芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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義理か本音か 三人称視点

『なるほど、それでおらに相談に…』

「はい…」

 

保科トレーナーから二者択一の選択肢を提示されたその夜、レスキューホープは盛岡のグレートホープ会長に電話で相談していた。

 

同じ『ホープ』の名を持つ2人は気の合う先輩・後輩として仲が良く、気兼ねなく話せる間柄だった。

 

『そうだべな…おらからしたら答えは一つしかないようなもんだが…』

「ほ、本当ですか?」

『ああ、レスの字よ。

おめは…どこのウマ娘だ?』

「?…むつ市大湊…」

『ああすまん、言い方が悪かった。

 

おめは、どこ所属のウマ娘だ?』

 

静かに、諭すような声がスマホから聞こえる。

 

「………岩手盛岡です。」

『そうだ。おめは中央ではなく地方の子だ。

であるなら、自ずと答えは決まるはずだべ。』

「それは…」

 

レスキューホープが言葉に窮する間、グレートホープは自分の考えを伝える。

 

『資金や設備が潤沢な中央に比べ、地方はどこもギリギリだ。

それでも、おら達地方のウマ娘がのびのびと走ることが出来るのは、一重にその地方を支える地元のファンがいてこそなんだ。

だからこそ、地方のウマ娘は、あくまで地元のファンのためにレースをするのが、道理というもんだべ。』

「道理…」

『んだ。確かにおめの中央レースでの活躍は素晴らしい、そこは認める。

だけんじょ、だからといって地方のレースを疎かにしていいわけはない。

ましてやそれが南部杯ともなれば…な。』

 

グレートホープの正論がレスキューホープに突き刺さる。

それでも、自分の気持ちとの折り合いがつかない。

 

「でも…でも、約束したんです。

菊花賞でアスランと再戦を―」

『ならぬものはならぬ!』

「っ!」

『…それが「義理を果たす」ということだべ。』

「…」

『とにかく札幌記念はお疲れ様。

また凱旋パーティーの準備をして待ってるから、気をつけて帰ってくるんだべ。

では!』

 

通話はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

翌日

 

昨晩、ろくに眠れなかったホープは札幌の街を当てもなくさまよっていた。

 

(…南部杯か、菊花賞か…)

 

頭が混乱し、いまだ整理がつかない。

本音は当初の予定通り、アスランのいる菊花賞だ。

だが、昨日いわれた正論が残る。

 

 

悩み歩き続けている内に腹の虫が鳴く。

 

時計台の時刻は既に12時を過ぎていた。

 

(とりあえず食べてから考えよう…)

 

そう考え、札幌市内にあるさっぽろラーメン横丁へと足を向ける。

 

横丁に入ったところで、とある店の前に人だかりが出来、おのおの店内の写真や動画を撮っていた。

 

興味を持ったホープが店を覗く。

 

「…ふう…

…おかわり。」

「ぐぁーっ!もう勘弁してくれ!

スープも麺も底をついちまった!」

「む、そうか…大将の作るラーメンはとても美味しいからついつい食べ過ぎてしまった…

…また来てもいいだろうか?」

「かーっ!そう言われちゃあ料理人冥利につくってもんよ!

次来るときはありったけの量用意して待ってるからいつでも来てくんな!

 

オグリキャップさん!」

 

でっぷりとお腹を出して店の外に出ると

 

「…!」

「…君は…」

 

オグリキャップとレスキューホープの目が合い、そして

 

「「ぐぅ~」」

 

二人同時にお腹が鳴った。

 

 

 

 

 

大通公園

 

「君もあのラーメンを食べに来ていたのか。

全部食べてしまってすまない。

そこの屋台で焼きトウモロコシを買ってきたから一緒に食べよう。」

「は、はあ…」

 

オグリキャップとレスキューホープは、公園内にあるベンチに並んで腰掛け、袋いっぱいに入った焼きトウモロコシを頬ばる。

 

「…」

「え、えと…オグリキャップさん、ですよね。」

「私のことを知っているのか?」

「そりゃ流石に…

あ、僕はレスキューホープといいます。」

「ホープか、良い名前だ。

オグリキャップだ、よろしく頼む。」

 

二人の芦毛のウマ娘はここで初めて名前を交わした。

 

「なんだか不思議な気持ちだ。

心が温かくなるような…()()()()()()()を、君からは感じる。」

「僕も…同じ気持ちです。」

 

レスキューホープにしてみれば、グレートホープに初めて会った時と同じような感触を覚える。

 

(この方が、『芦毛の怪物』オグリキャップ…)

 

『岩手のオグリキャップ』という2つ名で呼ばれるホープから見て、オグリキャップは雲の上の存在、歴史上の偉人のようなイメージを持っていたが、

 

(…意外と普通…かな…?)

 

実際に会ってみるとどこにでもいそうな、親しみやすさすら覚える程だった。(腹以外)

 

「…何か私の顔に付いているだろうか?」

 

まじまじと見つめていたため、オグリが問いかける。

 

「い、いえ!その、

…噂には聞いてましたが本当によく食べるんですね。」

「む…まだ8分目ぐらいなのだが…」

「やはりそれだけ食べるのが強さの秘訣なんですか?」

 

急に話を振られたホープは慌てて食欲と強さのことを聞く。

 

「そうだな…沢山食べて力に変えるのも大事だが…

一番は『みんなのため』という思いが、私を強くさせてくれた。」

「みんなのため…ですか?」

「私は中央ではなく、カサマツ…地方出身なんだ。

カサマツを離れるときは、トレーナーや友達、地元のみんなと離れてしまうのがさみしかった。

それでもカサマツのみんなは、遠くはなれた故郷から、私を応援し続けてくれた。

たとえカサマツで走れなくても、変わらず応援し続けてくれるみんながいた。

 

みんなの声に応えるために、『どう』走ればいいか。

そう考えたら、不思議と力がわいてくるんだ。」

「『どこ』ではなく…『どう』走るか…」

 

ほぼ同じ境遇の先輩からの話は、

ホープの心に、

正論よりも深く突き刺さった。

 

「…オグリキャップ先輩」

「ん?」

「ありがとうございます。

先輩のおかげで、決心がつきました。」

 

ホープはオグリを見て、深々を頭を下げた。

 

「なんのことか分からないが…

君の力になれたのなら、うれしい。」

 

オグリは少し戸惑ったが、ホープに微笑んだ。

 

「さあいっぱい食べてくれ。

まだまだたくさんあるからな。」

「頂きます!」

 

 

 

その日の夕方、

レスキューホープ陣営は、正式にG2セントライト記念への出走を表明した。




・レスキューホープ

父 グレートホープ
母 アネスト(母父 オグリキャップ)

クロス

トピオ(FR) S3×M5 
Native Dancer(USA) M4×S5 
Nearco(ITY) S5×S5 



クロスは知識皆無に等しいので深くツッコまんといて…
調べれば調べるほど訳分からん
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