大惨事スーパーロボット大戦α   作:猫者

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バイバイ、シロッコ

 

「正直な話なのですが……

 ヴェイガンは地球を攻めてくるでしょう。

 厳密な時期についてはヴェーダが算出中ですが」

 

 

「アスノ中将、それは……

 いえ、フリット・アスノさん。それはありえないのでは」

 

 

 休憩中の個室で向かい合う、ブライトとフリット。

 ブライトも部分的とはいえフリットの歴史を知っている。

 中佐ともなれば深い所にも踏み込んでいた。

 それゆえに、復讐者の妄言であると感じる部分があったのは確かだ。

 

 

「艦長。確かに、普通はありえない。

 だが、ヴェイガンは事実。一度、超空間ワープを利用し攻めている。

 続けてこないのはそれが過度に利用できるものでないのと、おそらく。地球側にヴェイガンの工作員がいるからです。それも、連邦か、ティターンズ。片方、あるいは」

 

 

 

「両方に……!? どういう事ですか」

 

 

「ブライト艦長。そもそも、誰も間に合わないタイミングで日野真くんの街が襲撃されたあの一件がおかしいのだ。君はティターンズを侮っている部分がある。彼らは思想こそ過激だが無能ではない。その治安活動の隙を付く、というのが簡単にできるものではない」

 

「そ、それは……」

 

 事実、である。実際の所、あの戦いもミスリルのM9が間に合わなければ敵は後退していなかった可能性が高い。防衛できたのは、地球連邦と一部の独立国。中立国から切り離されたミスリルの存在があったからであり、それもたった1人の少年の時間稼ぎが間に合った、というかみ合わせに過ぎなかった。

 

 

 ブライトはコーヒーを口に含み、一息をつくと再びフリットに向かい合った。

 

 

 

「……では、いつ。どこを?」

 

 

「大規模的に、無差別に。それはコロニーも含まれるでしょうな。

 しかし、陽動。狙うならトップの首を取りに来るでしょうな。

 ずばり、狙いはアフリカ最西部。連邦軍本部のある首都、ダカール……高官を皆殺し、一気に命令系統を寸断。地球を掌握するのでしょう」

 

 

 

「し、しかしそれならそれこそ。コロニーを掌握して……」

 

 

「コロニー落としこそありえない。彼らは地球人が憎い。憎いが、地球は壊したくはないのだよ。彼らは……地球に帰りたいのだ。そして、自分たちこそが地球人と名乗りたい。それがすべてなのだ……」

 

 

「……それは」

 

 

 ブライトは瞼を閉じて、世界から目をそらしているかのようだった。

 この世界に多すぎる悲しみから、少しでも遠い場所にいたいようにも見えた。

 しかし、彼は艦長。それは許されぬ立場ではなかった。

 

 

「それは、悲しいものですね……」

 

 

「どこで生まれても故郷は故郷。上も下もない。

 だがなぜか地球を特別に感じる。それはきっと、人の性なのでしょうな……」

 

 

■■■■■

 

 

 

「三者会談でハマーンとの交渉は私が担当する。ジュピトリアンのシロッコの動きはわからん以上、警戒は必要だ。艦長は、アムロと一緒に艦へ残ってくれ。

 私がいなくなってもアムロがいればなんとかなろう」

 

「シャア、それは俺に神輿になれということか?」

 

「私にその役目を求める男が、自分は嫌だと」

 

 

「……確かにそうだな。それは少々ずるいかもしれない。だが、荷が勝ちすぎている」

 

 

「連邦の白い悪魔の肩書とそこまでの経歴があれば、

 何、平和の神輿としては十分だ。さて……

 

 クワトロはブリッジでしばらく思考し立ち尽くしたまま、やがて何かを決めた様に頷く。

 

「カミーユ、ジュドー、洸、エマ中尉……いや、やはり宗介を同行させてくれ

 一人は危険な状況に対応できる人材が欲しい」

 

「分かった。だが、一応本人たちの了承は取り付けてくれ」

 

 

 特にカミーユは命令だといえば絶対に反発するだろうからな。

 言葉にこそ出してないかがそういう意図があるのを理解してクワトロは苦笑した。

 

 

「宗介は言わずもがな。カミーユやジュドー、洸は交渉相手の目論みや邪念といったものを見抜くには適任なので、できれば同行させたい。というところだな」

 

「了解だ、許可しよう」

 

「クワトロ大尉。私も同行してよろしいですか?」

 

 レコア・ロンドがためらい気味にそう声をかける。

 

「構わないが……理由は?」

 

 

「活躍できる場が欲しいのです。それに敵地への潜入任務は慣れています」

 

「(………今はわかる。彼女もまた私なのだ)いいだろう。アムロ、後の事は頼む」

 

 

「あぁ、無事を祈る」

 

 

 レコアが出ていき、それに続こうとしていたクワトロだがふと、足を止めた。

 

