テスト当日……予習も復習もしてきた
これまでの積み重ね……約1年と8ヶ月……ロンメルは学力という武器も手に入れた
ズルかもしれない
触手の能力と脳を接続する
ダメかもしれない
呼吸で脳を活性化させる
今ロンメルは新たな領域へと踏み込んだ
英語のテストが始まる
問スターをロンメルは一撃で粉砕する
上がった演算能力と集中力をフルに生かし、リスニング問題を正確に聞き取る
テストの裏にリスニングの発音を全て書き取り、そこから有っている単語や知っている単語に当てはめていく
さすれば答えが見えてくる
普通こんな方法で突破する人は居ないだろうが、ロンメルのハイスペックな身体能力と頭脳が可能にする
(ビッチ先生でもこんなにボキャブラリー豊富じゃないだろうねぇ……クックックッそれでも私は今回は全ての問題を解く)
単語問題は今回無くなっており、中文の読解問題からスタート
英語だが国語も混じっており、作者の意図する意味を答えなさい等が普通に出てくる
ロンメルはマッハ以上の速度で文を読み、答えを道引き出す
(これは……我が闘争(ヒトラーの著書)の英語版……この本が社会に与えた影響を答えなさいとか知っていないと絶対に無理でしょ)
そして最終問題……テストページ3枚両面印刷の長文読解
(冷戦時代の英語の著書だな……しかもドが付くほどのマイナーな本だ……いや、これベレンコ中尉(ソ連から冷戦時代に最新の戦闘機で亡命してきた人)の幼少期の実話だ。これ幼少期だからあえて亡命に触れないことでわかりづらくしてるじゃん)
最終問題の問スターを分量によるハンマーで振るい飛ばしてゲームセット
疲れたが問題ない
目の前の理事長先生は本とコーヒーで優雅に寛いでいるが、何を考えているんだか
「強者は弱者に負けない……強者と弱者は簡単に覆る……一見矛盾しているようで矛盾していないこの言葉……歴史が得意なロンメルさんはどうとらえるかな」
「強者の目線で言えば強者故に持てる物、道具や知識、権力あるいはルールすらも変更できる。それを使えば弱者に負けることはない」
「強者と弱者は簡単に覆るはそれは弱者の数が一定数居た場合や弱者が強者に無いなにかを持っていた場合、あるいは強者に追い付いた場合になりますねぇ」
「ええそうだ。私の教育は常に社会的な強者を作る事をしてきた。弱者は弱者同士で傷の舐め合いをしていれば良い」
「理事長先生は優しいんですね」
「なぜかね?」
「弱者を完全には見捨てない。弱者であってもセーフティを設けて救っている。E組に雪村先生を置いたのも彼女が優秀であったから可能性は低いが強者に戻れる機会を与えた」
「……無駄話が過ぎたね。次は社会だ頑張りたまえ」
社会、理科、国語、数学と解いていく
この2週間の準備期間生徒同士での教え合いが活発に行われていた
殺せんせーだけを便りにするのではなく自分達で、教え、覚え、質問し、答え……皆が一丸になってテストに挑んでいる
初めのどんよりとしたエンドのE組を見てきた私は殺せんせーの教育の凄さを改めて尊敬し、その手伝いをしてきた烏間先生やビッチ先生、防衛省のスタッフや浅野理事長の手腕に感服した
教育とは……自主性の教育とはまさにこの事だ
エンドであったE組は殻を破り見事に昇華した
数学最終問題……空間面積の求め方
それはまるでE組を表しているかのような問題であった
空間問題はその図形が永遠と続いていることが文章に隠されており、それが文章の序盤に僅かに書いてある
問題文は後半に必要部分が書かれていることが多いため時間が無いと後半のみに絞って読んでしまうと問題出題者のドツボにハマる
これは縁の問題だ
1つの箱には皆の空間と私の空間が入り交じっている
皆の領域を求め、問題となっている空間領域を引いて最後に残ったのが自分の領域である
難しいことは何一ついらない
ただ立方体の半分の面積を答えるだけの問題である
a^3/2これが答えである
ロンメルは最終問題を解き終わり、ゆっくりと見直しをして終了する
「そこまで」
浅野理事長の言葉でペンを置く
「強者とは何か……弱者とは何か……人は皆弱者だ。種族が違う私から言わせてもらえばこれが答えだ。しかし、弱者である人間が強者であるウマ娘の上位に居るのはなぜか……たま~に考えることがあり、その答えを私はE組で見つけた……ウマ娘よりも少しだけ早く仲間の大切さに気がつけたことと、私達ウマ娘は走ることに理想を求めすぎた。ただそれだけだ」
ロンメルは筆記具を筆箱にしまう
「思いやり、助け合い……これらに勝る美徳は存在しない。強者である事を理想にするのは結構ですが、徳を忘れてしまった権力者の末路は悲惨ですよ理事長先生」
そう言ってロンメルは退室した
残された理事長は何を思うか私は知らない
3日後テストの返却が行われた
「細かい点数で四の五の言うのはよしとしましょう。今回の焦点は総合順位で50位を取れたかどうか!! このE組でも順位を先に発表します!!」
ババっと殺せんせーか巨大な順位表を黒板に広げる
そこには全員50位に入っており、最下位でも寺坂君の47位……気になるロンメルの総合順位は
「同率2位」
浅野君と同率の2位の497点であった
テストの答案が返却されどこを間違えたか見ると社会だった
信玄の西上作戦の内容がロンメルの世界の出来事とごっちゃになっており部分点となっていた
