続きだぜ!
夏の超S(シャイン)な日差しが少しだけM(マイルド)になった季節! オレは今日も今日とて後輩くんを拷問調教! 体力がついてきた後輩くんは人参二十本以上三十本以下? のスタミナをつけてマジ狂い! 後輩くんのお父さんもヤベー活躍してるんだから当たり前だよね♪
「コウセイさんの拷問調教に慣れてきました!!」
「コウセイさんだとぉ!? ふざけんじゃねぇよ!! コウセイ様だろぉ!!」
「はい! コウセイ様!!」
「ジュージューになるまでやるからな今日は!」
こんな感じでトップとボトムの関係を叩き込んであげている。オレってばMだからSみたいに他馬を蹴落とすことなんてできねぇよ! だから徹底的に、後輩くんに徹底的にオレの技術を叩き込んでいく!!
これで次の無敗の三冠馬は決まりだな、なんてガタイで分析。
「あ! 先輩に見てもらいたいのあるんですよ!!」
「ん? なんなりねぇ」
「はい! これ、お父さんがレース前にやってたステップなんですけど」
うおーっす!? すげー、足の関節がヌルヌルで舌みたいに波打ちながらステップ! オレもやってみようと思ったけど足の関節が固くてできないなりねぇ……悔しいぜ!
でも、このステップを見せたら背中の上の騎手さんが大口を開けて驚いてる? ステップしている後輩くんに乗ってる塩顔系イケメン騎手さんも歴史の観測者みたいなホワホワな顔で達観気味。
「……星野くん? これってテイオーステップってやつじゃないか」
「……そう、みたいですね」
「最初の新馬戦は初レースで気負ってたみたいだけど、次の未勝利戦は差し切ったからね」
「お父さんのように無敗で突っ走るのはもう無理ですけど、シャイニングレオ号はイッテンコウセイ号のおかげで調教に真面目になったし、前より走るのが好きになったみたいです」
後輩くんが見せたステップに騎手さん達が感銘を受けてムラムラジェラシー! あーあ、オレってば無敗の二冠馬なのに珍しいステップを見せられただけで感心を失われるなんて、やっぱり騎手さん達はオレのことは生かさず殺さずのペットとしか見てくれないんだなってネムネムの顔で白け気味。
なんだよ!? これじゃぁトップとボトムの関係が入れ替わったみたいじゃないか! オレがトップでレオがボトム!! それなのにこの場所ではレオがトップでオレがボトムみたいじゃないかよぉ(涙)
これは一からトップとボトムの関係を叩き込むしかないなりねぇ……。
「レオ、オレと一時間併走できるな?」
「無理です! 死んでしまいます!!」
「無理かどうかわからないだろ! じゃあ、その無理さは競走馬に例えるとどれくらいだ?」
「コウセイ様です!」
うーん、後輩のレオに褒められて少しだけ淫乱になる。
あれ? でもさ、オレってば一時間くらい併走しても全然大丈夫なりねぇ……。
できるじゃん!?
「それだったらできるだろうが!? もっと他の競走馬を言えよ!!」
「お父さんのトウカイテイオーくらいです!」
「いいねぇ、おまえいいねぇ! あ? でも、レオのお父さんって戦績どのくらいだ?」
「無敗の二冠馬です!」
「じゃあできるじゃねぇか!? オレと一緒じゃん! 漫才やってんじゃねーんだぞ!!」
「すみません!」
徹底的にレオを、徹底的に拷問調教して、
――掘られまくり痙攣しまくり白目剥いて吠えまくり。
にしてやろうと思ったら騎手さんから待てが出る。
マジかよ!? オレのハードSの心を挫くなよな!
