君へ送るエール   作:きゃみー 杉田

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息抜きヌキヌキワニワガジン

オタクくんさぁ…

「雑WANIMAやめろ」


EXターン「大学生木ノ本の華麗なる日常~わくわくゾルガさんに食用菊を添えて~」

俺の名前は木ノ本当麻(とうま)。そげぶでは無い

 

今年の春から大学デビューを決め…た訳でもなく、趣味のヴァンガードサークルに入ったと思いきやダンスサークルで先輩とブレイクダンス勝負になったりきつねうどんのボタンを押したら味噌ラーメンが出てきたりと、なかなか新鮮な大学生活を送っている

 

今日も午前中は人生初のバイト…刺身に食用菊を乗せる仕事(さしたん)をしてきたところだ。ベテランの田所さんみたいに決まったポジションに崩れないよう絶妙な力加減で乗せるのは難しいがなんとかこなしてきた。卒業までに越えてみせるぜ田所さん…!

 

「お先に失礼します!」

 

「あらお疲れトーマちゃん!そろそろ仕事にも馴れてきたんじゃない~?」

 

パートの生瀬さんがハイこれと表面がざらざらしているゼリー(おばあちゃん家に何故か常備されてるやつ)を手渡してくる。私このゼリー好きじゃないのよね…受けとるけども

 

「いやぁみなさんみたいになかなか上手く乗せられませんよ」

 

「フン、良く分かってるじゃないか」

 

後ろから少し冷たい声がする。出たな…!

 

「…田所さん」

 

俺より少し身長が低い田所さんは40代とこの職場では比較的(平均年齢が54歳なのだ)若い部類に入る。ピッチリしたデニムにスマートな上半身とスタイルも良く美人!…なのだが―

 

「後半少し弱かったね。あれじゃ運んでる途中に落ちるよ」

 

むむっ…やはりきたか。俺はこの人に褒められたことがない

 

「す、すいません」

 

「ちょっと田所ちゃん!トーマちゃんも頑張ってるんだから多めに見てあげなさいな~お菓子食べる?」

 

「けっこうです」

 

生瀬さんのフォローが入るがお構い無しに更衣室へと入って行った…ゼリーを断れるのは見習いたいところである。くっつくんだ歯に。特に裏側とか

 

「トーマちゃん怒んないでちょうだいね~?彼女仕事に関してすっごく情熱的なのよ~」

 

すりすりと手を合わせて困り顔になる生瀬さん。俺は大丈夫ですからと答え休憩室を出る。今日はこの後カードショップに行くのであまりのんびりしていられないのだ

 

「の前に昼飯だな…」

 

給料も出たしたまには…ずぎ家にでも行こうか。丁度新メニューの「ズルズルめかぶとろろぶっかけ海鮮(税込み990円)」が出たし頼んでみようかな…

 

「おっ。お疲れトーマス~」

 

「当麻です!」

 

そして俺は愛車のマグナム(50の原付。5回払いで買った)に跨がりずぎ家に向かった。うなれ苅払い機×2エンジン…!

 

ブロロロロロ…カッスッブッロロロロラロ…

 

…先に給油だな

 

~青年ズルズル喫食中~

 

わかめにゃ素敵なこぶがある~つるつるとろとろ…分かる人居るかなぁ

 

ずぎ家にてズルズルめかぶとろろぶっかけ海鮮(税込み990円)を食べ終え店をあとにした俺は目的であるカードショップへとマグナムを走らせた

 

給料が入ったので新弾の予約に行くのである。待ちに待ったオルフィストの強化が来るのだ。新弾!買わずにはいられない!

 

「とりあえず全種類確保してからデッキに合わせてみるかぁ…サンボリーノちゃんはカワイイから四枚だな」

 

なんだあのヒップは色々とアカン。いろいろとね!あ、次のとこ右に左折だわ…間違えないようにしないと

 

ということで特に何もなく無事ショップに到着。下の喫茶店もよさげな雰囲気でいつか行ってみたいが今日もスルーし上階へ。出来ればカワイイ女の子と一服といきたいものである…である(泣)

 

「っらっしゃっせぇー!」

 

元気良く店員の挨拶が響く店内。この店員さんが居るときはなんだか居酒屋みたいというか。まぁ入ったことはないのであるがなんとなくそう思っていた

 

「こんにちはー。ヴァンガードの新弾の予約をしたいんですけど…3箱」

 

カートン買いは非常識だよ一般人からしたら。そもそも大学生の短時間アルバイトでカートン代が払える訳がないのだ

 

「へい!3箱一丁!こちらにお名前と電話番号をお願いします。あと1箱につき前金として千円を頂いておりますが大丈夫ですか?」

 

「はい」

 

とまぁいつものごとく前金を支払い控えを貰う。なんで掛け声以外普通の対応なのか逆に不思議だが無事予約出来たからこれでいいのだ

 

「では商品が入荷致しましたらご連絡いたしますので。あっりっしゃしたー!」

 

…やっぱり居酒屋感がぬぐえないな。それはともかく!せっかく来たのだからシングルやストレージでも見ていくか。翅瑠ちゃんに使われたカードも見ておかないとね

 

「月刊ブシロードが読めるのもポイントだよな~」

 

PRカードが欲しい時はとりあえず一冊は買うのだが特にいいかな~という時はショップで気になる所だけ読む。節約節約っと…

 

―そして時は流れ…―

 

「いやぁやっぱり拙者、女の子だけのデッキが組めるまではスタンダードは我慢でござるなぁ…大きい子とか」

 

