大惨事スーパーロボット大戦α 作:猫者
■序■
「へぇー、アンタ。ロンド・ベル所属だったんだな!」
「そうそう……」
やや自慢げにシンはうんうんとコウタの言葉に頷いた。
「爺ちゃんから聞いたぜ。宇宙の彼方で宇宙怪獣とかいう
大量の化けもんとたたかったんだろ? どうだった?」
「あ、すいません。それは病欠だったというか」
「あぁ!? 病欠だぁ? なんだそりゃあ、なっさけねぇ!」
シンは何も言えなかった。一応、世の中の為に戦ったが
確かに世界の危機にはがっつり寝ていた(というか精神崩壊していた)
何も言えなかったので、渋い顔をして一言だけ呟いた。
「はい、すいません……」
■壱■
「シャア、このデータは事実か?」
『連邦とコロニー側双方の歴史資料。ジオンが回収していた連邦の機密データと
コロニー側が隠していたもの。そこからまとめたものだ。だが、まだ穴がある筈だ』
コロニー開発かつて、棄民政策とまでマスコミに批判されたものであり、
確かにそういう側面もある。しかし、宇宙で財産も築いたものもある。
つまり、賢いものは上手く立ち回り勝者になった、という事だ。
そして、そういうものたちは歴史の裏に立っていた者たちが多い。
少し政治を齧ればまず目にする、
マネーロンダリングを専門とするビスト財団の裏の顔の様に。
「なんでここまで整合性の取れない歴史の流れになるんだ。
明治の頃に長く蒸気が使われてた時期があるのも妙だ。エネルギーとして不完全だぞ」
『あぁ、蒸気が廃止。すぐに電気が主流になった所から、
いつでも切り替えられるという状況でなぜか蒸気を使っていた事になる。
このような違和感は歴史の随所にある。私の結論は……君に述べて貰おうか』
「地球はずっと昔から”何か”との戦いの中心にある
それが異星人だったのか、もっと別の物だったのか。
わからねぇけど、ずっと前からそれは起きていて歴史の中で
場所や時期をかえ繰り返されてきた。しかし、隠されていた……なんか陰謀論みてぇ」
『ネットワーク・インフェルノが勃発し、情報産業の技術水準が
1980年代まで衰退したあの出来事も何かの戦いの結果だったのかもしれん
あるいはそれはもっと別の出来事を覆い隠すための手段だったとすら感じる』
「……よくないな。よくない」
確かに考えれば分かる話だ。
メテオ1、2の出来事だって首都ひとつ吹き飛ぶ隕石ならずっと前に観測し
破壊できないにしても対策できていた筈だろう。首都の中核を移す準備事も可能。
シンがゲームとして部分的に知っていた歴史も、今考えれば違和感があった。
メテオ1とメテオ2が”ただの大質量隕石の衝突”なんてそんな事が、
この世界では、そもそも、可笑しいし”ありえない”
「俺たちの敵はまだ増える可能性があるってのか……冗談じゃねぇ。
しかも、それは歴史ごと闇に葬った何かかもしれない……」
「BFベース……広すぎると思わなかったか?」
『これは、キサブロー・アズマ博士。
通信機器を貸していただき……』
「シャア・アズナブル、世事はいい。で、どう思った?」
『彼から聞いた広さからして、個人で作れる規模とは……』
「うむ、その通り。ワシは元からあったものを改造したにすぎん
個人の作業の範疇で基地とスーパーロボットの制作の並行作業など不可能」
そういって、一つの資料をシンに差し出す。
古ぼけたレポート用紙を風化しないように密閉保存されたそれを
キサブローは開ける様に顎で促す。その表紙に書かれた文字は……
「大帝国劇場支店花やしき支部……?」
『博士、これは?』
「残っているのはこの設計資料とこの広い基地の跡地だけ
だが、それだけでもわかるじゃろう……新西暦以前にも大きな戦いはあった」
シンは机に資料をおいて、おそるおそるページを開く。
そこには、ドラム缶の様なロボットの設計図があった。
「蒸気併用霊子機関……え、日付は明治!?
亜人間型重機発展、虎型霊子甲冑『光武』 博士、これは……?」
「隠された歴史、その一部じゃろう。
使われているのは蒸気。そして、霊力。魂の力……プラーナといえるかもしれん
断片的に残った記録によれば、これは各地に配備されていたようじゃな」
『明治の時代地球製魔装機……という事ですか? まさか……新西暦の以前に?
