大惨事スーパーロボット大戦α   作:猫者

46 / 58

いろいろ準備とか、まぁ……

シンフォギアライブいってました(白状)


LIFE IS DEAD 上

 

『アクシズ及びジオンは協定外の存在である

 ミスリル及び、ガイアセイバーズに協力することはできない。以上だ』

 

「それはどういうことだ、シャア」

 

 即座に切り返す様に返答するシンに微笑を浮かべるシャア。

 

『言葉の通りだ』

 

 握り拳を鼻筋に押し付けながらシンは思考をしばらく巡らせると、

 パッと手を開いて指を立てながら聞き返した。

 

「それは地球連邦及びティターンズも同じであるという事だな?」

 

『そうだ、我々はロンド・ベルを通して和平交渉などを行った。

 和平自体は地球連邦とだ。だが、軍事協定その他の項目の補足事項にこうある。

 「ロンド・ベル及びその理念を継承する部隊の指揮下でこれを行う」とな』

 

「分かった。これについての話はここまでだ」

 

 

「……大佐殿、よろしいのですか?」

 

 話を打ち切ろうとする二人の様子を見ながら、

 相良が前方のテレサ・テスタロッサにそう言う。

 

 

「アクシズとの話し合いをシンにさせるのは、シャア・アズナブル。

 そして、ハマーン・カーンと関係を持つアイツに状況を進展させる為だと」

 

 テレサはモニターを見つめたまま、くすっと笑った。

 

 

「いえ、状況は進展しましたよ」

 

「はっ、不勉強故わかりませんがそうでしょうか?」

 

「言質は取らせてくれた上に採点もしてくれた、十分です」

 

 自分が話せば形式的なものにとどまっていた可能性があるとテレサは思った。

 この1年。アクシズに戻り、ハマーンの補佐を始めたシャア・アズナブルの評価は、

 政治の面では知らぬ人はもぐりか時代遅れといわれる様なレベルであった。

 もっとも、ハマーンは自分に全くの関心を見せぬそぶりは気に入らないだろうが、

 恋人を殺したという噂もある。当然というしかない。

 だが、それでも手に入らぬものを手に入れたという満足感が、

 彼女の狂気を抑え込んだのか、野獣の如き眼光はなりを潜めた。

 仲間に対しては、だが……

 

 とにかく、シャア・アズナブルがシンに気を許しているのは確かなのだろう。

 あの年上を敬わぬ態度はどうかと思うが、

 それを相手も許しているというか、むしろ望んでいる様にも感じる。

 ある種、アムロ以外に対等な話し相手を得た様な感覚を感じているのかもしれない。

 

「なら、個人的な協力者の派遣は可能か? たとえば、ハマーン……」

 

 

『フォールド断層。知っているか?』

 

 

「いや、えーと……断層だから次元の裂け目的なものか?」

 

 

『その通りだ。メガロードが太陽系から旅立つ式典を

 木製圏で行う予定があった。2か月ほど前だ。そこでメガロードと共に

 断層に巻き込まれたと思われ、ハマーンの指揮下である人物の捜索をしている」

 

 

「そうか、分かった。なら代わりに個人的な頼みが一つある。

 西暦から今にいたるまでの歴史をできる限り正確に集めてほしい」

 

『……ほう』

 

 

 意外な頼みにシャアが疑問より好奇心を表に出した声を出す。

 

 

『連邦軍のデータベースなら裏口で入れるが』

 

 

「いや、それだけじゃだめだ。10年前にジオンが地球に降下した時に

 基地から機密データのデータベースと一緒に持ち帰ったものも結構あると思うし

 宇宙移民側が記録しているものもある筈だ。それを相互補完して繋いでみてほしい」

 

 

『構わないが、理由を聞きたい』

 

 

「その答えはきっと、完成した時にシャア・アズナブルが……

 いや、キャスバル・レム・ダイクンに戻ろうとしているお前が一番に理解する」

 

『それだけの何かがあると』

 

「ニュータイプ、Xラウンダー、念能力。統括してESP、エスパーと言う存在がある様に

 俺という霊能力者の様な存在がこの宇宙にある理由の一端。それに気づけると思う」

 

 

『……その言葉は私の好奇心を刺激するには十分だ。

 分かった。少し時間をくれ。それでは……勝利の栄光を君に』

 

