大惨事スーパーロボット大戦α 作:猫者
アセイラム・ヴァース・アリューシアの命令により
新たな防衛網が構築された。残存する勢力の大半をを火星に置き、
選抜された火星騎士を数名護衛とするという形は地球が再び攻めてくるというより
この状況下で別の異星勢力の介入を警戒したものだった。
騎士の選別は当事者同士の話し合いの元に行われ、
護衛に適した未来余地の能力を有するアルドノアを持つ、スレインが選ばれた。
そして、彼らを載せたデューカリオンは現在、
地球近傍小惑星であるイカルス1566に建設されたイカロス基地で補給を受けていた。
「んじゃ、EMPは広範囲兵器ってわけじゃないのか」
『そうね。補助装置で拡張強化されたものだから別物よ』
ライブレードに宿る精霊、名称未定の存在はそう語った。
流石に自分自身でもあるので詳しい。こういう相手がいると助かる。
先に下船する仲間を見送り、シンは
ライブレードの増設された機械機器の調整とテストをしていた。
バリ張な勇者ロボモドキと化した愛機は正直、今はまだ不明瞭な部分が多い。
既存のモニターシステムは180程度のものだったが、
各部の破損と共に失われたので、全天周囲モニターとして改装された。
リニアシート搭載を推奨されたが、後部に複座としてサブパイロット席がある以上。
それは難しいと却下された。だが、その代わりとして安全策は各所に増設され、
同時にGSライド補助用器具、Gガントレット。投影モニター。などが追加された。
総合的な戦闘力は増えたが、確認する事は増えた。
整備兵に任せればいいのだがそういう調整は自分でやりたい。
微妙に細かい性格が仕事を増やす。そういう所は損だな、と本人も理解はしていた。
『地球人にアルドノアドライブを与えていいのか?とか色々反論があったのよ。
私の目の前で争ってたけど、結局は能力発現ギリギリの奴を使ったみたいね』
「まぁ、持ち上げる奴もいるだろうがそういう奴の方が多いだろ。
んで、その結果どうしたんだよ。まじで目の前しか使えないEMPとかなら」
『GGGの協力で局所的に限定することで飛距離の伸ばす事ができた。
でも、このアルドノアドライブは能力と同時に使う事が出来なくて、
能力を使うと推力と姿勢制御能力を一時的に失ってしまうのよ。問題点ね』
「問題点って?」
『単純にいえば、能力を使うと推力が向いてた方向にすごい勢いで吹っ飛ぶ』
「自殺かなんかですか?」
能力を使う準備をして切り替えた瞬間、敵の待ち構えてる方向にすっ飛んでいく
待ち構えていた敵に集中砲火を受けて終わり。紐なしバンジーより生還率が低い。
これが、宇宙最強のスポーツSEPPUKUであるとでも叫んで死ねばいいのか。
それとも、その勢いを利用したピンボールにチャレンジすればいいのか。
いずれにしろ、とんでもねぇ欠陥であるとシンは感じた。
『だったのだけど、エルゴフォームという重力制御システムが提供されて
これのおかげで問題点が解決したわ。ちなみに機体修理費用の出資元よ』
「え、火星じゃないの?」
『あのね……今は一切の外貨を獲得できてないのよ、火星は』
「あ、そっかぁ……(無知)
今度お礼いっとくか。そいつの名前って?」
『サンジェルマン伯爵、という事らしいけどね。偽名だと思うわ』
「いやぁ、案外本物かもしれんぞ……でもその人確か17世紀とかだったか
流石に生きちゃいねぇ……か? 無理か。無理だな。でも脳みそだけとかなら……」
「ちょっと」
下から声をかけられた。誰かがいる。
開かれたままのコックピットから乗り出して、その人物を見つめるも記憶に浮かばない。
「はい? ……はい?」
「何よ、今の間は」
「記憶を掘り起こしたんだけど、ぱっと出てこなくてな。知り合いだっけ?」
「ロンド・ベルにいたでしょ!! アスカ、惣流・アスカ・ラングレー!
