転生したら昭和16年でした   作:秋月艦隊

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気が向いたので書きました。


プロローグ

大海を巨大な鋼鉄船がゆく。

目指すはアメリカ太平洋艦隊の中核戦力たる戦艦8隻のもと、旭日を掲げた艦隊は20ノットもの速力で躍りかかる。

目指すは”勝利”海戦による敵艦隊の撃滅。

 

戦艦の主砲が敵を捉える…仰角が徐々に上がっていく。

水兵たちも攻撃開始の瞬間を今か今かと手に汗握る…ドンッ!と激しい振動と爆音が海上に響く。

 

世界が夢見た日米艦隊決戦の火蓋が切られたのだ。

 

「…まじかよ」

 

…そんな歴史の大舞台でげんなりした表情を浮かべる美しい少女…自体は数ヶ月遡る。

 

ー数ヶ月前ー

 

2022年9月7日。

その日俺はいつもどうり学校に来て授業を受けていた。

夏休みが終わってすぐの授業は地味に長く感じる、俺はそんな教室でぼーっとホワイトボートに書かれてる授業の文章を眺めた。

 

「…で、あるから旧日本軍は慢心によって空母4隻を失う大損害を受け、太平洋戦争全体での優位を喪失し…」

 

授業では中年手前の先生が太平洋戦争での歴史についてホワイトボートに書きながら教科書を読んでいる。

今はちょうど太平洋戦争の転換期になったとされるミッドウェー海戦について説明されている。

…個人的には慢心よりも暗号が解読された事や珊瑚海海戦の影響で参加出来なかった翔鶴型空母2隻が敗北の問題な気がするが…まぁ他にも艦隊の指揮をしていた南雲さんがすぐに攻撃隊を発艦させなかった点など、もうとにかく上げたらキリがないけどな。

 

「…大和くん、あの先生の言ってる話かなり古くない?」

 

「…伊藤。軍オタは最近肩身が狭いんだ、そこら辺は脳内でツッコめ」

 

席の前後で先生にバレないようコソコソと会話しているは幼なじみ件同志である伊藤と言う男だ。

同志と言ったように俺たち2人はこのクラスでは唯一の軍オタだ、最近はこの手のオタトークを出来る人間がなかなかいない事もあり俺としてはかなり助かっている。

 

「…よし、今日の授業はここまでとする。明日までに復習しておくこと」

 

やっと終わった…。

クラスの全員が席を立つと…視界が真っ白になった。

 

「は?」

 

誰かの声がやけに耳に突き刺さった。

俺は周りのみんなと同じように一瞬硬直しながらも首を上下左右にふり周囲を見渡した。

 

ー真っ白な空間だー

 

文字どおり真っ白な部屋と言うべきか、だが部屋の終わりは見えない、何故か地平線のようになっているからだ。

 

『良くぞきた勇者達よ』

 

目の前に突如として現れた【神】堂々たる風格を纏っており背後には光を背負っている。

これまた多くの人が思い浮かべるであろうファンタジーな神様だ、俺は呆気に取られるあまり逆に冷静になってきた。

 

【なんか変なのに巻き込まれた】

 

と俺は肌で感じながらアワアワしている伊藤の肩を軽く叩き落ち着かせようとした。

 

 

『お前たちには我々が用意した3つの世界に自分の意思で転生してもらう。勿論拒否権など存在しない』

 

「え?どういうこと?」

 

「何なんだ!?」

 

「ここ何処だよ!?」

 

「家に帰して!!」

 

クラスメイト達が得体の知れぬ恐怖に叫ぶ。

その言葉に一貫性はなく皆が思い思いの言葉を並べているだけで俺には最早聞き取れなかった。

 

『1つ目の世界はお前達の世界より技術が進んだ世界だ。お前たち風に言えば【近未来SF】と言うものだ』

 

『2つ目の世界は剣と魔法の世界だ、ファンタジーな世界でモンスター何てものもいる。これもお前たち風に言えば【なろう系ファンタジー】の世界だ』

 

『3つ目はお前たちの世界の過去だ。それぞれの行きたい時代、更には生まれまで細かく決められる。言わば【強くてニューゲーム】の世界だ』

 

神はこちらに3つの選択肢を迫る。

恐怖に負け泣き叫ぶ者もいる中、神はあくまでもこの中の選択肢を選ぶまで俺たちを逃がしてくれはしないようだ。

 

「大和くん…どれにする?」

 

「俺は3つ目の過去だな。何せこっちは知識というアドバンテージを生かせる、他の世界では全くの未知の部分を3つ目の選択肢ならすぐさま理解できるんだ、俺なら間違いなく3つ目だ」

 

「…やっぱりそうなるよね」

 

お互いに意見のすり合わせを行った俺と伊藤は一息つくと周りを見渡した。

未だに泣いている人も多いがクラス委員や同じく巻き込まれたであろう歴史の先生によってある程度秩序を回復させていた。

 

