真実×嘘〜光を灯せ〜   作:わむ

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お久しぶりです、こんニーゴ。

だいぶ遅れましたが、プロセカ2周年おめでとう〜((パチパチパチパチ
ピックアップに奏ちゃん入れたのに来なかった〜あぁ…

今回はイベントを基に話を作っていますが、本当に雰囲気だけです…!
設定の全然違うところが多いので、苦手な方はバックがおすすめかもしれません。
(うろ覚えで書いたからなぁ…)

文字数多めです、どうぞ!


10 マリオネットの前夜祭

「みんな、ちょっといいかな?」

 

ナイトコードに入っていつも通り1人で作業をしているとKがみんなに呼び掛けた。

 

「人形展のチケットを知り合いから貰ったんだけど…私は興味が無いから、みんないる?」

 

「「人形展?」」

 

「うん。今週の土曜日なんだけど、いろんな人形が見れるみたいだよ。他にも人形の衣装とかも飾ってあるみたい」

 

「へぇ〜人形の衣装か〜!良いのがあったら作ってみたいな!」

 

「素材の参考にしてみたいかも!」

 

「私は興味ない」

 

盛り上がっている2人とは対照的に自分の意見を淡々と述べるまふゆ。

 

「も〜釣れないなぁ。ねぇ、折角だしみんなで行かない!?」

 

Amiaが提案する。人形の衣装がそんなに気になるのか、さっきからテンションが高い。

ううん、やっぱり前言撤回。Amiaはいつもテンションが高くて、五月蝿い。

 

「あ、ごめん。2枚しかなくて…ってあれ?1枚で2人入れるみたい。でも人数足りないし、みんなで行ってきたらどうかな?私はなるべく曲作りに時間を割きたいし」

 

「え〜Kも行こうよ〜!一応お金を払ったら入れるんでしょ?割り勘だったらそこまで負担じゃないし」

 

人数が足りない?2人が2枚、4人でしょ?足りるはず。

まさか私も含めて考えてるの?

 

「私は行かないよ。今週の土曜は予備校があるし」

 

「それなら私もある。3人で行ったらお金も掛からないんじゃない?」

 

私の言葉にまふゆが反応する。

私達は予備校がある。友達と出掛けるからという理由で休めるような物じゃない。

 

「予備校は何時に終わるの?」

 

「17時」

 

「じゃあ終わってからでも行けるよ。20時まで開いてるから」

 

Kが優しく言う。

 

「でも門限が…」

 

そうだった。まふゆの親は厳しい。

遊びに誘った時も厳しい門限のせいで断わられた。

勿論門限が関係なくても、午後から予備校だったりで高校生らしくまふゆと遊んだことは今まで無いし、そんなまふゆの姿を見かけた記憶も無い。

まふゆの感情が無くなってしまったのもあの親の所為なのかもしれない。

 

何回か会ったことがある。私はあまり良く見られていなかったと思う。

視線に殺意…とまでは行かないけれど敵意のようなものを感じた。

それにやたらと自分の意見をじわじわ押すな、と思った。特に母親。

反抗したとしても後が面倒になりそうなタイプ。気付いたら言いなりになっているのではないか。

まふゆは昔から思いやりのある子だった。

その思いやりが母親に向いていたら?後は容易に想像出来る。

 

「…!…!」

 

奏さんは曲でまふゆを救うと言っていた。曲で…

 

「…!……零花!!」

 

「え…?」

 

急に名前を大声で呼ばれてビックリしてしまった。

 

「え、じゃないわよ!さっきからみんなで呼んでも何の反応もしないんだから!」

 

「ご、ごめん。それで何?」

 

「何って…人形展の話してたでしょ?それで行くの行かないの?」

 

「だから予備校が…」

 

「予備校終わってから行こうっていう話じゃない!」

 

「えっ…まふゆは?」

 

「予備校終わって少しだけなら大丈夫」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「で、行くの、行かないの?」

 

4人…私が行ったらお金が掛かる…

 

「予備校の後すぐ用事があるから私は行けない」

 

「そうなんだ…」

 

さっきまで凄い圧で問いかけてきたえななんの代わりにKの声が聞こえた。

なんだか悲しげなのは気のせいだろうか。

 

