前回のは忘れて下さい(土下座)
テイオーから夢を引き継いでから早数日。
ついに選抜レースの日を迎えた。
…ここまで色々あった。
相変わらず同期達からもてはやされたり、シリウスから「スピカか…まあお前なら大丈夫だろ」と半笑いで言われたり、極めつけはスチームがリギルに入っていたり…
あんた俺よりすげーじゃねーか。
今日は今年の世代初の選抜レースということもあり、かなり注目度が高いようだ。
午前の座学が終わる前からレース場にはトレーナーと思しき大人達がレジャーシートで陣取りしている様子が目に入った。
…完全に競馬場の光景だわこれ。
午後になり着替えてアップを行なう。
俺は15:40出走だ。
「おーいアスランー!」
少し休憩しているとテイオーが駆け寄ってくる。
「テイオーさん。来てくれたんですか。」
「当然でしょー?ボクの自慢の後輩が走るんだもの!後でカイチョーも見に来るって!」
「き、緊張するな…」
すると後ろから「へえ?」と声がした。
「なんだテイオー。こいつお前のお気に入りなのか。」
「あっ、シリウス!なんだよーアスランはボクのなんだからあげないぞ!」
「奪ったりしねぇよ…お前までルドルフみたいなこと言いやがって。」
「ボクとアスランは『無敵のテイオー伝説第二弾』の途中なの!邪魔しないで!」
「分かった分かった。レースぐらいは見させてくれよな?」
目の前で微笑ましい光景が繰り広げられている。
俺が「シリウスさんも見に来てくださりありがとうございます。」と礼を言うと
「ハッ、お前はルドルフの『シルバーブレット』になり得る存在だからな」と言われた。
シリウスなりに期待してくれているのだろう。
『お知らせします。15:40発走の生徒は所定の位置に集合してください。』
校内アナウンスが響く。
「お二人ともありがとうございます。行ってきます!」
二人に礼を言ってから俺は集合場所へ駆けていった。
「よーし。ボクも応援しちゃうもんニ!シリウスいくよ!」
「わー待て待て、引っ張るなっ」
「あー見つけた!テイオーちゃん!」
「あれ?マヤノ?どうしたの。」
「先生が探してたよー提出期限が今日までの課題出してないって。」
「あ…部屋におきっぱだ。」
「早く届けにいった方がいいよ?先生カンカンだったよ。」
「ピエッ!?ど、どうしよう!?これからアスランのレースなのに!?
…い、急いで持って行けば間に合うかな…?
…し、シリウス!!!ボクの代わりに場所とっといてね!絶対だよ!!!」
そう言い残しテイオーは嵐の様に走って行った。
「…どさくさに紛れてあたしをパシってねーか?」
集合場所には自分と同じ組の子が集まっていた。
内一人は見知った顔だった。
「…ええと、ガーランド…さん?」
「…ガーランドでいいよ。今日はよろしく。」
握手を交わし、ゲートに向かう。
すると観客席が少しざわめく。
「あれがスピカの…」
「世代の代表筆頭だとか」
「生徒会長やシリウスが一目置くという…」
…ここまで言われるとムズかゆい。
俺を含めた出走バ10名がゲートに入る。
ガシャンという音と共にスタートダッシュを…っ!?
(あいつ出遅れやがった!)
シリウスが思わず立ち上がる。
…まずい
『観客席の声に気をとられて出遅れた』なんて情けないったらありゃしない!
出遅れた結果俺は後方集団。
しかも囲まれるように内側に入ってしまっている。
…本格的にまずい。
所謂『馬群にのまれた(囲まれた)』状態だ。
『前が壁』どころじゃない。
大外に出ようにも斜め前にガーランドがいて進めない!
そのまま最終直線に入る
ガーランドがスパートをかけ、ようやく前が空く。
が…もう時すでに遅しだった。
『1着8番 エイトガーランド
2着4番 サクラアスラン
3着3番 クラップラップ
4着…』
着順を告げるアナウンスが響く。
『負けた』
その事実が重くのしかかる。
「アスラン」
と、ガーランドが声をかける。
「…良い勝負だった。あなたをマークして正解だった。私でも戦えるんだって自信がついた。次も負けない!」
…彼女は単純にレース相手の健闘を称えているだけだ。
頭では分かっている。
だが…
「…アスラン?」
差し出された手を握ることは出来なかった。
俺はふらふらとした足取りでターフを去った。