 

「本人が了承するかわからんが、もう一人呼びたい人間がいる。繋ぎを頼めるか?」

 

 

■■■■■

 

 

 

 

(……これが、あの念を発した人)

 

 壁際で宗介と並び、じっとしているシンを見つめながらひびき洸は心中で呟いた。

 

 

(恐ろしい念だった。憎しみと、悲しみと、絶望と……

 ぐちゃぐちゃになった心が宇宙を染めていくようだった。だが、今は……静かだ)

 

 

 宗介はじっと、シンを見つめる洸に気づいた。

 

 

(寝ている男を観察する趣味があるのか……妙な男だ)

 

 

「Zzzzzzzzz……(目を開けて寝てる)」

 

 

 

 シンはどうせなんかあるんだろ、とがっつり寝ていた。

 

 

 沈黙に耐えきれなくて、ジュドーが口を開く。

 

 

「あの、宗介さんって傭兵なんですよね!」

 

 

「肯定だ。紛争こそ減ったがなくなってしまったオーブのような独立国同士の争いあるし、

 テロ行為はやはり存在する。俺はそれを鎮圧する軍事による平和維持活動が専門だ」

 

 

「なるほど、カウンターテロ部隊って事だね。興味ついでに悪いんだけどさ、

 今、有事に備えてやっておくべきことってあるかな!」

 

 

「そうだな、銃の安全装置はもう外しておけ。

 それと、どういう状況でも寝返りというのはあるものだ。

 俺も最近、潜水艦内で裏切られてな。あれは中々苦労した」

 

 

(なんだかしれっと壮絶な体験を語るなコイツは)

 

 

 カミーユが世界の違いを感じている所で、

 ジュドーはむしろ興味深そうであった。柔軟な男である。

 

「なるほど。すぐ実践するよ」

 

 

「それと、素人はすぐに頭を狙うのは難しいだろう。

 何より、先ほどまで仲間だった相手だしな。そういう時は迷わず、肩か足を狙え」

 

 

 体の各部をトントンと指さしながら、教導する様に説明する。

 

 

「最悪、銃を抜いて向ける。というだけで威圧を与えられる。

 それだけでいい。対処は俺がする」

 

 

「あの、敵はともかく仲間だった人を殺すのは……」

 

 

「あぁ、分かっている。俺も学んだ。

 情報を吐かせる必要もあるし裏切者については無力化を優先する」

 

 

(ジュドーはそういう事じゃなくて心情的なものを言っていると思うんだけどなぁ)

 

 

 

 

 

ヴィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!

 

 

 

 

「な、何だ!?」

 

 

 驚くジュドーに宗介が銃を手に取り告げる。

 

 

「会談で何かあったのだろう。銃の安全装置を外せ! 今すぐ!!」

 

 

 せかされる言葉に従う様に、ジュドーが続いてカミーユが銃をとる。

 シンは警報が鳴った瞬間に目覚めたようですでに準備は終わっていた。

 

 

 その時、部屋が発光に包まれ、何者かが現れた。

 

「エアロゲイターの空間転移装置と言えども、距離を稼ぐことは出来んようだな

 まぁ、いい。拘束は避けられた……むっ?」

 

「お、お前は…パプテマス=シロッコ!?」

 

「カミーユ、そこをどけ!!」

 

 宗介が銃を構える。しかしそれを盾になるようにレコアが銃を構えかばった。

 

 

「お前は……そうか、私と一緒に来い」

 

 何かを感じ取るようにシロッコはレコアに手を差し出した。

 

「(私を呼んでいたのは、この人。パプテマス=シロッコ……だった)

    あなたは私を必要としてくれるのですか……本当に?」

 

「あ、あ時代は君のような強い女性を求めている。私も……」

 

 

「レコア少尉、何を言ってるんですか!?」

 

 

「動かないで、カミーユ!!」

 

 

 そういって銃を向ける。仲間に向けられた銃に、カミーユは動揺した。しかし

 

 

 パァン……パァン……

 

 

「ううっ!」

 

 

 シンが静かにゆっくりレコアの肩と腕を打ち抜き。

 

 

 パァン!

 

 

 

「うっ!」

 

 

 宗介が素早く肉壁が消えて丸見えになったシロッコの眉間を打ち抜いた。

 一瞬の事に、動揺する一同。宗介は満足そうにうなずいた。

 

 

 

「いいか、これが適切な動きだ。参考にしておけ」

 

 

「適切な動きもくそもねぇだろ……。

 自分で言っておいて眉間を打ち抜くな」

 

 

「裏切者は拷問の必要がある。 

 だが、敵に対して容赦をすれば死ぬのはこちらだ」

 

 

「いや、そうだけどね……そうなんだけどね……! 

