Swoop Witches   作:Arc penguin

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第四話

「脚がっ!俺の脚が!」

 

「止血だ!Robson(ロブソン)を呼べ!」

 

 止血帯を取り出して怪我をした隊員の膝下をきつく縛った。そこにちょうどKate Robson(ケイト・ロブソン)が到着、すぐに治癒魔法の準備を始める。

 

「ここで治癒魔法を使うと後で接合できなくなりますが…」

 

「構わん、吹き飛ばされてて接合しようにも部位が足りないだろうからな。」

 

「わかりました。」

 

 シールドと同種の光が周囲を覆った。拍動に合わせて吹き出ていた血が少しずつ収まり、やがて完全に止まった。傷口はまだ痛々しいが、そこに滅菌したガーゼなどを固定する。

 

「すぐに装甲車に戻してください。できればそのまま病院に送った方が良いですね。」

 

「さて…私達は逃げたやつを追う。このまま野放しにはできないからな。」

 

「わかった。私はここにいるのを片付ける。」

 

「焦るなよ、エイミー。お前の悪い癖だ。」

 

 何か返事をすることもなく、エイミーとエリザが目を合わせてから別れた。エリザが自分のチームのメンバーを集めて階段を下るのを見届けてから、エイミーらが作戦を再開した。

 

 廊下の奥の方でエイミーがシールドを展開しながらジリジリと距離を詰める。先程のような弾幕は張られていない。全くの静寂。とうとうドアの前に到達した。

 

「ドアを開けてからフラッシュグレネードを放り込め。防御は任せろ。」

 

 真後ろに付く隊員がベストからフラッシュグレネードを取り出してからピンを引き抜く。勿論、レバーは押されられたままだ。

 エイミーがシールドを展開したまま、トラップに警戒して少しずつドアを開ける。

 

「…投げろ。」

 

 手から放れたフラッシュグレネードがレバーを弾きながら地面を転がって部屋の奥の壁にぶつかる。

 

「今だっ、行け!」

 

 シールドを先頭に数人が突入した。乱雑に倒された家具などが足が前に進むのを邪魔しようとするが、難なく踏み越えて部屋に侵入する。部屋を一つ一つ慎重にクリアリングしていくが、どこにもトラップも敵も見つからない。

 

「おい…来てくれ。」

 

 キッチンを捜索していた隊員が他の隊員を呼び寄せた。

 

「これさ…」

 

 その隊員が指を指した先には木片がいくつか散らばっていた。その上の天井をフラッシュライトで照らすと明らかに天井裏から板を当てたように見える部分がある。

 

「こりゃあ…どう見ても…」

 

「天井裏の構造、把握してる?」

 

「いや…流石にそんな資料なかったぞ。」

 

 四人が引くのを待っていたかのように、木片が落ちていた場所よりもキッチンの入口寄りの天井を破って黒い影が落ちてきた。手に何かを抱えている。顔はよく見えない。運悪く一番近くにいた隊員の動きが止まった。

 

「動くな。いつでもこいつの背骨を吹き飛ばすことができるぞ。」

 

 ジリジリと距離を詰められる。何もできないまま数秒が過ぎた。

 

「そいつを解放しろ…どうせお前は生きて家には帰れん。」

 

「ふっ…面白いこと言うんだな。主導権は私にあるんだ。勘違いするなよ?」

 

 破裂音と共に拘束された隊員が前方に倒れる。

 

「なっ!」

 

 間髪入れず3丁のL40がそれぞれ射線をずらして発射された。

 

「ウィッチかよ!」

 

 互いにシールドを展開したまま3対1の銃撃戦が繰り広げられる。エネルギーの投射量は圧倒的に「3」が多い。対して「1」はその不利をひっくり返さんと、閉所でのシールドの優位性を活かして攻める。

 

「むっ、散弾銃か!」

 

 その手に握られていたのは一見散弾銃には見えない銃。ライフルに似た銃身、箱型の弾倉、そしてポンプアクションを行わずに射撃をしている。勿論、他にもオートマチック射撃可能な散弾銃は知っているが、他の要素が明らかに異質だ。

 

「流石の火力だな、リベリオンの試作品!」

 

 エイミーの位置からは先頭がどうなっているのかよく見えない。少なくとも味方に当たらないようにL40を味方のシルエットからずらして撃ち続ける。銃声が一つ減ったように思えた。ひたすらに引き金を引き、弾が切れたら再装填を行う。その繰り返しが数秒間続いた。

 銃声と共にシールドに肉片を纏ったバックショットが衝突し、ポトリと床に落ちた。正面には首の半分が食い千切られたように損傷した隊員。そこにさらに2発の銃声。完全に身体の制御を失った隊員が地面に突っ伏し、肺に残っていた空気が漏れ出て、床に貯まる血をブクブクと泡立てた。

 必然的にエイミーが最前列に立つ。この距離でのバックショットは拡散することなく殆ど一塊になって飛んでくる。一発一発が重い。

 

 戦闘の音を聞きつけて廊下にいた他の隊員が部屋に駆け込む音が聞こえてきた。

 

「これで…」

 

「どうかな…?」

 

「援護する!」

 

 キッチンの中から入口に隊員が来たのが見えた。後方からの2発の銃弾がそのウィッチの華奢な脛を砕いた。そのまま膝まづく姿勢になったウィッチに隊員が銃を指向する。

 

「投降しろ。もう逃げられん。」

 

「わかった!抵抗を止める!命の保証はしてくれるんだな?」

 

 ここまでの激しい抵抗を簡単に停止させたことに周りの隊員も困惑している。

 手に持っていた散弾銃のグリップから手を離して、床にゆっくりと置く。そして腰や胸にあるマガジンポーチを叩いて潰した。今はもう役割を終えたただのナイロンだ。

 

「何も入ってないだろう?弾切れだ。さっきの2発で最後だった。」

 

 そうしてキッチンの入口まで手を上げて後退した。その隙にエイミーがショットガンをキッチンの奥へと蹴って地面を滑らせた。

 気だるそうに他にも武器を隠していないか身体検査を受けている。

 

「よし…武器になるものは見当たらない。拘束して連行するぞ。」

 

 隊員達がウィッチの結束バンドで手首を縛ってから、一人を残して廊下に出て危険物が無いかを確認し始めた。安物のジャケットの下に簡易的なボディアーマーとマガジンポーチ、腰回りには予備のマガジンポーチとブットパック

 

 

 

「おい…お前、さっきの無線は何だ?」

 

「あぁ、それね…。もうちょっと待って。」

 

「?」

 

「4」

 

「3」

 

「おい!何のカウントだ!」

 

 胸ぐらを掴んで問い詰めるもカウントダウンは止まらない。

 

「2」

 

「答えろ!おい!」

 

「1」

 

 Donaghadee(ドナガディー)の街にある一つのアパートが丸々吹き飛んだ。後日の発表によると裏手の物置に「なぜか」積んであった硝酸アンモニウムの爆発だという。少し話のわかる人間であればこの発表のいい加減さ、デタラメさがよく伝わっていただろうが、そんなものを気にする程暇な人間、またはする余裕のなかった人間が殆どだったのだろう。




かなり間が空いた割りにスカスカですみません。実のところ、ここまでの話は前座というか、書きたいシーンに持ってくまでの繋ぎみたいな感じのものです。早くそこを書きたいので余分なメンバーは無理矢理退場させました。またどこか別の作品で掘り下げるかもしれません。
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