「うん。だから4人で楽しんで来て」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。私はいつも通り学校に行く。

 

…もしかしたら私もまふゆと似たようなものなのかもしれない。

いつも周りには嘘の笑顔を振り撒いて。

でも私はきちんと自分の感情はある、多分。

きちんと味等も分かる、美味しいと感じるかどうかは置いておいて。

 

私は人を常に疑っている。信用出来ないから、自分に近しい人程、私は観察している。

この人はどんな性格なのか、どんな人と仲良くしているのか、普段どんな事を話しているのか、裏でどんなことを言っているのか。

私は耳が良い。普通の人が聞こえないような、小声でも、遠くで話していてもある程度なら聞こえる。

本人の前では、どんなに調子の良い事を言っていても、教室の隅でボソボソと悪く言っているのだ。

 

他人の事だとしても気分が悪くなる。

聞かないようにすれば良いかもしれないが、私はそうやって人を判断しないといけない。

その人との間の壁の厚さを決めないといけない。壁が厚い人間とはなるべく関わらない。そうやって私は生きてきた。

 

まふゆは多分1番壁が薄かった。

でも私はまふゆをずっと見ていたから、違和感に気付いた。

まさか感情すら無くなっているとは思わなかったけど。

 

 

いつもいつも我慢して、自分の気持ちを出さない。

 

本当は違うはずなのに否定しない。

 

無理矢理な、自然とは言えない笑顔で取り繕う。

 

段々、段々、その動作に違和感が無くなった。

最初でもパッと見だったら、気付かないようなものだった。でも親しい人なら気づくような、そんなもの。

 

それが自然に、自然に。

 

心から出るようなものに見えた。

 

でも何処かでこの動作は人に見えなかった。気持ち悪かった。

私の目にはロボット、というよりは人造人間のようなものに映った。

 

気にして声を掛けた事もある。さりげなく聞いたりした事もある。

でもことごとく綺麗に躱されてしまった。

本人が大丈夫と言うなら大丈夫かとその時思ってしまった。

気付いたらもう取り返しがつかない事になってしまった。

 

もっとしつこく、いや直球で聞けば良かったのだろうか。“風”じゃなくて、ちゃんと親身になって質問すれば良かったのだろうか。

 

……正解はもう誰にも分からない。

 

 

 

「零花、おはよう」

 

後ろから優等生のまふゆの声が聞こえた。

 

「おはよう、まふゆ」

 

私はニコッと笑って返す。

そうやって変わりない毎日を繰り返して来たつもりだった。まふゆは変わってしまった。

 

「ところで、今週の土曜は予備校終わった後に何があるの?」

 

「……え?」

 

「昨日ナイトコードで言ってたでしょ?何の用事か気になって!」

 

「え、とプライベートの事だし言えない…かなぁ」

 

「プライベート?高校生で『友達』にも言えないプライベートの用事って一体何かなぁ?」

 

「えっと、その…」

 

なんで急にこんなこと聞くの?嘘がバレる。何か言い訳を…。

 

「言葉通りに取っちゃうと怪しい危険な匂いがするんだけどなぁ。まさか」

 

「あーあー!言わないで言わないで!えっと、その、曲を作るんです…」

 

「曲を?」

 

「そう、曲を…」

 

「そうなんだ、零花は曲を作りたい奏が行くのに、自分だけ曲を作るんだね?」

 

「あ、いや、その、え、と」

 

「このことを今日、ナイトコードで行ったらみんなどんな反応するだろうね?奏も曲を作るっていうかも。そうしたら絵名と瑞希は怒ると思うなぁ」

 

「い、言わないで。だって私が行ったらお金掛かるし、それにさ…」

 

「それに?」

 

「私、ニーゴじゃないから一緒に行っても邪魔だよ」

 

「そっか。分かった」

 

良かった、分かってくれて。

また絵名さんに怒られるのは作業が遅れるから、勘弁して欲しい。

まふゆ、言わないよね?多分。まふゆは今まで人が嫌がることをした事無いし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、『私が行くとお金が掛かるから、人形展に行かない』って今日零花が」

 

信用するべきじゃなかった。突然だった。突然まふゆが早口で暴露した。

 

「えっ!?何それホント!?」

 

真っ先にえななんが声を上げる。嫌な予感が…寒気する…

 

「ちょっと、ちょっとー!僕たちそこまで貧乏じゃないんだから、5分の1人分くらい出せるよー!」

 

「そうそう、それにお金は出さなくても行けるわよ」

 

お金は出さなくても行ける?