「バミューダみたくいつか来ますよきっと。大きい子とかも」

 

常連の人達とファイトしたり雑談していたらもうすぐ17時。やはり好きなことをしているとあっという間に時間が過ぎるな…スーパーにも寄りたいし(そろそろ値引きが始まる)明日の授業に備えて早目に帰るかな

 

「じゃあ俺はそろそろ帰りますね。ファイトありがとうございました」

 

「いえいえこちらこそ~」

 

「楽しかったでござるよ。いつか組みたいデッキが出来たら拙者もスタンダードに参入するつもりでござるからその時はまた!」

 

そう常連さん達に別れを告げ出口へと向かっていると―

 

ドンッ!…ドサっ

 

「うおっ…!?」

 

左側から謎の衝撃が。突然だったので少しよろめいてしまうが、転ぶ程では無いので踏ん張りつつ衝撃が来た方向を見ると、ひとりの子供がしりもちを付いてぷるぷると震えていた

 

「だ、大丈夫ですか?怪我とかは―」

 

「ごっごごっご…ごめんなさいぃぃぃ!!」

 

こちらが安否を確認する前にぴゅーっ!と走り去ってしまった。怪我とか無ければ良いんだけどな…ん?

 

「これは…」

 

先程まであの子が居た直ぐ近くに緑色の革製デッキケースが落ちていた。恐らくあの子のものだろう

 

「ちょ、待てよ(ねっとり)」

 

「あら~?何たがクッソ雑なキムタクが聴こえたような―」

 

店を出て辺りを見渡しても既にあの子の姿は無く。とはいえ自分が保管するわけにもいかないので大人しく店員さんに事情を説明して預かってもらうことにした。ファイターにとってデッキは相棒だからな…

 

「分かったわ。次来たときに渡しておくわね。ありがと~」

 

夕子さんが渡したデッキケースを丁寧に布に包む。持ち主が来るまで事務所で保管してくれるそうだ。良かった良かった

 

「あの…さっきぶつかった子なんですけど良く来るんですか?あんまり見かけたことない子でしたけど」

 

「あの子、今月の頭辺りからウチに来てるんだけど…」

 

ん~と少し困った様な顔をする夕子さん。でもなんとなく言いたいことが分かった様な気がした

 

「年齢的には学校に居る時間…ですもんねぇ」

 

「そうなのよ~あんまりお節介焼くのもどうかとは思うんだけど…ちょっと心配なのよね」

 

先ほどぶつかって来た子、見た目だと中学生か高校生くらいだろうか。確かに時間的には学校に行っている時間帯ではある

 

「でも…何か事情があるのかもしれないしね?それに歳関係なく人間、休む場所は必要だと思うの。だから店長と相談してあと少し様子を見てみようって」

 

たしかに人それぞれ事情はあるもんな…少し気になるけど、俺がなんとか出来る訳でも無いだろうし…

 

「分かりました。じゃあデッキのことはよろしくお願いします」

 

「ええ、木ノ本くんもありがとうね~」

 

手を振る夕子さんに挨拶をして店を出る。思ったより時間がかかってしまったけど仕方ないね。早く取りに来てくれたらいいけど

 

…時間?

 

「あ…値引きィ!?」

 

勿論慌てて行っても狩られた後で何も無く。仕方ないので唯一残っていた半額の天カスと冷凍うどんを買ってたぬきわかめうどんを啜ることにしたのであった

 

 

―その頃―

 

「た、ただいま…」

 

「おかえり~」

 

ぱたぱたとスリッパの音がして母親が出迎えてくれた

 

「…カウンセリング、どうだった?」

 

「…うん。なんとか話せたよ。先生も優しいし…いい人だし」

 

「良かったじゃない!頑張ったわね~」

 

優しく頭を撫でてくれる。その感触はとても安心出来るものではあるのだが。心の片隅がチクチクと痛む

 

「ありがとうお母さん…部屋で本の続き読むね」

 

「晩御飯の時間には下りてくるのよ~」

 

母親の声を背に階段を上がり部屋のベッドにぼふんと倒れ込む

 

…ごめんね。お母さん

 

本当は一時間も学校には居なかった。ほんの少しだけ話して勉強の範囲等を教えてもらった後は逃げる様に学校を出てしまったから

 

でもあんまり早く帰るとお母さんが少し悲しそうな顔になってしまう。出来ればそんな顔はしてほしくない。しかし図書館や公園だと見かけた人が怪しむためカードショップで時間を潰すことにしたのだ

 

「…だめだなぁ。ボク」

 

思いきって教室に一歩入ってみようか?でももし受け入れて貰えなかったら…仲間ハズレにされたら

 

「…皆に会いたいなぁ」

 

友人と学校が別になってしまってからはLINEのやりとりはしているが実際にあったことはない。前の学校でも友人が居てくれたからクラスに溶け込むことも遊ぶことも出来た

 

でも今はひとり。自分だけになってしまった

 

「ボク…なんもできないなぁ…ちゃんと謝れなかったし」

 

気がつけば17時。そろそろバスの時間だと慌てていたのが良くなかった。焦っていたため人が歩いて来たのに気づかずぶつかってしまった。ちゃんと謝らなきゃだめなのは分かっていたけどもし怖い人だったら…結局逃げだしてしまったし

 

「ゾルガさん…やっぱりボクだめだよぅ…」

 

ごそごそと鞄からデッキケースを取り出そうとした…したのだが

 

「あれ…?無い…」

 

鞄をひっくり返して見るも出てこない…ぞ、ゾ…

 

「ゾルガさぁぁぁぁあん!?」

 

あわわわわと部屋の中で右往左往。いくら探してもゾルガさん…デッキケースが出てこない。あのミステリアスなナイスガイが居ないのである…!

