開封から初ショップファイトに出ることになった翅瑠。二戦目の深紅の令嬢とのファイトに惜しくも敗れてしまったのであった…
負けた…あそこを耐え抜けば…いや。耐えても手札が無い状態からブルースで戦えたかはドロー次第だったし決めきれなかったのが敗因かもしれない…
「危なかったわ…あそこで超トリガーが無ければきっと負けていたでしょうね」
スカーレットさんがカードを片付けながら良い勝負だったわと言う。確かにあの攻防は熱かったし楽しかったけど…やっぱり悔しい
「ありがとうございます…」
「そう落ちこまないで?長くヴァンガードをしていればトリガーに泣かされることもあるわ。良くも悪くも…ね?」
ウインクしながら言われるとなんて絵になるんだろう…ちょっとドキッとしてしまうぞ
「それに…とても楽しかったわ。またファイトしましょうね」
「あふォ…」
身をのり出して耳元で囁かれる…え、ASMRぅ…?この感じなんか前もあったような…
『…次は無いからね』
…あ
「もしかして…七星さん?」
時が止まった
「…ぬっ。あら?誰かしらそれは?お友だち?」
そして時は動きだす…この間僅か数秒。真紅の令嬢さんの目が時計回りに360°くるりと回転し上上下下左右左右に泳ぎ始めた…こ、コナミコマンド…
「じゃ、じゃあこれで…」
そそくさと立ち去ろうとする真紅の令嬢さ…長い!七星さん(仮)の手をそぉい!と掴み顔をじっ……と見る
「な、何よそんなに見つめられてもあれ思ったより火力あるわね上目遣いあ何か新しい扉が開きそ」
なんか言ってる七星さん(仮)の顔に黒ブチ眼鏡を魔合成…一致!
「やっぱり七星さんだよね…囁き声で分かったもん」
か、神の耳…!とか呻き始める七星さん(真)。まさかのクラスメイトがヴァンガードをしていたなんて…なんか嬉しいな
「こ、これをネタにナニかしようっての!?皆にバラしたりとかその…え、エロ同人みたいに!」
ちなみに!?とか!とか付いてるけどがっつり小声です
「え、エロ…?そんなことしないよ!」
七星さん(真)がなにを言っているかは分からないけど…私がしたいのはそんな昔お姉ちゃんの部屋にあった本の「俺のトリガーを見てくれ。コイツを見てどう思う?」「凄く…スタンドトリガーです(意味深)」みたいなことじゃなくて!
「その…クラスにヴァンガードしてる人居ないと思ってたから…で、出来れば友達になって欲しいなーって…ヴァンガードの話とか、したいなーって…」
どんどんと声が小さくなってしまう…自分から声掛けといて照れるのは余りにも恥ずかし過ぎるぞ私…!
頬が熱い…ちらちらとしか七星さん(確定)の顔が見れん…!
一方その頃真紅の令嬢こと七星視点では
『その…クラスにヴァンガードしてる人居ないと思ってたから…で、出来れば友達になって欲しいなーって…ヴァンガードの話とか、したいなーって…』
どんどんと声が小さくなっていき終いにはぷいと顔を背けてしまった…な、ななな…
「(なんなのコノ可愛いらしい生き物はー!?)」
己の人生で出会った中で一番可愛い生き物は飼い犬のしばづけ(ダックスフント)だとばかり思っていたのになんだこれは!
小さい背丈!潤んだ瞳!恥ずかしくなってまっかっかな顔!自分でもすっぽり覆えてしまえそうな小柄な彼女から目を背けることが出来ない…!
『ギュッとしちゃえよ…抱き心地も良さそうだぜぇ~?』
『ギュッっとなんてしてはイケません!ここは優しく抱きしめて耳を舐め』
どっちが天使で悪魔か分からなくなってしまった…ええいままよ!
ふわっ…と彼女の背に両手を回し優しくホールド。体温と鼓動が伝わってきて愛しさと尊さが増していく…!ecstasy!
「貴女のすべてを許します…」
…聖女?