エヴァゲリオン2号機のセカンドチルドレンよ!! 思い出した!!?」
煽情的なピッチリした赤いノーマルスーツを着た少女アスカは、
調整を続けるシンにピシィ!という効果音が聞こえそうなほど鋭く指差した。
シンは1分考えるような顔をして、ふとシンジの顔が浮かんできた。
「あ!! あのシンジくんのお仲間さんの! はい! はいははい、わかったよ!」
「なんで七光りとのセットなのよ!!」
「そうはいっても交流がなかったしなぁ……いや、ほとんどの奴とかかわりがなかったか」
仮説の基地で格納庫は無重力区画だ。コックピットから這い出し、
扉が開きむき出しのままのそこを蹴り飛ばし降りる。
マクロスもプトレマイオスも重力区画だったため、こういう降り方できるのは久々だ。
かつてはこれが基本だったので懐かしさを感じる。まぁ、ヴェイガンキラー時代は、
淡々と狩りと死にかけるをループしていただけなのでどちらかというと思い出したない。
「惣流ちゃんがここってことは他の2人も?」
「ちゃん!?」
「年下だしな。んで、どうなの?」
「まぁ、確かにえこひいきと七光りもこっちにいるわよ。
ネルフはあんな事があったあとだし、連邦に解体されたわ
私たちは色々あって数か月前から此処にミサトとこっちに隠れてるってわけ。癪だわ」
「そっか。まぁ、元の生活に戻れないのは大変だよなぁ……頑張ってね」
「ちょい待ちぃ! それよりアンタ、死んだ筈でしょ!」
「あ、なる。呼び止めたのはそれ。うん、死んでたよ。精神的に。1年ぐらいらしいな」
「え、あ、そう……」
実は生きてて隠れてましたパターンを予測してたのだろう。
アスカは本当に悲惨な状況であったことを聞いて、何も言えなくなってしまった。
シンはその様子に、根は優しい女の子なのだろうと、感じて温かい気持ちを感じた。
「……でも、それならアンタ。なんで戻ってきたのよ。
そのまま隠れておくこともできたでしょ別に。わたしたちみたいに……
これしか居場所がないって訳でもないんじゃない?」
(……なるほどな、これが聞きたかったんだろうな)
脳裏の記憶を巡らせると、エヴァのチルドレンは家族関係が壊滅していた気がする。
拍手でパチパチ謎のエンドで馬鹿にされてるようで縁を切ってそれ以降関わっていないし
どちらかというと裏番でやってたリューなんとかが好きだった様な覚えがある。
もう幾星霜も過ぎていった時間の中であいまいな記憶の方が多いが、
wikiよろしく補給できる状況でもなく。ならば、自分のできる事は少しだけ先輩として、
迷子の子供の手を引いて道の上に戻し機会を与えるぐらいなのだろう。
「分からん。俺は体が勝手に動いてた。
心と体が直結してるから、考えるころには動いてる。ただ……」
「ただ、何よ?」
「生きる手段っていっぱいあるよ、この世界。
宇宙ならネルフの伝手は少ないだろうし意外と逃げ場所はある。
どうしても嫌なら逃げてもいいと思う。お前、シンジくんも、あの綾波って子も」
―――居場所は自分で決めていい
「どんな時も実は選択ってのはある。
だから、逆に言えば決めた瞬間からそこは自分の居場所だ。誇っていい」
アスカはきょとんとした表情を浮かべたまま言葉を失う。
二の句が出てこないのか口がわずかにパクパクする。
「……何よ。じゃあ、火星に逃げたいっていったらそうしてくれるの?」
「もちろん。2人にもそう話してみろよ。普通についてきてくれると思うぞ」
「どうかしらね……あたしは……もぶ!」
弱音が零れてくる口を左右の頬肉を手で押し込んでふさぐ。
タコの口の様にまぬけな顔のまま何かを喋ろうとしてジタバタと暴れている、アスカ。
「プライドはあってもいい。でも孤高であることで強くなれる人間は少ない。
いいか? 人は強くなるために自分の殻を破らなきゃいけない。今がその時だ」
ぱっと手を放し、シンは少し膝を曲げてアスカに向かい合った。
「話してみろ。お前が考えている以上に、お前ら3人は仲良くなれるよ……
というわけでほらほらほら!! いくぞ! 案内しろ! ノーマルスーツいきまーす!」
「ちょ!? プラグスーツにそういう機能はないのよ! 卑怯じゃない! やめーー」
(クルーデックさん、ウルフさん、ラーガンさん……
どうだろう。俺は少しだけあなた達の様に導けただろうか……)
浮かぶ涙を払って、笑顔を維持してアスカを引っ張っていくシン。
人生は選択の連続だ。だけどいつもシンが思うのは、