 

「お、落とした…?あ」

 

ぶつかった時…鞄が開いちゃってそれで?確かに開いてるのに気づいたのはバスの中だし…

 

「ぞ、ゾルガさぁぁぁぁあん!!」

 

慌ててスマホであの店の番号を調べて電話を掛ける。この間僅か7秒。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね…

 

「ゾルガさん…おんねんくん…夢齧りちゃん…」

 

『お電話ありがとうございます~カー「あっあの!すすすすいませんお聞きしたいことぁ!」…はい?』

 

えっとえっと…慌てて電話したけどなんて話せばいいんだ…とりあえずデッキケースだ!特徴を伝えれば―

 

「ええっと、あの…」

 

『大丈夫ですよ~ゆっくりお話して下さいね?』

 

店員さんののんびりした声で少し落ち着いてきたかもしれない…ふぅと息を整える

 

「あの…今日そちらに忘れ物で緑色のデッキケースは届いていないでしょうか…」

 

どくどくと鼓動が速くなる。もし届いていなかったらバス亭までの道をひたすら探すしかない…頼むからあってくれ…!

 

『緑色…それなら届いてますよ~』

 

「ハホッホントですか!?」

 

『はい~お客さんが届けてくれまして。念のため中身を覚えてる範囲でいいので聞いてもいいですか?』

 

そのあとデッキのカード全てと何枚か余ったトリガーが入っていることを伝えて確認してもらい、無事自分の物だということが判明して一安心どころか百安心出来た…

 

「良かったぁ…」

 

『ふふっ、大事なカード達だものね~次来てくれた時にレジの人か私に伝えてくれればお渡ししますから』

 

「分かりました!本当にありがとうございます!」

 

お待ちしております~とふんわりとした声を最後に電話が切れる。お店に電話なんて初めてだからなんだか凄く疲れた気がする…

 

「よかったぁ~…少し待っててねゾルガさん。必ず迎えに行くから…!」

 

忘れないとは思うが念のためスマホの予定表に『ゾルガさんのお迎え』と書いておく…幼稚園かな?

 

「ご飯よ~」

 

「あっ、ハーイ今行くねー!」

 

さて…デッキは大丈夫だけど学校のことはなんて誤魔化そうか。そんなことを考えながら階段を降りる足取りは少し重かった

 

 

―数日後―

 

エンジョイ大学生、木ノ本当麻はマグナム(50の原付。喋らない)でカードショップへと向かっていた

 

「(持ち主の子取りに来たかなぁ…)」

 

あの日から頭の片隅にぶつかった子と預けたデッキケースの存在がなんとなくあった。ちゃんと取りにきたならヨシ!で会えてあのときの事を謝れたらなおヨシ!ということでその確認をするためにマグナムを走らせていた

 

「あ、ここ右に左折だった…戻らないと」

 

やはり考えごとをしながら運転するのは良くないな…右に左折ってなんだろう…?哲学だろうか

 

「いらっしゃいませ~」

 

ドアを開けるとのんびりと夕子さんの声がする。呼んでもらう手間が省けて丁度いいのでこないだのデッキケースについて聞くことにした

 

「こんにちは。あのちょっとお聞きしたいことが…」

 

「あら木ノ本くん。もしかしてあのデッキケースのこと?それなら今日取りに来て…」

 

「あっ、あの!」

 

うぉう…左から突然大きな声が。そちらを見るとこないだのぶつかった子がモジモジしながら俯いていた。服装もこないだと同じ少し大きめのパーカーだった

 

「で、デッキケース…拾ってくれたと聞きまして…ありがとうございますぅ!」

 

ギャバッと凄い勢いで頭を下げられる。やっぱりこの子だったか。無事持ち主の手に渡ってよかったのだが…そろそろ頭をあげて欲しいな

 

「いやいやそんな畏まらなくても…それに俺もぶつかった事を謝りたかったんだ。怪我は無かった?」

 

「は、はい…でもアレは急いでいた私が悪くて…ごめんなさいぃ!」

 

またもやグァバッと頭を下げられる。あれこれ無限ループ…?

 

しばらく頭を下げる子と慌てる木ノ本というやりとりが数分続き、あらあら~と見ていた夕子さんが間に入って漸く収まったのであった

 

「ふぅ…あのこれ…お礼と言ってはなんですが」

 

落ち着いたのか思い出したように鞄からお菓子の箱を取り出しておずおずと差し出される

 

「いや、別にお礼は―」

 

「(…ぷるぷる)」

 

「…ありがとう。後で食べるね」

 

あまりにも震えているので断れず受けとることにした。断ったらなんか泣きそうだし…

 

「では…私はこれでぇ」

 

「あ…」

 

すすす…と振り返り奥の席に歩き始める白パーカーの子。あの子は今日もまた一人でずっと座っているのだろうか。その様子を想像して…木ノ本はなんだか少し寂しく思った。声を掛けてみようか?でも迷惑ではないか?

 

「(ぱちぱち)」

 

夕子さんが片目を開けたり閉じたりしてこちらに目配せをしている…

 

「いっちゃいなよ、You」

 

…ジャニーさん?

 

ええいままよ!