ここで翅瑠視点に戻ります
『貴女のすべてを許します…』
そう言って優しく抱きしめられる…せ、聖女?
「タァ、七星サァん?」
びっくりして声が上ずってしまった。まさかの回答はハグという…イイ匂いと柔らかなこれは…お、おむねがっ!?
「…分かったわ。でもヴァンガードはともかくこの格好のことは学校の皆にはナイショにしてね?」
「ふええ…」
ねっとりと耳元で囁かれ身体から力が…そしてあの七星さん?なんかどんどん力が強くなっていってあっやーらかぁ…着痩せするタイプなんですかでもバストに顔が圧迫されてその…呼吸がっ!
「親睦を深めるのは良いことだけど~…そろそろスコアシートを持ってきてほしいな~?」
「アッスイマセン」「excellent…」
夕子さんの穏やかな圧力には逆らえずホールドから解放された…く、空気が美味しい。でも柔らか感触が無くなってのは少し寂しいものがあるな
「…ごめんなさい。とても良い勝負でしたのでつい」
そう言って七星さんがシートを夕子さんに手渡す。ありがと~と言って夕子さんは次の対戦カードを呼び始めた
「大丈夫か翅瑠?ったく相変わらずおかしなヤツだぜ…」
華恋先輩に聞かれるが大丈夫ではない…まだ頭がポーっとしている。それに今の出来事は私が発端みたいなモノなので…
「…お前からハグしたのか?」
「おおっ!積極的だネ翅瑠ちゃン!なになに姫に心奪われちゃったノ~?」
「そ、そういうことでは無くてデスネ?」
心奪われるファイトではあったが深い意味は…無いよね?
「次は…真紅の令嬢さんと逮捕しちゃうゾ☆さ~ん」
「…次は貴女ね」
「ハイハーイ!にししっ姫チャンとか楽しみだナ~」
バチバチと火花を散らす両者。どうやら優姫先輩と七星さんは前にもファイトしたことがあるらしい
「今日は勝たせて貰うわ…『
「相変わらず呼び名の癖が強いねェ…返り討ちにしてあげるヨ?」
ぬおお…なんだか凄い迫力だな。出来ればファイトを見たいけど、私の対戦相手もそろそろ呼ばれる頃だ
「次はディブロスさんと…ニビジムのタワシさ~ん!」
え?ポケモン…?
―☆―
「あ、ありがとうございました…」
「ぬおお…対戦ありがとう」
相手のタワシさんはユージンというヴァンガードを使っていたけど…どうやら手札のガード値が足りなかったらしく一気呵成になったブルースの猛攻を受けきれずゲームセットとなった(ちなみにスリーブはイシツブテだった。どこで売ってるんだろう…)
「呼び出したユニットが全部トリガーでは流石に打点が足りぬ…ッ!トリガーチェックでは出ないのに何故ッ…!」
「で、でも退却もコールも出来るんですねそのカード…」
退却から連続してどんどん退却させたり山札からユニットを呼び出したり…ブルースと同じSB5ということもあり面白かった
「…良き勝負をありがとう。とても初大会とは思えぬ思い切りの良いプレイングだった。お主はきっともっと強くなるであろうな」
我も精進せねばと言ってタワシさんはニカっと笑って席を立つ
「あ、ありがとうございます!頑張ります!」
こちらも立ち上がりお辞儀をする。もしあそこで耐えられていたら…山札からパワーの高いユニットが出て来ていたら…負けていたかもしれない
なんだか胸の奥が熱い…色々なデッキや人それぞれ戦い方があってトリガーも関係して…やっぱり
「面白いなぁ…!」
「そりゃ何よりだ。せっかくの大会なんだしおもいっきり楽しんどけ」
対戦の様子を見ていた華恋さんにそう言われ頭を撫でられる…なんか安心するな
「ユージンは私もちょっと気になってたんだよ」
「そうなんですか?なら―」
でも、と華恋さんが続ける
「やっぱり最初は相棒じゃねぇとな…」
”相棒”と言った華恋さんの目はどこか…ギラギラとしていた気がした。華恋さんの思い入れのあるカード…いったい何だろうか?
