翌日。
眠い目をこすりながら教室へ向かう。
「アスランちゃん、すごく眠そうだよ。まだ2日目なんだから楽しんでいかないと!」
とスチームが俺の両肩をバシバシと叩いてくる。
「ウン、ソウダネ。」
…いやほとんど君のせいだからね?
〈昨夜 サクラアスラン・タイキスチーム部屋〉
「―それでね、私がフジ先輩のマジックの相方に選ばれてね、マジックが成功すると先輩が「ありがとう、君が可愛らしくエスコートしてくれたおかげだよ」って耳もとで囁いてくれたんだよ!あんな素敵な人見たことないよ!しかもその後ね…ちょっとアスランちゃん聞いてる?」
「ウン、ソウダネ。」(午前1時)
コンコン
「こんばんは、2人とも。」
「ハッ!フジ先輩!?」
「こんな時間まで起きているなんてイケナイ子達だ。明日はまた早いのだから…もう寝なきゃダメだよ。」(ウインク)
「…キュウ」
「あははっ、どうやらしゃべり疲れてしまったみたいだね。ちゃんと布団で寝かせてあげるんだよ。」
「は、はい」
「それじゃあお休み、ポニーちゃん達♪」
…ウインク一つで悩殺される人ってマジでいるんだなあ…
と思ったのが昨日(てか今日)の夜の出来事だ。
午前中の座学は手の甲をつねりながらなんとか乗り切った。
午後はジャージに着替えて『実技基礎』という時間となる。
いわば学園主催のトレーニングだ。
「えーそれじゃー。あーまずはアップからー。うー2人組のペアを作ってー」
とコーチの指示が聞こえる。
コーチはトレーナーとは異なり教職員の立場から生徒を指導する先生だ。
コーチが体育科の教員ならトレーナーは部活の顧問といったところか。
コーチの指示に従いながら2人組でアップを行なう。
ペアになったのは赤い髪が特徴的な『レッドビーチボーイ』と言う子だった。
…こういうのって『赤兎馬』ってやつじゃなかったか?
古代中国で伝説になってたはずだが…
もうあれだな、架空だからなんでもありなんだな(ヤケクソ)
「えー本日は皆さんに『ゲート』を体験してもらいます。あーレースにて使われるものと同型式です。うー距離は800mです。」
とコーチから説明があり、6人ずつゲートに入っていく。
シングレにも同じような場面があったな。
ガシャンという金属音と共に前の組がスタートする。
先頭を逃げるのはスチーム。
そのすぐ後ろに2・3番手が付き、少し離れて後半グループが控える。
最終直線で抜かされてしまい2着だったがいい走りだったと思う。
同室として頑張らねば。
「次の組ー」
と呼ばれ、ゲートに入る。
ふと東京競馬場にある資料館にて『スターター体験』をやった時のことを思い出す。
ガシャンという音と共に視界が開ける。
特に脚質は決めていないが
先頭を走るのはさっきの赤髪の子。
その後ろに俺が付き、2馬身離れて中段グループが形成される。
後半グループは2人だが…あれは差しでも追い込みでもなく単に追いつけていないだけか。
しかしこの前をはしる赤髪の子…
なんか遅い。
さっきのスチームが中々良い逃げだったのもあり、どうしても比べてしまう。
…もう追い抜いていいかな。
いや待て、どこぞのいろは坂のエンペラーも言ってるだろ。
「相手をよく観察しろ」って。
そうでなきゃ「いろは坂のサルじゃねえんだからちったァ頭使えよ」ってビンタがお見舞いされる。
よし観察だ。
…やっぱり遅い!
おい中段グループがどんどん差を詰めてきてるぞ!?
この子たぶん「とにかく前を走れば1番!」って思ってる子だ!?
ダスカか!?いやターボかお前っ!?
もういい追い抜く!
そのままコーナーの遠心力を使って一気に外に出ると、
その勢いを殺さず加速力に変換。
そのまま最終直線を駆け抜け1着でゴールイン。
2・3着と続き、赤髪の子は5着だった。
おいその赤色は飾りか???
だが最後まで諦めず走りきったのは好感が持てる。
多分現世なら応援馬券買ってるな。
こうして俺のある種最初の実戦は特に問題なく終わった。
コーチ「えー。あー。うー。」
アスラン(…こいつの中身大平元総理だったりする?)