激エロ架空競走馬伝説【イッテンコウセイ】   作:蒼井魚

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シャイニングレオのエクスタシー

『レオ、明日から併走はできなくなるけど……おまえなら出来るな?』

 

 目を瞑ればコウセイ様の激励の言葉が頭の中を巡る。

 いつも諦めていた自分がいた。

 自分のお父さんは無敗の二冠馬だけど、強い子供は作れなくて……自分もそんな競走馬の一人なんだろうな、だから未来なんてないんだと思って諦めてた……。

 でも――コウセイ様に色々と教えてもらった!

 

『レオのお父さんは凄い名馬さんだ! 諦めたらいけない。諦めたら両親に失礼なりよ』

 

 その言葉で俺は少しだけ諦めることをやめた。

 すると諦めの視線を向けていた調教師さんや厩務員さん達の目が輝き出した。

 これがお父さんに向けられていた期待の眼差し。

 

『レオ? 全力で走ると疲れるかもしれないけどさ、全力で走る自分をカッコイイって思えば疲れなくなるんだぜ! だから、自分の限界の天井まで全力になればいいなりよ』

 

 限界の天井? そんなの考えたことも無かった。

 でも、自分の限界を探していたら天井に頭をぶつけた。

 ああ、これが自分の限界なんだなって、でも、日に日に限界の天井に苛立ちを覚えて……。

 いつの間にか限界の天井を超えていた。

 

『レオは真似ることが正解だと思ってるかもしれないけど、真似ることは楽だけど先が見えなくなるんだぜ! 真似ないことが未来への歩みだと思うなりよ』

 

 お父さんの無敗の二冠馬を目標にして、打ち砕かれ……その時に与えられた言葉。

 俺はお父さんを目標に走ってきた! 無敗じゃないけど、二冠馬になってやるって……。

 でも、それは楽をしていただけだった。

 コウセイ様のおかげで自分の本当の未来がハッキリと見えた!

 

『レオが俺を倒せる? しらねーよそんなの……でも、レオが自分が一番速い競走馬だと思うなら! オレと同じ土俵に立てたな!! 有馬記念で待ってるぜ!!』

 

 コウセイ様と同じ土俵、舞台に立つなら絶対に――負けられないなぁ……!

 俺はコウセイ様を……お兄さんとしてコウセイさんと呼びたい……!

 だから――天井を突き抜ける!!

 

【菊花賞2012年】

 

 パドックに集められた同い年の名馬達、気合で負けちゃいけない!

 今、俺はお父さんの立てなかった舞台で堂々と駆け抜ける!!

 

「よお、二着マンは今日も自信満々だなー」

「白い奴……今日はやる気あるのか?」

「うーん、ダービーはちょっち仕掛けるタイミングが悪くてさー……まあ! 今日は爺ちゃんが勝ったレースらしいし、多少本気になるかな!!」

 

 なんというか、雰囲気はコウセイ様に似てるけど……魂の部分が違う。コウセイ様は自分の才能を過信なんてしていない。ただ、自分の体の中にある名馬達の心を受け継いで……リスペクトしてる!

 でも、こいつはリスペクトしていない。ただ自分の才能が先祖達にあるから気楽に駆け抜けてるだけだ! 最初の頃の俺と同じだ……昔を見ているようだ……。

 

「にしても、走るってのは面倒くさいよなー」

「……どうしてだよ?」

「俺ってさ、確かに負けたら一瞬くらい悔しいと思うけど、負けた理由を考えたら当たり前だって納得しちまう。だからレースに本気になるってのが滅多に無いんだよな」

「……そうか、まあ、才能があればそうなのかもな」

 

 コウセイ様、今だから謝らせてください。

 俺、本当はコウセイ様が言ってたような良血じゃないんです。

 九州の牧場が破産して、お母さんを引き取った馬主さんがお父さんのファンで……お母さんは中央じゃ見ることが出来ないくらいの零細なんです……。

 でも、コウセイ様という目標で自分のグレた心が綺麗になりました。

 最初はコウセイ様が羨ましかったです……自分と同じくらい零細で、それなのに無敗でクラシック路線を寄り道しながら勝ち続ける姿が! でも、併走している内に兄のような優しさが……自分に才能があるという鼓舞が!! 俺に自信をくれました!!

 

「なあ、俺はシャイニングレオって言うんだ。笑える程の零細血統だ」

「零細血統? 俺はそういうの気にしなーい。てか、俺の親父も種牡馬になれたのが奇跡らしいし、見方を変えれば零細だ。ただ、才能はあるってだけ。ゴールドシップ、覚えなくていいぞ」

「ふっ……なら、同じだな? 今日はどっちが二着マンになるか――勝負だ!」

「……俺、おまえみたいな奴好きだぜ! いいぜ」

 

 パドックが終了し、ゲートに向かうトンネルに足を踏み入れる。

 自信とやる気だけは一番星、そんなのは負けた時の言い訳になる。

 今、俺はどっちも無い! ただ、一番星になりたいってだけの競走馬!!

 

『おお、こうやって孫に会いに行くのか! うーん、天界で見てただけだが……トウハイテイオーにそっくりじゃのぉ……』

「え? 貴方は誰ですか」

『ん? ワシはおまえさんの爺じゃ、なんやかんやで孫には助言をしてやりとうてのぉ』

「お、お爺ちゃん?」

『のぉ、孫……なんも思いつかんわ! まあ走れ! おまえのことを見守っとる』

「……はい!」

 

 なんだろう、凄くカッコイイ競走馬だった。

 あの競走馬がお父さんのお父さんで、お父さんの息子が俺で……。

 ハハッ……負けたくないよりも、勝ちたいになっちまった……!

