艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん -敗者達の栄光- 作:星龜
EP60 彼女達の居場所
https://syosetu.org/novel/170259/63.html
より
鎮守府の提督―。
艦娘の基地である鎮守府の長官である提督は、海軍の軍人の憧れの役職だった。
しかし、誰でも提督になれるわけではない。
人心掌握術や艦隊指揮能力だけでなく
妖精と呼ばれる、一般人には見ることのできない生命体の姿を見ることができなければ、提督にはなれない
のだ…。
しかし、提督とはいえ、海軍の軍人…
男である。
まっとうな男なら、
中には、艦娘の色香に惑わされることなく、軍人として、提督の職務を全うする者もいるが、そんなのは、ほんの一握りである…。
たいていの提督は、艦娘の色香に惑わされ、艦娘と肉体関係をもつまでになってしまう…。
それでも、ほとんどの提督は、艦娘の色香に惑わされても、軍人としての本分を忘れず、深海棲艦との戦闘の指揮を執った。
それが、提督の任務だからである。
だが、提督の中には軍人としての本分を忘れ、艦娘の色香に惑わされて肉欲に溺れてしまうの者もいたが、それはまだマシな方である。
最初から艦娘との肉体関係をもつことを目的に、無理矢理、艦娘と肉体関係をもとうとするバカもいた。
そういうバカは、艦娘が憲兵に通報し、逮捕されて懲戒処分となる…。
酷いのは、艦娘に手を出さないかわりに、艦娘を兵器として
さて、種守中学ガンプラバトル部に突如入部してきた
久条 純一
だが…
じつは、純一の父は、とある鎮守府の提督だった
久条 政義
であった。
政義は、鎮守府においても艦娘の色香に惑わされることはなく、職務に忠実な提督であった。
あくまで、職務に忠実だっただけ
である。
政義の問題点…
それは、鎮守府に幼い子供…
すなわち、幼少時の純一を鎮守府に連れてきていたのだ…。
子連れの提督など、海軍始まって以来の珍事で、前代未聞であり、鎮守府の艦娘達も唖然とした…。
政義自身も、職務に忠実な点は艦娘達からも評価はされたが、指揮能力に問題があった。
政義は、どういうわけか
駆逐艦娘を軽視
していた。
とりわけ、睦月型駆逐艦娘に対しては、ぞんざいに扱った…。
ある日、睦月型駆逐艦娘の長月が作戦行動中、座礁するという事故を起こした。
その報告を聞いた政義は、烈火のごとく怒った。
政義は、長月を実戦部隊からはずすと、幼い純一の世話係を言いつけたのである。
艦娘は深海棲艦と戦うのが任務なのに、その任務からはずされ、あろうことか子供の世話をするなど、屈辱以外の何物でもない。
べつに、長月は人間の子供が嫌いというわけではない。
艦娘の本分を否定されたのが悔しかったのだ…。
▽
あれから8年―。
自分の存在意義を否定した提督の息子が…
やりたくもない世話をした、あの時の子供が…
今…
目の前にいる―!!
立ち上がった
「なんだとっ!?
うわぁっ!!」
と、挟まれたまま地面に押さえつけられた
「あっ…あああっ!?
そ…そんな…!?
俺は…こんなところで…!?」
と、暗くなっていく操縦スペースで、恐怖にかられる純一…。
そして…
ついに…
「あ…暁ちゃあぁあぁん…!!」
という、純一の断末魔の悲鳴とともに…
撃墜と判定された…。
◇
砂煙の中から、左腕と頭部左側の装甲をほとんど失ったガンダムバルバトスルプスレイトが、一瞬、バランスを崩しながらも立ち上がり、メインカメラを緑色に輝かせた。
その緑色の輝きはやがて深紅へと変わり、メインカメラから激しい稲妻が走り…
狼の遠吠えの様な音
を発した。
それを聞いた響は、なぜ、ガンプラからそのような音がするのか、考えてしまった。
その隙をついたかのように…
「なっ!?」
あまりにも速すぎる
次の瞬間、
「くっ!!」
大型テイルブレードがシールドを貫いた
のだ―!!
シールドを捨てる
だが…
その直後…!!
「えっ!?」
いつの間にか
が背後に回り込んでいた―!!
「くっ!!」
と、ビームサーベルを後方へ向けて振るう
「くそ、速い…!!」
と、
そこへ、再び、大型テイルブレードが背後から迫ってきた。
大型テイルブレードの接近に
すると、今度は上空から
「上っ!?」
(まずいな…。)
と、顔をしかめる響。
(!!)
前方から大型テイルブレードが迫ってきた。
そこに、
あまりの速さで走っていたからか、
(当たった…!!)
逆に、
そのまま、肩アーマーを丸ごと吹き飛ばした。
さらに大型テイルブレードで攻撃をしかける
被弾した
「何故なんだい、三日月!!
何故、まだ戦おうとするんだ!?
もう、勝敗が決まったような無意味な戦いに、どんな理由があるっていうんだ!?」
と叫ぶ響。
なぜ、こんな事を言うのか?
響自身もわからなかった…。
〈理由…?
何ですか…それ…?
意味…?
そうですねぇ…
私には意味なんてありません…
でも…。》
と、三日月からの応答がきた。
おそらく、三日月自身も、もはや、何を理由に戦っているのか、わかっていないのだろう。
もちろん、響も三日月も負けるつもりはない。
しかし…
たとえ、ここで勝っても、これだけ
(もはや、何を理由に戦っているのか、わかっていないのは、私も同じか…。)
と、響は目を閉じた…。