ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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過ちの時間

 二学期中間テストがいよいよ2週間前となり、皆テストモードに入る

 

 殺せんせーもいよいよA組を越える時が来たといつにも増して熱くなっていた

 

 ただ皆思っていた

 

 殺せないまま時間ばかりが過ぎていく

 

 焦りの10月……暗殺期限まで残り5ヶ月

 

 で、私の方も別のことで力が入る

 

 実りの秋である

 

 松茸、自然薯、椎茸、えのき、ピーナッツ、小麦、じゃがいも、薩摩芋、カブ、里芋、大和芋、ゴマ、セロリ、小松菜、ニンジン、チンゲン菜、玉ねぎ、カボチャ、大豆等々大量である

 

 地下に増設した冷凍室に各種袋で詰めしていく

 

 殺せんせーに協力してもらいテスト勉強前にある程度終わらせ、袋詰めにした大量の作物がぎっしり詰まっていた

 

「いやぁ大量! 大量!」

 

「夏の野菜も合わせればあとは米と肉と魚さえあれば何も困ることはありませんね」

 

「そうですね! あとは冬野菜も有りますから……これで食べ物には困らない! テスト勉強と体作りに専念できる!!」

 

 と喜んでいた次の日、皆がやらかす

 

 フリーランニング等の暗殺の技術は裏山や烏間先生の監視下のみと言われていたのにそれを無視して町で使い、自転車に乗っていたおじいさんと激突したらしい

 

 皆は無傷だけどおじいさんが右大腿骨亀裂骨折だそうだ

 

 下校途中に律から聞いて驚いて町の病院に急行し、そこには落胆している烏間先生と真っ黒の殺せんせーに皆がいた

 

「暗殺期限までの時間がない。危険も承知で高度な訓練を取り入れたが……君達には早すぎたかもしれん。俺の責任だ」

 

 と烏間先生が言い、殺せんせーは

 

「君達は強くなりすぎたのかもしれない。身につけた力に酔い、弱い者の立場に立って考えることを忘れてしまった。それでは本校舎の生徒と変わりません」

 

 皆うつむいてしまう

 

「話は変わりますが、今日からテスト当日まで丁度2週間クラス全員のテスト勉強を禁止します」

 

 殺せんせーはテストでは学べない……テストよりも優先すべき事を教えましょうと言い、全員で怪我をしたおじいさん……松方さんに謝りに行った

 

 私達はプロの殺し屋であるので、訓練中の過失は自分達で責任を負うべきであると殺せんせーは言い、松方さんが経営する児童保育施設をタダ働きすることを慰謝料と賠償とするべきと話され、松方さんも同意し、賠償分の仕事ができれば公表はしないとなった

 

 で、翌日から皆でわかばパークという古い保育及び学童の施設で働くこととなった

 

「すまん皆……」

 

「仕方ないよいつか起こった事だし、一生の障害とか死人が出る前でよかったよ」

 

「た、達観してるなロンメルさんは」

 

「失敗しちゃったものはしょうがないからいかにリカバリーして成長に繋げるかだよ」

 

 さて、わかばパークの子供達は約30名

 

 職員は怪我をした松方さんと清水さんという中年の女性の2名で切り盛りしているらしい

 

 施設の老朽化も深刻で、マットを引いてごまかしてはいるが、気を付けないと床を踏み抜いてしまいそうである

 

「29人で2週間、まず子供の面倒を見る班、昼食を作る班、子供の勉強を教える班、施設のリフォームをする班に別れよう。確か烏間先生の部下の鵜飼さんが建築士の資格を持っているから彼にアドバイスを貰いならが引こうか設計図」

 

「なら、俺が設計図引くよ」

 

「千葉君お願い」

 

 子供の面倒を見る班にカルマ君、寺坂君、茅野さん、奥田さん、吉田君、倉橋さんが立候補

 

 昼食は原さんと村松が

 

 勉強は渚君、竹林君、中村さんが

 

 他の男子はリフォームをする班に、女子は周辺を回っていらない本や使えそうな家具を貰ってくることになった

 

 ロンメルは全体のカバーをしつつ、建材の調達及びリホーム班に加わった

 

 ロンメルは走り回り廃材や木材、ガラス等を集め、工具を使い加工していく

 

 ガラス片を集め、色事に分けてロンメルは家に持ち帰り、触手のエネルギーを一点に集めて照射することによる熱でドロドロに溶かして窓ガラスを作ったり、コップや電球等に加工していった

 

 で余った色は加工してジャムビンにしたりとこっそり着服したり……

 

「なぁ、立派な窓ガラスや電球、コップ等をロンメルさん毎日持ってくるがどうやってるんだ?」

 

「知らねぇよ。これに関しては教えてもくれねぇし」

 

 皆が帰った夜中等もこっそり来て作業を進めたりと皆のカバーに務めた

 

 で2週間でボロボロだったわかばパークのリフォームは完了し、室内遊戯場や壊してしまった自転車を改造して電動三輪車にしたり、貰ってきた本で図書室を作ったりと大規模改修になったがやるべきことはやった

 

「ふーふー」

 

「ロンメルさん2週間俺らが帰った後にこっそり戻ってきて深夜まで作業続けてたらしいぞ」

 

「所々俺らが知らない間に進んでたのロンメルさんのお陰かよ」

 

「まあ本人満足そうだし良いんじゃない?」

 

