大惨事スーパーロボット大戦α 作:猫者
0%だっていってんの! 必中は人権なんだよ!!!
日野真(ひの まこと) 愛称:シン
精神コマンド:自爆(1) 集中(10) 戦慄(30)
捨て身(70) ??? ???
精神ポイント:180
サラ・ザビアロフはラーカイラムの懲罰房に収監されていた。
刑務所につれていけば自殺する可能性があるし、そうすればシロッコの傍に使えていた彼女まで殺したのかとジュピトリアンが暴走を始める可能性がある。
シロッコはアーガマクルーの部屋に乗り込んできた、という事と
その場で裏切りが起きたという事で計画的犯行を寸前で防がれ、反撃で殺されたという事になった。状況証拠だけなら十分だし、幸か不幸かレコアの裏切りがその説に根拠を持たせ、ジュピトリアンを一先ずは鎮める事に成功した。
しかし、近くならニュータイプ能力で異常がわかるだろという事だった。
彼女を担当していたのはカツだった。能力の差が浮き彫りになり、だんだんと待機が多くなっていったカツ。
フラストレーションこそためていたが、この役目につくようになってそれは次第に解消されていった。
役目があるという事、好きな女性の傍にいられるという事。
カツ・コバヤシは今、満たされていた。
「サラ、サラ。泣かないでおくれよ……」
懲罰房の中に入ったカツが涙を流し続けるサラの肩に手を置いた。
本来は中に入る行為など論外(人質にされる可能性を考慮すると)なのだが、カツはそこまで気にしている余裕はなかった。
いや、それは言い訳だ。カツはただ、サラに触れていたかったのだ。
「シロッコ様……シロッコ様……」
「サラ、シロッコは死んだんだ。もういない」
「いや……いや……」
頭を振り、否定する。そして、また泣き出す。
それだけだ。サラの一日はそれだけだ。カツがなんとか食事押し込んだ後、もう3日も食事をとっていない。ならば、カツは今日もまたアレをやるのかと少し鬱になった。
だが、カツは少し優越感があった。人はいつか忘れる、だからいつかは。きっと、そうすれば自分が彼女と共にいられる。
それは優しさと、少年らしい下心が混じったものだった。
だから、カツは囁き。現実を理解させようとする。
「シロッコ様がなんで、殺されなければいけなかったの……ひどいよ」
「アイツだってたくさん殺したんだ。なのに自分は殺されちゃいけないのか? 女系政治なんて夢を抱えて、人の上に立ったけどそんな家族を持たないセンチメンタリズムから始まったもので野望ですらない。正しさもない。サラはそれをわかって!」
「分かってたよ……」
「!?」
「分かってた。でもそれがあの人がやりたい事だったから……やり方が悪いのも、自分勝手なのも、まるでゲームか何かをするようで王様を気取ってたのもわかってた……でも、愛していたのよ。愛されていたの……」
カツは驚きを隠せなかった。わかっていて従っていたのか。わかっていて、戦い。たくさんの人を殺したのか。カツは思っていた。サラはただ騙されていると、だから連れ戻すと、本気で思っていたのだ。
だが、カツは今。理解した……理解してしまって、泣きたくなったから、涙を流した。
(そうか、サラ……君はシロッコを愛していたんだね。シロッコも、君を愛していてそれだけは本当の物だった。そして、僕は……君に恋していたんだね)
カツ・コバヤシとサラ・ザビアロフは数日後、ハマーンの伝手でモウサに降りた。カツは戦う理由を失くしたし、サラは復讐などする気はないのが分かったから、カツはただ、サラを近くで支えて見守っていくと決めたのだ。
彼女が求める友人として……。
■■■■■
「シンくん、非番の日はどこか出かけないの?」
いなほの姉、シンの学生時代の訓練教官の一人である界塚ユキは寝転がってASマガジンを読むシンに声をかけた。
「はっ、准尉殿」
「ユキでいいわよ……家に来るときはそうだったでしょ」
「一応、戦時中なのでユキさんより教官が妥協ラインですかね……それで、教官殿。何用ですか?」
はぁ、とため息を吐き出しながらユキはシンの本を取り上げながら言った。
「シンくんは、今日はどこか出かけないの?
