芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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サクラアスランのヒミツ
1:煽り耐性ゼロ


ようこそスピカへ?

「―と、いうわけで、おまえは今日からウチのメンバーだ。」

「うそでしょ…」

 

ゴルシたちに拉致られた先のスピカの部室で沖野トレーナーからそう言われ、サイレンススズカみたいなツッコミが出た。

 

いやいやいやいや

今どれほどの『というわけで』があったんだよ。

こんな某北海道のローカル番組みたいなことしやがって。

そのうちこいつらアメフトの格好でラジオ番組に突撃しかねないぞ???

 

「ニシシーやっとこうしてキミとお話ができるね!」

 

そう言ってテイオーが目の前に現れる。

うーん流石史実における競走馬屈指のグットルッキングホース…じゃなくて。

 

「キミを勧誘したかったのもそうだけど…まずキミに言いたいことがあるんだ。」

「ええと、な、何でしょう?」

「…ありがとう。ボクを目標にしてくれて。」

 

テイオーから出てきたのは感謝の言葉だった。

 

「あの時のボクはもう元どおりには走れないと諦めていたんだ。でもトレーナーやマックイーン、スピカのみんな、キタちゃん―キミと同じようにボクを目標としてくれている後輩、そしてファンやターボ師匠のおかげでもう一度前を向こうと決めたんだ。」

 

そう言うとテイオーは俺の手をとり語りかける。

 

「復帰のためのトレーニングはつらかったし、有馬記念で走るってマックイーンと約束した後も大変だった。でもね、つらい度にキミの姿が浮かんだんだ。同じ境遇の後輩が、ボクを見て信じてくれていると思うと自然と力が湧いたんだ。」

 

テイオーは手をギュッと握ったまま真っ直ぐ俺を見つめてくる。

 

「…もしキミともう一度会える機会があったら一言お礼が言いたかった。だからキミが怪我を乗り越えて中央に入れたんだと知ったとき、とても嬉しかった。キミとこうして同じ制服を着て会うことが出来てとっても嬉しいよ!」

 

そう屈託のない笑顔を見せてくる。

 

「…自分もお会いできて光栄です。トウカイテイオーさん。」

 

夢のようだ。

近代日本競馬の歴史に名を残したあの名馬と。

ウマ娘の姿とはいえ会話ができる。

そしてその子が会えて嬉しいとまで言ってくれている。

これほどまでに光栄なことはない。

 

「そして!今日からはボクと同じスピカのメンバーとしてよろしくね!」

「あ、それは考えさせてください。」

「ナンデー!?」

 

いやなんでって…

いきなり連行されて説明もナシに今日からメンバーだって言われても…

アニメや漫画で見る分には面白いよ?

けど実際にやられてみ?

不安すぎて訳分からん。

 

「ええー!この話の流れだと入るんじゃないんですかー!?」

そう驚きの声をあげるスペシャルウィーク。

 

「そーよ!アタシ達の何が不満だって言うのよ!」

「そーだそーだ!」

同じくブーイングしてくるダイワスカーレットとウオッカ。

 

くそうこんな状況じゃなければ是が非でもサイン貰いたい優駿ぞろいなのにッ…

 

「なんだーしょうがない。今スピカに入るなら先着1名様にゴルシちゃん特性の携行型爆弾(ジャスタウェイ)人形をプレゼント!さあ君も今すぐ応募だ!」

そう言って名状しがたいなにかを手にするゴールドシップ。

 

…おうてめーゴルシ。

お前に関してはあの宝塚でスッた8万円の恨み忘れてねーからな???

 

「うーん弱ったなー。でもこのまま放っておくと確実におハナさんに奪われるしなー」

頭をポリポリと掻く沖野トレーナー。

 

とここで気になっていたことを聞く。

 

「あの…メジロマックイーンさんとサイレンススズカさんは…」

「ああ、マックイーンは今メジロのお屋敷で復帰に向けて治療中だ。スズカは今アメリカに遠征している。」

「そうでしたか…」

「なんだ?ひょっとして2人のファンでもあったのか?…まあ()()()()()()()そう焦らずともじきに会えるぞ。」

 

…意外と沖野トレーナー抜け目ないな。

 

「ちょっとー今は2人のことはいいでしょ!スピカに入ってよー」

 

とテイオーが割り込んでくる。

 

「入らないとは言っていません。ただチーム決めは重要案件ですので一旦こちらで持ち帰らせて頂き、再度検討を」

「ワケワカンナイヨー!」

 

あまりにもしつこいのでつい現世の仕事口調が出てしまう。

 

するとテイオーは「分かった!」と言い、俺の前にズイと顔を突き出す。

 

「じゃあボクと勝負して!ボクが勝ったらキミはボクのもの!キミが勝ったら好きにしていいよ!」

「…それ勝負にもならない気がするんですが…」

「ふーん。戦う前から逃げるんだー弱虫さんだねー」

 

…挑発が安っぽすぎる。

これアニメじゃなくてアプリのテイオーじゃないの?

 

「ま、どーせ勝っちゃうのはボクだけどね!ゲート体験でたまたま1位になれたフロックちゃんに負ける気なんてさらさらないけどねー」

「…やってやろうじゃねーのコンチクショウ!!!」

 

てめー理学療法士さん達とのトレーニングの成果をフロック扱いしやがったな!?!?

 

「今に見ていてください!?そのイケメンフェイスをヒーヒーいわせてやりますからね!?」

「ニシシ!よーし早速模擬レースだー!」

 

おー!とスピカ全員が声をあげ、レース場へ向かう。

沖野トレーナーもストップウォッチとバインダーを手にする。

 

「まあ成り行きでこうなっちまったが仕方ない。ちゃんとアップはするんだぞ。」

 

そうトレーナーに言われたらへんでようやく頭が冷える。

 

…ん?

俺これからテイオーと戦うの?

入学したての新入生とつい最近まで現役だった先輩と?勝負?

 

これあれだ。

アプリのレジェンドレースみたいなもんだ。

 

 

 

 

 

…誰かぁぁぁ!!!

読者様のなかに目覚まし時計かやる気アップスイーツをお持ちの方はいらっしゃいませんかぁぁぁ!!!




マックイーン「スイーツと聞いて」
作者「あんたの出番はまだ先だ。座ってろ」
マックイーン「あんまりですわ!あんまりですわ!」
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