 

「ひょ、待てよ(裏声)」

 

「…な、なにか?」

 

ひゅってなっちゃった裏反っちゃった…でも当たって砕けろだ。断られたらさめざめと泣こう。漢木ノ本当麻、一大決心である

 

「…良かったらその、俺とファイトしないかい?」

 

「…へ?」

 

驚いたような戸惑っているような白パーカーくん

 

「いやその、せっかくショップに来たんだしフリーファイトとかその交流というか初心者は優しくして沼に沈めろというか…」

 

「はぁ…沼に…」

 

しどろもどろあたふたわたわたと目線があっちこっちしてしまい何故か弁明を始めてしまった…なにを言っているんだ俺は

 

「それなら奥の対戦スペースも空いてるし~…パワーカウンターやプレイマットの貸し出しもしてるわよ~」

 

「う…ぼ、ボクで良いのなら…お願いします」

 

夕子さんのスマイルアシストによりこくりと頷く白パーカーくん。サンキュー夕子さんフォーエバー夕子さん

 

ということで奥の席に移動しごそごそとファイトの準備をする。あくまでケースを拾っただけなので相手のデッキが何かは分からない…なんだか緊張するな

 

「人と対戦するの初めてなので…ちょっともたつくかもしれないですけど」

 

「大丈夫だよ。俺も効果の確認とかさせてもらうかもしれないしよろしくね。カットはどうする?」

 

「えっと、直接で大丈夫です。カットお願いします…」

 

おずおずとデッキを差し出されたのでなるべく優しくしてトントンと三回分けて重ねる。白パーカーくんにも同じようにしてもらい

 

「…4枚チェンジで」

 

初手ヒール4枚はマズすぎるって…頼むからちゃんとバラけておくれ…ヨシ、これなら大丈夫そうだ

 

「2枚変えますね…」

 

白パーカーくんは引き直しても表情があんまり変わらない…というか強張ってるな。凄く緊張していそうだ

 

コイントスで白パーカーくんが先行。では…

 

「「スタンドアップ!ヴァンガード!」ぉ…」

 

「『柩機の獣フォーヴィ』!」

 

「『夢齧り』ちゃん!」

 

…ちゃん?とはいえ相手はゾルガか。ドロップから色々と涌き出てくるから気を付けないとな

 

「ぼ、ボクのターンです…手札を1枚捨てて『怨念鎖』くんにライドします。怨念鎖くんのスキルを使います。SB①を支払い…2枚ドロー。そしてオーダーカード1枚か手札を2枚選んで捨てる必要がありますが…『悲嘆と絶望、そして拒絶』を捨てます…。これでターンエンドです」

 

む…早速オーダーカードがドロップに。先ほどのライドコストもオーダーカードだったし相手の初手は良さそうだな

 

「俺のターン。手札を1枚捨てて『柩機の兵ルーチス』にライド!後攻なのでフォーヴィのスキルで1枚ドロー。そしてルーチスの登場時のスキルで山札から世界カードを1枚公開して手札に加える。『虚ろなる月夜』を手札に。そして…」

 

さてどう仕掛けるか。速攻を仕掛けられるほど打点が高いリアガードも居ないし…いつも通りで行って相手の出方をみよう

 

「ルーチスでヴァンガードにアタックするよ」

 

「…ノーガードです」

 

「トリガーチェック、ノートリガーです」

 

「ダメージチェック…ノートリガーです…オーダーが」

 

ダメージに落ちたのはオーダーカード。ドロップに落とされるよりダメージに落ちた方が良いしまずまずか

 

「俺はこれでターンエンドです」

 

「ボクのターンですね…ドロー。手札を捨てて『黒涙の骸竜』くんにライドです。骸竜くんのスキルでドロップから…『霊体凝縮』を回収します」

 

オーダーを回収されたか…ライドコストが無駄になりにくいのもゾルガの強みだよな

 

「そして『継承の乙女ヘンドリーナ』ちゃんをコールします…ヘンドリーナちゃんの登場時スキルで山札上から3枚ドロップに…」

 

…落ちたのはドロートリガーとオーダーとノーマルユニット。なかなか良さげな内容だが

 

「そしてSB①を支払い…手札から『霊体凝縮』をプレイします。ドロップから怨念鎖くんを中央後列にコールして…バトルです。ヘンドリーナちゃんでヴァンガードにアタックします…!」

 

「ノーガードです。ダメージは…ヒールトリガーです。ヴァンガードにパワー+10000するよ」

 

無駄ヒールだがここでのトリガーはありがたい。何故なら確か怨念鎖は…

 

「トリガーを引かれてしまいましたが…怨念鎖くんはオーダーをプレイしているとパワーが2000上がるのでブーストして骸竜くんでヴァンガードにアタックです…」

 

トリガーが乗れば30000…G1だとトリガーが乗らなければ厳しい数値だ

 

「クリティカルトリガーでガードかな」

 

「トリガーチェック…うぅ、クリティカルトリガーですが届きません…ターンエンドです」

 

危ない危ない、トリガーが無ければ一気にダメージ3点になるところだった…ここで詰められる訳にはいかないからな

 

「俺のターン。スタンド&ドロー。手札を1枚捨てて『柩機の兵キュビジア』にライドするよ。そしてSB①を支払い手札から…『虚ろなる月夜』をプレイ。セット時効果で1枚ドローして俺のオーダーゾーンに世界以外のカードが無いので…世界は『黒夜(ダークナイト)』になる…!」

 

