芝の獅子帝―サクラアスラン奮闘記   作:シェルト

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初めて有馬記念を現地観戦しました。

めちゃくちゃ興奮しました!
ドウデュースと武騎手おめでとうございます!
(なお馬券)



師の心弟子知らず 三人称視点

アスランがルドルフ・テイオー・ローレル(親バカ3人衆)の下へ着払いで送り返されていた頃。

 

 

 

盛岡トレセン学園 生徒会室

 

 

「思い知ったべレスの字。地方バが中央に正面切って挑むことがどんなに難しいか。」

「…」

 

 

日本ダービー・菊花賞にて連続2着という抜群の成績を引っさげて凱旋したはずのレスキューホープは、

生徒会長のグレートホープから開口一番冷ややかな言葉を受けた。

 

「南部杯に出ないとおらに啖呵切っておいて勝てないとは…

おめはおらだけでなく、おめの走りを期待していた岩手のファンをも裏切ったんだ。

その重みがわかるな?」

「そ、それは…」

「…待って下さい会長!」

 

心配でホープと一緒にやってきた同室のヴィノロッソが声を上げる。

 

「勝てなかったとは言え菊花賞で2着、セントライト記念は1着ですよ!?

元中央バならわかります、これがどんなに偉大なことか!」

 

会長が視線だけでヴィノロッソを制す。

 

「…っ!」

「…勘違いしないでほしいが」

 

そう前置きした上でホープへ視線を向ける。

 

「中央を走ることが悪い訳ではない。

大事なのは、自分が地方バであるということ。

 

地方のファンあっての競技ウマ娘であるということ。

 

地方より中央を優先する理由などあってはならないということだべ…!」

 

歴戦の岩手の優駿であるグレートホープの視線がレスキューホープを貫く。

 

「…これであのダービーバ(サクラアスラン)にリベンジかませたってんならここまできつく言ってないべさ…」

 

ホープに聞こえない声でボソッとつぶやいた。

 

「…失礼します。」

「え?あっ、ちょっと、ホープ!?」

 

レスキューホープは頭を下げて退出し、ヴィノロッソも慌てて後を追った。

 

 

 

 

 

 

ふぅとグレートホープが息を吐き、肩の力を抜く。

 

「…いくらなんでも厳しすぎやしないか?」

 

ここで生徒会室のソファーに座って、やり取りを黙ってすべて見ていた寮長のスイフトセイダイが口を開く。

 

「おめら2人とも何があったんだべ。ここ最近仲が悪すぎるぞ。

ちょっと前の会長なら

『レスの字の慰労会だ!』

ってリヤカー引いてパーティーの準備してる頃だべ。」

「…おらも色々と思うことがあるんだべ」

「思うことってなんだべさ、やっぱり戦績か?

いいことでねぇべか。中央G1で2着、大したもんだべ。」

 

スイフトがおもむろにスマホを取り出し画面を見せる。

 

「SNS見てみろ。『#ホープに続け!』のハッシュタグで多くの地方バが中央目指して―」

「それだ」

「え?」

 

ペンを置いてスイフトを見る。

 

「あいつはまるで理解していないが…レスの字は影響力が強すぎる。

いまや3冠バのサクラアスランと並ぶ地方の顔だべ。

 

そんな『地方の代表』みたいなウマ娘が中央ばかり出てみろ。

みんな中央ばかり目指して、ただでさえ規模の小さい地方レースが益々衰退する…

 

あくまで地方バは地方のために走るべきだ。

 

中央や中央の観客のために地方があるわけでねぇ…

レスの字にも分かってもらいたかったが…」

 

苦い顔をしつつどことなく寂し気な表情をする。

 

「…『地方は中央の2軍ではない』か?」

「…おめも好きだなその漫画。」

 

ようやく少し笑った会長を見てスイフトも笑い返す。

 

「強いウマなら中央に行くという慣習が広がれば、いつまで経っても地方は中央に並び立てない。

地方には地方の意地と誇りがある。

 

…ライバルと戦いたいのなら結構。

だけんじょ、そのライバルが中央最強の3冠ウマ娘だというなら、

レスの字は『地方の総大将』として強くあらねばならんべ。」

「…茨の道だべな。」

「おら達でレスの字を強くするべ。

あいつはオペの字(メイセイオペラ)ユキの字(ユキノビジン)以上に強くなれる…!

協力してくれ、スイフト!」

 

熱く語る会長とは対照的に冷静なスイフトは、少しだけため息をつく。

 

「…それを決めるのはホープ自身だべ。」

 

 

 

北上山地から吹き降ろす冷たい風が、

生徒会室の建付けの悪い窓を揺らした。




みどりのマキバオー

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