いいぜ! 確かにレオは超淫乱競走馬の才能があるけどさ、オレはそれの二十倍以上三十倍以下? の才能があるから絶対に、レオにだけは絶対に戦績じゃ負けねぇぜ!! 無敗の三冠馬を通り越して無敗の四冠を目指してやるぜ!! (現在G1五勝、実質無敗の五冠馬)
【天界・競走馬日本支部】
「また息子が馬鹿やってるよ……」
外界にいる自分の息子を白い目で見つめるスーパークリーク、だが、その表情は温かいものだ。
自分の息子がサンデーサイレンスの孫達を打ち負かす姿は本当に爽快感がある。平成三強すべてが強い子孫を残せなかったことを考えるに自分だけが優秀な息子を持つという優越感。
「おお、ここが外界観測場所か……ストロベリーサンデーの奴に七冠馬(笑)とか言われてキレちまったよ……」
「あ、シンボリルドルフさん」
本当に数日前くらいに天界にやってきた三冠馬シンボリルドルフがクリークの隣に立つ。
競走馬の完成形とも言える美しい馬体は他の追随を許さない。
「ん? ああ、ハイパーブリーチか……ワシの孫とか知らないか……?」
「クリークです。ルドルフさんの息子さんならここにいますよ」
『自主規制』中のトウカイテイオーの姿が映し出される。
シンボリルドルフは神妙な顔で息子が『自主規制』している姿を眺める。
「……綺麗な一本『自主規制』してるな、あと十年は生きるな」
「ルドルフさんも長生きでしたからね」
「トウハイテイオーの息子はいねぇのか? 去勢されてねぇだろ、ハイパークリーク」
「トウカイテイオーとスーパークリークです。自分がよく見てるお孫さんなら……息子と遊んでるこの子ですね……」
イッテンコウセイと併走している後輩シャイニングレオが映し出される。
『レオ! もっと足の回転を上げろ!! そんなんじゃ相手を差せねぇーぞ!!』
『はひぃ! これ以上は足がもげちゃうよぉ!!」
『なんだってテメェはそう調教に対して根性がねえんだ?』
『コウセイ様が異常なんですぅぅぅ!!』
『あったまきた……(冷静) おまえには死んでもらいます』
『体中が痙攣するくらい痛いです!』
『生きてる証拠だよ』
ルドルフは大笑いしてアブに刺された時のように天界のフカフカ芝生を駆け回る。
その時、クリークは調教嫌いの血筋を調教する自分の息子に涙していた。ライスシャワーに聞いたトウカイテイオーはとにかく調教嫌い、ワガママな王子様で自分が世界最強だと思っているナルシスト。最初の頃のレオは父親によく似た性格(才能は並)だったが、コウセイのおかげで父親と同じ水準に達している。
「にしても、おまえの息子はおもしれぇ! 競走馬が競走馬を調教してるなんてなぁスーパーブリーチ」
「スーパークリークです。ええ、自慢の息子ですから」
「おまえもワシも強いのは一匹だけ、結構親近感あるな!」
「ルドルフさんが最初の一発、自分が最後の一発ですけどね」
互いに語り合い、有馬記念と同じ芝2500mで勝負しようかと談笑しているところに黒い影、
「オレは息子も孫もスゲー活躍してるぜ? 一匹しか強いの出せないとかプークスクス(笑)」
シンボリルドルフの頭のネジが弾け飛び、その瞬間にはサンデーサイレンスの命は消えていた……。
シンボリルドルフ『競走馬の間ではライオンと称される伝説のボス馬』それに気性難ってだけのサンデーサイレンスが勝てるわけがない。
ピクピクと痙攣して動かなくなったサンデーサイレンスに追い打ちしようとギンメで詰め寄るシンボリルドルフ、
――そこに現れたのは「あの」メジロマックイーン!