 

 

 

【ゲート】

 

 お父さん、俺は貴方の勝っていない場所で勝利してみせます。

 もし、勝てなかったら……そんなこと言いません、絶対に勝ちます。

 この舞台に立てる自分を産み落としてくれてありがとうございます……お父さん、お母さん!

 

『シャイニングレオ、ゲート入りを嫌がり……いえ! これは……テイオーステップ?』

 

 お父さんのステップ、このステップでこの場所に俺とお父さんの証を残します!

 人間の大声が遠方からも聞こえる。

 コウセイ様、有馬で会うって約束……忘れてませんよ……!

 

『シャイニングレオゲート入り。京都競馬場、天候は晴れ、良馬場でのレースになります。一番人気はゴールドシップ、二番人気にシャイニングレオ、三番人気にはマウントシャスタが推されています。クラシック最後の冠、どのようなレースになるのか注目が集まります』

 

 俺が果たすのはレールじゃない、未来!

 

『今スタートしました! ゴールドシップスタートを決めましたがスッと下げます。二番人気シャイニングレオ快調に飛ばしますが二番手で抑えます。ハナに立ったのはビービージャパン、先頭からビービージャパン、シャイニングレオ――最後方からゴールドシップ』

 

 全員の仕掛けが早すぎる! このまま無策な先行をマークしてたら確実に後ろから持っていかれる! でも、このレースは長距離……騎手さんに頼むしかない……!

 

(これはヤバイな……無策な先行前残り狙い! 本物の逃げ馬はいない。レオ、すまないが仕掛けるのは俺の考えで決めさせてもらうぞ!)

 

『スタンド前、拍手に迎えられて優駿達が駆けていきます』

 

「なんだこれ? こんな簡単なレースでいいのかよ……人間の考え方ってのは――ッ!?」

 

(今だ! レオ!! おまえのスタミナなら絶対に抜かれない!!)

 

『第二コーナーを抜けて――シャイニングレオがハナに立ちました! これは早すぎるか!? リードは直線中程に入って三馬身!』

 

「やべぇ……これ以上のリードを許せば負ける……! でも、いいなこの雰囲気! 興奮するぜ!!」

 

『ゴールドシップも早めの仕掛け、外側からセーフティーリードを許さない!』

 

 ああ、これが逃げ馬の感覚なのか、ただ前を走って仕掛けてくる相手に怯える。

 でも、これがコウセイ様が見ていた世界――先頭の景色、誰もいない静かとも感じられる感覚!

 ――そして殺気!

 

『コーナーに差し掛かりシャイニングレオ三馬身! 二番手にゴールドシップが虎視眈々と狙っています!!』

 

(コーナーを抜けたこのタイミング! レオ!! おまえは親父を超えろ!!)

 

 コーナーを抜けたタイミングで騎手さんの全力の鞭――燃えるぜ魂が!!

 

『シャイニングレオ伸びる伸びる! ゴールドシップも肉薄!! 直線の叩き合い!! 最後はこの二強だ!!』

 

 お父さん、お母さん、お爺ちゃん……コウセイさん……。

 俺、諦めない自分を最高にカッコイイと思えるようになりました……。

 だから、天井を超えた天井を超える勇気をください。

 

『ゴールドシップ先頭! シャイニングレオ差し返す! 並ばない!! 互いに最後の力を振り絞って直線での勝負だ!!』

 

「……これは、才能じゃなくて実力で負けたな――シャイニングレオ、おまえすげーよ!」

 

『シャイニングレオ抜き返す! シャイニングレオ体制有利!!』

 

 ゴールを抜けて静かに呼吸を整える。

 勝った。感触がある。確かにゴールドシップより早く駆け抜けた……!

 だからこそ、俺は……お父さんを超えた!! エクスタシー!!

 

『父が立てなかった舞台での勝利――シャイニングレオは父を超えた! トウカイテイオーの息子ではなく、光り輝くライオンハート! シャイニングレオはここにいるぞ!! 一着!』

 

 これがお父さんの立てなかった舞台、そして勝利……。

 コウセイ様……コウセイさん、俺……

 

 お父さんを超えました!

 

「……有馬で勝負だ。怪我して回避するんじゃねぇーぞ」

 

 ゴールドシップが静かに去っていく。

 これが未来を走る俺の最初のG1制覇、序章でしかないな……! ゴールドシップがいる!!

 アイツは俺が死ぬまでのライバルだ……。

 

 

 

【次回予告】

 

 飛行機って不思議な感覚、だってさ! 車みたいにガタガタじゃなくて……引っ張られるような感覚なんだよ!

 そして到着したフランス! ここが凱旋門賞の舞台かぁ……芝がスゲー滑る!?

 でも、先輩やレジェンド達、牝馬さん……俺の決意は決まってるぜ! 勝って帰ってくる!!

 そんな時――レース中に大量の競走馬さん達が!?

名馬『おまえに力を貸してやる! 俺達の夢を叶えてくれ!!』

 いいぜ! オレの体をみんなに貸すぞ!!

 

 次回:【凱旋門賞勝利報告】




 やっぱりレース描写は濃ゆいの書けないですね……。

 アンケートの投票ありがとうございます! 結果は現状維持、そのままにしますね。

 次回は凱旋門賞……頑張ります!

 評価する時に「ナス」が入ってたら嬉しいな♪

 ヨーグルトと麦茶と読者様の感想だけが俺の養分だぜ!

敗北について

  • 出来る限り早く負けて♡
  • 最高にカッコイイ負け方して♡
  • 生涯無敗! それしか認めん!!
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