芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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テイオー「ねえねえアスラン!この写真会長に送ってもいい?」
アスラン「面倒なことになるのが容易に想像できるのでやめて下さい」


名優指導

なんやかんやあって8時過ぎにロビーに集合し、ビーチへ向かう。

 

ホテル直結のプライベートビーチの一区画を貸し切っており、人目や迷惑を気にせず練習できる。

流石トレーナー、こういった面では抜かりない。(部屋以外)

 

「海だー!」

 

テイオーがエメラルドグリーンの海辺へ駆けていく。

 

「テイオーのやつ元気だなー。ゴルシちゃんはハンモック吊り下げて横になりてーぐらいだぜ。」

ゴルシが眠い目を擦りながらテイオーに続く。

 

 

「…まったく…(わたくし)を待たせておきながら朝から不景気な顔を…だらしがありませんわよ。」

 

後ろから声が聞こえ、振り返ると薄紫の髪が白い砂浜に映えるウマ娘。

 

『名優』メジロマックイーンがいた。

 

「マックイーン!久しぶり!」

「マックちゃーん!アタシは会いたかったぜぇー!」

 

「テイオー。久しぶりね。

ゴールドシップ!暑苦しいから抱きつくのをお辞めなさい!」

 

テイオーとゴルシを筆頭に早速わちゃわちゃし始めるスピカメンバー。

 

落ち着いたところで咳払いをし、俺の前に進み出る。

 

「初めまして、サクラアスランさん。

メジロマックイーンと申します。

療養中の身ではありますが、同じチームのメンバーとしてよろしくお願いします。」

「こ、こちらこそお会いできて光栄です。よろしくお願いします。」

 

マックイーンが後輩である俺に対しても丁寧に挨拶して来たので、襟を正してこちらも頭を下げる。

 

品の良さと強者のオーラが滲み出てくるのが分かる。

これが最強ステイヤー論争で大体名が上がるメジロマックイーンか…

 

「でも何でマックイーンがここに?北海道にあるメジロのお屋敷で療養中じゃなかったか?」

 

ウオッカの質問に、トレーナーが「俺が呼んだ」と答える。

 

「マックイーンの足の具合が良好のようでな、まだ完全復帰とはならないが、チームのみんなの力になりたいということで、マネージャーとして合宿に参加させた。」

「マックイーン…」

「心配をかけましたねテイオー。まだ本調子ではありませんが、皆さんを支えることは出来るはずです。この合宿をより良いものにしていきましょう!」

 

マックイーンの言葉にテイオーが両手を上げて大喜びし、他のメンバーも心強いと笑みをこぼす。

 

「よし!時間も押しているし、早速始めるぞ!」

 

トレーナーの号令で準備運動を行い、トレーニングに入る。

 

主に砂浜ダッシュやビーチフラッグなど、砂地で足腰を鍛えるものが中心だ。

 

 

 

(…うーん…)

 

お昼の休憩時間にふと自分の左足を見る。

 

(別になんともないよな…)

 

完治しているのは頭では理解しているし、何か違和感があるわけでもないが、かなり足を酷使したのでついつい気になってしまう。

 

「…アスランさん?」

「はい?」

 

その様子を見ていたマックイーンが声を掛ける。

 

「どこか足の調子が悪いのでしょうか?先ほどから左足を気にしてらっしゃいますけど…」

「いや、大したことではありません。」

「テイオーやトレーナーさんから聞き及んでいますわ。脚部不安があると。違和感で済んでいるうちに対処なさったほうが…」

「い、いや…えーっと…」

 

正直に今思っていることを話す。

 

「…なるほど、お気持ちは重々理解できますわ。それでしたら…」

マックイーンが手をポンと打つ。

「午後は私と一緒にトレーニングいたしましょう。アスランさんは泳げまして?」

 

こくりと頷く。

 

「あれ?二人ともおかわりしないのー?」

ここでおかわりのカレーを持ってテイオーが戻ってくる。

 

「あ、テイオー。午後ちょっとあなたの後輩をお借りしますわよ。」

「え?」

 

 

 

午後になり、ゴーグルをつけて海に入る。

マックイーンはホテルから水上バイクを借りてエンジンを掛ける。

 