 びしっとした敬礼でシンに向かいあうシャア・アズナブル。

 

「今度は裏切るなよ」

 

 

 にやっと笑顔を浮かべてシャアは通信を切った。

 

 

 

「アクシズの援護は絶望的だと思う」

 

 

「シン、その理由とは……あの建前より

 式典で行方不明になったものが理由だと思うか?」

 

 

「あぁ、そうだ宗介。

 ハマーンが現場で指揮をしてまで探す人物は一人……」

 

 

 ―――ミネバ・ザビ。彼女の不在がシャアが支援できない一番の理由

 

 

「えぇ、そうですね。彼女が出張っているならそうでしょう」

 

 作戦プランを練り直さなければなりませんね。

 そうつぶやいたテレサは髪で鼻をくすぐった。

 

 ■■■■■

 

 

「このパトランプがぁ~?」

 

 

 操縦席の天井についたランプをつつきながら、シンは言う。

 

「それな。色々考えたんだけど視覚的に分かりやすいのがいいかと思ってな。

 ちなみに音は鳴らない。警告音を入れるか整備兵のおっちゃんがキュイン音?

 とかいうのを入れようとか言い出したんだが戦闘中だと邪魔かと思ってな」

 

 カーム・クラフトマンはそういってコックピット内の照明を落とし、

 パトランプを光らせる。強烈なLED光の赤色が暗闇を照らしている。

 

 

「と、こうなる」

 

 パトランプを消して照明を入れる。

 どうよ?とばかりに自慢げなその顔を見ながら、

 シンは唇を突き出してなんともいえないもどかしさを表現するだけだった。

 

 

「ちなみに実戦時はこう。この通り引き出されてシグナルタワーになる。緑から

 黄色になったら機体の処理能力が80%越えだから操縦桿のモニターを気にしてくれ。

 赤はマジで危険領域。機体の照明が絞られてこいつが赤く光る。んで」

 

 メイン操縦席と副操縦席の中間に設置されたその球体をぺしっと、カームは叩いた。

 

「イタイ! イタイ!」

 

 

「100%の状態が20秒続くとこいつが強制でショットダウンをかける」

 

 

「MS用ハロ。ずいぶん高級なサブコンピューターだな……盗んできたのか?」

 

 

「おい! 人聞きが悪いぞ!」

 

 

「でも、カームだしなぁ……んで、限界吹っ飛んで壊れるよりマシっていう処置か?」

 

 

「そういう事! その20秒だけはこいつがサポートしてなんとか動く。

 ちなみに、再起動まではおよそ30秒。だから、できればこの20秒は使い切るな」

 

 

「20秒か……あぁ、分かった」

 

 

 悶着状態に持ち込まれていた場合、逃げられるかは微妙な時間だが、

 その辺はやってみなければ分からない。むしろ、それだけ作ってくれただけ

 マシかもしれない。色んな感情が湧き上がってくるが、

 それをなるべく表情に出さないようにシンはカームにそう返答した。

 

「……やっぱ、変わったよな」

 

 

 ふと呟いたカームの言葉はどこか悲しさを帯びていた。

 怖くなった。だからこそ、聞き流すか一瞬考えた後にシンはやはり聞き返した。

 

 

「そうか?」

 

 

「そうだよ。お前は抜けてた所こそあったけど今みたいになんつーか。

 感情を押し込んで隠すタイプじゃなかったろ。そうだろ?」

 

 

「それは……」

 

 

 違う、とは言い切れない。

 今の日野真は自分としてもそういう人物だったと思う。

 ただ、過去の日野真はそうではないのだ。ぐっと、すべてを押し込め。

 なんでもやった。足りないものを補うにはそぎ落とすしかなかったから。

 だから、それが重なった今の自分はきっと。そういう人間になってしまったのだ。

 

 

「……かも、しれねぇな」

 

「それがパイロットになるって事なら、俺はやっぱ……いいや。

 悪いな。転向も考えたりしたんだけど、きっと……無理だと思う。

 ……あ、いやさ! その分、こっちで手伝うからよ!」

 

「あぁ」

 