「失礼ですが2つほど質問をしてもよろしいでしょうか?」

 

「ちょっ、大和くん不味いんじゃ」

 

『構わんぞ』

 

右隣にいる伊藤は止めるようとするが、肝心の神は俺の呼び掛けに無感情な視線と言葉で答えた。

 

「まず最初に、3つ目の過去というのはいつからいつまでが範囲ですか?」

 

『お前たちが産まれる前ならいつでも良い。それこそ自身が産まれる1日前に転生するのでもいいぞ。説明した通り見た目も産まれも自由自在だ』

 

「…転生先に無機物や他の生物を選ぶことは出来ますか?」

 

『可能だ。我々に不可能は無い』

 

俺の行動を見ていたクラスメイト達に安堵の雰囲気が流れ始める。

…あくまでも"3つ目"の話しかして無いのに何であいつらは安心出来るんだ?もしこの質問で分からない所に落とし穴があったらどうするんだよ。

 

まぁ、俺はもう転生先を決めたがな。

 

「伊藤。軍艦への転生って良くないか?」

 

「え?いや…正気?普通は軍の指揮官とかじゃない?」

 

「勿論正気だ。逆に聞くが"戦艦"が太平洋戦争を勝利に導くってのも面白そうじゃないか?」

 

「…ゲームじゃないんだよ?大和くんがそっち方面にいくら詳しいとしても難しいと思うけど」

 

伊藤の反応は凡そ予想通りだな。

まぁ、意地でも付き合ってもらうがな。

 

「…まぁ、いいよ」

 

「決まりだな。俺は戦艦大和にするが、そっちは?」

 

「…うーん。ビスマルクにするよ」

 

俺はもうこの状況を最大限生かすことにした。

勿論、人類の黒歴史みたいな時代に転生するのに抵抗がないと言えば嘘になるが、それ以上に俺は経験してみたいのだ日米がしのぎを削った戦いを、あまたの英雄達が誕生しては散っていったあの日々を。

 

伊藤も覚悟を決めてくれたし最早怖いものは何一つとしてない。

…強いて言うなら俺達の知識で勝利に導けるかだが…そこら辺は転生してから考えよう。

 

「決まりました」

 

「同じく、自分も」

 

『よかろう。貴様らを史上最大の戦いが繰り広げられた時代に送ろう』

 

場面が変わる。

 

次の瞬間、俺が立っていたのは真っ黒な空間だった。

 

「おぉ…すごい」

 

目の前には史上最大の戦艦【大和】が堂々と存在しており、俺は艦首の辺りでフワフワと浮かんでいた。

 

『ここではお前に転生後の姿を作ってもらう』

 

「え?戦艦の姿じゃ無いんですか?」

 

純粋に疑問に思って聞くと神はやれやれと言った雰囲気を醸し出しながらその質問に答えた。

 

『この姿だけでは不便だろう。だから船の姿ともう1つ人の姿を作るのだ』

 

「つまり、戦艦と普通の人って事ですか?」

 

『違う…お前たちの言葉で言う擬人化だ。船が無事な限り生き死ぬことは無いアバターのような物だ…最も無機物である以上時間経過で朽ちるだろうから、それらは我々の方で無くしてやる』

 

なるほど?つまり沈まない限り俺はずっと存在し続ける事が出来るわけだ。

少なくとも数百年は生きたいな。

 

『図々しい奴だ。ほれ、お前のイメージで姿は変えられるぞ』

 

「…あの、見た目が明らかに"女"なんですが」

 

『船の擬人化だぞ?女に決まっておるだろ』

 

いや、男の擬人化もあるけど…うん、あまり気にしない方が良さそうだな。

神様がそう言うんだからきっとそれが正しいんだろう。

 

「…出来ました」

 

『ふむ。なるほどな』

 

「…(イラッ)」

 

今までとは打って変わってニヤニヤしながらこちらを嘲笑ってくる神…なんだよ?理想の美少女作って悪いか?良いだろそれくらい、どうせ女の姿になるんなら自分の考える最高の異性にするだろうが。

 

『いや、別にかまわんそ』

 

やめてくれ。

そうやって俺の心を読みながら笑いをこらえるのは、俺は悪くない。

 

『では、転生させるが他になにか質問は?』

 

「どうやって人の姿と船の姿を変更するんですか?」

 

『現れたい場所を強く念じて見れば平気だ。困ったら月の出ている日は会話ができるようにしてやる』

 

なぜに月の出ている日?もしかして神が世界に介入するには月が必要だったり…。

 

『単純に雰囲気作りだ』

 

あっそうですか。

…あぁ、視界が暗闇に包まれていく。

俺は神に何とも言えない親近感を感じながら意識を深く落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦名を【大和】とする!

 

目が覚めると俺は戦艦大和になっていた。

 




一応、リメイク作品なんですが最早リメイク前の面影は殆どありませんね。(展開も全く違う)
まぁ、気が向いたら更新していくので気長にお待ちください。
感想・評価お待ちしています。
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