竹林君が2学期初日からE組を抜けてA組に戻るという事件が発生した
始業式の全校集会で彼はE組を地獄と表した
やる気の無いクラスメイト、劣悪な環境と彼はE組を馬鹿にした
この様子を理事長室で視ていた私は凄い複雑な顔をしていたのだろう
浅野理事長が声をかける
「彼(竹林君)は頑張った。だから私は彼に救いの手を差し出した。例年この時期に資格(本校舎復帰の基準到達者)に接触し彼は二つ返事で了承した。君達はE組のルールがあるだろうが、その上に椚ヶ丘学園のルールがある。何か間違っているかいロンメルさん」
「いえ、正しいと思いますよ理事長先生、しかし忘れないでもらいたい。暗殺を通した絆は理事長先生が思っているよりも固いですよ」
「そして理事長先生……私は考えて考えて考え抜いた結果……理事長への宿題は未提出にします」
「ほう、なぜかね」
「私が信頼している人にしか教えることはしたくないというのとまだまだデータが足りないので危険だということです。無理に使われて他人を傷つけたくないのでね」
「わかった。ならば報酬も白紙だ。下がりなさい」
E組に戻ったロンメル達は竹林君がE組から抜けたことで意気消沈……片岡さんなんかは竹林君の成績がE組トップ(期末テスト同率7位)だったのは殺せんせーのおかげだということまで忘れてしまったらのなら竹林君を軽蔑するとまで優しい片岡さんが言い出す程皆モンモンとしている
ちなみに全校集会後皆で竹林君に聞いたらしい
なぜE組を抜けたのか
それは彼はE組でも暗殺の成績は最下位なためどんなに頑張っても単独で暗殺は不可能、故に多くて10億位が獲得できる賞金だろうと自己判断していた
10億というのは医者の家系の竹林君にとって働いて稼げる金額なのだ
それならE組よりも未来や家族からの評価のためにE組を抜ける判断をしたというのが本心らしい
彼にとって地球の滅亡よりも家族の評価の方が大切なのだとか
翌日
「おはようございます」
真っ黒に日焼けした殺せんせーが教室に入ってきた
「昨日マサイ族とドライブしながらメアドの交換までしてきました」
「「「何の為に!?」」」
「何の為? 決まってます竹林君のアフターフォローの為です。黒くなれば忍者のように姿を消すことができますしね」
「「「黒いしデカイで目立つわ!!」」」
……でも皆思った
確かに竹林君は全校集会でE組を馬鹿にしたが、何だかんだでE組の仲間、抜けるのは仕方がないけど理事長の洗脳でヤな奴になるのは嫌だと皆思った
ということで皆で竹林君の事を見守ることにした
で、5時間目の途中から皆で本校舎に向かい、茂みに隠れてA組にいる竹林君の様子を見る
「結構なじんでそうじゃん」
「いつもより眼鏡にキレがある感じがする」
「普段より愛想よくね?」
と何だか大丈夫そうだ
ただ放課後理事長室に入り、出てきた後深刻そうな顔になっていた
「……ここからは先生の時間です。皆さんは帰宅しなさい」
ロンメル達は帰されて自宅に帰る
殺せんせーが竹林君に何を言ったのかはわからない
翌日
再び全校集会が開かれた
今回はロンメルはE組にて皆の律を通して話を聞いている
また竹林君がスピーチをするようだ
竹林君のスピーチが始まる
それはE組の皆を誉める内容だった
クラスメイトはE組の中で役立たずだった僕を何度も様子を見に来てくれた
先生は手を替え品を替え工夫して教えてくれた
家族や皆が認めてくれなかった僕をE組の皆は認めてくれた
「僕はもうしばらく弱者でいようと思います。弱いことに耐え、弱いことを楽しみながら……強い者の首を狙う生活に戻ります」
竹林君は理事長室からくすねてきた理事長を表彰する盾を木製のナイフで砕いた
「前例の生徒はこれでE組に送られたらしい。合理的に考えてE組行きですね僕も」
竹林君は爽やかな笑みでそう言って壇上から降りた
向かった場所はE組の列
「ただいま皆」
「「「おかえり!!」」」
こうして竹林君も戻ってきて暗殺教室は28名で再び動き出す
二学期からは新しい要素を暗殺に組み込むことになった
その一つが火薬だ
烏間先生は火薬の安全な取り扱いを誰かに覚えてほしいと希望者を募った
真っ先に竹林君が立候補した
