『期待のジュニア世代!』
そんな見出しのスポーツ紙が度々出るようになった10月末。
トレセン学園でもそんなジュニア世代は注目の的であり、当事者であるジュニア世代の生徒達はみんなの活躍に続かんと精力的にトレーニングに励み、先輩であるクラシック・シニア世代は戦々恐々としていた。
そんなジュニア世代の中でも一際注目されているのは約3名。
一人は『サクラアスラン』
芙蓉ステークスにて快勝し、東京スポーツ杯、続くホープフルステークスでも有力視されている。
怪我とリハビリの過去を公表したことで『不屈のバイタリティ』『ど根性エリート』といった表現で評価されており、まだ2戦ながらファンからの支持も厚い。
もう一人は『タイキスチーム』
芙蓉ステークスではアスランに敗れたものの、アルテミスステークス(G3)では1着をもぎ取り、一躍有力選手の仲間入りを果たした。
『リギルの隠し球』『次代の女王』『タイキシャトルの弟子』と評価され、阪神ジュベナイルフィリーズに向け視界良好となっている。
そんな注目の的である2人はカフェテリアにて仲良くテーブルを囲んでいた。
「改めて…初G3制覇おめでとう!」
「ありがとう!アスランちゃん!」
先日のアルテミスステークスにてスチームが優勝したこともあり、ランチタイムで軽い祝勝会としゃれこんだ。
「はいこれプレゼント」と言って箱を渡す。
スチームが中を開けるとミサンガが入っていた。
「前雑誌読みながら欲しいって言ってたでしょ?渋谷で良さげなの買ってきたよ。」
「わぁ…ありがとう!」
ニコニコ顔で早速右腕につけるスチーム。
(…機嫌直って良かったぁ…)
背中から冷や汗が一筋たれる。
芙蓉ステークスで戦った後号泣してたかと思うと3日ぐらい口利いてもらえず、
「ごめんね、少し意固地になってた」と素直に謝ってきたので安心したのも束の間、
「スチームを悲しませたのはどこのウマの骨デスカー!!!」とタイキシャトルが部室にカチコミしてきて『トレセン大障害 4100m』状態になり、
アルテミスステークス前には芙蓉ステークス以上に部屋がピリピリしており、ここ数日気が気じゃなかった…
でもまあスチームからすればようやく待望の勝ち星なわけだし、目標へ前進といったところか。
「次はアスランちゃんの番だね!」
「うん、東京スポーツ杯まで後1ヶ月…気合い入れていかないと…」
次は初のグレードレースだ。
強い子が出ると聞いているし今までよりもレベルの高いレースになるだろう。
「…誰が相手だろうと躓く訳にはいかない…!」
握り締めた手を見つめ、ゆっくりと開く。
「…やっぱアスランちゃんは格好いいなぁ…」
「?何か言った?」
「なんでもないっ!」
「?」
そう言って明後日の方へそっぽを向いてしまった。
年頃の女の子は難しい…
するとそこへ「邪魔するで~」と俺たちのテーブルに一人のウマ娘がやってきた。
「邪魔すんのやったら帰って~」
「あいよ~」
「そう言えば東京スポーツ杯って前シリウス先輩が出てたみたいで「ちょちょちょい!!!」ん?」
「なにしれっと無視してくれてんねん!」
「なんですかタマモせんぱ…じゃない!?」
そこにはタマモによく似た芦毛のウマ娘がいた。
「おう!探したでサクラアスラン!ウチ見て何か言うことあるやろ!」
ビシッと自分自身に親指をむける件のウマ娘。
「…どなたでしたっけ…?」
「なに!?どなただと!?野郎ども!このウスバカゲロウを叩き切れっ!」
「なんだ木久○師匠か」
「うぉい!!!そんなことやりにきた訳ちゃうわ!!!」
「じゃあなんです」
すると一転して「そない冷たくせんでや…ホンマにウチのこと忘れたんか…?」と目に涙を浮かべる。
…この子もしかして『元のサクラアスラン』と知り合いだったとかそんな感じかな…?
「いくらなんでもひどいで…一緒に決勝で競いあった仲やないか…グスン」
「あー実は…」
頭の傷を見せて『事故で昔の記憶が曖昧になっている(という設定)』を伝える。
かなり驚いていたが神妙な顔つきになる。
「…そうか…そうとは知らず突っかかって堪忍な。」
「いえ、こちらこそ思い出せず申し訳ない。改めて名前を伺ってもいいですか?」
そう言うと「ええで!」と胸を張り、顔をズイと近づける。
「ウチの名前は『オーケーハーン』!笑いでも走りでも、あんたの永遠のライバルや!!!」
ちょい待ち今聞き捨てならない言葉があったんだけど。
「…笑いって…?」
「あーそこも分からんか…しゃーない!ウチとあんたの武勇伝を聞かせたるわ!」
~大阪お笑いダービー~
作 オーケーハーン
そう…あれは2年前の秋やった…
アスラン「なんか始まった」
ひらパーで行われた『ちびっ子お笑い選手権』…
決勝に進んだのはウチのコンビと…ピンで出ていた
アスラン「!?」
両者どっちも譲らず会場は爆笑の渦に包まれた。
最終的に審査員はウチらを評価して優勝したが…ウチの心は満たされんかった。
「井の中のメダカ大海を知らず」とはこのことやと痛感した…
アスラン「蛙だ蛙」
…あんたのことやからてっきり芸術学校やNSCにでも進むんかと思ったが…なんで中央におるんや!
アスラン「知らんわ!」
あんたが中央…レースの世界で一旗上げるつもりならウチかて負けるわけにはいかへん!
笑いでもレースでも…勝つのは自分や!!!
「…と言うわけや。記憶があろうが無かろうがウチには関係あらへん。ウチはあんたに勝つために中央へやってきた。
東京スポーツ杯、首洗って待っとき!」
そう言って嵐のように立ち去っていった。
『オーケーハーン』
ジュニア世代3強の一角。
転入生ながら早々に頭角を現し、
新潟ジュニアステークス・札幌ジュニアステークスの両G3を制覇している、
『ジュニア期マイル王者』
そんな好敵手が俺の前に立ちはだかろうとしている。
…ただ目下の問題はそれではなく…
「あ、アスランちゃん。お笑い好きなの…?」
どことなく引いた表情で俺を見るスチーム。
「エ?アア、ソウミタイダネ。」
…ちょっとアスランちゃゃゃゃゃん!?!?!?
あんた俺が転生する前一体何やってたんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?
作者「こーんにーちはー!」
アスラン「うるせぇよ!」
作者「有馬記念、負けたよ!」
アスラン「慰めてやってください」
キタサン「イクイノックス優勝おめでとう!」
キング「作者はヴェラアズール軸にして惨敗したらしいわ!」
フラッシュ「Deutschland, Deutschland über alles,Über alles in der Welt!(白目)」