誰かに相談すればよかった、頼ればよかったという事ばかり。
デシルの違和感を感じていた。確信的なものすらあった気がする。
それでも自信の無さが、間違いだったら自分の立場を悪くしてしまう。
嫌われてしまうかもそれないなんて、後ろ髪を引かれてためらってしまった。
全てが自分の責任だとは思わないし、それで絶対止められたなんて自惚れてもいない。
でも、”もしも”という言葉が脳内を反芻する。見ない様にしても、奥に押し込んでも、
眼を逸らすなと目の前にそれが戻ってくる。繰り返しだ。
(馬鹿な奴だな。俺が一番誰かに支えて欲しがってるのに、
それをいう事もできない情けない男なんだ……最悪だよ)
自嘲するように目をふせて笑みを浮かべる。
他の若い奴らにはこんな人間にはなって欲しくないとシンは心から思った。
■■■■■
「サンジェルマン伯爵、深紅の翼は無事。火星と地球の絆を繋ぐ彼の下へ……感謝します」
『それも確かに本名ではあるが、
こうして、顔を出した以上はサンドマンと呼んでくれたまえ。
本名で呼び合う事は真の絆を得るうえで大切な事と感じているのだ』
緑色の宝石がはまったステッキを持ちながら、キザな笑顔で笑う男、
クライン・サンドマンはそういった。30歳後半という自称はしているが、
そのわりにはもう少し若く見えるし、何より老いと共に衰えるエネルギーのようなものが
今も全身から発せられているように見える。
アセイラムは目の前の人物に底知れなさを感じた。
『そして、ライブレードと彼の目覚めは私もまた喜ばしい。
何せ、この世の中。強者の威を借りるものは多くとも、
真の強者は少ない……さて、プリンセス・アセイラム。強者とは何かね?」
笑顔を浮かべて、さぁ、気軽に。という様子ではあるが
おそらく、そうではないのだろうとアセイラムは感じた。
だが、恐れる必要もないし遠慮する必要もない。
相手の考えに合わせるのではなく、自分が思う事を口にする。
「自身の弱さを受け止めている者です。
自分を弱いと認められるものは、その弱さを誰かのために乗り越えられる」
サンドマンはその言葉にフッと微笑を浮かべた。
そのさわやかな笑顔にはどこか嬉々とした様子が混じる。
『ふとした時の行動こそ、魂を写す鏡。恐怖を押し殺し強くあれる者
彼の行動を見ていたからこそ、私は彼の魂に”美しさ”を見出した』
「それが彼と彼の機体を助けてくださった理由なんですね」
『個人的な理由もあるがね。だが、私の事情など微々たるものだ。
この心を突き動かした情熱。それを私に与えた美しさ君たちが失わぬ限り共にあろう』
「後悔させぬとは言えません。我らも、彼も、
ただ自分らしくあろうとしているだけですからね」
『ふっ……君らはそれでいい』
■■■■■■
プシュと缶を開ける音が響く。
エコを考えるなら紙パックなりの素材の方がいいのだろうが、
この雰囲気を大事にしてる所はポイントが高い。
昔を思い出せるのがいい。昔というのはもちろん、前世なのだけど。
缶を椅子においてその隣に自分が座る。
「昔、か……」
こうして体験してみると前世を引き継いでいるというのは案外、良い事ではない。
経験値とレベルそのままだけ年齢だけ若返ってやり直す、と考えると良い事に思える。
でも、そんな甘いものじゃなかった。
あの頃は当たり前だったものがない、というのは意外とストレスになる。
慣れても、ふとした時にあの頃の名残を探してしまう。
ある筈もないものを探してしまう。
だからこそ、こういう場所は助かる。逃げ場所として最適だ。
誰もが寝静まった空間でガラスの向こうの宇宙を見つめた。
かつては宇宙に夢を見た。それは、昔も
フリット・アスノという旗をかかげたあの時も、
この宇宙の果てに何かがあると胸を弾ませた。
だが、それもユリンを失い。フリットに癒えぬ悲しみを刻んだ時に。
この世界の果てには憎しみしかないのだと、諦めてしまった。
でも、フリットは乗り越えたのかもしれない。
あるいは乗り越えようとしているのかもしれない。
人の心を理解しきることはできない、だから数多のIFを考えて生きるしかない。
フリットに恨まれてるのではないかという事すらも考えたことがある。
人は弱い、それを自分自身で嫌というほど味わった。
そして、これからも味わい続けるのだろう。
ふと、気配を感じた。そちらを見ることはしない。誰かは分かる。
『フリットはね、自分の孫が天才だと気づいたんだって。
だから、その子に色んなものを教えたって……そのせいで息子さんと喧嘩しちゃって』
