咲-Saki-消えゆく京- 作:フェンリルK
少し短いのはすみません。
この作品もUAが30000を越えたので、今回の活動報告での選択肢は、特別記念として少し変わってますので、是非選びに行ってください。
ではどうぞ!
9月1日(火)
「うーん……」
俺‐‐‐‐須賀京太郎は、重たいまぶたをゆっくり開いた。
ここは俺の入院している白糸台総合病院の個室タイプの病室だ。
それはともかくとして、俺は結局、検査入院を余儀なくされた。
理由は峠を越えたとはいえ、またいつ危険な状態になるか分からない状況だからだ。
はぁ……、せっかく白糸台で楽しい学校生活してたのになー。
だが、いつまでヘコんでても始まらない。
今は安静にしておかないとな。
ガラガラーッ!!
「京太郎〜〜〜!!」
「うぉっ!?」
突然、病室の扉が勢いよく開いたかと思ったら、元気の良い声で、俺に誰かが抱きついてきた。
驚いた俺は思わず、すっとんきょうな声を上げながらベッドに倒れ込んだ。
つまり寝ている状態。
「……って、淡?」
俺は抱きついてきた人物の身体を抱き締めて理解した。
ふんわりと女性独特の甘い香りに、俺よりも綺麗な黄金色の髪の毛。更にその金髪は流星群が流れる星空を思い抱かせるような粒子のようなキラキラしたものがある。
ここまで明確に分かるほど近くに…………淡がいた。
「そう! そう! おはよー、京太郎!」
淡は俺から離れながら、元気をもらえる満面の笑顔でそう話す。
「おはよう……。ん? 照さんも?」
混乱しながらも、俺は淡に挨拶をしながら、後ろを見ると、開きっぱなしの扉の前でモジモジしている照さんがいた。
その姿は小動物並……いや、それ以上の可愛さだった。
「お、おはよう……京君///」
照れたように笑みを浮かべる照さん。
あれ? 俺、何かしたか?
俺が照さんの反応に戸惑っていると、照さんはゆっくりと俺と淡のいる方向へ歩み寄ってくる。
両手には重そうなバックを抱えている。
照さんは、うんしょ、うんしょ、と言いながら運んでいる。
「ふぅ……。これ……京君の着替えとその他諸々」
照さんは、疲れた様子でバックを置きながら話す。
「お疲れ様です。淡は何も持っていない様子だが?」
俺は疲れた様子で椅子にペタリと座っている照さんの頭を撫でながら話す。
照さんは『えへへ……』と言いながら、照れたように頬を赤く染めている。
「えーとぉ……。テルが運びたいっていうから、つい………テヘッ☆」
淡は最初は困ったように顔を固まらせていたが、段々とふてぶてしい顔になっていき、終いには舌をペロッと出しながら、手を頭にコツンと軽く打つという、いわゆる『てへぺろ☆』をしていた。
その行為は大変可愛い仕草ではあったが……、照さんを手伝わなかった。なので、フリーになっている左手で……………淡の顎に触れた。
「あわっ!?」
淡が恥ずかしそうに顔をゆでダコのように真っ赤にしているが、そのまま俺は指で顎をクリクリしながら、刺激する。
「ひゃあ……、ふあぁ…。アワァ……ッ」
淡はジタバタしているが、俺は止めない。
顎は淡の弱点でもある。それを知ったのはつい最近の出来事なのだがな。
そして五分後。ようやく俺は淡を弄るのを止めた。
「ふにゃぁぁぁ………っ//// 」
淡は椅子に座って、俺のベッドに横倒れて撃沈していた。
ちょっと、やり過ぎたかなー。
「京君。元気そうで良かった」
「えっ?」
照さんは、嬉しそうに微笑みながら、俺を見つめる。
そんな照さんに、俺は首を傾げる。
「京君。昨日の今日だから、大丈夫かなって思ったんだ。だから菫と病院の先生から許可を貰って、1日学校休み&病院寝泊まりOKサイン貰ってきたんだ〜♪」
「えぇぇっ!?」
俺は目を見開きながら、驚いた。
それは、照さんの行動力に驚いていた。
というか、照さんってこんなにも積極的だった事に驚いた。
けれど、それと同時に俺の知らない照さんの一面を見られて嬉しかった。
「という訳だから1日、淡と京君の介護をやるからね」
照さんはやる気十分といった様子で、両手をグッと握りしめながら、俺に宣言した。
「……はい! お願いします」
俺は照さんの頼もしさに、笑みを浮かべながらお願いした。
こうして、俺の入院生活一日目(昨日をいれれば二日目)がスタートした。
「……よっし! 和了ったぜ!」
俺はあれから、一時間ほど照さんが持ってきてくれた携帯で、ネトマをしていた。
「京君。この場面はもう少し待てばこれが入ってきたから………こうする」
そして、俺の左隣では照さんが熱心に麻雀を教えてくれていた。
「……むぅー」
一方、俺の右隣では淡が面白くなさそうに足をバタつかせながら、俺の方をジーッと見ていた。
その理由は淡の説明が俺には理解出来なかった事にある。
だけどな……、なんだよ! 『とりあえずダブリーだ!』とかさ。
いきなりダブリー出来るわけないだろ。俺のはお前みたいな能力では無いんだから。
という訳で、仕方なく淡には大人しくしてもらった。
「……ぐぬぬ」
だが、淡は物凄く不満そうに顔を歪めながら、俺に子犬のような目で俺を見ていたりする。
なんだよそれ! ちょー弄りたくなるんだけど……。
「……ほーれ、ウリウリ」
俺はとうとう我慢出来なくなり、淡の頭を片手で優しく撫でた。
「あわっ!? ………っっっ!? 」
淡はすっとんきょうな声をあげた後、顔を真っ赤にして目をトロリとさせながら黙ってしまった。
「おー、京君はテクニシャン」
照さんは棒読み口調で、パチパチと拍手をしながら俺を絶賛(?)する。
「いやー、それほどでもー」
俺も照さんにノって棒読み口調で返す。
「京君。遊びはここまでにして、ネトマの続き……しよ?」
照さんが画面を見ながら、俺に言う。
「わーたーしも手伝う〜〜〜っ!!!!」
一方淡はもはや玩具を欲しがっているだだっ子のように、足をバタバタと暴れている。
「わ、分かった! 悪かったよ……」
俺は
俺とした事が、ついやり過ぎてしまった……。
だけど、淡って弄りたくなるんだよなぁ……、可愛いからさ。
「じゃあ……誰かを呼んで麻雀する?」
「お〜っ! テルー、ナイスアイディア!」
照さんの何気ない言葉に、淡はキラキラと目を輝かせている。
その眼差しは、照さんを『貴女は天才か!?』とでも思っているような感じだ。
実際、その通りだと思うけど……。
「じゃあ誰を呼びます?」
「ふむ……、じゃあ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐」
照さんは考え込むようにしながら、言葉を発した。