 乾いた返事を返す。もう言えること事がなかった。

 カームの言葉にどこかシンは納得した。意識はしていなかったが、

 大雑把に言えば変わる事、それがパイロットになる事なのだ。

 相手の人生を、

 たくさんの笑顔や喜び、それを悲しみに塗り替えていく事なのは間違いない。

 

 

 ロボットのパイロットになる。それはかつての夢でもあった。

 でも現実はどうしようもなく重いものを背負い続ける日々だった。

 開いたコックピットから出て、見下ろす。

 

 見知らぬ人物が立っている。生気がない。おそらく、メリダ島の防衛線で死んだ人だ。

 指をさしている。はるか彼方を。

 

 

「カーム、見回りの時間は」

 

 

「お前のか? あと1時間後だろ」

 

 

「繰り上げてくれるように連絡してくれ。」

 

 

 死者は黙し、語らず。ただそこにあるのみ。

 しかし、それと対話できるものがいるならば、

 死者は何を語るのか。それはその時にならねばわからないのだ。

 

 

(だが、俺はこの力すら何か意味があるものと信じたい。それは流石に自分勝手かな)

 

 

 

 ■■■■■

 

 

 

 ~浅草~

 

 

 

「馬鹿な、修羅の攻撃をものともしないとは……!

 フォルカ、まだ動けるな。目的は果たした筈だ、逃げろ」

 

 

「だめだ、兄弟を残してなど行けぬ!」

 

 

「行け、フォルカ! 戦えぬ修羅など捨てておけ! 行くのだ!! 使命を果たせ!」

 

 

「涙、涙の感動の場面は結構だが僕らが君らに興味がない、

 という事を示して置く事にするよ。ファイターロア、君のオーバーゲートエンジン

 渡して貰うぞ。完全なるクロスゲートを得るためにも……ね!」

 

 

 修羅を名乗る青い機体を地面に叩きつける。

 10倍近い体躯に攻撃されてなお、原型を保っているのは機体かパイロットの力か。

 

「フェルナンド! ……くっ!」

 

 

「1人は退くか、まぁいい。修羅の本当の力は後でゆっくりと記録させてもらう

 でもせっかくだから耐久力の限界ぐらいは今、図らせてもらうとしようかな

 オーバーゲートエンジンはこの後でもいい。どうせ単体では転移などできはすまい」

 

 そういって巨大な体躯は地に膝をついたフェルナンドの機体、

 ビレフォールに拳を振り下ろす。

 

「……無念!」

 

 末期の言葉を残し、フェルナンドは瞳を固く閉じた。

 しかし、いつまでたっても終わりはやってこない。

 

「……貴様、なぜ!」

 

 

「べらんめぇ!! てめぇらはショウコを拐った犯人だが、

 だからといって見捨てていいなんて事にはならねぇぜ!」

 

 オメガヴァルザカードの拳を押しとどめているのは、

 赤を基調に金の装飾を各部に備える巨大な機体、コンパチブルカイザーだった。

 しかし、200Mを越える体躯を持つオメガ・ヴァルザカードの前には、

 大人と稚児と称してもいい迫力の差を感じる。

 そして、それは同時に力の差でもあった。

 

 

「ほう、流石オーバーゲートエンジン。噂に違わぬ出力だ」

 

 オメガヴァルザカードに登場するインファレンスは、

 感嘆の声を上げた。それは記録者故に生ずる興奮なのか、

 あるいは本能か。さらに力を籠める。

 

 

「貴様、情けのつもりか! 俺は修羅だぞ!」

 

「うるせぇ、俺は俺の思う様にする! てめぇが何を思おうと関係ねぇ!

 ただ、妹の、ショウコの居場所は吐いてもらうぜ!! うおおおおおお!」

 

「くっ……(な、なんだこの星の人間はなぜ。俺はお前にとって敵の筈だ! 

