大惨事スーパーロボット大戦α 作:猫者
「うぅ……こ、ここは……」
フェルナンドが目を覚ましたのは見知らぬ部屋のベッドの上だった。
困惑しながら、首を傾けた時にみえた点滴と医療器材は自分に繋がれている。
「よう、起きたか」
「お前は……」
「コウタ・アズマ。お前がさらった妹の兄貴だよ。蹴飛ばしたろ
再生医療の機材が家にはなくてな。ロボットドクターの手術だし、
不安だったけどな……よかったぜ。いや、お前にとっては運悪く、か?」
不機嫌な顔で枕元にたっていたコウタは愚痴交じりにそう言った。
「さてな……修羅としてはお笑いな結末だろう」
フェルナンドは自嘲気味に話す。しかし、どこかすっきりした様子もあった。
「……なんだよ、なんかいい顔してんじゃねぇか」
「修羅としてはありえん行動をした。しかし、正しかったとも感じる。妙な気分だ」
「……やい!! 一つだけ聞かせろ。なんで俺を助けた?」
コウタがフェルナンドの顔に近づいて言う。
フェルナンドはコウタの瞳をしっかり見て、言った。
「修羅は地球の人間を理解できんと思っていた。
だが、同じ兄弟を愛する思いだけは理解できた、のかもしれんな。
体が勝手に動いていた。行動に、理由はない……さぁ、殺すがいい。
修羅の事について話す気はない……」
最後の時を感じ眼を閉じた、フェルナンド。
しかし、その瞬間はいつまでもやってこない。
ずかずかと不機嫌気味に足音を鳴らしながら、扉の前に行くコウタを見つめ、
フェルナンドは信じられないような顔を浮かべる。
「なぜ……」
「うるせぇ……精々、養生しやがれ。だが、出ていくときは一言言えよ。
礼儀だってんだ、こんちくしょう……ショウコは自分で探すぜ。じゃあな! えーと」
「……フェルナンド・アルドゥクだ。コウタ・アズマ」
「なげぇ。フェル、フェルだおめぇは! あばよ!」
自動扉が開き、すぐにロックを伝える赤いライトが付く。
フェルナンドはその扉をしばらく見ていたが、やがてゆっくりと元の体勢に戻り、
天井を見つめた。その先にある何かを見つめる様に。
「あの時、ビレフォールは最後の力を振り絞った、俺の願いに応える様に。
闘争本能だけが修羅神を動かすものではないのかもしれん……」
■■■■■
「GGG共通規格?」
「Gパーツというあだ名もある。開発者内でだがな。
これはそもそも、GGGがまだ公になっていない組織という事もあり
共通規格と言いつつもこれが使われている機体は今、4……いや、3機。
GBR-1、ガオガイガー。BFR-R、コンパチブルカイザー。そして、GBR-0……」
「ライブレード・SIN……」
「さよう」
角の様におでこの少し上から伸びる頭髪と、髭を蓄えた白衣の老人。
キサブロー・アズマは神妙な面持ちでうなずいた
「ディバイン・クルセイダーズ(DC)の前身EOTI機関に所属していたワシじゃが、
当初、ビアン博士は異星人による侵略を危惧し、地球圏の武力統一を考えておった。
これに反対したワシは特別許可を得て機関を去った。しかし……」
「博士の予想よりも、早く。我らヴァースによる戦争が始まってしまった……」
「お嬢さん、気になさるな。裏から手を回したものの存在はワシも把握しておる。
それに結果的に地球と火星は手を取りあい、意思は一つなった。
最も今、それをティターンズによって乱されてしまったがな……
そういう意味では、わしがこうしてあの場を離れていたのは正解だった」
エデルリッゾにフォローを入れると、キサブローは視界をボロボロのカイザーと
それに並ぶ亀裂の入ったライブレードを見つめた。
「異世界より流れ着いたカイザーはほぼ全損しておった、
故に、修理よりパーツを流用した新造であった上に、異世界の技術がベース。
20年以上かかった……ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン (DGG) の技術と、
GGGの協力を得ているのは姿から分かる筈。つまり、このBFベースで修復はたやすい」
「すでに分析も解明もされている以上は、直すのはたやすいか。助かるね」
BFベース(Battle Force Base)
キサブロー・アズマ博士が東京浅草の地下施設に建造した秘密基地。
「アズマ研究所」という名で市井の民間研究所のガワをきた地下基地。
出入口が幾つもあるため、ライブレードとコンパチブルカイザーはそれぞれ、
別の場所から基地に搬入された。というか、入口は多いわ、
基地は広いわ、浅草の地下がどうなっているのは最早、謎である。
「……あれ、待って。さらっと流したけどあれ勇者ロボット的な扱いなの!?」
「見た目はどうみても悪の化身じゃが、そうじゃぞ」
「あ、赤いのは火星のパーソナルカラー的なあれという事で!!」
「いーや、あれは絶対血じゃ。暗黒騎士じゃ。ブラッディナイトとかそういうのじゃ」
「ひ、否定はできねぇ……」
「頑張って否定してください!! もーーー!」
エデルリッゾが不機嫌そうに、肩をぽんぽんと叩く。
シンは反論を口にすることができず、眉を歪めて困惑顔を浮かべてされるがままだった。
■■■■■
「それで、どうなんですか?」
「ずぞぞぞぞ……え、何が?」
「前は1回出撃するたびにぼろぼろだったでしょう、シンさん」
「いや、やっぱ動力分割運用のおかげで楽だわ。
プラーナコンバーターをフルで動かす必要がある戦闘はきついけど
でかいの一発撃った今でも3割ちょいぐらい余裕はあるからな」ズゾゾゾゾ
