とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ

激おこメグメグ






メジロマックイーン 8R

 

ゴルシとマックイーンさんをお説教したのち、酉川トレーナーはブラストさんたちに個別指導を行いながらマックイーンさんのトレーニングを監修し、私はみんなのケアや支援を中心に活動して…そして夕方―――

 

「はぁ…、今日は激しく疲れましたわ……。」

「ど、同感だぜ。マックイーン…それに、マックイーンは天皇賞の二段加速の疲れ、まだ抜けてないだろ?」

「……自覚がありませんの?主に”貴方に絡まれたから”ですわ、全く。」

「だが、ゴールドシップの言う通りだ。あれだけ激しいレースをしておいて疲れがないわけがない。しばらくは抑えめのトレーニングをするか。」

「あ、それじゃあ…しばらくは疲労回復に効くスイーツを用意してきますね!」

「スイーツ!……こほん。ええ、次のレースのことも見据えておかないと……ですわね。」

 

夕日がさす『シリウス』のトレーナー室で、今後の方針を話し合っている。

ゴルシがいることはもうあきらめたのか、このトレーナー室から追い出されていない。

 

「それに春の天皇賞を勝ったといえど、わたくしのレースはまだまだ続きますもの。」

「へぇ~、目標を達成したってぇのに…やる気充分みたいだな。」

「当然ですわ。今のわたくしは、メジロ家の栄誉だけでなく…わたくし自身の夢を背負っていますもの。」

「…どんな夢なのか聞いていいか?」

 

「わたくしの夢は、このチーム『シリウス』を盛り上げる事ですわ。”義務”や”責務”ではなく、それが…わたくし自身が今やりたいことです。」

 

そう語るマックイーンさん、酉川トレーナーは嬉しそうに笑顔を浮かべ…ゴルシも少しだけ嬉しそうに耳を動かしている。

 

「…真面目だな。」

「な゛っ、真面目ですわよ!ふざけるような空気ではなかったでしょ!」

「へへっ……でも、マックイーンがまだまだ走る気で安心したぜ。」

 

…実際、私はゴルシからとあることを聞いたことがあった。

何回かのループでシリウスシナリオが選ばれたとき、春の天皇賞を勝ったことで、マックイーンさんの走る気が燃え尽きてしまうことがあったとのことだ。

それで、義務や責務で自分自身を雁字搦めにし…そのままつぶれてしまうこともあったそうだ。その時のゴルシは、まるで好きなアイドルが引退したようなファンの様子だった。

 

「よし、アタシもこのチームに入る!新メンバーの合流だ、大いにもてなせ!」

「「はぁ……!?」」

 

ゴルシの急な奇行にマックイーンさんと酉川トレーナーは驚く。

でも酉川トレーナーの表情はどこか嬉しそうだ。

 

「…これで、チーム解散しなくてすむな。」

 

…そういえば忘れてたけどチームシリウスは解散の危機に瀕していたんだった。

 

「やったな、おめでとう!……何のことだが全然わからん!けど」

「本当に大丈夫ですの?このチーム……。」

「大丈夫ですよ!少なくとも、ゴルシは小さな問題は起こすけど大きな問題は起こさないので!」

 

この前、大ごとを起こした私が言えたことじゃないけど!