 

「それってどういう事?4人分じゃないの?」

 

「フフーン、実は昨日お母さんに一枚貰ったのよ!モトモトハアイツガタイリョウニモラッテキタモノダケド」

 

「えななん、最後の方なんて言ったの?小声の早口で聞こえなかった」

 

「な、なんでもない。とーにーかーく!遠慮しなくても行けるわよ!」

 

怒られなかった。じゃあさっきの寒気は気のせい…

 

「そういえば『私はニーゴじゃないから邪魔だ』とも零花が言ってた」

 

「「「え………」」」

 

3人のただただ驚いている声が聞こえる。

 

なんて言った?私はまふゆが言った言葉を頭で繰り返す。

…まふゆ!?まふゆさん!?

私は今日素のまふゆを信じてはいけないことを学んだ。

 

「な、なんで言うの?言わないって約束した…」

 

「分かった、とは言ったけど、言わないとも内緒にするとも言ってない」

 

私は記憶を朝に戻す。さぁ…と顔が青ざめた。

確かに言ってない。油断した。私が…!

 

「零花、そんな風に思ってたの?」

 

奏さんの悲しそうな声が聞こえる。

 

「私はニーゴのメンバーじゃないし、一緒の時間にナイトコードを通して作業をしているだけの存在だから…私がニーゴの間に入るのはおかしいと思った…」

 

「私は零花のことを邪魔だと思ったことはないよ。まふゆの幼馴染っていうこともあって、前よりもまふゆが楽しそうだし、一緒に作業して良かったと思う」

 

「ボクもそうだよ!零花が来てからはまふゆが2人に増えたような感じがしたし、零花も自分から喋るタイプじゃないけど…人数が増えたから賑やかな雰囲気を感じたんだよね。そういう雰囲気で作業する方がいいもの出来るじゃん?」

 

「私は…正直言ってまふゆよりも厄介な奴が来たなって思ったんだよね。でも今更居なくなったら…ストレス発散させる相手が減っちゃうじゃない!」

 

「そうそう。今零花が居なくなったら絵名の八つ当たりが全てボクに…」

 

「八つ当たりではないから!ま、今更居なくなったら困るってこと。まだ絵も見せて貰ってないし。まふゆもなんか言いなさいよ!」

 

「私は別に零花がナイトコードに顔を出さなくても、学校で会えるからどっちでもいい。でもみんなが困るならいた方がいいと思う」

 

「もし零花が良かったら引き続きナイトコードに来てくれないかな?人形展もみんなで行こう?」

 

「うん、みんながいいなら…」

 

「だから良いって言ってるじゃんー。あーでも良かった。まふゆを最後に回したのは失敗だったけど奏がうまくまとめてくれて」

 

「まふゆも素直になれば良いのに、零花がいないと寂しいって」

 

「よく分からない」

 

「アンタねぇ〜!」

 

「…ところでさ」

 

「どうしたの、零花」

 

「さっきからずっと名前呼びになってるよ」

 

「「「あ」」」

 

「ま、まぁ?重要な話だし、名前呼びの方が思いが伝わるっていうか?」

 

「よく分からない」

 

「アンタは黙ってなさい」

 

「まぁまぁ、取り敢えず話をまとめるとみんなで土曜17時に駅前集合、人形展に行く、でオッケーだよね!いやー楽しみだなぁ!今までセカイでしか会ったこと無いもんね!」

 

 

Amiaが楽しそうにまとめる。

みんなから聞こえる声も明るい気がする。

私も…人と出掛ける事が久し振りだからか、楽しみにしている自分が心の隅にいた。

 

 




どうでしたか?

えーと、零花さん?
人信じてないって言ってて、ニーゴのみんな信用してませんか?
……何故、こうなった…

零花の人間不信は治って無いです。
そういう認識で…あの…お願いします…

ではまた!

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