そんな兵器が各地にあるならば、統一戦争はもっと泥沼化していたのでは』
「流石勘が良いのう、シャア・アズナブル。
その通りじゃ。だからこそ、この技術は完全に破棄されたということになる
『そんな、なぜ……』
「……シャア、この世界にはニュータイプ、Xラウンダー。
様々な能力がある。だが、宇宙にあって地球にしかない能力もあるよな?」
『……超能力。いや、念動力か。しかし、一部だがエアロゲイターも』
「念動力、TーLINKシステム。それは全て、イングラムを経由して地球にもたらされた
ものとするならば、彼らが俺のような地球人と同じルーツをもつから、と考えられる。
まぁ、素人考えだけどさ……ニュータイプの起源もまた、この星にあるとすれば」
『宇宙に上がって念動力が変質したものがニュータイプ……という事か?
……そうか、なら地球人類。そして、宇宙に上がったものは
根源的には念の力を持つという事になるな……潜在的ESPとでもいうか』
「さよう。少し考えればわかった筈じゃ
”なぜ強化”するだけで普通のニュータイプに近い能力を持てるのか
それは潜在的に人類はESPの素養を持つ。その強さ、弱さはあれどな」
博士はそれを理解するのを待っていたとばかりに頷いた。
「人は根源的に超能力を持っている。念動力の力をパイロットとして間近で見たはず。
その力は時に超常すら可能とするいわば、理を歪める。世界を変える力として言っても
良いとわしは思っている。これが、この技術が人が捨てる選択を選んだ理由の筈」
「……何かと戦っていた筈だ。これだけものなら」
『……分かりました、博士。彼らは忘却による念の結界を作り出したのですね』
「うむ……人々が忘れることで存在をしないという認識、念を作った。
いないものは害を加えようがない。そうして、世界規模で敵を封印したのだろう。更に
豊かさを世界に広めることで、恐怖を忘れさせ。悪感情というべきものを抑え込んだ。そして、さらに困った事におそらく……敵はこの封印した奴らだけではない。
他にも昭和初期、平成、令和の時代にまで交戦記録の断片がある」
「……なら、今の状況は最悪だな。
世界に残る戦いの傷は今も、人々に恐怖を与えてる筈だ。
もし、もしこの敵が……魔装機の様な魂の力、プラーナでしか対抗できないなら……そして、他にも潜在的脅威があるならば」
「到底、ライブレードだけで……いや、ラ・ギアスの力を借りても戦い抜けぬ。
今、世界はあやういバランスの中にある。このバランスが崩れた時、世界は終わる
コンパチブルカイザーとオーバーゲートエンジンも所詮は防衛策の一つすぎぬ」
重苦しい空気の中でシンはその深刻さを痛感した。
もし、この力が自分の持つ霊能力に近しいものならば今、世界でそれを持つ者は、
限りなく少ない筈だ。高度な情報社会と軍事で統合された世界には、
小国こそあれど、独立性を完全に保っている訳ではない。
純粋なオカルトというべきものはほぼ、根絶しているといっていい。
(どうなってやがるんだ……終わった筈じゃないのか。俺の役目は!
なんで、なんでこんなに今にも皹一つで崩れていきそうな惨状に戻る!)
