芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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皐月賞 中山 芝 2000m 後編

気付けば俺は荒野の真ん中にいる。

なぜ、と思う間も無く煌びやかな装飾に身を包んだ軍楽隊が行進する。

 

トルコが誇る『メフテルハーネ』のけたたましい勇猛な音楽が心に火を付ける。

 

かつて、このメフテルの笛の音色は『文明の十字路』たるオスマン帝国の権威と武威の象徴であり、

敵国や征服地にとっては恐怖そのものだった。

 

『鬼より恐ろしいオスマンが来た』と。

 

そして目の前には重厚な鎧を身につけたウマ娘の騎士たち。

所謂『重装騎兵(カタフラクト)』が隊列を組み、一斉に剣を引き抜く。

 

そして俺もまた、

帯刀していたサーベルを、ゆっくりと引き抜く。

 

前方を邪魔するものは、なにもない。

 

 

「―偉大なる先達よ

 

誉れ高き英霊達よ

 

願わくば

 

 

 

 

我らを導き給え!!!

 

剣を振り下ろし、号令を下す。

 

2つの海と大地を征服した三日月の軍団が、喊声と共にターフを揺らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

息がつらい。

 

ウチなんかじゃもう手も足も出ない。

 

…視界を遮んなや!

泣いてる場合やない!

 

見届けるんや!

 

アスランの駆ける姿を!

 

確実に歴史に名を残すであろう

 

ウチの『ライバル』の勇姿を!

 

 

 

『サクラアスラン先頭!若獅子に翼が生えた!

 

中山の桜は二度咲き誇る!

 

 

サクラアスランゴールイン!!!

 

 

ルドルフが、テイオーが成し遂げたあの無敗の皐月賞制覇!

サクラアスランもその軌跡を辿ってみせました!』

 

地鳴りのような歓声が上がる。

 

感動・興奮・戦慄・熱狂。

様々な感情がこの祭りのフィナーレを飾った。

 

『そして勝ち時計は…

1:58.0!レコードタイムにコンマ差まで迫る好走!

そして今』

 

右手を高々と掲げた。

 

『天に向かって人差し指を掲げた!

 

サクラアスランまず1冠!』

 

スタンドのスピカメンバーも一緒に人差し指を掲げる。

 

「アスランありがとう!さいっこーの誕生日プレゼントだよ!」

 

テイオーの無邪気な歓喜の声が響いた。

 

 

 

 

 

ライブの控室へ向かう途中、腕組みをして待つウマ娘がいた。

 

「…おめでとさん、アスラン。」

「ハーン…」

 

俺とハーンの勝負服は芝や泥が飛び散り妙なアクセントとなっていた。

 

「あんときウチに発破をかけてくれたことの礼を言いたくてな。

もし中途半端に戦っていたら…今頃完全に心が折れていたと思うわ。」

 

ハーンが苦笑いしながら肩を叩く。

 

「あんたと最後に戦えたことを誇りに思う。

あんたは間違いなく歴史に名を残す存在になる。」

「そこまで評価してもらえるのは…嬉しいな。」

 

こっちも肩を少し叩く。

 

「中・長距離路線はアスランに譲ったるわ。

ウチはマイルと短距離を極める!」

 

拳を突き出してきたのでこっちも拳を突き出す。

 

「言われずとも。必ず3冠を、ダービーを獲ってみせる!」

「それでこそお笑いおんや!

なんならダービーの前にNHKカップでもう一戦洒落込むか!?」

「…結局未練たらたらやないかい!」

 

『若獅子』が『草原の王』にツッコむ。

 

騎馬民族(トルコとモンゴル)の長をモチーフとした両雄は、

そのまま軽口を叩き続けた。

 

 




目標達成!

皐月賞にて1着

次の目標

日本ダービーにて2着以内



サクラアスラン 固有スキル
『Ceddin Deden』
一度も掛かること無く最終直線に差し掛かり、好位置にいる場合、
先陣にて号令すべく速度が上がる。


(アスランの口上は名前の元ネタでもある『アルスラーン戦記』の『全軍突撃(ヤシャスィーン)』を参考に)
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