大惨事スーパーロボット大戦α   作:猫者

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幕間 インターミッション12 『うちてぇなぁ~』

 

「これは強化手術で用いられる負担の軽減薬です」

 

 2錠だけ入ったピルケースを揺らしながら、デューカリオンの軍医。耶賀頼 蒼真(やがらい そうま)はシンにそれを手渡した。

 

 

「ですが、そういう状況ならもう少し早く来てほしかったのですが……」

 

 

 

「教官と鉢合わせても困るじゃないですか。

 今日だって雑にデートをセッティングして追い出したんですから……他のみんなが外出するのに合わせるのわりと苦労したですよ」

 

 

 

 教官というのはもちろん、鞠戸 孝一郎 《まりと こういちろう》の事である。

 かつてはPTSDでまともに戦闘を行う事ができなかった彼だが、

 むしろ、そんな自分すら戦うしかないという戦力のカツカツ具合にいつしか立ち直っていた。王道的な物語ではなく、役割を押し付けられることで立ち直るというのも皮肉であるが、無力さこそがその根本的ものだった彼にはそういう役割こそ必要だったのかもしれない。

 

 

「で、負担の軽減薬っていうのは?」

 

 

「宇宙世紀の強化手術は10年前とくらべて、格段にその能力と安定性が上がっています。これらは技術の進歩、とくに薬学の面の改善が大きいのです。この薬はいわば、膜を張る。過敏すぎると言われた強化兵の能力を安定化させるわけです」

 

 

「ほーん、つまり同じように俺も、って事ですね。なるほどなぁ……効果は?」

 

 

「試しました。とりあえず、副作用で死ぬほど苦しむ様な事はなく。毒で最悪のメンタルにした時にも大分効きました」

 

 

 なるほど、とひとまず納得したシンはそれを懐にしまった。

 

 

「ですが、正直。話を聞く限り君のそれは末期です。いや、機体が機体である以上。避けられる状況ではないでしょうが……」

 

 

「先生」

 

 

 目を伏せる耶賀頼先生にシンは明るい声で声をかけた。

 

 

「俺はやるべきことをして、こうなってるだけです。後悔はない」

 

 

「それは、いなほくんや彼らの前でも?」

 

 

「言える。でもいったら止められるから言わないけど」

 

 

 別に自棄になっているわけではないのだ。

 できれば、時間切れになる前に生きて帰るつもりではある。一生の苦しみを背負っても生きてるだけマシだとはいえるのだから。

 

 

「死ぬ覚悟はいつだってしてきた。これはね、先生。生きる覚悟の為にですよ」

 

 

 痛みは、どんな時も決意を鈍らせる。でも、痛みは生きてる証拠でもある。

 痛みをなくすということは生すら否定する事でもあるならば、

 これはいわゆるダブスタとかいうものなのか? なんてシンは思った。

 

 

 

■■■■■

 

 

 

 

「ダカールの演説の日、ヴァースとの和平の為にイージスを1分間だけ展開するそうだ。その瞬間、コンピューターウイルスを仕込み。アムロ・レイなどの部隊が宇宙に上がった段階でイージスを作動させる」

 

 

 衝撃のアルベルトは葉巻に火をつけながら、シンにそういった。

 

 

「……これ、どうなってるの?」

 

 

「テレパシーの中継装置だ。貴様はいわゆる、感応能力に近いものを持つという話だったのでな。ただの人間なら役にも立たんが……まぁ、問題はない」

 

 

 座れ、とどころから出てきたのかも分からないソファーに座ると隣に女の子が座っていた。

 

 

 

「娘だ、本来はわしとこやつの直通回線なのでな。巻き込んだのだろう……よいか、ヴァシュタールで地上のシズマドライブが停止し、電力の8割が停止する」

 

 

「すると、どうなるんだ?」

 

 

「地上のエネルギー反応はお前たちの様なロボットと、原子力だけになる。それをセンサーから排除した上で残るエネルギー反応の地点。バベルの塔に我らは向かう。お前の仕事はそこからよ……」

 

 

「お前たちの情報を元に、バラルの園を見つける」

 

 

「そして、ガンエデンを確保する。

 孔明の話ではまだ守護者はダメージから復帰しきれていない。ならば、お前はガンエデンと3体のしもべと対峙する事になるであろう。が、勝利することは難しい」

 

 

 咥えていた葉巻を手で握りつぶす。

 

 

 

「決着はこちらがつける。だが、我らもバベルの塔からバラルまでは多少は時間がかかるであろう。奴を引き付けておき、できるなら露払いをしろ」

 

 

「全部あんたら担当するのはダメなのか?」

 

 

「位置を気取られて、一か八かで行動を始める可能性がある。だからこそ、そういう役目は必要なのだ」

 

 

 

■■■■■

 

 

 

 

「何、武器がいる?」

 

 

 プトレマイオスを訪れて、シンはフリットに尋ねた。

 フリットは何かを悩む顔で顎髭を撫でた後に指をさした。

 

 

「アセムを絞り上げた時に奴の船から一つ、運び込んだものがある。あれは、その名もプラズマダイバーミサイル……私がかつて研究していた兵器だ」

 

 

 フリットの説明は難しかったのだが、つまり核ミサイルというより極小範囲を電子レンジの様にするものであるとシンは理解した。

 そら、流石に渡していい兵器ではない。

 

 

「えっぐ……」

 

 

「だから、研究をやめたのだ。量産のために私の試作をアナハイムかブルーコスモスに持ち込もうとしたのだろう。これに関してのみはアセムはいい仕事をした」

 

 

「他は?」

 

 

「……イゼルカントとはおそらく、和解の芽がない。なくなった。連邦の高官の中にもアセムによって長引いてしまった戦いで家族を失ったものも多い……」

 

 

 最低でも、決着はヴェイガンの本星。あるいはコロニーの長期間の植民地化という形で決着するであろう、とフリットは予測している。

 心の中で少し、それを喜んでいる自分に気づいてフリットは頭を振った。

 

 

「そうか、じゃあこいつは頂いていく」

 

 

「使うのか、兄さん……」

 

 

「必要なんだ。問題はダカールの日アイツらがこっちに攻めてこないかだな……情報は掴んでるだろうし、団結もされたくないから来ると思うんだよな……無理だよ、フリット。絶対我慢できない……」

 

 

「……兄さん、くれぐれもいうがこれ1発きりだ。他には強力な兵装などないぞ」

 

 

「でもヴェイガンがでてきたら秒で撃っちゃう……絶対気持ちいいしすっきりする」

 

 

 ヴェイガン殲滅は気持ちいいZOY~! 至上の快楽であることは間違いない。

 なので、お願いだから今回ばかりは出てこないでくれと祈った。

 

 

 

 





どう着地するか考えてたら、全く進まなかった……なんとなさけない

ずるずる続けるんじゃなくてスパっと落ちる流れに
やや強引でも向けていこうと思います
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