「すいません! ルドルフ様には絶対に失礼がないように言い聞かせていたのですが!? メジロの誇りにかけて全力でサンデーはメジロしますからミンチだけは勘弁してください!!」
「何だ? 黒い奴の次は白い奴かよ、って、おまえメジロの生まれか? 懐かしい名前だなぁ」
「はい! どうか、本当にミンチだけは勘弁してください!! 自分もオグリさんが無限人参食べてるところに割り込んでミンチにされましたから!? で、ミンチになると再生まで三日かかるので……」
「チッ……じゃあ、オレとクリークの芝2500mに付き合えよ。ここは全盛期の体だからな! どれだけスピードが出るか楽しみだ」
芝2500mと聞いて天界の名馬達がシンボリルドルフの元にやってくる。
「有名なルドルフさんが走るなら僕も走りたい!!」黒い刺客:ライスシャワー参戦!
「ルドルフとは三冠馬対決をしたいと思ってたんだ」ターフの演出家:ミスターシービー参戦!
「あの……えっと……! 僕もはしりましゅ!!」シャドーロールの怪物:ナリタブライアン参戦!
「有馬、久しぶりに胸が高鳴る」芦毛の怪物:オグリキャップ参戦!
「ワイもおるで! オグリと走るのはぎょうさんあるけどこんだけおるなら楽しみや!」白い稲妻:タマモクロス参戦!
「逃げ馬がいないようだねーセイちゃんが一肌脱ぎますかー」トリックスター:セイウンスカイ参戦!
「セイちゃんが出るなら俺も出るぜ!」怪鳥:エルコンドルパサー参戦!
「なら、全力で相手をさせてもらいます」ターフの名優:メジロマックイーン参戦!
「ふぉふぉふぉ、まだまだ現役じゃよ」スーパーカー:マルゼンスキー参戦!
「「「「俺も俺も!!」」」」 歴代の名馬達参戦!
ルドルフは鼻で笑って有馬記念スタジオに全員を引き連れる。
「馬ってのは速い自分が好きなんだなー」
【菊花賞】
なんか緊張するなぁ、なんて思いながらパドックにイン! すると他の競走馬達がオレのことをギンメで睨んでくる!? やべーよ! みんな親の仇みたいに目がイッちゃってる!?
あ、でも……よくよく考えたらここにいる殆どの競走馬、それのお爺ちゃんはストロベリーサンデーとかいう馬だ! オレってみんなから見たら爺ちゃんの敵じゃん!?
前まではまるで「オレを見ないのがエチケット」なのかな? オレが激エロのモロ超淫乱競走馬だからかな♪ みたいな感じで目をそらしてたのに今日は真逆だ!
なんなんだよぉ!? みんなハードS紳士みたいにバリバリの気迫をぶつけてくるし、一頭にはハードS紳士が乗ってるし、ガタイの分析機能がシャットダウンしちゃったぜ!?
恐怖から出てくる走馬灯、その中では沢山のレースが繰り広げられて……。
「殆どのレースにハードS紳士がいるじゃん!?」
新馬戦の記憶以外にハードS紳士がいるぜ!? ハードS紳士って何者なんだよぉ(涙)
気負ってるオレの首を撫でて落ち着かせてくれる騎手さん! ああ、淫乱になるぅ~♡
やっぱりオレの背中にはジャニ系を超えて福○雅治系イケメンの騎手さんが一番なりねぇ♪
どうにかガタライズ機能を復旧させようと深呼吸を繰り返すと見知った顔が声をかけてきた。
「よぉ、コウセイ。夏場は大変だったみたいだな」
「ウッス! オルフェーヴルくん久しぶりッス!」
「今日こそは勝つ! って言いたいところだが……今日の奴らは異質だな……」
「うん、自分も思ってるっす……」
オルフェーヴルくんと会話してる間にも他の競走馬は目がイッちゃってる!? オルフェーヴルくんもこの状況に異質さを感じてギン目でオレ以外を睨んでいる。効果はないみたいだ。
ようやくガタライズ機能が回復し、この異質な状況をガタイで分析。
