永禄3年(1560)年
2万5千の大軍勢を率いて尾張に侵攻した今川義元公は田楽狭間にて休息をとった。
それを早ウマ娘にて知った織田信長公は清洲城より出陣。
田楽狭間にて両軍は対峙する。
今川方・織田方双方にパイプを持つ松平元康(後の徳川家康公)は両軍を仲裁。
これにより後の江戸の時代、家康公は東照大権現として多くの武家ウマ娘から信仰を集め、
桶狭間の地にはそれを記念し中京レース場の前身となる『名古屋競バ倶楽部』が…
…ちゃん。
アスランちゃん!」
「ふぇい!?」
気が付くとスチームが目の前で教科書持って立っていた。
「ちょっと寝ないでよアスランちゃん。
歴史が赤点ギリギリだって言うからこうやって教えているのに。」
「え?あ、うん。ごめん。
長篠の戦いで鉄砲隊が活躍した話だっけ?」
「まだ桶狭間の戦いだよ!
それに長篠の戦いは鉄砲の音に驚いた武田の騎バ隊が一目散に逃げただけでそんなに重要な戦いじゃないよ。」
「…もーわけわかんねー」
『人の歴史は馬と共にあり』と某農業高校漫画にもある様に、歴史と馬は切っても切り離せない関係だ。
それがウマ娘ともなると、その歴史が根底から覆るわけであり、
なまじ前世の知識があるため歴史の違いに四苦八苦し、こうしてカフェテリアでタイキスチームから勉強を教えてもらう始末である。
(元寇…てかモンゴル帝国のところなんて勉強してて頭爆発しそうだったからな…
そこに比べればまだマシだが…)
前世では世界史を選択したが、今世では絶対日本史にしようと心に誓った。
「てかアスランちゃん、ちゃんと寝てるの?
いつも夜遅くまで起きてレース映像見てるし、授業中もアクビばっかりだし。」
「ちゃんと小テストとかで点数取ってるから大丈夫だよ(歴史以外)」
「そういう事じゃなくって!」
「…おや。ランチタイムも勉強とは、マジメですね。」
後ろから声をかけられたので振り向くと
「あっ、ケーン先生!」
「ハローケーン先生。」
「Good afternoon.勉強熱心で先生ウレシイです。」
トレセン学園のALT
イギリス出身のケーン先生がいた。
混んでいたのでスペースを空け、3人でテーブルを囲む。
「歴史の勉強ですか。歴史は私たちヒトとあなたたちウマ娘を結び付ける大事なstoryです。」
「そうだよアスランちゃん!苦手だなんだって言ってられないよ!」
「勘弁して…」
情けない声を聴いてドッと笑う2人。
ケーン先生はアスランの姿を見て、「ふむ」と髭を触る。
「アスランさんがショートしてますし、ここは違う教科でrefreshといきましょう。
…時にアスランさん
来週はいよいよジャパンカップですが英語は話せますか?」
「え?」
「英語です英語。ジャパンカップは色々な国からトップウマ娘が集まるのですから。
英語でコミュニケーション出来なければ折角の学びの機会を失いますよ!」
「あ、確かに。
えっと…
一応少しなら英語は話せます。」
「Great!」
「え?2人とも何話してるの???」
拙い中学英語ならなんとかできるので頭を回転して言葉をつなぐ。
「OK!英会話としては上出来です!」
ホッと胸をなでおろす。
「But…アスランさんは発音がよくないですね。」
「そうですか?とりあえず意味さえ分かればいいかなって。」
「No…それではいけません。」
首を振って息を吐き、単語帳とにらめっこしているスチームをよそに俺を見る。
「お二人は『My Fair Lady』という映画を知ってますか?」
「ああ、ミュージカル映画の」
「あれは単なるミュージカル映画ではありません。
出身地や階級によって同じ英語でも発音が違うというところにフォーカスした、言語学的にも意味のある映画です。
発音一つで育ちがわかってしまうことから、私たちネイティブにとってどれほど発音が重要かわかると思います。」
「い、いや自分日本人ですし…」
「作中にアスコットレース場が出てきますが、そこにいるウマ娘や貴族たちの上品な
あれこそが英語の本来あるべき姿です!」
「あ、あの先生」
「私の目の黒いうちは、ヒギンズ教授の様にトレセン学園の子たちに完璧なブリティッシュ・イングリッシュを叩き込まねば!
間違っても、RとLの区別すらできない
「せ、先生?」
「アスランさんはもちろん、スチームさんも同じですよ!?」
「ふぇい!?」
「エリザベス女王杯で英語でのコメントを求められたときのあの情けない姿はなんですか!?
恐れ多くも女王陛下の名を冠したレースで勝利しておきながら何一つ話せないとは…」
「だ、だってレースに集中してましたし…」
「2人ともそこに直りなさい!
JCまでに英語を徹底的に矯正します!」
「これのどこがリフレッシュなんすか!?」
「私JC出ないのに巻き込まれた!?」
その後
様子を見に来たタイキシャトルが、ケーン先生の目の前でバリバリの南部アメリカ英語を話してしまったため、
およそここには書けないスラングが飛び交う地獄絵図になったとかならなかったとか。
おまけ
もしもこの場にサトノクラウンがいたら
クラウン「レースでもビジネスでも、英語が使えないと世界に置いて行かれるわ!」
ダイヤ「クラちゃん!四声混じりの香港イングリッシュで話すのはやめて!」