 施設の子供達とも皆仲良くなり、不登校だった生徒にも勉強を皆が教えてテストで高得点を取れるようにさせたりと松方さんもニヤリと笑い

 

「よくやった。慰謝料としては十分すぎるほどだ! 文句の1つも出てこんわ……お前らもさっさと学校に戻らんか。大事な仕事があるんだろ?」

 

 大事な仕事とは学業であったり暗殺の事であったり……松方さんには殺せんせー本人が謝ったこともあり、裏の事情も知っていたが、それも言わないと約束してくれた

 

 こうして皆は起こした事故の賠償責任を自分達で果たし、2週間の特別授業は幕を下ろした

 

 で、二学期中間テストは翌日……皆隠れて勉強していたとはいえそれで通用するハズもなく……

 

 と、言いたいが、ロンメルは深夜まで働き、朝までの時間を睡眠時間を15分にするまで削って勉強もこなした

 

 殺せんせーに聞くのは無理なので律に色々と教えてもらい、まるで合戦後みたいにフラフラになったがロンメルは特別授業と勉強を無理矢理両立させた

 

 結果ロンメルの成績は……

 

 国語99点

 数学95点

 英語90点

 社会100点

 理科95点

 合計479点

 学年順位8位

 

 とカルマ君以外が成績を落とすなか躍進

 

 トップとの差14点と射程圏内に捉えた

 

 そして3学期は外部受験になるE組と内部進学になる他のクラスとはテストが違うので二学期期末テストがA組との最終決戦となる

 

 

 

 

 

 

 そして反省した皆に烏間先生から嬉しいプレゼントが贈られた

 

 新しい体操服である

 

 今までの体操服では今のハードな訓練に耐えきれなくなり破けて買い換えた生徒がちらほら出てきてしまい、これでは親御さんにバレる危険性があるためという建前で、皆へのご褒美とこれからの期待を込めてのプレゼントであった

 

 軍と企業が採算度外視で作った強化繊維で、衝撃耐久性、引っ張り耐性、切断耐性、耐火性……あらゆる要素が世界最先端であった

 

 靴も同様の特注品であり、すごく跳ねるし全く傷が付かない

 

「スゲー軽い……ジャージよりも靴合わせて軽いとかヤベー」

 

「それだけではないぞ」

 

 特殊な揮発物質に服の繊維が反応し、一時的に服の色を自在に変えられ、全五色の組み合わせでどんな場所でも迷彩効果を発揮する

 

 肩、背中、腰は衝撃吸収ポリマーが効果的に守り、フードを被り、エアーを入れれば首や頭も完全ガード、更にゲル状の骨組みが強い衝撃を受けた瞬間に固まり、体を守った後は音を立てて崩れるダイラタンシー防御フレームまでついていた

 

「なるほどなるほど確かに便利な体操服だ……ちなみに1着幾ら何ですか」

 

 烏間先生がボソボソっと耳打ちする

 

「25万だ。防弾チョッキが3万と少しだからいかに採算度外視かわかるな」

 

「わかりました」

 

 まじかー、25万かよと思いながらも良いもの手に入れたとルンルンのロンメル

 

 皆も早速殺せんせーの暗殺に使用し、実践で殺せんせーに見せた

 

「教えの答えは暗殺で返す。それがE組の流儀だからな」

 

「怒られた後だしね。真面目に殺しで答えなきゃ」

 

「約束するよ殺せんせー、私達の力は誰かを守る目的以外では使わないと……」

 

 皆はそう答えたが、ロンメルだけはそれは無理な話であった

 

 この世界ではそれで良いかもしれない

 

 しかし、他の世界に行った時に安全を保障できる物は何もない

 

 一方間違えれば迫害される可能性すらあるのでロンメルだけは皆が頷くなか1人同意できなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビッチ先生の誕生日が過ぎて4日後のことである

 

 皆で再びビッチ先生と烏間先生をくっ付けようって話で盛り上がった

 

 皆でお金を出し有ってプレゼントを購入し、ビッチ先生に烏間先生からプレゼントを渡そうってことになった

 

 で私はビッチ先生の注意を引く班となり、原さんや岡島君、菅谷君や矢田さん達とビッチ先生に色々教わったり悩殺ポーズをしてもらったりして時間を稼ぐ

 

 プレゼント班が買ってきたのは花束だった

 

 ……ただここいらで嫌な予感をロンメルは感じていた

 

 これまでビッチ先生と烏間先生をくっ付けようって作戦は何度か行われてきたが、ことごとく烏間先生の鈍感で失敗してきている

 

 これがもし烏間先生が鈍感なのではなくわかってやっているのではないかという直感が働いていた

 

 烏間先生は職人気質な所がある

 

 仕事をこなすためなら自身の感情を殺して冷酷になれる側面を持っていると感じていた

 

 ロンメルは自身の直感が当たっていた場合ビッチ先生と烏間先生との絆だけでなく皆とビッチ先生との絆までヒビが入るかもしれないと思えてしまったのだ

 

「……嫌な予感は的中するものだ」

 

 案の定烏間先生から花束が渡されたがビッチ先生に最初で最後のプレゼントだと言いはなった

 

 任務が終わるか地球が終わるかの2つに1つ……任務が終われば他人に戻ると言っている様なものだった

 

 ビッチ先生はこれに酷く悲しみ、そして窓から様子を観ていたロンメル達に切れた

 

 その日からビッチ先生は学校に来なくなった

 

 

 

 

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