アクシズにモウサにいけば何か娯楽ぐらいあるでしょ。他の艦にいくのもいいし」
「俺、めっちゃ休んでるしやってることも事なんで顔出し辛いんですよね。マクロスとかはたまにいくんですけど」
「え、そうなの!」
何かある、と楽しそうに笑顔になるユキにシンはいやいや、と手を振る。
「色っぽい話じゃないんですよね。バルキリー以外も搭載予定があったからASを始めとした色んなシミュレーターがそこにあるってのが理由でして……グローバル艦長がよくチケットを融通してくれるのでライブは見てたりしますけど」
「え、えっと……ほかには?」
「整備、情報の整理、食事、風呂。いつものルーティンですなぁ」
仕事、仕事、仕事。休日も仕事ですといっているような返答にユキは目を丸くした。自分と反対の性質に眩暈すら感じたかもしれない。
「わ、私だってもう少し遊ぶし、寝てるのに……」
「まだまだお若い様で何よりです。ペニビア様こそ、鞠戸教官とお出かけにならないので?」
「な、なんであの人が出て……大体……」
「あ、出かけてきます。さっさと素直になった方がいいですよ」
「ちょっと!?」
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『アストラナガンですが、メテオ3内部に存在するものと同質のクリスタルを素材に作られている事が分かりました』
「メテオ3、ですか……」
マオ・インダストリーの社長、リン・マオの言葉にブライドは困惑した。
西暦2012年。地球に二つの隕石がモスクワとニューヨークに落着し、両都市は壊滅した。それぞれ「メテオ1」と「メテオ2」と名づけられた。
新西暦とは、その直後のネットワーク・インフェルノによる情報産業の技術水準の衰退などを理由に変革を迫られ、その3年後に2015年に制定された年号だ。
そして、新西暦179年に南太平洋のマーケサズ諸島アイドネウス島に落下した隕石。規模の巨大な3番目の隕石ということで次いで「メテオ3」と名付けられたその存在はEOTに詳しくないブライトですら聞いた事があるものなのだ。
そして、ビアン・ゾルダークが外宇宙の危険性として根拠にしたものもまた、メテオの内部に秘められた解析不能のEOT技術であった。
「アストラナガンは移送準備の間に復元されていました……メテオ3から発見された、金属物質は自己修復作用を持つと聞いておりましたが」
『その通りです。そして、パイロットがあれだけの攻撃を受けて無事だったのはこれがパイロットの傷すら治癒……あるいは復元したと思われます』
「なんと……」
再生医療にも様々な条件はある。しかし、それすら凌駕する修復力にブライトは驚愕を隠せなかった。それが事実なら、エアロゲイターは……ゼ・バルマリィ帝国はもはや、想像すらできない敵であるのは間違いない。
『内部の動力源も謎ですが、これから得られるものは多いと思われます。セーフティを多重にかけながら解析などを進めていきます。しかし……』
「安心はできない。ですな? 了解しました。最悪、そちらの無事を優先してください」
ブライトはイングラムも処分すべきかもしれない、と考えた。
だが、面と向かって人殺しができる度胸が自分にあるとは思えなかった。
■■■■■
「だからって、ナデシコに来られても困るんだがよ! こっちはこっちで大変だったんだぞ! エステバリスの整備もまだ終わっててねぇ!」
「会社の意向だからとかいって単独行動するからでしょ。皆、無事だったんだしいいじゃん……で、どう思います?」
「んー……」
シミュレーション結果を見ながら、唸るウリバタケ。
画面にあるのはライブレードのバトルプログラムだ。
「GGGから提供されたデータで分かった、両腕と脚による必殺攻撃……本来はEMTストームで相手の動きを静止するが生成機能がないから足止めができず不発の可能性が高い。それの代替え策が超加速か」
「今の状況だと吹っ飛んじゃう可能性があるので、
補助として使ってるGSライドをバイパスを追加して、
この時だけ独立させて推力はGSライド。攻撃をプラーナコンバーターとして分ける。という形で可能っぽいんですが……でもこれでも当たんねぇんすわ」
「命中率20%ちょいって所か」
ウリバタケは頭をかきながら、あぁでもないこうでもないと呟きながら端末を弄る。
「やっぱワイヤーの増設。拘束で5%って所が限界だろうなぁ……。これ以外になると電磁フィールドによる拘束。あるいは念動。は無理だろうし重力だな」
「重力操作技術の領域かぁ……」
「マクロスが今も改善できず倉庫で眠ってる重量操作ユニットを利用する手もあるが、あんなの機体に組み込めねぇしブラックホールエンジンでも積むしかねぇ」
そういって、機体を眺めながら液晶叩くウリバタケ。
「プラズマホールドと増設ワイヤーの組み合わせに推力を少し強化して40%。これが現状で可能なラインだな……後でマクロスに行く用事があるからやっといてやる」
端末をシンに押し付け、笑顔を浮かべて肩を叩く。
「改造屋の俺が言うのもなんだが、積めたとしてもEOTだけは関わるのはやめておけ。死体すら残らねぇ。これで我慢しろ!! ロマンはあっても命は大事だ!」
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「艦長、おかえりなさい。副艦長も」
「あ、あの私はただの侍女で特にできることもなく、
艦の居場所を頂くために便宜上頂いたものなので……」
「まぁ、気持ちはわかるけど戦闘中は多分。そう呼ぶし慣れてね」
そういってユキはエデルリッゾの頭をぐりぐりと撫でまわした。
やや不満げながらもそれを受け続けている辺り、少しは地球人に対する苦手意識が薄れているように感じて、艦長であるアセイラム姫は微笑んだ。
「イージスについてのうちあわせはひとまず終わりました。
私の傘下に入った揚陸城をエネルギーラインとして経由して生成は可能です。ただし、連続使用は3日程度かと」
「3日遮断できるってんなら上等だ。これで本格的に攻勢に出れるかもしれねぇな……! いなほもスレインも護衛ご苦労だった!」
鞠戸 孝一郎は高揚を抑えきれない様子でニヒヒと笑う。
「いえ……所で彼の姿が見えませんが」
「シンくんならどっかいったわよ。といっても非番を楽しむって感じでもないし、シミュレーターか整備してるか……」
「シンなりの休み方なんだよ、ユキ姉。休みは好きに使っていい筈だよ」
「いなほもシンも、そうだけど……あんたらのそれは残業っていうの!」
ペンと額にデコピンを打って、ユキはふん!と腕をくんでそっぽを向いた。
スレインはそれを苦笑を浮かべながら、どこか羨ましそうに見ていた。
そんな時に、一瞬だけスピーカーが起動した。
『帰還しました。寝ます。報告終わり』
「ほら、寝るって」
「そら、夜は寝るでしょうね……でもこんなの残業疲れのままベッドに倒れ込むのとかわらないのよ!! 休め、ばかーーーー!」
「姫様……あの人は大丈夫なのでしょうか?」
「しょうがないのよ、きっと。もう。疲れないと眠れないの」
戦いを早く終わらせる以外、彼が安らぐ方法はないのだろう。
アセイラムは平和を固く胸に誓った。
シンがその後の事など何も考えず。燃え尽きようとしている事を知るがゆえに。
誤字は明日(限界)