「足へ負荷をかけずにスタミナを伸ばす最適な方法はやはり水泳ですわ。特に海で行う遠泳はプールと違い波がある分前へ進む推進力が重要となりますから、筋肉と体力、肺活量を鍛えるのにうってつけという訳です。

 

ゆっくり先導しますからついてきてください。」

 

エンジンを始動し、前を行く。

バイクの波を被らないよう斜め横をクロールしながらついていく。

 

30分ほど湾内を泳いだところで一旦浜へ戻り、息を整える。

水上バイクから降りたマックイーンからスポドリを手渡される。

 

「水の中にいると汗をかいたことに気付かず脱水症状を引き起こす恐れがあります。陸上でのトレーニング以上に水分補給は重要ですわ。」

「ありがとうございます。」

 

スポドリをガブ飲みし、少しストレッチする。

 

「さ、2本目いきますわよ!」

 

再び海に入り、同じように遠泳を行う。

 

これを数セット行い、日が傾いてきたころには身体がふやけまくってきた。

 

「おーい二人とも!そろそろ切り上げてくれー」

 

トレーナーの声が聞こえ陸にあがり、砂浜で大の字になる。

 

「つ、疲れた…」

「お疲れ様。よくついてこられましたね。」

 

マックイーンが俺の顔をのぞき込みながら労いの声を掛ける。

 

「マックイーンさんもありがとうございました。

しかし水上バイクの運転めちゃめちゃ上手ですね。」

「ええ、ハワイでお婆さまに習いましたわ!」

「どこの名探偵ですか」

 

二人で顔を見合わせ、笑い合う。

 

厳しいながらも後輩に寄り添い、理論的にトレーニングを行う。

テイオーとはまた違う、とても頼りになる先輩だ。

 

(テイオーが『競技者』として目指す姿ならば、マックイーンは『先輩』として目指すべき姿なのかもしれない)

そう思った。

 

「そう言えば、マックイーンさんは同じホテルに泊まるのですか?」

「ええ、トレーナーさんから貴方達と同じ部屋に泊まるよう言われておりますわ。」

「…やめた方が…」

「え?」

 

今朝の顛末を話す。

それに対する答えは

「それもまた楽しそうではありませんか」

だった。

 

すっかりスピカに染まってんなこのお嬢様。

 

「…まあそう言うことなら止めません。」

「とりあえずシャワー浴びてお部屋で着替えてご飯へ行きましょう!」

「あ、ここのホテルのバイキング良いですよ。スイーツも充実してて」

「スイーツバイキングですって!?

 

コホン

 

それは楽しみですね」

 

そんな愉快な先輩と談笑しながら部屋へ向かった。

 

 

 

その夜

午後8時 120号室前

 

「さてアスラン」

「何でしょうテイオーさん」

「ご飯美味しかったね!」

「ええ、バイキングだったので皆さん思い思いに食いまくって…」

「で、これから部屋に戻るところだね」

「そうですね、じゃあドアお願いします」

 

ガチャガチャガチャガチャ

 

「あれれ~ドアが開かないよ~?」

「おやおや…妙ですねぇ」

「最後に部屋出たの誰だっけ~?」(チラ)

「部屋に忘れ物取りに行かれたのでカギをお渡ししたんですがねぇ…」(チラ)

「…でも安心して!バルコニーのカギが開いていればビーチから入れるよ!」

「さすがテイオーさん!

あ、確認しに行ったウオッカさんとスカーレットさんが戻ってきましたね」

「あーあの様子だとダメだったっぽいね」

「これはいけませんねぇ…何が起っているんです?」

「ゴホン!それでは説明しよー!

 

だーれもカギを持っていない状態で、玄関もバルコニーも閉まっています!」

「つまりこれは」

「インキーされてます!」

「な、なんだってー!」

 

イ ン キ ―

 

「それではご紹介しましょう!」

「インキ―ウマ娘のマックイーンさんです!」

 

 

私 が

 

犯 人 で す(土下座)




ゴルシ「おいマックちゃん…何してくれてんだよ」
スペ「慌ててはいけませんよ!こんなときは沈着冷静に!」
ウオッカ「ただまあ打つ手はないな!」

ダスカ「…フロント行ってきなさいよ…」
アスラン「すぐ!」
テイオー「駆け足!」

マック(あんまりですわ!あんまりですわ!)(泣
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