ズズズ…と赤い月が登り辺りが暗くなる。まずはこの段階にしないと話にならないからなぁこのデッキ

 

「ひっ…で、でも暗いのならこっちも好きですしまだまだ大丈夫ですよぉ…」

 

なんだか少し怯えているような…でもまぁ確かに相手のデッキもどちらかというと闇というかなんというか…うん

 

「中央後列に『発破怪獣ボバルマイン』をコールする。そしてボバルマインでブーストしてキュビジアでヴァンガードにアタックするよ」

 

「の、ノーガードです…」

 

「トリガーチェック…ノートリガーです」

 

「ダメージチェック…うぅ、ゾルガさんがぁ…」

 

ダメージはゾルガか。これでペルソナ札が1枚潰れたのは上出来だな…相手には悪いけども

 

「ターンエンドです」

 

「うぅ…私のターンスタンド&ドローです。手札を捨てて…『怪雨の降霊術師ゾルガ』さんにライドします…!」

 

ぬっ…と暗闇から現れたのは青白い光を放つ杖を持った如何にも怪しげなフードの男。白パーカーくんの横に寄り添うように立つ

 

「ここからが本領発揮です…そう!」

 

カッ!と目を見開き白パーカーくんがこちらを見据え宣言する

 

「『わくわくゾルガさん』の!」

 

「…は?」

 

わくわく…ゾルガさん?

 

「さぁ行きますよぉ!まずはヘンドリーナちゃんを上書きコール!登場時効果で山札上3枚をドロップに!」

 

なんかさっきまでと雰囲気が違うんだが?そして落ちたのはクリティカルトリガーとノーマルユニットが2枚…どんどんドロップが増えていくのに対しトリガーがほとんど落ちていないのが脅威だ…!

 

「さらに手札から『鞭撻の乙女イレーニア』ちゃんをコールです!登場時のスキルでCB①とSB①を支払いドロップからグレード2以下のユニットを1枚コールし、パワーを+5000します。呼び出すのは『共謀怪人アドマンティス』くんです!おいで!」

 

イレーニアの後ろに現れたのは戦隊モノに出てきそうなカマキリの様なユニット。

 

「アドマンティスくんはイレーニアちゃんの後ろにコールして、アドマンティスくんのスキルで他のユニットに+5000出来るのでイレーニアちゃんに+5000を与えますね。そして!寂しがりやのゾルガさんはまだまだお友達を呼びますよ!スキルでCB①を支払ってドロップゾーンから怨念鎖くんをヘンドリーナちゃんの後ろにコールです」

 

「盤面が…!」

 

さっきまでヘンドリーナしか居なかった盤面があっという間に埋まっていく…しかもパワーまで上がるオマケ付きとは…

 

「そして悲しいですがヘンドリーナちゃんを退却させ…このターン魔合成するときのSBを全て無くします」

 

魔合成…!ゾルガだけが持つ固有スキル。その効果は―

 

「では行きますよゾルガさん!手札の『霊体凝縮』とドロップの『悲嘆と絶望、そして嘆き』を…魔合成です!」

パン!と白パーカーくんが手を合わせると笑みを浮かべたゾルガが杖を振りかざす。そして杖からの光がどんどんと輝きを増していく…!これがゾルガのみ使える『魔合成』。基本1ターンに1枚しか使えないオーダーカードを手札とドロップから1枚ずつ選び合成することにより2枚分の効果を使用することが出来る協力な効果だ

 

「まずはコストの支払いを。ヘンドリーナちゃんのスキルでSBは無しに。なので悲嘆の分のCB①を支払い悲嘆をバインドして…まずは霊体凝縮でドロップから『ハイドロリックラム・ドラゴン』くんをコール!パワー+5000!そして悲嘆の効果でユニット3枚にパワー+10000です!対象はイレーニアちゃん、ドラゴンくん、ゾルガさんに!」

 

イレーニア→25000+アドマンティス13000

ドラゴン→28000+怨念鎖10000

ゾルガ→23000+怨念鎖10000

 

「くっ…!」

 

あっという間に3万越えラインが三列も…これはマズイぞ。トリガーに寄ってはこれで終わる可能性すらもあるな…どうするか

 

「お友達がたくさん…!これで寂しくないですよゾルガさん!それでは…怨念鎖くんのブースト、ゾルガさんでアタックです!」

 

ここは…先受けでトリガーが乗ることを祈るか?こちらのダメージはまだ1点だし次に備えてカウンターも欲しい…

 

「ノーガードです」

 

「ではトリガーチェックを。1枚目…ドロートリガー!パワーをハイドロリックラム・ドラゴンに付与して1枚ドロー。2枚目は…ノートリガーです」

 

「ダメージチェック…ノートリガーです」

 

ここで乗らないか…クリティカルが出なかったのは良かったがドラゴンのパワーが上がってしまった。しかも確かあのドラゴンは…

 

「アドマンティスくんのブースト、イレーニアちゃんでヴァンガードにアタックします」

 

「…それもノーガードかな。ダメージチェック。うッ…ノートリガー」

 

オルフィストがダメージに…!

