2枠 2番 8番人気 コトブキガエシ 中央
3枠 3番 5番人気 ハルカゼステップ 高知
3枠 4番 10番人気 アンサーマスト 大井
4枠 5番 12番人気 デンワハニバン 浦和
4枠 6番 2番人気 フリューゲルライン 川崎
5枠 7番 1番人気 レッドビーチボーイ 中央
5枠 8番 4番人気 ナイスデスナ 船橋
6枠 9番 14番人気 エシカルフレイ 門別
6枠 10番 9番人気 ネイビーポイント 中央
7枠 11番 3番人気 レスキューホープ 盛岡
7枠 12番 6番人気 メタルペガシス 中央
8枠 13番 7番人気 アローマガジン 中央
8枠 14番 13番人気 アイムオン 門別
話は2週間ほどさかのぼる。
12月13日 川崎レース場
地方主催の重賞であり、ジュニア期唯一のダートG1である全日本ジュニア優駿。
中央・地方からジュニア期のダート巧者が寒空のもと集結していた。
「しゃあしゃあしゃあ!!
ついにレッドの時代がやって来たジャン!」
カノープスに所属するレッドビーチボーイは足取り軽く川崎の砂を踏む。
横浜出身のレッドにとって川崎はなじみ深い地であり、元々川崎トレセンに入るつもりでもあった。
「レッド気合い入ってるじゃんねー」
「ライン!久しぶりジャン!?」
そんなレッドに話しかけて来たのは川崎所属のフリューゲルライン。
名の通り赤い勝負服を着るレッドとは対照的に青い勝負服を着込み、朗らかに笑う。
「『一緒に川崎で伝説作ろうジャン!』って小学校の卒業式で言ってたのにまさか中央に行ってるなんて思わないじゃんね。」
「お、俺だって気付いたら中央にいたんだから仕方ないジャン!」
小学校の同級生だった2人はお互い軽口を言いながら返しウマに入る。
「レッドの武勇伝は聞いてるよー『中央ダート負けなし』だって。
でも…こっちには地元川崎のメンツが掛かってる。
クラシック行く前に引導渡してあげるね?」
「望むところジャン!」
お互いの目線がぶつかり、火花が飛ぶ。
そんな様子をカノープスのメンバーはスタンドから見守る。
「むむ!レッドちゃんが1番人気ですって!」
「ターボのシンジンなんだからとーぜんだ!」
「地方は中央とはまた違った雰囲気がして興味深いですね。」
「そだねー。おっもつ鍋屋発見!」
「みなさん…はしゃぐのは結構ですが応援の準備はできてるんですか…?」
「あはは…」
毎度おなじみかしましカノープスのメンバーを引率する南坂トレーナーと、苦笑いを浮かべるエイトガーランド。
(…ん?)
ふと、ガーランドがコースに目を移すと一人のウマ娘が目に入る。
芦毛のショートヘアで、だんだら模様の羽織を着込んでいる。
朱色の羽織には
(…なんか…雰囲気が…)
「エイトーこっちだよー」
「あっ、今行きます。」
ネイチャに呼ばれたガーランドは視線を戻してみんなの元へと向かった。
…
『さあお待たせしました!
川崎レース場本日のメインレース。
全日本ジュニア優駿G1!発走時刻となりました。
師走の川崎に集まったジュニア期のダート自慢達がしのぎを削ります!
3番人気は『岩手のオグリキャップ』こと盛岡所属レスキューホープ!
2番人気は川崎の次代を担うフリューゲルライン!
そして1番人気は中央ダート負けなしの超特急レッドビーチボーイ!
勝っても負けても1発勝負!
運命の瞬間です!」
テンションの高い実況と共にゲート入りは進む。
ナイター特有の煌々としたライトが出走者達を照らす。
『スタートしました!』
全員が一斉にゲートから飛び出す。
『先頭は予想通り7番レッドビーチボーイ!勢いよく逃げていきます。
2番手につけたのは4番アンサーマストと6番フリューゲルライン。
そのすぐ後ろに3番ハルカゼステップ。
2馬身離れて10番ネイビーポイント、ナイスデスナも追走。
JBCジュニアの覇者であるレスキューホープは後方となっております。』
川崎は地方レースによく見られる小回りのコースとなっている。
直線も短くカーブも急なため、マイルとは言えいかに早く仕掛けるかが焦点となる。
最序盤で加速して減速することなくトップをひた走るレッドがそのまま押し切り体勢に入る。
『さあスパイラルカーブを回って最終直線!
先頭は依然レッドビーチボーイ!
内側からフリューゲルラインが迫ってくる!』
赤と青の勝負服が重なり一進一退のつばぜり合いが起る。
視線バチバチの2人が残り100mを過ぎたところで
((…ゾク…))
同時に得体の知れない悪寒を覚える。
2人同時に振り返ったところで目に飛び込んできたのは、
まるで真剣を持って討ち入らんとする朱色の侍の姿だった。
『外からレスキューホープ!レスキューホープだ!
2人まとめて撫で切った!
レスキューホープゴーーーールイン!!!』
スタンドから歓声とどよめきが湧く。
「…すごいな…あいつ…!」
エイトガーランドはそう戦慄した。
(…アスランの他にあんな強者がいるとは…ダート路線も熾烈だな。)
そうガーランドは
「やいお前!」
ゴール後、興奮覚めやらぬ中ホープのもとへレッドがズンズンと歩み寄る。
すわ喧嘩かと一瞬空気が張り詰める。
「ち、ちょいレッド喧嘩はダメじゃんね!」
ラインの制止も振り切り、ホープとレッドが対峙する。
「…お前すっげぇジャン!!!」
ラインが盛大にずっこけた。
どうやらレッドは悔しいだの怒りだのといった感情よりも、ものすごい傑物に出会えたという興奮の方が勝っていた。
「めちゃめちゃかっこよかったジャン!次もまた一緒に走ろうジャン!」
「え?あ、うん、ありがとう?」
レッドの圧に思わずたじろぐホープ。
「あの末脚ヤバかったなぁ…
アスランみたいだったジャン!」
「…アスラン?」
聞き慣れぬ単語に耳をぴくりと動かす。
「そ!サクラアスラン!
多分中央の芝で一番早い奴!
一回戦ったけど後ろからギューンって追い抜く凄い奴ジャン!」
「へぇ…君以上に強いんだ…」
ホープの目が一瞬怪しく光る。
「あーでもアスランって芝しか走らないジャン…
ダート走ったとこ見たことないし…
地方はダートしかないから比べようがないジャン…?」
「いや?僕は芝も走れるよ?」
「え?」
「盛岡は芝もあるからね…。両方走ったこともあるよ。」
「え!?盛岡って芝あるジャン!?」
「なにそれヤバいじゃんね!?」
「えっちょウチらにも聞かせてよ!?」
遠巻きに様子を見ていた他の子―4着のハルカゼステップを除く―全員が集まり、興味津々にホープを質問攻めにする。
レスキューホープは質問に受け答えながらも他のことを考えていた。
(…サクラアスランか…
一度戦ってみたいな…)
対照的な両者が出会うのは、そう遠くない未来である。
ホープ「狙うは吉良上野介の首ただ一つ!
御用改めである!」
作者「赤穂浪士なのか新選組なのかはっきりしてくれ」