峰打ちだがこの速度で当てれば骨折するだろう

 

 現にナイフが大きく欠けていた

 

「おいおいタングステンナイフだぞ、それを欠けさせるかよ」

 

「……」

 

 ハンドサインで皆先に行くように指示をする

 

 恐らく先程の軍人上がりのガストロという殺し屋に匹敵する戦闘能力を持っている

 

「……まぁいいぜ、ボスがお待ちだ。そもそも気乗りしなかった任務だしな。……ただ、ロンメルお前だけは行かせるわけには行かねぇ。勝負してもらうぜ」

 

 ロンメルは柱になる直前くらいの実力には回復していた……が、まだ無惨と殺り合った時の様な全盛期でも、そもそも本気でもない

 

 本気になれば痣が出る

 

 刀も赫刀ですら無い

 

 ……いや、日輪刀でないので赫刀にはならないのだが触手を使った刀の形態変化もさせていないのでとにかく本気ではないが……本気でやれば殺してしまうかもしれない

 

 そもそも目の前の男の実力がまだ測りきれてない

 

「……ギャラリーは居なくなったぜ、おっと自己紹介といこう……メスだ。コードネームなのは許してもらうぜ。イリーナは元気か? アイツが先生やってるって知った時は笑っちまったぜ……」

 

「良い先生ですよ。ガキっぽい時もありますが」

 

「だろうな。アイツは暗殺者の顔の時は完璧に近いが、私生活だとガキみたいな姿を見せることもある。大人になる途中に置いてきてしまったのかもな……デビューは確かに12だったな。殺しはもっと小さい時にしたと聞いたが、暗殺者としてのデビューはお前らと同じくらいだったと記憶してるよ」

 

「なるほどなるほど……」

 

 シュンと横に一振

 

 バキとナイフが折れる

 

「だからタングステンナイフをへし折るなよ……どんな剣術だよ。俺じゃなきゃ死ぬぞ」

 

「死なないように調整していますので……そもそも私は技を使ってませんよ」

 

「技だ?」

 

「というかあなたの動きは全て見切っています。透き通る世界に入っているので」

 

「へぇ、どんなのだよ……というか何でボスがお前のことを化物って呼ぶのかいまいちわからん。人並み外れた怪力か? そのニット帽の下に何か隠してるのか? それとも何かあるのか?」

 

「……」

 

 ロンメルはニット帽を外す

 

「驚いた馬の耳が生えてやがる」

 

「まぁそういうことですよ。人外ということで化物です」

 

「違うだろ? 俺はこの作戦に反対というか疑問を持っていた。ロヴロ先生にも話してなかったが、防衛省から最重要機密情報と暗殺の準備金をゴッソリ持ち逃げしたのがボスだ……名前は鷹岡だ」

 

「あの暴力教師が今回の黒幕か」

 

「そもそも今回の作戦に消極的だった俺は鷹岡の機密情報を更にコピーして覗いたんだが……お前も実は賞金首であることがわかった」

 

「どんな額が付いていたの?」

 

「殺せんせーだったか? 奴の半額の50億円だ……しかし、殺せんせーを殺した後にのみ有効と書かれていた……一体お前は何者なんだ? 月を破壊した怪物の半額だぜ?」

 

「クックックッ……他言無用で頼むよ」

 

 ロンメルは鷹岡が黒幕であるという情報のお礼にナイフを触手で叩き落とした

 

「……なるほどな、割に合わねぇは今回の任務……そもそもガキを大量虐殺するこの任務が暗殺とはかけはなれてやがる。やってることがテロリストだからな。降参だ。さっさと先に行け」

 

「メスさん、じゃあ記念にナイフ1本頂戴よ。まだ数本隠し持ってるのわかるんだよねぇ」

 

「……お年玉をねだるガキみたいだな。ほらよ」

 

 渡されたのは模様が入ったナイフだった

 

「今回の暗殺者達は拘りが有ってなスモッグは自分の薬品や毒物を求めるあまり自前の研究施設を持っている。グリップは握力を鍛えることにこだわりがあり、ガストロは銃の調子を味で確認するから調味料や料理に銃を着けて食べる拘りがある。俺はナイフを必ず自分で作る……例えばこれ、動物の骨で作ったナイフは金属探知機に引っ掛からないメリットがある。で、お前に渡したのはダマスカス鋼に似せたナイフだ。脱炭する時の影響で模様ができる自信作だ。情報料としてやるよ」

 

「メスのおじさんありがとう」

 

「さっさと行け」

 

 メスのおじさんは下に向かって歩いて行った

 

 私は上に向かう

 

 鷹岡のことだろくな事はしないだろう

 

 

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