 

「ではブーストしてハイドロリックラム・ドラゴンでヴァンガードにアタックします!ドラゴンのスキルでバインドゾーンにカードがあるならパワーが5000上がります!合計53000でヴァンガードにアタックです!」

 

「…ノーガードです。ダメージは…ドロートリガー!1枚ドローしてパワー10000をヴァンガードに」

 

一足遅かったけどドローはありがたい。そして引けたカードもなかなか良い…次のターン追い詰めるまでには行かないが盤面を削る位は出来そうだ

 

「ターンエンドです。お友達を呼んで皆でファイトする…これが『わくわくゾルガさん』です!」

 

目が爛々と輝いておられる…さっきまで緊張していた子と同じ人とはとても思えないがスイッチのonoffが激しい子なのかもしれない…でも、面白くなってきたじゃないか!

 

「俺のターン!スタンド&ドロー!よし!手札を捨てて『柩機の神オルフィスト』にライド!」

 

現れたのは胸に六角形の『柩』がある大鎌を構えた巨大な人型のゴーレム。その堂々たる姿は『神』と呼ぶのにふさわしい迫力を出している

 

「そして手札から捨てた『武闘竜ゴルドーグ・ドラゴン』のスキルを発動するよ。このユニットは自分のターンに手札から捨てられたとき、セットオーダーがあるならCB①を支払いコール出来る」

 

「ライドコストがドロップから…なんだかそちらもわくわくしそうですね!」

 

「そ、そうかな…?そしてSB①を支払って『人知れぬ闇の中で』をプレイ!効果で相手前列のリアガードを1枚退却させる。ハイドロリックラム・ドラゴンを退却させるよ!」

 

「ドラゴンくんがっ!」

 

そして世界オーダーが2枚になった。これで―

 

「世界は『深淵黒夜(アビサルダークナイト)』になる…!」

 

ズオオッ…とオルフィストから更なる暗闇が辺りに広がり自身とゾルガを包む。この闇こそ彼ら『柩機』の世界…

 

「ひぃぃ…!」

 

「オルフィストは世界が『黒夜』か『深淵黒夜』ならパワーが5000上がるよ。そしてオルフィストのスキルを発動!CB②を支払い『夜影兵トークン』を3体コールする!」

 

ヌッ…と足元の闇から人の上半身に翼の様なものが付いたものが現れる。彼らは『夜影兵』。オルフィストが生み出す兵隊たち。時に彼らと共に戦い、時に盾となる存分だ

 

「1体をゴルドーグ・ドラゴンの後ろに。もう2体はそれぞれ前列と後列にコール!」

 

「そ、そちらはオルフィストさんが色々と呼び出すのですか…パワー15000!?」

 

トークン達のパワーは15000。単体でもG3のユニットにアタックが届くのである。CB②を消費する分呼び出されるトークンもかなり強力だ。手札にアタッカーが居なくても最低限の打点を出せるのもオルフィストの利点である

 

「じゃあ行くよ!ボバルマインのブースト!オルフィストでヴァンガードにアタック!パワーは26000!」

 

「う…の、ノーガードですぅ」

 

「ドライブチェック!1枚目…クリティカルトリガー!クリティカルをオルフィスト、パワーはゴルドーグ・ドラゴンに!2枚目…ヒールトリガー!ダメージを1回復してパワーは前列のトークンに!」

 

「あわわわわわッ…!?」

 

ザンッ!とオルフィストの大鎌が振り下ろされ衝撃波がゾルガを襲う。ここでのダメージ2点と1点回復は大きいぞ…!

 

「だ、ダメージチェック…1枚目はノートリガー…2枚目…ノートリガーです」

 

「バトル終了時、セットオーダーがあるのでボバルマインのスキルを発動。ソウルに自身を入れてCC①する」

 

これで次のターンもオルフィストの効果を使える!そしてダメージトリガーも出ないなら…ここは素直にヴァンガードを殴ろう。イレーニアは手札からコールしないと効果を使えないし今のままではただのバニラ。インターセプトで使われてもトリガーが乗っているリアガードは止まらない

 

「トークンでブーストしてゴルドーグ・ドラゴンでアタック!」

 

「…ノーガードです。ダメージチェックは…ノートリガーです」

 

「続けてトークンでブーストしたトークンでアタック!パワーは40000だよ!」

 

「か、完全ガードです!」

 

防がれたか…でも3回しかアタック出来ないオルフィストにとって完全ガードを切らせたのは大きい。それにこちらは手札を2枚しか使っていないから手札のガード値も充分!

 

「ターンエンドです」

 

「ボクのターン…あっという間に逆転されてしまいましたね。やっぱり想像してるよりずっと難しくて…でも、面白いです!」

 

白パーカーくん…嬉しいこと言ってくれるじゃないの!

 

「それなら良かった。やっぱり誰かとファイトするのは楽しいものだからね」

 

「はい!でもボクだってまだ…諦めてませんから!スタンド&ドロー!『怪雨の降霊術師ゾルガ』にペルソナライドです!」

 

ペルソナライド!手札に握ってたか…!

 

「1枚ドローしてこのターン前列全てにパワー+10000!そしてゾルガさんのスキルでドロップからヘンドリーナちゃんをアドマンティスくんの上にコール。登場時のスキルは使用せずヘンドリーナちゃんを退却させて魔合成のSBを全て無くして…行きます!『魔合成』!」

 

ゴオッ!とゾルガの杖が再び輝き始める。2回目の魔合成か…何が来る?

 

「手札から…最後の『悲嘆と絶望、そして拒絶』と…ドロップの『呪われし魂は悶え蠢く』を魔合成!呪われし魂のコストはヘンドリーナちゃんのスキルでゼロに。なので悲嘆のコストCB①を支払います」

 

「もう1枚のG3オーダー…!」

 

…ここで決める気だな!?