『どうして先行策なんだろう? いつもは差しなのに……』
『逃げなんてしたことないよぉ……』
『騎手さんどうして僕が先行なの? 僕は鋭い末脚があるから絶対に届くよ!!』
『距離が長いのにどうしてハイペースを狙わないといけないの……?』
オレの淫乱イアーが周囲の競走馬達の弱音を察知! そうか、これはオレのせいだなとガタイで分析。確かにオレはダービー以外は基本的に大逃げでレースをしてたから差しや追い込みで届く奴が少ないぜ……。
オルフェーヴルくんの末脚はオレと同じくらい、だからいつも通りの指示で走るんだろうな。でも、他の競走馬は違う、オレの大逃げに対応できないんだ! だから、少しでも届く可能性のある慣れない戦法を出してきた……。
「コウセイ? 今日はおまえらしくねぇな、いつもは飄々と他の馬を見てるのに」
「ウッス、今日の雰囲気は自分のせいっす……」
「はぁ? 確かにおまえの大逃げはレースをぶっ壊すが、それはやっちゃいけねぇことじゃねぇ! 競走馬が……いや! 人間が勝手に俺達の戦法をイジってるだけだ!!」
「う、ウッス!」
「だから、絶対に自分を曲げるなよ。大逃げじゃなくてもいい、オレは本気のおまえと戦いたいんだ! だから、生温い走りしたら走り終わった後に蹴り入れるぞ!?」
「ウッス!」
オルフェーヴルくんに勇気という強力なパワーを貰って超淫乱競走馬【イッテンコウセイ】完全復活!
そして、オレは少し勘違いをしてたんだ……。
オレゎ ハードS紳士ゎ嫌いだけど レースゎ好き みんな正々堂々戦おうね!
でも、それはオレ達みたいな競走馬の話だ……。
競走馬は人間が決めたことしかできない。大好きなデカ人参だって、淫乱になる騎手さんのナデナデだって、自由気ままな一人旅だって、全部人間が許してくれないとできないことじゃん!
だから、オレとオルフェーヴルくんだけしかこのレースで自由に走れない。だからみんなオレのことをギン目で睨んでくるなりねぇ……。
いつの間にかパドックグルグルが終了し、ゲートに向かうトンネルに足を踏み入れていた。
オレ、無敗の三冠馬になれるのかな? もう、ならなくてもいいかな……お父さんが勝ったレースだから、勝ちたいと思ってたけど……。
――その時だった。
『クリークの息子は根性なしやな! ていやんでい!! 大舞台に立つならシャキッとせい!!』
『そうだぞ、コウセイの為にこの時間昼寝してもらうよう、イナリに連絡したんだからな』
『これがクリークの息子か、良い面構えをしている』
『ワイ達の世代、そのガキが三冠に王手かいな! これで勝ったらサンデー煽ったろ!!』
お父さんが三頭の競走馬を連れてやってきた!?
さっき妙に眩しかったのはオグリキャップだな、この衝動はイナリワンだな、この力強さはタマモクロスだなとガタイで分析。
こ、これがお父さんが戦っていた。しのぎを削っていたライバル!? スゲーぜ!!
歴戦のレジェンド達はオレの消えかけていた闘志に火炎放射器で火を灯すどころか焦土にするレベルで燃やし尽くしてくる! ポルシェ並のレジェンドだぜ!?
『私から行こう……絶対に勝て……』
ドクンドクン!
いつもとは違う心臓の鼓動にマジ狂い! まるでレースで絶対に勝つためだけに心臓が動いてるみたいだ!?
『ていやんでい! クリークの息子だから出血大サービスでい!!』
シャン! シャン!
なんだこれ? いつもの走り方じゃなくてまるでジャンプするような走り方が脳みそとガタイを跳ね回る! スゲー、これだったらもっと凄いスピードが出せるぜ!!
『まあ、ワイは平成三強やないんやけど、応援してるで?』
ゴーッッッ! ゴーッッッ!