「西上作戦……か」
唯一息子を失った戦いであり、ロンメルにとって明確な敗北であった
あの強烈な戦を忘れる方が難しく、ごっちゃになっても仕方がない
「カルマ君……負けたよ……おめでとう1位」
「いや、流石ロンメルさんだ。俺をここまで追い詰めたんだ誇って良いよ」
とすました顔で言われた
皆は勝利に一通り喜こんだ後席につき
「では皆さんクラス目標の全員50位以内達成のご褒美に先生の弱点を教えましょう……先生の弱点……それは」
ガカゴゴゴゴと校舎が揺れる
皆が音のする方向を見るとショベルカーが校舎を破壊していた
「退室の準備をしてください」
外には理事長がいた
「今朝の理事会でE組の校舎の解体が決まりました。今後は系列校の新校舎に移ってもらい、卒業まで性能実験に協力してもらいます」
「「「し、新校舎!?」」」
「監視システムや脱出防止システムなど、刑務所を参考にしたより洗練された新しいE組です。牢獄のような環境で勉強できる。まさに私の教育論の完成形です」
そして殺せんせーには遂に切った伝家の宝刀……解雇通知
しかし、この校舎を破壊するのも殺せんせーの解雇も浅野理事長のする暗殺を受けて更に殺せんせーが生きていたら無しとなることになった
ギャンブルである
教室には理事長と殺せんせーだけが入り、理事長が持ってきた出版社の違う5教科の問題集と5本の手榴弾が5つの机に並べられた
「ルールは簡単、手榴弾のピンを抜き、安全レバーが上がらないように問題集の適当なページで挟みます。問題集を開き一番右上の問題を手榴弾が爆発する前に解いてください。それを先に殺せんせーは4回してもらいます」
手榴弾は対先生弾が満載された物が4つ、本物の手榴弾が1つあり、臭いや形では判別できないようになっていた
殺せんせーがもし4回全て解いたら浅野理事長が1回殺せんせーと同じことをやる
もし対先生弾の手榴弾であれば理事長の命に別状は無いが、本物であれば理事長の命は無い
ただ圧倒的に理事長有利での暗殺が始まる
殺せんせーが最初に選んだのは数学の問題集
殺せんせーは勢い良くノートを開き……爆発に巻き込まれた
殺せんせーの弱点としてテンパると弱いことがあげられる
今回も殺せんせーはテンパってしまい数学の問題が解けなかった
「弱者は暗殺でしか強者を殺せないが、強者は弱者を好きな時に好きな様に殺せる……この真理を教える仕組みを全国にばらまく! 防衛省から得た金と君の暗殺の賞金があれば全国に系列校が作れる。さぁ殺せんせー、我が教育の礎となってください」
殺せんせーはダメージが回復しないまま社会の問題を開いて閉じてメモを乗っけた
そこには問題の答えが置かれていた
「はい、開いて閉じて置きました。これらの問題集は確かに難問ですが、ほぼほぼどのページにどの問題があるか覚えています。数学だけは生徒に長く貸していてわかりませんでしたが……」
国語と英語を殺せんせーはちゃちゃっと解く
「教え子の敗北で心を乱したみたいですね。あなたらしからぬミスです。どうですか目の前に死が置かれた感想は」
同じ教室で2人の超人が教鞭を取った
殺せんせーは強さを悔いたから
理事長は弱さを悔いたから
理事長がなぜあそこまで強さにこだわるのか……殺せんせーに質問したことがあった
教え子が自殺したらしい
浅野理事長が当日まだ椚ヶ丘学園の前身……椚ヶ丘塾であった頃の最初の教え子が卒業して3年後に自殺したとか
いじめによる自殺らしい
浅野先生はいじめられた生徒が塾生だった頃はやんちゃだった故に優しさを説いた……優しくなったが故にいじめられた
そこから浅野先生は強さに執着したのだとか
「さぁ浅野理事長……最後の1冊を開きますか?」
「いくらあなたが優れていても爆弾入りの問題集を開けばタダでは済まない」
「潔く負けを認めちまえよ!」
皆がヤジを飛ばす
殺せんせーが首になっても家出して3月まで暗殺教室を続けると
「今年のE組の生徒はいつも私の教育の邪魔をする。ここまで正面切って刃向かわれたのは今年に入って何度目だろうか……殺せんせー、私の教育論ではね、あなたが地球を滅ぼすならそれでも良いんです」
浅野理事長は問題集を戸惑うこと無く開いた
手榴弾は……本物
爆発と爆風が浅野理事長を包み込む……がその前に殺せんせーが脱皮を被せた
「なぜこれを自分のために使わなかった」
「あなた用に温存しました。私が賭けに勝てば、あなたは迷い無く自爆を選ぶでしょう」
「……なぜ私の行動を断言できる?」
「似た者同士だからです。お互いに意地っ張りで教育バカ、自分の命を使ってでも教育の完成を目指すでしょう。私の求めた教育の理想は……十数年前のあなたの教育とそっくりでした」
「殺すのでは無く生かす教育……これからもお互いの理想の教育を貫きましょう」
理事長は今のE組を今の今まで続けてきたのは昔思い描いた理想の教育を無意識に続けてたからであり、それを殺せんせーは見破ってこの発言である
浅野理事長は憑き物が落ちたかのようなスッキリした顔になり
「温情をもってこのE組を存続させましょう。それと……たまに私も殺りに来てもいいですか?」
「勿論、好敵手にはナイフが似合う」
こうしてE組取り壊しの危機は去った
が、E組の最大の危機はまだ去っていなかった