ちなみに大会の結果は優姫先輩の優勝だった。なんでもダメージトリガーで超トリガーを引かれたことにより七星さんの計算が狂ったらしい…そして返しのターンでヴェルリーナたちを収容されてゲームセット。パワーとドライブが上がるのは辛いもんね…
「イェーイ!やったったぜ翅瑠ちゃん!か~れ~ん~!」
「おめでとうございます!」
「おめっとさん」
「…アレ?ご褒美のハグは?」
「ねぇよ」
ちぇ~!と言いながら頭をぐりぐり華恋先輩に押し付けながら口を尖らせる姿が微笑ましい…
「…なんであんなのに負けたのかしら。腹立たしい…!」
ふんすと息を荒くしながら七星さんがこちらに近寄ってきた
「ざ、残念でしたね…あと少しホゲッ!?」
「敬語なんて良いわよ?」
ち…近い!特に顔が!クラスメイトだと分かってもまだドギマギしてしまうぞ…なんか頬がアッツ!暖房高くないですかもしかして?
「良ければ連絡先を…」
「は…う、うん」
たどたどしく番号とLINEを交換する。あ、LINEも真紅の令嬢なんだ…
「ふたつあるのよ…今日はとても楽しかったわ。貴女の様な人と出逢えるなんて、ね?」
…なんか目が妖しく光を帯びているんだが。でも確かに貴重な出会いではあったかな。大会は楽しかったし学校でも気軽に話せそうな友達もその、出来たし…
「あらあら姫チャンに見初められちゃって…隅に置けないね~このこのォ!」
優姫先輩にえいえいと肘でつつかれる…隅に置けないというべきなのかな?
「貴女はもう少し雰囲気を大事にするということをねぇ…まぁいいわ。来月の新弾はもう予約しているの?」
6月の新弾なら来月のお小遣いで足りるのでもう予約済みである。いつまでも二人に甘えていられもしないし…何より自分で引いたカードの方が愛着も沸きそうかなって
「うぉっ眩し!昔は私たちもこうだったのに…いつからシングルや通販に手を染めてしまったのか」
「別に悪いことじゃねぇからな?」
シングル買いは足りなかったカードを買うときにでも使ってみようかな…リリアナのSPとかSPとか!
「今回は効果つきトリガーも収録されるし…発売日にいっしょに開封しましょ?」
いまのところダークステイツは組む予定は無いからデッキパーツも渡せるしと七星さんに誘われ、先輩たちとも発売日に開封することとなった。誰かと開封してあれこれ話すのは楽しいし、まだまだ教わることもたくさんありそうだからこちらとしてはありがたい
「姫チャン、翅瑠ちゃんにメロメロになっちゃったんだネ~」
「そ、そういうことでは無いわよ!?ただ好敵手が増えるのは良いことだし…新しいカードの使用感とかも確かめたいでしょ翅瑠さん!」
「えっハイ」
メロメロは無いだろ…とはいえいつの間にか好敵手とは。そのうち目が合ったらスタンドアップ!ヴァンガードとか言ってくる子が出てきそうで怖…居ないか流石に。居ないよね?
「おっ、賑わってますね~」
「あらお帰りなさいあな…店長~」
夕子さんが店長と呼んだ先に居たのは眼鏡を掛けた茶髪の男性。そういえばこのお店の店長さんとお会いしたことはなかったな
「テンチョ~!優勝したぜぃ!」
ぶいブーイ!とピースする優姫先輩。先輩たちは面識があるみたいだ。そりゃ常連みたいだし当たり前か
「おお!優姫くん優勝したのかい!おめでとうございます~」
「トロフィーは?」
「ショップ大会の度にトロフィー作ってたらウチが潰れます~」
ダヨネー!と優姫先輩と店長さんがワッハッハと笑いだす…笑うトコなんだろうか
「気にしなくていいぞ。店長さんは誰にでもこうだから」
「でもファイトの腕前は確かよ。けっこう前だけどチームを組んで大きな大会とかにも出てるし」
「独身時代の話ですよぉ。おや…?」
ズズイとこちらに寄ってくる店長さん。何やら私の顔を見て少し考えてる様な…な、なにもしてないよね?