体中から力が溢れてくる!? まるで最終直線で稲妻のようにゴールする追い込み馬! パワーがすげー上がったぜ!!
『コウセイ、私はお前のことをずっと息子だと思っていた。だが、今日は違う……私は、おまえを一頭の競走馬として尊敬している。父親を超える競走馬は少ない、だからこそ、私は――おまえを愛している』
サーッサーッ
体の疲れ、力み、乱れが全部綺麗さっぱりなくなったぜ!? これならどんな距離だって駆け抜けられるぜ!!
『コウセイ、おまえは私達より遥か遠くの世界に行く! ここで負けちゃいけない』
「ウッス! お父さん」
『コウセイ、だから……先行で走れ……! これが父親として言える最大で最小のアドバイスだ』
「ウッス! お父さんの期待を絶対に裏切らないっす!!」
瞬きをした瞬間には四頭の競走馬は消えていた。
……――勝つ理由ができたぜ!! 今日だけじゃない、明日も! 明後日も!! 二十年以上三十年以下? それだけの時間勝つ理由が出来たぜ!!
ウッス! オレは超淫乱競走馬【イッテンコウセイ】!! 絶対に期待を裏切らない競走馬だぜ!!
『各馬ゲートイン、一番人気はクラシック三冠に王手のイッテンコウセイ、二番人気はオルフェーヴル、クラシック三冠最後の大勝負どんなレースが繰り広げられるか』
心の中から大量の炎が焔が業火が燃え上がる! これが生まれて初めて絶対に勝ちたいと思ったレース!! 絶対に負けられないぜ!!
――ゲートが開く機械音、オレは勢いよく飛び出した! レジェンドパワーだぜ!!
『各馬綺麗なスタート! 一番人気イッテンコウセイ大逃げの体制に入るか? いや、イッテンコウセイペースを落とします。今回は先行策でレースを進めるようです。後ろから逃げ馬達が追い上げてきます』
お父さん、レジェンドのみんなの力を貰ったからわかるぜ! このレースは大逃げなんてしたらいけない。大逃げは確かにオレの戦い方に合ってるぜ! でも、今日、この日に限っては大逃げなんてしたら絶対に――奴が上がってくる!
「ふっ、コウセイの奴……ここにいる競走馬全部がG1級だってのに……
――俺のことしか考えてねぇな!
流石だよ、おまえはやっぱり流石だ! だからこそ!! 俺がおまえを倒す理由になる!!」
騎手さんが出来る限り体重が乗らないように、オレが走りやすいように騎乗してくれている! こんなに走りやすいのはハードS紳士以来だぜ!!
(コウセイ……おまえはやっぱり最高だよ……! 気迫を感じる、このレース絶対に勝ちたいって気持ちが、炎に包まれたような感覚!! 今、コウセイは燃え上がっている!! この世界で一番熱い競走馬だ!!)
『直線を抜けて最初のコーナー、各馬なめらかに足を進めます』
オレ、頭空っぽの超淫乱競走馬だけどさ……後ろから感じる――殺気! わかる、オルフェーヴル! おまえはオレなんかよりずっと賢くて、そして直線じゃあ負けるかもしれないぜ!! だけど、お父さんから教えてもらった。アドバイスしてもらった!
『コウセイ、だから……【先行で走れ】……! これが父親として言える最大で最小のアドバイスだ』
『各馬第二コーナー、坂が影響したか順位が入れ替わります。イッテンコウセイ坂を物ともしない力強い走りです!』
先行で走れ、理由? しらねーよそんなの。
なんて言わないなりねぇ……。
オレ、多分大逃げしてたら絶対にこの坂でスタミナをガッツリ持っていかれてた! だから、前を走る逃げ馬達のペース、それを徹底的に、逃げ馬のペースに徹底的に合わせる!!