      修羅なら、そんな事は……わからん。なんなのだ……)」

 

 理解できぬ言動に思考を彷徨わせるフェルナンド。

 しかその間もインファレンスは徐々に力を強めていく。

 

「さて、ついでだ。このまま動力をえぐり取ってあげよう」

 

「ま、まだまだぁ!」

 

 しかし、コンパチブルカイザーは搭乗者、コウタの力に応える様に、

 力を与え続ける。しかし、それに機体が耐えられるかは別の問題だった。

 

 

『コウタ! オーバーヒート寸前だ!』

 

 

「だが、退く選択はねぇ! ここで見捨てれば俺は

 もう、妹の顔をまともにみれねぇ!! 兄貴なんていえねぇ!!」

 

「っ!!(そうか、お前は……俺と同じ)」

 

 フェルナンドは、わずかだが理解した。

 修羅とそうでないものの垣根をこえたものの先にあるもの。

 そして、今、彼を突き動かしたのはそこにある何かであった。

 

 

「ビレフォールよ、あと一撃。その力を俺に!!」

 

 

 けたたましい轟音と共にコンパチブルカイザーがビレフォールの蹴りに

 弾き飛ばされる。2倍近い機体を一撃で数十メートル弾き飛ばすその力はまさに

 修羅というにふさわしい。しかし、その機体はそれですべての力を使い果たした。

 正面からオメガヴァルザカードの攻撃を受け、ビレフォールは陥没する地面に半ば、

 埋まるように機体を損傷させ機能をほぼ停止させた。

 

 

「ほう、まだ原型を保っている。どうやら、パイロットも生きている。さすがだね」

 

「てめぇ、なんてことをしやがる!」

 

「敵だろう? なぜそこまで激昂する必要ある?

 オーバーゲートエンジンを奪うのを防いだからって仲間扱いかい?

 でもそんなものはいつでもできるんだよ。これからね」

 

 

「へぇ、格下扱いしてた3人にボコされたお前にそんな事ができんのか。

 そらぁ~、おもしれぇなぁ~~。ぜひ、ぜひぜひ。見せて頂きたいなぁー!」

 

 

 オメガヴァルザカードの頭上から聞こえてきたその声に、

 インファレンスはイラ立ちを露わにして、叫んだ。

 

 

「死んだと思って喜んでいたのに……最低、最低な気分に逆戻りだ、

 シン!! てめえは俺の手で直々に殺す! 今度は戻ってこれねぇぞ!!」

 

 

「くそ! あの禍々しい姿。新しい敵か!! やったらぁ!」

 

 真っ赤なボディのライブレード・SINに向けてコウタが叫ぶ。

 確かに血に染まった呪われた機体にしか見えない上に、

 適度に明滅するGリキッドが循環する緑のラインは怪物が流す緑の血にも見える。

 

 

「待って!! 気持ちは分かるけど俺は味方!! 味方だからね!」

 

 

 ■■■■■

 

 

 

「カイセキ! カイセキ! ソウコウチ3000イジョウ! 

 ウンドウセイ190イジョウ! タイキュウ、エネルギーソクテイフノウ」

 

 

「すごいですね、このハロって。それでこの数値ってどのぐらいなんです?」

 

『わ、私だってできますし……まぁ、端的に言うと……あれ、これって」

 

「おそらく防御に徹されると攻撃通らないって事だな。

 お前でも無理だぞ、そこの図体でかいロボットの……まぁ、いいともかく!

 そういう事だ。さっさと逃げろ。俺も連絡して適度に時間稼いで逃げる」

 

 

「コンパチブルカイザーとコウタ様でぇい!

 そんななさけねぇ事できるわけねぇだろ! 大体、この街は誰が守んだよ!」

 

「その通りだ。そいつが逃げようとするなら、この街を破壊して引き止めるだけだぜ」

 

 

「ちっ、少しは頭を使えるになったお前」

 

 

「んだとぉ!? おま……」

 

 

 インファレンスの声を遮断するよう高速でオメガ・ヴァルザカードを

 横切りながら道路に埋まった機体を回収して距離を取る。

 その動きを見ていたかの様に突如、ライブレード・SINの傍にリフトが立ち上がった。

 シンがすかさずそこへ拾った機体を投げ入れると機体を回収したリフトはすぐに閉鎖され、

 それを見届けてすぐに再び距離を取る。瞬間、そこに砲撃の雨が降り注いだ。

 

 

「あ、あぶねぇ」

 

「てめぇ……! シン!!」

 

 

「誰だか分からないが、機体を回収してくれたのはナイスフォローだな。

 まぁ、あのスーパーロボット用意してた奴だろ。でも助かった」

 

 

 インファレンスの事を悉く無視する。

 こうやって相手をいら立たせるのも作戦の一つではあるが、

 逆に言えばそうやって少しでも注意を割かねば危険なのも確かだった。

 