「1Lの栄養ドリンクストローで啜ってる状況なのはともかく、
眼に見えて異常は見えないのでやっぱり楽にはなってるんですね……」
胸をなでおろして、安心した様子のエデルリッゾを見ながら、
シンはピースを浮かべながら再び栄養ドリンクを啜る。
「まぁ、正直な話。リッゾちゃんが結構負担軽減してくれてるのもあると思う。
二つの意思がどうたら、ってのはいまいちわからんけどね。実際、
3人乗ってた時は大分楽だったし、すげぇパワー出たからな。ただ……」
いじいじと前髪の一房、赤になったままの頭髪を弄る。
「くそぉー、戻らなかった……まるでノリで流行に乗っちゃった
マイナーバンドの如き。これ、まさか全部赤くなった死にます的な……」
「二度と!!!! バーストプラーナは使わないでください!! 二度と!!!」
「あ、はい。わかりました」
ぴしぃと!と背筋を伸ばす。
最近、アセイラム姫といい、エデルリッゾといい圧が強くなった気がする。
女系社会は着々と進んでるんじゃね?と空の彼方のシロッコにシンは問いかけた。
『いや、こういうのではない。わかっておらんな、お前は』
「……まぁ、前回はそれこそ最後の一押しが必要だったから。
相手を抑え込めたとはいえ、アイツの動力の力にあのままじゃ勝てなかったし」
シロッコを手で片手押しのけつつ、ドリンクを一気に飲み込む。
「確かに次元操作すら可能とすれば、アルドノア以上の力になりますね……
バニシングエンジンとイナーシャルキャンセラーで
タンホイザー・ゲートを利用したワープは地球も技術としては確立してますが……」
「うん。連続の使用は難しいし、そういう枷から解き放たれてるアイツは明らかに異常。
それがOOOあるいはトリプルゼロの力なのかもしれんな。常に再生してるからとか
でも、多分。アイツ戻って来るよ。数日、数か月、1年後はわからねーけど……」
「え、そうなんですか!?」
「人なら無理な演算だろうけど、アイツあきらかに人間とかじゃねぇからな。
アンドロイドか、なんか……だから、しらみつぶしにいって復帰できると思う」
2度の交戦で確信があった。
人ではない、しかし人に近い存在であることは。
そして、Gアイランドシティの事から考えて、Gストーンに因縁がある。
いや、今回の事から考えればGストーンが生みだすGパワーに苦手意識があるというか、
反作用とはまた別。いうなれば、中和していたという感じであった。
(……ライブレード、お前が助けてくれたのか?)
正直、GSライドが低出力なのはモニターで分かっていた。
だが、あの戦いでそれが冗談だったかのような出力が出た。
それは、一人。いや、2人でも出せたような気はしていない。
キャロルも戦意を失っていた。だから、彼女のサポートでもない。
「なぁ、リッゾちゃん。俺さ、意思を感じた気がしたんだ……
キャロルじゃなくてさ……でも、ロボットが意思を持つなんて……馬鹿な事だけどさ」
馬鹿な事と言いながら、どこか嬉しそうにシンはエデルリッゾにそう言った。
彼女はそれを否定せず、笑顔をシンに向けた。
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『あの時ほど、今は強くは感じられない。でも……』
微弱に感じる、とキャロルはライブレードを見下ろしてそう思った。
正直、ありえないと彼女は思っていた。
自分はここからそう遠くにはいけない。ライブレードに強く結びついている存在。
だからこそ、ライブレードの事を把握している。
そう、思っていた。だが、オーバーヒートなどのことも考えれば、
それは単なる自惚れで、自分はやはりこの機体に搭載されているだけなのだと、
切り離されてしまえば、消える。そんな儚い存在であることを嫌でも自覚した。
『私を形成する過程で取り込まれた下級精霊や霊の一部が
ライブレード自身に付いて、自己を形成した? ある種の付喪神のような……
でも、そんな……それにしたって早すぎる。でも……』
でも、確かに意思はある。感じる。
何より、あの場を逆転する可能性を2人に与えたのは……ライブレードなのだ。
『私の存在は、無意味……?』
暗闇の中で、精霊は自問自答を続ける。
答えは出ない。彼女を生みだそうとした開発者はもう生きてはいないのだから……
ライブレードは原作終了後、
ディスタンスオブデザイアの設定に従い、
平和の象徴として”国際紛争の解決、防止”
を目的とした超国家機関
『国際連盟』の本部地下に移送して管理されていたが、
共和国より始まり、アガルティア王国を巻き込んだ内戦と
その負の念により開かれたクロスゲートにより
異世界アガルティアを巻き込んで広がった大戦により
起動を余儀なくされるが、新たな資格者が戦いの中で死亡。
システムを構築し、なんとか再起動をするも、
人類はクロスゲートよりあふれる負の念が実体化した存在によりほぼ滅亡。
ライブレードが内部よりゲートを閉鎖した為、
全滅はかろうじて免れるも……という状況。
ライブレードはそもそも、原作でもある種の舞台装置として
肉体を失っても精神で活動ができる高次元生命体が
勇者と魔王のような存在として生みだした勇者側の存在。
厳密にいえば少し違うのですが、この解釈が一番楽。
勇者も魔王も立ち位置が違うだけで近い存在なので、
ライブレードは負念で汚染されたゲートを閉鎖できた。
みたいなことにしている。
ところで、ライブレードⅡどこ?(開発中止)