 

「『悲嘆と絶望、そして拒絶』の効果を発動!イレーニアちゃん、ゾルガさん、右後列の怨念鎖くんにパワー+10000です。そして『呪われし魂は悶え蠢く』の効果でデッキトップから4枚見て本来ならば1枚ですが…魔合成しているので2枚までコールします!アドマンティスくんをイレーニアの後ろに、ハイドロリックラム・ドラゴンくんを右前列にコールしてそれぞれにパワー+5000!更にアドマンティスくんのスキルでイレーニアちゃんに+5000与えます!」

 

イレーニア→35000+アドマンティス13000

ドラゴン→28000+怨念鎖20000

ゾルガ33000+怨念鎖10000

 

…4万越えが3列。しかもドラゴンはスキルでアタック時に53000までパワーが上がるから…要求値がとんでもないぞこれ。どう凌ぐ…?

 

「お友達を呼んで魔合成でムキムキに…これが『わくわくムキムキゾルガさん』です!」

 

「えぇ…?」

 

思わずジムに通って爽やかな汗を流しているゾルガをイメージしてしまった…に、似合わない気がする。とはいえこちらはガード値も足りてるし完全ガードもある。なんとか凌ぐしかない…!

 

「では…行きます!ブーストしてゾルガさんでアタックです!パワーは43000!」

 

「…手札を1枚捨てて、完全ガード!」

 

少し迷ったがクリティカルトリガー2枚捲られたらそのままオダブツだ。もし捲られて全てリアに振られたら手札のトリガーを全て投げるしかないがダメージは抑えられるし、左右に振られても片方は受けれるからここで完全ガードを切っておくのが良いはず…だよね?

 

「トリガーチェック…!」

 

デッキトップに指を掛ける白パーカーくん…そしてその手の上に重なるようにもうひとつの手…ゾルガの手が重なる。なんだかあのトップ、凄まじいオーラを放っているような気がする…!

 

「生滅流転の理を以て…」

 

『生あるもの全てを絶つ…』

 

「『そして世界は裏返る!』!」

 

捲れたのは…

 

「…超トリガー!『天恵の源竜王 ブレスファボール』!」

 

「超トリガー…!?」

 

まさかこのタイミングでの超トリガー…!しかもストイケイアの超トリガーは厄介な効果がある。それは―

 

「1枚ドローしてイレーニアちゃんにパワー1億!更にドライブチェックで出たので追加効果!イレーニアちゃんのクリティカル+1、前列のユニットに+10000!さらにダメージ1回復!」

 

ブレスファボールの追加効果は全てのトリガーの効果を1回ずつ発動させる…!これは…マズイぞ

 

「2枚目は…ノートリガー。完全ガードです。でもこれで充分!ブーストしてイレーニアちゃんでアタック!パワーは…1億58000!クリティカル2です!」

 

「…ノーガードだね!」

 

流石に完全ガードも無しに超トリガーは受け止めきれない。イレーニアの鞭がオルフィストの身体に巻きつき動きを封じ、イレーニアの強烈な蹴りが叩き込まれオルフィストの身体が弾き飛ばされる…!

 

「くっ…ダメージチェック!1枚目…ノートリガー。2枚目は…ノートリガーです」

 

しかも落ちたのは完全ガードが2枚か!手札に欲しかったぞお前ら…

 

「ハイドロリックラム・ドラゴンくんでアタックです!パワーは…63000!」

 

打点が高すぎる…!でも止めるしかない!

 

「手札からヒールトリガーとクリティカルトリガー、そして『ユースフル・リチャージャー』を出すよ!スキルでCB①を使って…『深淵黒夜』ならシールド+10000!あとはドロートリガーとゴルドーグ・ドラゴンでインターセプトだ!」

 

これでオルフィストのパワーは68000…なんとか耐えきったぞ…!

 

「…防ぎきられてしまいましたか」

 

「大分危なかったけどね…なんとか耐えられたかな」

 

「悲嘆と呪われし魂の『魔合成』と超トリガー。現状のボクとゾルガさんの最大値だったのですが…もう少し積極的にアタックすべきでしたかね…ターンエンドです」

 

ゾルガの杖の光がすぅっと消えていく…どこが寂しげで儚げなその光はなんとなく白パーカーくんの心情を現しているかのようでもあった

 

「俺のターン。スタンド&ドロー…」

 

「…木ノ本さん、でしたよね」

 

「ん?」

 

突然白パーカーくんに話し掛けられ…そういや名乗ってたっけ俺?

 

「店員さんに教えてもらったんです…あの、どうしてボクとファイトしたいと思ったんですか?」

 

「どうしてってそれは…」

 

なんて言ったら良いんだろう…寂しそうだったから?でも、あえて言うならば

 

「なんとなく…かな」

 

「なんとなく…ですか」

 

そう、気になったからなんとなく。そのなんとなくに大分勇気を使ったわけだがそれは置いておくとして

 

「…実は俺も店員さんからちょっとだけ君のことを聞いたことがあってさ。君もさっき『人と対戦するのは初めて』って言ってただろ?」

 

でもその割にはプレイングや出すカードの判断に迷いが無い。それは対戦相手を想定しデッキを回す練習をしていたということだろう

 

「ずっと1人で考えながら回してただけなんですけどね。誰にも話し掛けられなかったですし…へへ」

 

あ、なんか負のオーラが出てる…彼女以内歴=年齢の男の悪いところ出ましたねぇ!