「そら、そうだな……」
『うん……でも、フリットもただ復讐の道具にしたかった訳じゃないんだよ。
愛してもいた。だから、死なない様に力を与えたかったんだと思う。
そして、悩んで乗り越えた。自分の苦しみを誰かにぶつけてはいけないって』
「……耳が痛い話だよ。全く。でもその通りだと思う」
『優しいから目を背けられないんだね。
自分の責任にするのをやめれば、きっと楽になれる。』
「それだけはやらない。俺は背負って生きていくよ。
その上でいつか、憎しみを、自分を、許せたらいいと思う……」
だから、それまでは戦い続ける。
憎しみすら糧にして、矛盾した生き方だとしても
魂安らげる場所は平和の中にしかないと理解している。
「あの……どなたと話していたんですか?」
「リッゾちゃんか。幽霊だよ」
「ぴゃ!?」
ずざざと遠くに遠ざかる。背が伸びてきて美人になってきたのに、
小学生ぐらいの背の頃の可愛さは動作にまだまだ残っている。
「まぁ、ライブレードの副作用というか、見えるんだな。
そもそもそれに対する才能がなけりゃ多分、動かせなかったんだろうけど」
「あ、悪霊ですか!?」
「の時もあるな。今日は……妹、かな」
もう誰もいないその場所に手を伸ばし、缶ジュースを口に含んだ。
完全な合成ものなのか若干味は怪しいが、
砂糖多めのドクターペッパー的なものと考えれば飲めなくはない。
まぁ、気分が大事なのだしこの際、味は二の次でもいい。一気に飲み干し、空にした。
そのまま、けんけんぱとゴミ箱に向かい缶を投入しリッゾちゃんの方を向き直す。
「……なんか浮かない顔してるね」
「その、妹さんの事を……悪霊と」
「あぁ、そりゃあ別に気にしてないよ。
傍からみりゃやばい奴だもん。理解してていったなら起こるけど……」
と、子供をあやす様に頭に手を載せようとして気づく。
もうそんな背丈でも年齢でもないんだなと感じた。
セラムさんほどでなくても、もう十分女性なのだ。
そっと、手をずらし肩に手を置いた。
「そういう気持ち、優しさを大事にしてくれよな……それじゃあ、お休み」
基地の部屋が割り振られているらしいが、
正直、今は眠れる気がしないのでコックピットで寝よう。
体はバキバキになりそうだがいつでも動ける。戦える
そう思えば気持ちは楽だし、それが少しでも安眠をくれる気がする。
だが、足が動かない。というか、袖を引っぱられている。
「どしたの?」
「あの、私、まだ地球人が怖いです! でも、昔より……
その差別とか、偏見とか……そういうものはありません!
これから少しずつ失くせると思います……その、貴方の、シンさんのおかげです」
「……そうか、そういってくれるのはうれしいね。
でもそれはリッゾちゃんがそうしようと努力をしたからだ」
「ありがとうございます。でも、切っ掛けをくれたのはシンさんだから、
姫様を、私たちを助けてくれたのも……だから、私たちを頼ってください!」
「それは……」
強い決意に満ちていた。瞳の奥にある確かな意思は確固たるものだ。
冗談で返すことなど認めないというその思いが語る言葉はなんとなく、理解できた。
「ライブレードに乗る、って事か? リッゾちゃんも、セラムさんも。
それは……いや、それだけは…………えっと……うっ…………」
言葉が出てこない。
断ればいいのに、言葉が出てこない。
恐怖が首を絞めつけている。想像してしまった、2人の死を。
「か、考えとく!」
袖を払い、走る。走る事しかできない。
ある程度は鍛えているのに息切れが止まらない。心理的な乱れのせいだ。
どうにもならない。急げ、急げ。
「きゃっ!」
「あ、ご、ごめん! ごめん! セラムさん、ごめん。ごめ……」
あぁ、足が止まってしまった。膝がもう動かない。
力が抜けて動かない。もう、ダメだ。
「もう、何も……失いたくないよぉ……」
一人だから、ムチャもできた。生きるつもりではあるけど、
それでも命を賭けて戦う事ができた。
空いたままのパイロットシートは心の予防線だった。
心の熱が冷めていき、疲労が体を包んで意識が遠のく。
「大丈夫……ね、そうよね? 」
温かい。
「はい、姫様。シンさん、大丈夫ですよ……」
温かい。
きっと、冷たいのは俺だけ―――
前置きが長くなる。
今までは進行の為に切り刻んだ要素を入れる故の鈍足さ。
需要はなくとも、俺にはいる。いります!
愛を抱いて、勇気と共に。毎日ヴェイガンを焼こうぜ?