俺が転生したと気付いてから今までずっと気になっていたことがある。
『自分は一体どこの世代にあたるのか』という点だ。
まず思い当たったのはキタサトのいる15・16世代だ。
アニメからの流れだと最も自然だろう。
しかし入学式の会場や俺のクラス、休み時間に同学年の他クラスをのぞいたがついぞ見つけられなかった。
ドゥラメンテやマカヒキがいたらぜひサインをもらいたかったが…彼らもいなかった。
ただこれはある程度想定していた事態でもある。
考えてもみてほしい。
キタサトの容姿がアニメ1話の日本ダービーから最終話の有馬記念まで、約2年の月日が経過していてほとんど変化していなかったのに、
有馬記念から翌年の入学式の約4ヶ月でああも一気に成長するものなのか?
今思えば繋靭帯炎を発症したマックイーンがいつの間にか回復してテイオーと一騎打ちしていたのも疑問が残る。
つまりテイオーの有馬記念からキタサトの入学まで、1・2年のタイムラグがあるというのが自然だろう。
そうなれば諸々の説明がつく。
まあウマソウルの力だとか急激な本格化だとか、なんなら安心沢がやらかしたと言うのなら話は別だが。
次に考えたのはゴールドシップのいる12世代だ。
あの
だがこちらもジャスタウェイやジェンティルドンナ、ディープブリランテ、ホッコータルマエもいなかった。
こうなってくるとあの『
やだよ英雄に加えてヴァーミリアンやシーザリオ、アドマイヤジャパンのいる魔境中の魔境に放り出されるのは。
どの世代もそうだが見る分にはともかく一緒に走るとなるとケチョンケチョンにされる末路しかない。
というか同期の子達を調べていくうちに恐ろしい事実に気付く。
世代で必ずいるはずのダービー馬の名を持つ子すらいない。
いやこんなことある???
前世知識があるのだから将来活躍する子と仲良くなったり、マークしたり、攻略法を考えたり、力及ばずとも同期の偉業を間近で応援したり…
そういうものじゃないの?転生ものって!!!
おい三女神仕事しろ!!!
つまり俺は誰がどう活躍するのか分からない、
『存在しない世代』または『架空の世代』に転生したって認識でええんかい?????
なにこのハードモード過ぎるウマ娘は。
あー目覚まし時計使いてー。
なんならもう『全部夢でした』でいいから現世に帰してくれぇ…
…
―自分は架空世代のウマ娘。
その事実に頭がショートし、初日の新入生オリエンテーションは終始某戦車道の隊長のように目が死んだ状態で受けた。
「大丈夫?アスランちゃん。さっきからぼーっとしてるけど。」
「ああいや、なんでもないよ。」
「ふーん?」
一日目が終わり、所属する各学生寮へ向かう途中で声を掛けてきたのは、同じクラスで隣の席の『タイキスチーム』だった。
この子はクラスに入って早速声を掛けてきた子であり、一番最初に仲良くなった子だ。
(『タイキ』の冠名が付いているけど聞いたことない名前だな…)
とこの世代の違和感に気付く最初のキッカケになった子でもある。
「でも最初に友達になれたのがアスランちゃんで良かったー。私北関東の日光出身で、知ってる子が誰もいなかったから心細くて。」
そう照れくさそうに少し手で顔をかく。
「それはこちらの台詞だよ。自分は大阪の出だから色々と気後れしちゃって。(まあ中身は関東民だが)」
「寮も同じ栗東でよかったー!部屋が近いといいね!」
「ふふっ、そうだね。」
こういう明るい子と話していると自然と心が和む。
さっきまで現実を受け入れ切れずオーバーヒートしていたが大分頭が冷えてきた。
落ち着こう。
架空でも魔境でもやることは同じだ。
力をつけ、名の通り『一花咲かせる』
治療してくださった担当医さんや一緒にトレーニングメニューを考えてくれた理学療法士さん。
そして快く送り出してくれた今世の両親。
彼らに走りでもって恩返しをする。
それが俺の第一目標だ。
ちなみにさっきスチームから「アスランちゃんの目標は?」と聞かれたため上記の内容を答えたら「かっこいい…!」と言われた。
「大した事やないと思うけど…じゃあスチームの目標は?」
「うーん…私はやっぱりティアラに憧れるなあ…」
うん俺より立派に目標が具体的に定まっているじゃねーか。
てか今気付いたけど耳飾りが左についているな…
つまりモデルは牝馬か。
まあ架空馬にモデルもなにもないと思うが。
そして栗東寮の前に着き、貼り出されている部屋割り表を確認する。
「アスランちゃん!私達同じ部屋だよ!!やったあ!!!」
「うん。これからよろしく。」
正直知ってる奴と同室というのは心強い。
…あとは目のやり場に注意しなければ…
この子ホントに中1か?
学校のクラス発表のように部屋割り表の前で同級生達とザワザワしていると「やあ」と言って寮の中から一人のウマ娘が現れる。
「初めまして、新入生諸君。私はこの栗東寮の寮長をしているフジキセキだ。栗東寮を代表して君たちの入寮を心より歓迎するよ。」
おお、『孝行息子』フジキセキだ。
ウマ娘だと「どこの宝塚だよ」とツッコミたくなるようなキャラだが、
アプリでは意外とアツい部分があり、なんだかんだでよく育てていた子だ。
「今日はささやかながら君たちへの歓迎会を用意した。部屋に荷物を置いたら1階の食堂へ集まってくれ。時間厳守で頼むよ、ポニーちゃん達♪」
キャアという黄色い歓声があがり、何人かその場でへたりこんでしまう。
横にいたスチームも放心状態となり、戯言のように「フジ先輩…すてき」とつぶやいていた。
地方から出た来た初心な乙女達には刺激が強すぎたようだ。
アスラン「てめえ『前世知識で頑張れ』って言っておきながら全然使えねぇ世代に転生させるなんてどういう神経してんだい!?」
神的なの「いやーその方が面白いかなと。」
アスラン「…」
神的なの「あ、待って、悪かったから、無言でRPG7構えないd」
作者「だめだアスラン!歴史が変わってしまった!タイムパラドックスだ!」