芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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ユメヲツナグ

テイオーに連れられてそのまま府中市内を走る。

 

現世だと自転車専用レーンとなっている所がウマ娘の絵が書かれている。

日は大分傾き、前を走るテイオーの髪が夕日に映える。

 

そして神社の鳥居をくぐり階段を駆け上がって頂上に着く。

 

「着いたよーアスラン!」

 

息を整えながら顔を上げると眼下にさっき駆けた府中の街並みが広がる。

ここはあれだ。

アプリやアニメでよく出てきた高台にある神社だ。

 

「ここからの景色がボクのお気に入りなんだー!」

「確かに…いい眺めですね。」

「でしょー!」

 

そう言いながら二人揃ってベンチに座り、汗をふく。

 

「エヘヘアスランとこうして過ごせて嬉しいな!」

「自分もです。テイオーさん。」

 

二人揃ってふふっと笑いあう。

 

「前から聞きたかったんだけどさ…どうしてアスランは中央に…ボクを目標にしてくれたの?やっぱり怪我をして似たような状態だったから?」

「それもありますが…」

 

俺はテイオーの目を見つめ、手を握る。

 

「テイオーさんに惚れ込んだからです。」

「ピェッ!?」

「幾度となく怪我をしても前を向き、駆け抜ける姿を見て惚れない訳がありません。」

「す、ストップ!よくそんな恥ずかしいこと言えるね!?」

「?根っからの本心ですが?」

「ピェェ」

 

テイオーは顔を真っ赤にし、両手で顔を隠す。

 

「も、もー照れちゃうなーエヘヘ」

「『帝王』は『皇帝』を超えた…そう評価されていますが、自分もそう思います。ルドルフさんとはまた違う王の在り方だと。」

「!…そ、そう、だよね…」

 

途端に少し表情を曇らせたため、「テイオーさん?」と問いかけると「…少しだけ独り言言っていい?」と答える。

 

「…ボクは、カイチョーみたいになりたかった。カイチョーみたいな『強くてカッコいいウマ娘』になるのがボクの夢だった。

 

確かにボクは競技人生の中で沢山の大切なものや色んな人たちに支えてもらって、『強くてカッコイイウマ娘』になれた…と思う…し、カイチョーやスピカのみんなもそう言ってくれている。

 

でもね。

 

時々思うんだ。

 

もし3冠も、無敗も達成していたら。って。

 

そうなっていたら、ボクは本当の意味でカイチョーみたいになれたんじゃないかって。

 

時々…そう思うんだ…」

 

俺は黙ってテイオーの言葉を聞く。

 

 

競馬にIf(もしも)はつきものだ。

もしもあの時こうなっていたら…と夢想するファンは多い。

 

『親子2代無敗の3冠』

それを初めて達成したのはディープインパクト・コントレイル親子だった。

 

コントレイルが無敗の3冠を達成した際、

『トウカイテイオーのIf』『テイオーの夢をコントレイルが果たした』

そういった評価の声が上がった。

 

ただこの時こう思ったファンも多かっただろう。

 

『もしもトウカイテイオーが無敗の3冠を達成していたら』と。

 

 

一人の競馬ファンとしてそんなことを思っていると、テイオーが「アスラン」と声をかける。

 

「…キミに…ボクの夢を託していいかな。」

 

何か決意に満ちた目でこちらを見つめる。

 

「アスラン。キミに『無敗の3冠』の夢を、託したいんだ。」

 

ドクンと心臓が跳ね上がる。

 

「初めてキミを見た時から、運命の様なものを感じてた。キミの走りを見てもしかしてって思った。そして今日の3ハロンを見て、確信に変わった。

 

キミはボクの夢を叶えてくれる為に巡り会えたんだって。」

 

「い、いやそれは言い過ぎでは…」

「あれ?分かってない?キミが今日出したタイムは、ボクのデビュー戦よりも早かったんだよ?」

「え」

 

思考をフル回転させる。

 

俺が?

テイオーより?

 

「デビュー前でこれだけ走れるんだもの。ボク以上のポテンシャルの持ち主だよ!」

 

どこか遠い世界の話のような感覚を覚える。

 

俺は中身一般人。

 

けれど同期達の代表のような扱いをされ、

 

ルドルフやシリウスから目をかけられて、

 

そして明確な数値でもってテイオーより評価される。

 

『何故俺はウマ娘の世界へ』

もっと言うと『何故架空世代のテイオー産駒の子として転生したのか』

 

ずっと今まで分からなかった。

 

でも

 

これが答えなのかもしれない。

 

テイオーの夢を叶えられるのは、テイオー産駒の俺しかいない。

 

自然と肩の力が抜ける。

 

ならば

 

「分かりました。」

 

俺はテイオーの手を握り、目を見る。

 

「自分がテイオーさんの夢を引き継ぎます。

 

…俺が…テイオーの夢を叶えます!」

 

言い切った。

 

不思議と清々しい気持ちだ。

 

「うん…うん!やっぱりキミに会えて良かった!」

 

テイオーは目に涙をいっぱい溜めながら手を握り返す。

 

「言ったからにはやってもらうよ!ボクが全力でサポートする!一緒に『無敵のテイオー伝説第二弾』をやっていこうね!」

「はい。よろしくお願いします!」

「あ、あと今気づいたんだけどさ。アスランって素が出ると敬語が取れて『俺』になるんだね。」

「げっ、いや、その」

「あははー気にしないでいいよー。なんかそっちの方が本音で喋ってる感じするし!」

 

日が暮れるまでそのままテイオーと語り合った。

 

ーやってやる

 

テイオーの夢である『無敗の3冠』

 

それは同時に、実馬基準で言えば

『親子3代無敗のダービー制覇』

も意味する。

 

この架空の世代に

 

『サクラアスラン』の名を刻みつける!




目標設定!

皐月賞・日本ダービー・菊花賞を無敗で制覇

トウカイテイオーから意思を継いだ!

やる気が上がった
『究極テイオーステップ』のヒントレベルが上がった
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