ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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呼吸の時間

 ロンメルの本気は良くも悪くも皆に大きな影響を与えた

 

 立ち振舞い、呼吸……そして技術

 

 今までどんな暗殺者よりも警戒状態の殺せんせーを追い込み、後一歩のところまで持っていった技量及び技の美しさに魅了された

 

「凄かったよな水飛沫が刀から出てるように見えたぜ」

 

「水飛沫も凄かったけど月を表した技の数々も綺麗だったわよ」

 

「でもよ……俺らあまりにもロンメルさんの事を知らなすぎたよな」

 

「うん……話されるのを待っていたのかもしれない……」

 

 ロンメルに懸賞金がかけられていることを知った今……今までのようにロンメルと馬鹿やったりするのはできない

 

 楽しいことはできるだろうが、一歩距離を置いてしまうかもしれないという感覚が皆に壁を作らせた

 

 翌日皆が登校すると黒板に呼吸法とデカデカと書かれていた

 

「1時間借りまして皆さんに私が使っている呼吸を教えたいと思います」

 

 クラスの皆が集まるといきなりそう言われた

 

 烏間先生や殺せんせー、ビッチ先生も壁に背を預けながら聞いている

 

「皆さんは昨日私の戦いで水飛沫や炎、月といった幻影を見ていたことでしょう。あれは私が本気を出した時は実体化しますが、基本エフェクトだと思ってください……で、夏休み前から皆さんに教えるべきか悩んでいましたが、私個人の暗殺が失敗した以上、皆さんに教えて戦力の底上げをしようという考えに至りました」

 

「質問いい? ロンメルさん」

 

「はい、片岡さんなんでしょうか?」

 

「あれは人ができることなの? ロンメルさんだからできたって言われても納得できるんだけど」

 

「この技術……全集中の呼吸は人間誰しもができる呼吸を違くするだけでできる技術なのですが……この呼吸には3段階の変化があります」

 

「「「変化?」」」

 

「はい、まずこの呼吸一瞬……数秒使うこと……これならば1ヶ月みっちり鍛えれば今の皆にでもできると思います……これが全集中の呼吸です」

 

「続いてその呼吸を寝ている間も含めて常に行い続けるのが全集中の呼吸・常中です。たぶんここまでできるようになる人は卒業までに2、3人居れば良い方です」

 

「最後に痣です。これは全集中の呼吸・常中を行いつつ心拍数200以上、体温39度以上になった状態で動き続けると発生します。この様に」

 

 ロンメルは顔に痣を出す

 

「ただ痣は危険です。寿命の前借りだと思ってください。痣が発生した者は例外無く25歳前後で死にます」

 

「「「!?」」」

 

 皆が驚く

 

 ということはロンメルも25歳で確定の死を向かえることになるからだ

 

「私が痣を出したのはどのみちこのままでは25どころか来年の4月13日に死ぬからなのでこのデメリットを無視しているに過ぎません」

 

「ちょ、ちょっと待てよ! そんな簡単に死を割り切って良いのかよ!」

 

「良いか悪いかであれば、今の価値観だと悪いでしょうね。ただ前にも話した通り、私は異世界を渡る民だ。その世界によって価値観が違う……25まで生きられるし、強力な力を得れるのであればと復讐のために喜んで使う集団もあれば、作戦のために死兵となり戦う者達もいる……その世界によりけりだよ」

 

「ロンメルさん……」

 

「……話を戻そう。皆には放課後の30分をこの呼吸習得のために練習してもらいたい。殺せんせー」

 

 シュバババと全員の席に約150ページ程の呼吸習得マニュアルが置かれた

 

「呼吸といっても様々な呼吸がある。岩、風、炎、水、雷……この5系統から様々に派生していく。で月と日だけはこの系統から独立していると考えて欲しい……ちなみに殺せんせーにも事前に教えてみたところ風の呼吸に適正があった。皆にはまず呼吸の基礎を教えるから、自分がどの呼吸に適正があるか付属の性格診断をしてから考えてみて欲しい。ドンピシャならその呼吸が合っていて、ちょっとでも違うと感じれば派生の呼吸に適正があると思って欲しい」

 

「質問なんだけど呼吸を覚えるのとそうでないのとではどう違うんだ」

 

「まず呼吸が使えれば身体能力が1.2倍程向上する。傷の治りが早くなる、自然治癒力、免疫力、臓器の機能向上、脳の活性化……記憶力の向上、再生しない細胞の僅ながらの再生、若さを保てる、筋肉が付きやすくなる、止血効果、集中力の向上等がわかっています」

 

「全集中の呼吸・常中が使えればこれが更に大きく上がります」

 

「「「おお!」」」

 

「覚えておいて損はないですが、無理は絶対にしないでください。まぁ痣は死ぬ気でやらないと出ないと思うので大丈夫だと思うのですが……烏間先生、この技術は防衛省にも絶対に漏洩しないでください」

 

「なぜだ」

 

「元々これは人が怪物……鬼と戦える為にできた技術であり、容易に超人を量産できる物です。これがあの死神みたいな殺し屋の手に渡ると覚えていない人は抵抗すること無く死にます。そもそも対人で使用してはいけない技術なのです」

 

「あら、私からロヴロ先生に伝わるとは思ってないのロンメル」

 

「ビッチ先生、これは私からの信頼の証だと思ってください。皆もそうです。不用意にこの技術を広めようとは思わないでください。約束です。1度失敗を経験している(わかばパークの一件)皆さんならば大丈夫だと思っています。私からの皆さんへのプレゼントです。どうか受け取ってください」

 

「……やろう! 俺はやるよ! ロンメルさんまでとはいかなくても身体能力が向上すれば殺せんせー暗殺の可能性が高まるからな」

 

「副産物も魅力的だね! 若々しくいたいもん!」

 

「俺もやる」

 

「私も!」

 

 全員が呼吸の危険性を理解した上で賛成してくれた

 

 その日の放課後から呼吸のトレーニングが始まる

 

 もちろん鱗滝さんの様なトレーニングではなく、殺せんせーとロンメルで改良したやり方であり、肺活量を増やすペットボトルトレーニングから始まり、ランニングや山登り等の有酸素トレーニングを繰り返し、ロンメルや殺せんせーがアドバイスをしていく

 

「なんで私まで!」

 

「でもビッチ先生も若さを保つ為ならいけるでしょ」

 

「そ、そうだけど」

 

 殺せんせーが覚えられたのだから皆もできるハズである

 

 暗殺で全身をまんべんなく鍛えているためすぐに呼吸を覚えさせられるのも大きい

 

「2学級中に全員が全集中の呼吸を10秒ちかくできるようになれば御の字だろう」

 

 そう予想を立てて

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