 

「そ、それにさ。せっかく練習してるんだし、誰かとやるファイトの面白さを少しでも味わって貰えたらなーっていうか…そのトリガーで一喜一憂したり、神ドローで逆転、とかぁ…」

 

どんどんと声が萎んでいく…交際歴=ZERO年の悪いところ出まくりである

 

「ふふ…」

 

白パーカーくんが微笑む。ほえ?

 

「面白い人なんですね。木ノ本さん」

 

「…そうなの、かな?」

 

面白かった…のか?良く分からないけど…笑ってくれたならオゥケイ!

 

「それなら…全力で最後までファイトしましょう!ボクも最後まで粘りますよ!」

 

「…あぁ!全力で行くよ!俺は…」

 

手札から最高の相棒を抜き出し、構える。こっちもゴルドーグ・ドラゴンは失ったがトークンたちは健在だ…それなら!

 

「『柩機の神 オルフィスト』にペルソナライド!」

 

弾き飛ばされた身体が輝きを取り戻し…いや、先程以上に輝きを増していく。大鎌を両手に構え、胸の六角形の『柩』も光を放つ

 

「不思議ですね…全てを包む黒夜なのに、なんだか暖かい気がします」

 

「それは…ファイトを楽しんでるからそう思うのかな?」

 

「さて、どうでしょう?」

 

悪戯っぽく笑う白パーカーくんがなんだか眩しい…俺にもあんな純真な時代があったのだろうか…ないか!

 

「そしてオルフィストのスキル!夜影兵トークンを3体呼び出して…トークンでブースト!オルフィストでヴァンガードにアタックするよ!パワーは43000!」

 

「完全ガードです!コストは…ごめんねゾルガさん」

 

そっと、丁寧にゾルガをドロップゾーンに置く。これでオルフィスト自身のアタックは止まったけど

 

「ドライブチェック!1枚目…ノートリガー。2枚目…フロントトリガー!前列のトークン達にパワー+10000!右列のトークンでアタック!パワーは50000!」

 

「ノーガードです。ダメージは…ノートリガーです」

 

ならこれで…決める!

 

「左列のトークンでアタック!パワーは50000!」

 

2体の夜影兵がゾルガに迫る。ゾルガは白パーカーくんの方をちらりと見るが

 

「インターセプトしても止まりませんね…ノーガード、です」

 

白パーカーくんが頷くと、仕方ないなと言わんばかりに両手を広げニヒルな笑みを浮かべる。まるで『今日は負けを認めてやろう』とでも言っているかの様で…なんか腹立つなあの顔

 

「ダメージチェック…クリティカルトリガーです」

 

ダメージ6点。こうして白パーカーくんの初対戦と、木ノ本の激闘は幕を閉じたのであった

 

 

 

―☆―

 

 

「ありがとうございました」

 

「あ、ありがとうございました…」

 

先程までの堂々とした姿は何処へやら。ファイトが終わって少し経つとファイトする前に戻ってしまった。どうやらスイッチが切り替わったようだ

 

「凄く強かった…あと少しで押しきられる所だったよ」

 

「い、いえその…恐縮けふっ!コホッ!」

 

「だ、大丈夫かい?」

 

「すみまぜん…久しぶりにこんなにお話したのでその、喉が…」

 

ああ…そういうことか

 

「ならさっきのファイトの話もしたいし、外に飲食スペースがあるからそこで飲み物でも飲みながら話さない?お菓子もあるし」

 

さっき君から貰ったやつだけどね。と言うと白パーカーくんもぜ、是非!とブンブン首を縦に振るのであった…首、痛めないと良いけどな…あ、そう言えば白パーカーくんのままだと呼びにくいし名前聞いとかないとね!

 

そんなことを思いながら、二人は並んで歩いていくのであった。そしてそんな後ろ姿を見ながら、あらあらと夕子さんが青春ねぇ~と呟いていた…




息抜きのつもりが本編より長い番外編を書いてる男が居たんですよぉ~

なぁ~にぃ!?(筆が)ノっちまったなぁ!

男は黙って!

五・七・五!

男は黙って!

五・七・五!

それじゃ俳句だよぉ~


「え、なにこれ…」

さぁ…ということで待たせたな!前回翅瑠ちゃんと対戦した木ノ本さんのメイン回となります。流石に出番か少なすぎたからね…

「ユージン使いのやつもいつか書くつもりだから気長に待っててくれよな。にしても今回最長じゃねぇのかこれ…?」

色々入れたらガッツリ長くなっちった…てへぺろ☆疲れたお☆

「自業自得なんだよなぁ…」

いやね、書いてて思ったんだけど1弾環境でもけっこう高いパワー出せるんだよねどっちも…1弾環境の時やってなかったのでてっきりスタートデッキ組とは勝負にならないかと思ってたけど勉強不足でしたわ

「一歩先を行ってるのがスタートデッキ組って感じだな…」

とはいえ流石に次回はブースター2弾のカードも出そうかな…今回のお話はショップ大会の後と2弾発売の間のお話として書いたつもりだったので

「まだ出してないライドラインもあるけどそいつらは2弾発売後のプールで出すのか…大丈夫かお前の知識で?」

公式のレシピ見ますわ…

ということであとがき位短めにいきましょ。次回は本編に戻りますので…ではまた!

「じゃあな~ノシ」

追伸というかお詫び

いったん非公開になったのは大きなミスが一部分あり、パワーが多くなってしまった部分がありましたので修正致しました…ゾルガデッキ持ってるのにね!

今後は気をつけていきますのでよろしくお願い致します
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