#ホープに続け! 三人称視点
『サクラアスラン無敗2冠達成!』
『地方所属レスキューホープ ハナ差2着の快挙!』
『双璧の優駿』
『中央・地方戦国時代!』
日本ダービー終了直後から、この衝撃的な結果はメディアやSNS、口コミ等によって瞬く間に全国に伝わった。
新聞やニュースではアスラン・ホープ関連の見出しが連日のように掲載され、気の早い人達の間では、既に菊花賞の予想合戦が繰り広げられていた。
特に、地方盛岡所属であるレスキューホープが、無敗の皐月賞バサクラアスランに肉薄し2着という決着が地方シリーズに与えた影響は計り知れなかった。
門別
「ねえねえ!昨日のダービー見た!?」
「もちろん!ヤバいっしょあれ!?」
川崎
「私現地で見てたけど…鳥肌が止まらなかったじゃんねー」
「「「詳しく!!!」」」
カサマツ
「あの地方の子2つ名が『岩手のオグリキャップ』だって」
「確かにオグリみたいな走りだった」
「オグリはあーしらが育てた」
園田
「あのサクラアスランがここまで追い込まれるとは…」
「中央勢も絶対やないってこと…やな!」
「明石焼き食ってる場合やない!」
金沢
「…
「うちも。心の底が燃え上がるような気持ちになった…」
佐賀
「今までは交流戦とかで中央勢にいいようにやられてきたけど」
「これからは地方の時代だ!」
「「「レスキューホープに続け!!!」」」
レスキューホープがもたらした熱は全国の地方トレセン学園に広がり、
いつしか、地方から中央入りを目指す子、
あるいは「中央がなんぼのもんじゃい!」と息巻く子達の間で、
『ホープに続け!』は合言葉の様に浸透していった。
高知
「『先日の日本ダービーはものすごいレースでした
中央勢としのぎを削ったホープさんの様に、私も中央入り目指して今日も頑張ります!
応援よろしくお願いします!
#ハルカゼステップ
#ハルウララ先輩
#高知トレセン学園
#ホープに続け!』
…これでよしっと。」
スマホをタップしSNSに投稿を乗っける。
(あのとき川崎で競ったレスキューホープがダービー2着か…
凄い奴と戦ったんだなあ…)
ハルカゼステップは年末の全日本ジュニア優駿を思い出す。
当時でさえ圧倒的な末脚の鋭さについて行けず、悔しい思いをした。
「そら敵わないはずぜよ」とつぶやき、再度SNSを見る。
「…あ、もうコメントがついてる」
『ハルウララの弟子』を公言するステップは、学園側の許可を得てSNSを活用している。
ハルウララからそのまま流れてきたファン層や、新規のファンの開拓・発信が主だ。
これは、圧倒的な人気で有馬出走までこぎつけたウララから見習った点であり、今やフォロワーは5000を超す。
投稿に目を通す中で、あるコメントに目がとまる。
『練習お疲れ様です、中央進出応援してます。
…でもこのまま行ってもレスキューホープの2番煎じにしか成りかねないですね…』
コメントを見て少しため息が出る。
…正直その通りなのだ。
今から中央に行ったところで、ダービー2着のホープを上回るインパクトを与えられるか…?
と聞かれれば言葉に窮する。
『ハルウララの弟子として活躍し、師弟の力を示す』のが目的のステップにおいて、
同じ地方バのホープが話題をかっさらうこの状況では、活躍しても注目されないかもしれない。
『#ホープに続け!』という言葉は、
ある種諸刃の剣なのだ。
(…ならこっちも高知優駿で優勝して高知ダービーウマ娘の名を…!
…だめだ、地方重賞と国際G1じゃ勝負にならんき…
いっそもう一回ダービーがあれば…)
そう思ったところでフッと思考が止まる。
「もう一回ダービー…?」
そしてガタッと立ち上がり、猛スピードで部室に向かう。
「ウララ先輩!!!」
「うわあ!
ステップちゃん!?どうしたの?」
「私、G1を!ジャパンダートダービーを目指します!」
「ふえ?」