そして学習意欲の塊であり、戦国時代に火薬を嫌というほど扱ったロンメルもまた立候補した
火薬取り扱い及び使用マニュアル4冊……合計ページ約3000ページ
これを竹林君とロンメルは殺せんせーの指導もありシルバーウィークまでに覚えきり、国の火薬類取扱保安責任者の乙種の試験を突破し、国からの特例で免許が与えられた
で、シルバーウィーク……茅野さんが卵の生産過剰により卵が廃棄されるのをニュースで見て巨大プリンの暗殺をしようと連絡が来たが今回はパスをした
ロンメルは殺せんせーに送られて台湾に来ていた
「ではロンメルさん3日後にここに迎えにきますのでね」
と殺せんせーは用事があると私を台湾に置いたらそそくさと帰ってしまった
ここにスモッグの研究施設があるらしい
メールで届いた地図を頼りに進んでいくと雑貨ビルの地下がスモッグの研究施設らしく電話して入れてもらった
「ようこそ俺のラボへ」
部屋の外でスモッグに会うとロンメルは自身から事前に切り落とした触手を1本差し出した
殺せんせーのと言っていたが成分は同じであるためこれで良いだろう
「確かに受け取った。で、血液って言うのは?」
「ちょっとお待ちください……ウゲェ」
ロンメルは皿の上に100ml位の血液を口から出した
「うお、お前の血液かよ」
「いえ、私が体内で自身の血と混じらないように保管していた血液です」
それは無惨の血液だった
奴は死に際にロンメルに大量の血液を注入していたが、ロンメルは呼吸により体内で混じらないようにし、触手を操れるようになってからはその血液を体内で保管できる臓器を作り、そこに蓄えていた
「劇物ですので絶対に皮膚で触れないでください。死にますので」
「お、おう。ちなみにお前の血液も参考に取らせてもらうぞ」
「わかりました」
採血をしてから殺菌室から無菌室に入り血液検査の様子を見せてもらう
「……なんだこの血液は」
スモッグは驚愕する
「全血液型で拒絶反応が確認され、更にその血液を侵食していくだと……すぐに血液が変質して死ぬぞこれ」
「それにお前本来の血液型はAB型の+なんだな。馬の耳をしているから馬の血液型の検査キットも用意したが……」
「ウマ娘と人間は色々と似ています。それこそ人とウマ娘で子供が出きる程に……で、スモッグさんに依頼したいのはその毒の血液を変化させてほしいのです……この血液は現在では有毒ですが、あらゆる血液と適合する可能性もある血でもあります。そしてこの血液の一番凄い点は再生能力です」
「再生能力だと」
「日の光以外に殺菌する方法が無く、場合によっては日の光すら克服する驚異の血液細胞であり、欠けた腕や臓器を修復する万能細胞よりも更に凄い血液細胞であります」
「おいおい、夢物語じゃないんだぞ。確かにこの血液は無菌室であるとはいえ空気に触れているのに死滅する気配が全く無い……」
「スモッグさんならこの毒の血液を表に出してはいけないことは理解できましたか」
「……まだ何かあるんだろこれ」
「血が適応した人は鬼に変質させてしまいます……人の肉しか食べられない化物になります。その化物は日の光以外に死にません。銃弾で全身を蜂の巣にされても、爆弾で全身がバラバラになっても死にません」
「……なんていう血液だよ……何をさせたいんだ」
「鬼にならない血液に変化させてほしい。太陽光を人工的に使うことで改良が可能なハズです。私には安全に取り扱う知識や技術が欠落しているのでその分野に成通しているスモッグさんなら可能だと判断しました」
「要は無害化した上で再生能力のみを使いたいってことだろ……良いだろう。この血液は誰かに話したか?」
「いえ、殺せんせーですら知りません。私がこの血液を求めるのは私が死なない為に必要だからです……このままでは来年の4月13日に私は死ぬ……それまでにこの血液の再生能力を身に付けたいのです。劣化していても良い。細胞がゆっくりと回復するくらいの効能で良いのでどうかお願いします」
「わかった。俺にとって奴の暗殺よりもこれは金になる。試作品ができたら持っていってやるよ」
「ありがとうございます」
スモッグと取引は成立した
ロンメルは生き残る為に
スモッグは改良できた時に裏マーケットで手に入れられる莫大な富の為に