「アラ?店長まで翅瑠ちゃんにメロメロ?」
「あなた~?」
そして夕子さんが店長さんの後ろに瞬間移動。圧が…圧が凄い…!
「違う違う!ぼかぁ夕子さん一筋だから安心して下さいね?僕が気になったのは…もしかして君、翔くんの妹さんじゃないですか?」
「えっと…そうですけど…?」
確かに翔くん…お兄ちゃんの名前は翔だけど
「やっぱり~!翔くんが妹がヴァンガードを始めたってこないだLINEがきてましてね?昔見せてもらった写真の子と似てたからもしかしてと思ったらもしかしてでしたか!」
「店長、翅瑠のお兄さんと知り合いだったんスね」
確かにお兄ちゃんは昔からヴァンガードをやってるからこのお店に通っていたとしてもおかしくはないか。でもまさかLINEのやり取りをする仲だとは思わなかったけど…というか『昔』の写真っていつのだ?まさか小学生の時じゃあるまいな?流石に色々と成長してるよね…?
「いや~懐かしいなぁ…翔くんとも久しぶりにファイトしたいですねぇ~彼とのファイトはいつもアツいファイトになるんですよ」
「翔くん、大きな大会に出たこともあるしね」
「え?」
ほらあれ。と夕子さんが指差した方向を見ると額に入った大きな写真が。中央のトロフィーを掲げる男性の横にメダルを持った男性がひとり。俯いているから表情は分かりにくいが確かにお兄ちゃんだ…
「待ってこれ現役プロと現役プロに挟まれてるのお兄さんなの?スッゴ!」
「しかもお兄さんの持ってるメダル…これ準優勝のメダルじゃない!」
「えぇ…?」
そんな凄い人達が出てる大会でお兄ちゃんが準優勝…そんなに強かったのかお兄ちゃん。そんな話一度も聞いたこと無かったけど…今度聞いてみようかな
「今度帰ってきたらウチにも顔を出して欲しいですねぇ~」
「一応LINEでいってみますね…お兄ちゃん忙しいから滅多に返事帰ってこないですけど」
僕も翅瑠さんの件以来なんもこないですからねぇ~と店長さんも困り顔だ…もう少しこう、こまめに連絡をして欲しいものである
「今後もショップ大会なり色々イベントを予定していますのでぜひぜひ参加して下さいね~」
「は、はい!」
ではでは~と店長さんは店の奥にひょいっと行ってしまった。忙しい人だなぁ…
「では今日のショップ大会はこれにて終了です。みなさんご参加ありがとうございました~」
夕子さんの締めの言葉により、私の初ショップ大会は幕を閉じたのであった…いろんな人とファイト出来たし新しい友達も出来たし…スタートは強引だったけど出て良かったな
「感謝したまへ」
「急に読心術発揮しないで下さいね…?」
心臓に悪いんだよな…
―その頃ショップ奥では―
「いやぁカードファイターが増えるのは嬉しいですねぇ~…おや?」
いつの間にか店のパソコンにメールが来ていた。確かこのメールアドレスは…そう思いメールを確認する。するとそこには―
「あらぁ…なにやらまた面白くなりそうですねぇ~あハッ☆」
眼鏡を光らせ、店長は笑いながら返信するのであった…
間が空きすぎンゴ☆ということで初ショップ大会とクラスメイトと店長さんとのエンカウントでした。エンカウント多いね。シトラスエンカウントかな(古い)
投稿が遅くなりましたがひとつは携帯の不調とひとつは作者のテンションです。触れ幅酷すぎんか…?
次回はEXターンで番外編となります。前回ちょっと出てきた人がメインのお話になります
では次回!EXターン「大学生木ノ本の華麗なる日常~わくわくゾルガさんに食用菊を添えて~」
届け!君にこのエール!(雑)