 絶対面倒ごとになるから覚えておけ……よ!!」

 

 

 扉の前にテーブルを倒して立てかけ。それが動かない様にソファーを押し付ける。

 即席バリケードである。そして、多分撃てないだろうと察して手を出して

 ジュドーやカミーユ、洸に弾を要求した。

 宗介が安全確保が終わったのを確認すると、レコアの応急処置をてきぱきと開始する。

 とりあえず、死ぬことはないだろう。

 

 

「なんで、君は……仲間だった人を撃てたんだ。彼女は撃つつもりは」

 

 

「武器を持って向けられたなら、撃つ気はないなんて甘い考えは捨てろ。

 想像しろ……これは戦争なんだ。寝返ったこの人が、連邦の兵士を殺すんだ……

 お前はそうやって殺された人たちの家族になんて言葉をかける?」

 

 

「……!」

 

 

 3人は戦争というものの本質を、少しだけ理解した気がした。

 そして、同時にそれに染まり切れないとも思った。

 

 

 

 

 

149:学生兵

おい、シロッコとかいう偉い奴死んだんだけど!!

厳密には宗介が射殺した。これまずいですか?

 

150:名無しのハズレ転生者

 

151:名無しのハズレ転生者

いや、草じゃないんだが

 

152:名無しのハズレ転生者

まぁ、ハマーンは爆笑してそう

 

153:名無しのハズレ転生者

シャアは絶対困惑してる

 

 

154:学生兵

こいつが強くてやばいのは聞いてるけど

厳密にどう偉いかってわからんのよな……うーん、まぁ、しゃーない

ハマーンとかいう人と交渉するか

 

155:名無しのハズレ転生者

切り替え早くて草

 

 

■■■■■

 

 

 

「フハハハハハッ!!! なんとも情けない、最後だったな」

 

「ハマーン様。ジュピトリスの連絡は?

 他のものたちは確保しましたが……」

 

 

「食事中とでも伝えておけ。その間にMSを遠距離射撃体勢で配備。奴らの推進機関に狙いをつけておくのだ」

 

 

 そういって、ハマーンは機嫌が良さそうにクワトロの前にやってきた。

 

 

「シャア。お前は私と一緒にアクシズへ来てもらおう」

 

 

「いいだろう」

 

 

「クワトロ大尉!?」

 

 

「だが、和平をその引き換えにここで和平を結んでもらう」

 

 

「ありえん」

 

 

「なら、ジュピトリスを破壊する。アーバレストの射撃がヘリウム3のタンクに当たれば

 この基地ごと終わりだろう……私はそれでも構わん。彼らもだ。覚悟はしている」

 

 

(いや、俺はしていない。待とうか……待とうか、シャア!)

 

 

「ちっ、ECSか。ASとはMSと別の意味でも恐ろしい兵器だ。

 ……いいだろう。ジュピトリスとお前。土産としては十分だ。放送の準備をする」

 

 

 ハマーンはグレミーに目くばせをすると、彼は静かに頷きその場から去った。

 

 

 

「すまない、カミーユ。後は頼む。

 なるべく早く戻るようには努力をするつもりだ。大丈夫だ、アムロもいる」

 

 

「でも、貴方がいない! いいんですか!?」

 

 

「クワトロさん、あんたが犠牲になる必要はないだろ!」

 

 

「誰もが何かを平和の為に犠牲にしているのだ。そういう意味では私は甘かったのだ」

 

 そうだろう、とシンを見つめる。

 シンは組んだ腕をほどき、近づく。

 

 

「戻るか、シャア・アズナブルに」

 

 

「シャアであることを清算せねば次にいけん。

 私はクワトロになるためにシャアに戻る」

 

 

「そうか、応援してるよ」

 

 

 

 そのあと、カミーユとジュドーにハマーンが語り掛けていたが

 シンと宗介は気にせず自分たちの乗ってきた輸送船に戻った。

 帰り道で宗介がアクシズにコッペパンはあるかと兵士に声をかけていた。

 

 シンは大きな変化こそないが、

 どこか残念そうに見えなくない表情からないんだな、と悟った。

 

 

 

 

・ネオジオン(ハマーン(ミネバ・ザビ派))と和平を結びました

 

・ジュピトリスがハマーンにわたりましたがなんとか逃げようとしています

 

・シロッコが死んでるっコ

 

・レコアさんがネオジオンの牢屋に投げ込まれました

 

 

 

【世界に影響する変化】

 

 

 

『ハマーンの機体が強化されます』

 

 

『シャアが離脱しましたが、

 代わりに少ししたらハマーンが飛んでくるので+です』

 

『バランスが崩れたとビシディアンが再び動き出した模様です』

 

 

『シロッコが倒れたことで動き出すものがいるかもしれません……』





僕だって、カミーユの大事な戦いを奪いたくはないけど
現状のメンバーだとやっぱ護衛として宗介かマオ辺りだろうし
そうなるとやっぱシロッコ死ぬし、仕方ない……


でも絶対、なんか悪いことも起きてるよ!
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