「逃げはもう無理だ! うぅ……」
『コーナーを抜けて直線に入ります。順位は入れ替わって……イッテンコウセイが先頭に立ちました! このペースを維持できるか!? レースはややスローペースで進んでいます』
「へっ! 自分の走り方をさせねぇ人間ってのはひでー生き物だな……!」
殺意が増してきたぜ! オルフェーヴル……狙ってるな……! いいぜ!! オレはおまえのことが大好きだ!!
最初に出来たオレのライバル! おまえはオレ以上の――末脚プロ級マニアだぜ!!
「オーナー? イッテンコウセイ号が走ってますよ」
「いいんだ。見なくてもわかる」
「え?」
「目を閉じればクリークがいる。それが理由さ……」
『最終コーナーにさしかかり各馬のペースが上がります! ここでオルフェーヴルが抜け出した!! イッテンコウセイも突き放しにかかります!!』
ウッス! 来たなオルフェーヴル!! おまえはオレを絶対に裏切らないし、オレもおまえを絶対に裏切らないぜ!! だからさ――おまえは「超」激エロだぜ!!
「コウセイ……! やっぱりおまえは最高だ!! こんなにレースが楽しいと思ったことはねぇ!!」
『最後の直線!! 先頭には二頭しかいない!! イッテンコウセイ苦しいか!? オルフェーヴル上がってくる!! イッテンコウセイ加速!! 最後はこの二強だ!!』
「コウセイ! おまえは世界一の名馬だ!! 走れ!!」
騎手さんの力強い鞭でオレの限界を超えた末脚が爆発! ポルシェ並のエンジンだぜ!!
もう、目の中にオルフェーヴルがやってきてる! でも、オレは絶対に負けたりしない!! オレが――
『残り200m! イッテンコウセイ! オルフェーヴル!! 二頭が並んだ!! イッテンコウセイか!? オルフェーヴルか!?』
「なあ、コウセイ……俺は強いか……?」
「ウッス! 俺が知ってる競走馬で一番激エロで、強くて、ライバルだぜ!!」
「ああ、俺もおまえのこと……激エロって部分以外そう思ってるよ……!」
――超ウルトラスーパーエクセレントジーニアスハイパーインパクト淫乱競走馬でお父さんとお母さんの息子だから!!
『大激戦のゴール前!! これは写真判定になりそうです!!』
息も絶え絶えで速度を落としながらオルフェーヴルくんと併走する。
もう、どっちが勝ったとか考える余裕もねーぜ!
でも、不思議と笑えてくるなりねぇ……。
「あーあ、蹴り入れられねぇじゃねぇか! 本気で走りやがって」
「ウッス! 超淫乱競走馬は絶対に油断なんてしねぇーぜ!!」
――騎手さんが大きく腕を上げたのが見えた。
『イッテンコウセイ一着! 史上三頭目の無敗の三冠馬ここに誕生!! 歴史的瞬間に場内から歓声が上がっています!! 親の文句は俺に言え! 自分の両親は最高なんだ!! だから俺が三冠馬なんだ!! うぅ……!』
オルフェーヴルくんはオレのことを見ないのがエチケットみたいな感じで静かに去っていく。
ウッス! オレ、無敗の三冠馬になったっす!!
【次回予告】
『なんや、ホンマに無敗の三冠馬になってもうたなぁー』
『いや、おまえ達のおかげだよ』
『イナリは生きてるからな、イナリが次の三冠馬を出すかもしれないぞ?』
『なんや、オグリが寡黙じゃないとキショいなー』
『いいじゃないか、クリークの息子が快挙を見せれば私だって饒舌になる』
『まあ! もう殆どワイらの息子みたいなもんやな!!』
『ふふっ、嬉しいよ』
『じゃあ、ワイらも3000mで勝負するでー!!』
『いいだろう』
『望むところだ!』
ヨーグルトと麦茶と読者様の感想が俺の養分だぜ!
敗北について
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出来る限り早く負けて♡
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最高にカッコイイ負け方して♡
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生涯無敗! それしか認めん!!