 

「どうしますか、シンさん……あの機体の動き、

 巨大な機体は鈍足なんてスーパーロボットの定説の範囲内じゃないですよ」

 

「そうだな、その通りだな……」

 

 エデルリッゾの言葉に頷きながら、シンは考える。

 

 コンバトラー、マジンガー、ダンクーガ。

 火力と装甲を重視した機体は運動性が低い。無論、120 mのダイターン3もそうだ。

 しかし、相手はそんな当たり前の事すら無視した超性能の塊だ。

 

(くそ、といってもここまでの話が本当ならインファレンスの機体は前の宇宙が滅びる、

 その間際。ある意味で遥か未来の機体。そう考えると納得もできるか。さぁて……)

 

 逃げるというものは当然、インファレンスの動きを見るための方便だが、

 正直、生還できる可能性は

 0を1にするために、1を10にするために、10を100に近づけるために。

 どんな状態でも生きるために、後悔しないためになんとかしてきた。

 可能性の限り戦い続けてきた、だが今は1の可能性すら霞んで見える。

 だが、それでも貫きとおさねばならないものはある。

 

「退けば後悔。なら、前を見るしかない。リッゾちゃん、

 プラーナコンバータ最大出力。聞こえるか、巨大ロボ。即興の連携だ。

 攻撃の間、間に互いの攻撃を叩き込むぞ。できるか!!」

 

 

「あたぼうよ! こちとら江戸子。任しとけってぇんだい!」

 

 

「言葉の意味は分からんが、とにかくすごい自信だ! いくぞぉ!」

 

 

 ライブレードが無人のビルを破壊する。

 破砕した場所から巻き上がる粉塵が敵の視界を覆い隠した。

 

 

「小癪な! 上空にセンサー反応があるのはわかってんだよぉ!」

 

 

 オメガ・ヴァルザカードが上空に向けて拳を繰り出す。

 しかしそこにいたのはコンパチブルカイザーであった。

 いや、その肩にはライブレードも乗っている。

 

「なっ!?」

 

 

「アルドノアドライブ、フルパワー。推力全開!」

 

 

「即興連携、タワー・ブーストぉおカイザァーーーキック!!」

 

 

 上空への攻撃と上からの落下攻撃の威力。

 脚部は腕部の最低でもおよそ3倍の威力を発揮する。

 それは人間工学を参考して作られている巨大ロボットでもいえることだった。

 コンパチブルカイザーの蹴りを受けて、けたたましい音を響かせながら破壊され、

 オメガヴァルザカードの腕部が煙をあげて爆発する。

 

 

「お前、ずいぶん危ないことするね……」

 

 

「適当に割り込めっていったろ?」

 

 

「そら、そうだけどね……くそー、冷や汗かいた……

 こいつの機動力と運動性に助けられたな……普通は空中であんな合わせできねぇよ」

 

 

『ライブレードならこの程度はやれるわ!』

 

 

 自身満々にそう告げるキャロル。

 しかし、操縦桿のモニターは明らかに異常を示している。

 

 

「シンさん、ライトが……」

 

 

「黄色!? 嘘だろ……どうなってんだ……!」

 

 処理能力の限界が近い事を告げるその黄色い輝きは、

 シンの中の焦りを瞬く間に肥大させた。

 

 

「おい、キャロル!」

 

 

『何よ。まだまだやれるわ!』

 

 

(やっぱり、気づいてない。ライブレード自身でもある筈が

 この異常に気付いてないってのか、不味いぞ……すべてが噛み合ってない)

 

 

「げぇ! なんだぁ、ありゃぁあ!」

 

 

 そう叫ぶコウタにつられて視線をあげると、

 オメガ・ヴルルザカードが瞬く間に、まるで粘土を煉る様に再生していく。

 この前も見た高速再生だ。いや、巨体になってその力はより上がった様だ。

 

 

「バトルパターンは記録、修正した。

 前回のプラズマホールドはもうきかないぞ……今度こそ終わりだ、シン!」

 

 

「くそ、参ったな……」

 

 

 じっとりと背中を伝う冷たい汗が死の予感を感じさせる。

 先行きの見えない戦いが今、始まろうとしていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。