「ちくしょう……俺たち人間はまるでフラスコの実験動物だ……
神様にもてあそばれてる気分だぜ……最悪だ……」
シンの弱気な言葉が重苦しい空気をなお、重くする。
同時に、耳元で破滅に向かう時計の秒針の音が自己主張する様に響く気がした。
■弐■
「あのなんとかブレードとかいう奴は修理できて、
コンパチブルカイザーはまだなんだよ、爺ちゃん!」
「コンパチブルカイザーは、GGGの技術以外にダイナミックゼネラルガーディアン
その他の技術を複合して修復されたもの。簡単にはいかん」
「くそぉーーー、そんな事が分かってたらぶっ壊さなかったのによぉーー!」
コウタ・アズマとキサブロー・アズマの口論を見つめながら、
シンは機体の動きだけを確かめていた。
「翼のこれ、スラスター兼砲台って変ですね
でも隠し武器としては以外と盲点になるし、そういう考えなのでしょうか」
スラスターの動きを確かめながら、エデルリッゾがシンに語り掛ける。
シンは両手のマニュピレーターの指をしきりに操作しながら、うーんと唸った。
「かもな。でも砲台機能はプラーナ使うから、背中にキャノンついてよかったわ……
というか、ライブレード武器自体は少ないからな。もうちょい増やして貰うか」
「剣折れましたしね」
「本当な、折れたわ……触媒にしてエネルギー拡散してたから
次元バリアで殴り掛かられたら終わるわ……」
「あれはバリアではないのですか?」
「俺も弱バリアぐらいに思ってるけど、実際は攻性エネルギーフィールド。
まぁ、より強い攻撃で打ち消してる形だから正直、普通のバリアより大分不便。
でも次元バリアに対抗できると思っている手段の一つではあったからな……」
いなほが解析した結果、
ヴァースのアルドノアが持つ、次元バリアは『異次元へ飛ばす』という性質の
最強の防御でもあり矛でもある。しかし、空気や大気を無尽蔵に削り飛ばし続けている
というわけではない。そんなことをすれば、すぐにキャパシティを越える。
つまり、人間やミサイル。ビーム兵器の様な実体を対象としているのは明らかだった。
バリアの表面が全て次元の隙間で設置した部分から削り飛ばしまう。
ならば、とシンが考えたのは剣を触媒として攻性エネルギーフィールドを展開する、
ブラン・ダイガードによる対抗。自機周囲の一定範囲に攻性エネルギーフィールドを
展開するこの技。単にエネルギーといっても、それはプラーナコンバータを経由して
生成された特殊なエネルギー。霊的ものに限りなく近いそれならば、
次元バリアを突き抜ける。それが無理でも最低でも、次元バリアの表面の異次元の隙間、
それをふさぐような形で押しだすことは可能ではないか。
実際の所、それは試してみないとわからないのだが
そもそも、もう試すことができないので意味はない。
「どうすっかなぁ……まいったなぁ……」
博士が回収して修理を検討してみるというが、半分はぶん投げてしまったし
溶かしてつぶしてなんとかなるのかという疑問の方が浮かぶ。
「明らかにマジカルな金属でしょあれ」
「折れた所からしてそんな強度はありませんでしたが、
他のもので代用できないのですか? ほら、いろんなものがありますし」
「霊的エネルギーを操る物質か……竜虎王がそんな感じらしいよね。
データみたよ。そうだ、そいつを見つけてロボットの薄皮をはいで……」
「あれ、意思を持つロボットって聞きましたよ。やめましょう! ね! ね!」
「でも、ほかに手段がなぁ……」
「ま、まぁ! ほら、なんとかツテを探すって言ってましたし! ね!」
「はいはい、待つだけ待ちましょうかね……
(まぁ、他にも手段はあるしな。でも……どうなんだろうか)」
その手段はプライヤーズとの連結による、ディメンジョンプライヤーによる除去。
しかし、これはしくじるとプライヤーズが消し炭になる可能性がある。
何より、絶対条件としてバリアの出力をこえねばならない。それが可能なのか。
あの時のような力を発揮する自信がない。何より、わりと苦楽を共にした存在である、
プライヤーズの命を担保にした一か八かというのは気が進まない。
そうなれば、やはり剣の修理に期待するしかない。
ふと、顔を上げる。すると、そばにエデルリッゾがいた。
「どしたの」
「いえ、顔色……全然いいですね。前は乗るたびに青かったというか
青いまま血反吐吐きながら乗っていたというか……その」
「そういえば、そうだな。疲労自体はあるんだけど
前みたいに地獄のような苦痛はないな。おっかしいなぁ?」
そう、稼働時間は伸びたのだ。
緩衝材(副動力)は十分につまれ、負担は減った。
それでもこんかいのようなギリギリの戦いをすれば、負担は変わらずある。
だが、20%程度の余裕しかないわりには……
(……あの苦しみはプラーナの消費だけじゃなかった……って事か?
ライブレード、お前なのか? それとも、もっと別に理由が……)
コックピットから乗り出して、ライブレードの顔を見た。
当然、何かを語る訳はない。だが、どこかじっと見つめ返されているような気もする。
「まだ、お前には何かがあるんだな……俺も、もしかしたらお前も知らない何かが……」
なんかうまくかけず止まってました。
忙しさと疲労に脳みそえぐり取られたのかなぁ……
俺の暇つぶしがないんじゃが。と怒ってた人いたら申し訳ない
とりあえずあといくつか作品を加えてそれで、
この章としてはソフトランディングさせて次にいって第二次?で終わるかなぁ
と思ってます