芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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だ、大丈夫。
暗い曇らせにはならない…
(トラウマ)


是政橋にて

デビュー戦まであと2週間。

 

俺はチームでの練習が終わったあと、多摩川の河川敷にて自主練に励む。

 

トレーナーからは「無理をするな」と言われているのでランニング程度に抑える。

 

日が傾いた河川敷には、家路を急ぐ会社員や、スーパーの買い物帰りの主婦、談笑しながら歩く学生、そして自分と同じようにランニングをするトレセン学園の生徒と、この世界での日常が穏やかに流れていた。

 

是政橋付近まで走り、橋桁からさっき走った河川敷を眺める。

 

(…こういった光景は変わらないんだな…)

 

そう黄昏時の景色に思いをはせる。

 

ふと視線を移すと、河川敷の奥から一人のウマ娘が走ってくる。

 

小柄でフードをかぶり、その中から青い何かが見え隠れしている。

 

(あれって…)

 

そのウマ娘は是政橋に着いたところで立ち止まり、息を整える。

 

「…すみません。」

「ひ、ひゃい!?」

 

あっ、これは確定だわ。

 

「ライスシャワー…先輩ですよね?」

「う、うん。そうだよ?」

 

そう言いながらフードをとると、片目が前髪に隠れ、青薔薇のコサージュの持ち主

ライスシャワーがいた。

 

「驚かせてしまい申し訳ありません。自分はサクラアスランと申します。」

「あっ…テイオーさんの後輩の…」

「知っているので?」

「うん。たまにカフェテリアでテイオーさんと一緒になるんだけど…よく君の話をしてくれるよ。『自慢の後輩』だって。」

 

…ライスといいタマモといい、テイオーのやつ色んな所で言いふらしてそうだなこりゃ。

プラスルドルフとシリウスか。

 

「…えっと…それでライスになにか用…?」

 

おっと脳内でツッコんでる場合じゃなかった。

 

「邪魔してしまい申し訳ありません。テレビでよく見る尊敬する先輩がいると思うといてもたってもいられなくて…」

「そ、そう…?えへへ…なんだかうれしいな…」

 

頬を赤め、人差し指でポリポリと恥ずかしがるライス。

 

(かわいい)

 

率直な感想である。

 

「ライス今度大きなレースがあるから…君にも応援してもらえると嬉しいな…」

「…宝塚記念ですか…?」

「うん!」

 

少し鼓動が早くなる。

 

が、すぐに落ち着く。

 

「自分も同日の阪神でデビューします。現地にて応援します。」

「そうなんだ!頑張ってね!」

「ありがとうございます!」

 

今回は京都じゃない、阪神だ。

 

考えすぎだろう。

 

「自分もこの多摩川河川敷のコースは景色がいいのでお気に入りのコースです。

…もしお邪魔でなければ一緒に走ってもいいでしょうか…?」

「!うん…!一緒に走ろう!」

 

そう言い俺の手をとり一緒に駆け出す。

 

(…『尊敬する先輩』か…えへへ。)

ライスシャワーは自分を慕ってくれる後輩の出現に舞い上がっていた。

 

(…高名なる『漆黒のステイヤー』…学ばせてもらいます!)

アスランはアスランで機会を逃すまいとライスシャワーの走りを見て学ぶ。

 

日が暮れた後も一緒に走り続けた。

 

門限?

二人揃ってフジキセキとヒシアマゾンに土下座するはめになっただけやで?

 

ともあれ、スピカでの練習が終わったら是政橋に行ってライスとランニング…というのがここ最近のルーティンとなった。

 

 

 

 

 

 

 

「―で、ここの直線での坂がポイントだ。」

「なるほど…」

 

デビューまで1週間。

 

スピカの部室にてゴルシから阪神レース場のレクチャーを受ける。

 

さすがは宝塚2連覇の浮沈艦だ。

実際に走った目線での話は参考になる。

 

「で、あとゲートだけど」

「あ、それはいいです」

 

「アスラン!いるか!?」

 

すると息を切らしながらトレーナーが部室に入ってくる。

 

「なんだトレーナー、そんなに息切らせやがって。」

「…今…URA本部から通達があって…

今日阪神で火災があってな…あ、軽いボヤで済んだから大したことではなかったんだが…

 

タイムの計測機器がダメージを受けたみたいでな、修理のため一時的に閉鎖することになった。

 

その影響で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()となった。」

 

…は?

 

「おいおい、じゃあアスランのデビュー戦は阪神じゃなくて京都か!?」

「ああ、今大騒ぎだ。なんせ()()()()()()()()()()()()()からな。」

 

…っ!

 

「だから急で申し訳ないが京都での走り方のレクチャーを…

っておい!アスラン!どこ行くんだ!?」

 

トレーナーの制止を振り切り外に飛び出す。

 

「うわっ!

…って今のアスラン?」

 

出会い頭にテイオーとぶつかりそうになるが回避し、ひたすら是政橋を目指す。

 

…前世知識があってこれほど良かったと思うことはない

 

()()が起ころうとしている。

 

是政橋に着くとライスシャワーがいつも通り走っていた。

 

「ライス先輩!!!」

息切れしながらも大声で呼ぶ。

 

「あれ…?アスランちゃん?今日は早いね」

 

「来週の…来週の宝塚記念には出ないで下さい!!!」

「…え?」

 

 

ライスシャワー生涯最期の競走

 

『第36回宝塚記念』が起きようとしている。




こんなこと書いてるけど作者はライス未所持

ライス「お、お兄様…もうやめたほうが…」
作者「うるへー!ガチャ回す資金がなければ増やすまで!
頼むぞジャックドール!(22年天皇賞秋)


…良いレースだった…
菊花賞の儲け全部無くなったが悔いはない。」
アスラン「あーあ。最後の最後で3連複Boxからパンサラッサ外すから」
作者「やめて」
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