 

~~~~~

 

「わー、このスイーツ美味しい!」

「このクッキー、サクサクなのぉ」

「あまーい!これがマックイーンちゃんが絶賛したメグルさんのスイーツなんだ!!」

 

あの後、少し遅れ気味にやってきた三人娘と一緒にゴルシの歓迎会…もとい、今日のトレーニング後のスイーツタイムをしている。

 

「んお、この前のやつより上達したんじゃないか?メグメグゥ~。」

「ん~、そうかな?作り方とか素材変えてないけど。」

「メグメグ…それはつまり、愛じゃよ。」

「ええ、これだけおいしいわたくしのスイーツ、その隠し味といえば愛でしょうね。」

「「………。」」

 

ブラストさんたちが私の作ったお菓子に夢中になっている間、ゴルシとマックイーンさんはバチバチと何か争いあっている。

多分、私のことなんだろうけど…ほかの人の迷惑になってるってわけでもないから放っておいていいか。

 

「…メグル?俺の紅茶がやけに渋くて酸っぱいんだが……?」

「パソコン画面に集中していらしたので、眼精疲労に効果があるフレーバーで入れたんですけど…ダメでした?」

「……いや、ありがとう。」

「いえいえ。」

 

酉川トレーナーはこういう時、勘が鋭いから面倒くさい。普段からその勘をマックイーンさんたちの感情にも向けてよ!

良薬は口に苦し…と言いながら、紅茶を少しずつ飲む酉川トレーナー。

ふと何かを思い出しあのか、紅茶をコースターに置き。

 

「そういえば、マックイーン。聞きたいことがあるんだが。」

いつか出し抜いてやりますわ。覚悟なさい!はい、なんですの?」

「あの時の、二段加速の感覚。まだ覚えてるか?」

 

「……。」

 

「その様子だと、覚えてないみたいだな。」

 

真剣な雰囲気に、ゴルシもブラストさんたちも真面目な雰囲気を出し始める。

 

「あの時の二段加速、ほんとにすごかったですよね!」

「あの決死の表情で、エヴィルクローさんを抜かしたとき…感動でテレビが見えませんでしたぁ。」

「コースレコードにはならなかったけれども、あの姿はマックイーンちゃんの全部をぶつけてるみたいでとてもかっこよかったよね!」

「ああ、特に後方から飛んできたか〇は〇波をよけていたシーンなんて―――」

「「「ゴールドシップさんは黙ってて!!」」」

「ぴえん。」

 

ゴルシが三人娘に凄まれて耳をたたんで私に泣きつく。ごめんね、私もさすがに今のは庇いきれないよ……

私も、マックイーンのおじいさまとおばあさまと一緒にテレビで観戦してた時、あの二段加速には大きく驚いていた。

それは、私だけでなくマックイーンのおじいさまとおばあさまも驚いていたのだ。

…その時、元トレーナーであったマックイーンのおじいさまの言葉”無茶だ!やめろマックイーン!!”は今でも耳元に張り付いている。

 

「申し訳ありませんトレーナー。あの時はがむしゃらだったもので……」

「いや、いいんだ…何か覚えていることはあるか?」

「覚えていること……脚が重くて、息が苦しくて……視界が灰色に染まった。ぐらいでしょうか…」

「…つまり、本当の意味で()()だったってことか。」

「いっ、一歩間違えてたら…大変だったって、こと?」

「そ、そういうことなのぉ」

「…それを聞いちゃうと、素直にすごいっ!って思えないよね~……」

 

…それは、私も同意見だ。

あの後のマックイーンのおじいさまは血相を変えて大急ぎで京都レース場へと行こうとしていた。

しかし、マックイーンさんが手を振った様子が映し出されてマックイーンのおばあさまがそれを見せて落ち着かせていた。

それはトレーナーも分かっていたことで、ライブを不参加で診察を優先しようとさせていたらしいし…その後のライブでもマックイーンさんは何ともなかった。

 

「それ、アタシならこたえられるかもしれないぜ。」

 

と、さきほどまで私に泣きついていたゴルシが真面目な顔で話し始める。

酉川トレーナーだけなくマックイーンさんやブラストさんたちも微妙な表情を浮かべるがゴルシはそんなことを気にせずに語りだす。

 

「それはおそらく、”領域(ゾーン)”って呼ばれる奴かもしれない。」

「”領域(ゾーン)”……ですの?トレーナーさんは知ってらして?」

「…俺も先代から聞いた話だからあんまりは覚えていない…だけど、領域(ゾーン)を起こせるウマ娘はその時代のトップになれるって言われてる。」

 

領域(ゾーン)、私も調べたことがあるし…その光景を何度か見たことがある。

それを発生させれるのはシリウスシナリオなら……”シンボリルドルフ”さん、”ミスターシービー”さん、そして”ストームロード”さんの三人だ。

その三人だけでなく…個人育成の時の酉川トレーナーが担当したウマ娘たちが次々と発動していたのをよく覚えている。

 

「ですけど、その…領域(ゾーン)……でしたっけ?ウマ娘たちの間では都市伝説ですよ?」

「うんうん、最近よく見かけるウマ娘の創作小説で使われる王道のネタですしぃ。」

「しかも、使えるって言われている生徒会長さんたちでも使ってる姿は見れないし」

「まあ、アタシもそれを調べてるってわけじゃあないからな~。アタシが調べてるのは別のやつだし。」

「あれ、もしかしてゴルシ。ウマ娘研究科に所属してるの?レース科だけじゃなくて?」

「ああ、そういえば言ってなかったな。」

 

私がそう聞くと、ゴルシはそういえばそうだったという雰囲気で返してくる。

そしてそれを聞いたほかのみんな(酉川トレーナー以外が)

 

「「「「ご、ゴールドシップさんがウマ娘研究科ぁ!?」」」」

 

と、驚いていた。

…前にも言った通り、このトレセン学園には複数の学科が存在する。

まずは、トレセン学園の王道とも言ってもいい”レース科”。そして最近注目を浴びている”サポート科”。今話題に上がった”ウマ娘研究科”・・・ほかにもいろいろな学科がある。

その中でも、ゴルシが入っていた”ウマ娘研究科”といえば―――

 

「う、ウマ娘研究科って成績上位者でも入るのが難しいって言われてるあれ!?ゴールドシップさんなのに!?」

「ちょ、超エリートなのぉ…ゴールドシップさんなのに!」

「そ、その学科に行けただけでものちの人生が勝ち組と言われている学科なのに!?ゴールドシップさんが!?」

「な、なんでそんなところに入れるんですの!?”あの”ゴールドシップさんが!!」

「なんか、すんごいバカにされてるのはゴルシちゃんの気のせい?」

 

普段の立ち振る舞いからそう感じさせないのが原因だと思うの。

そう私は思うけど、言ってしまうとゴルシが泣いてしまうのでグッと心の奥にしまった。

 

「まあ、アタシはそれについて調べてないからわからないけど、よかったら専門で調べてる奴連れてこようか?」

「いいのか?」

「ああ、多分その人も乗り気だろうぜ?」

 

…とにかく、話はまとまったみたいだ。

私はみんなの分の紅茶のおかわりを作りつつ、余ったお菓子を再びお皿に並べるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そういえばメグル。今度このトレーナー室にキッチンを増設する事になったから要望書渡すんで必要な器具かいて提出よろしく。」

 

「「「「「はい!!?」」」」」

 





…その後、提出したところ。
本当に最新鋭の調理器具がサポート科総責務教員とメジロ家の名前の入った領収書で、シリウスのトレーナー室にそろうのであった。

秋川理事長は満足そうだ!
サポート科総責務教員は満足そうだ!
メジロ家の評価が50上がった!
たづなさんの胃にダメージが入った。
マックイーンのやる気はキープしている。
ゴルシのやる気はキープしている。
ブラストのやる気が一段アップした!
リリスのやる気が一段アップした!
パンプキンのやる気が一段アップした!
メグルは片頭痛になった。
酉川トレーナーは何かヒントを得たようだ!
???は新しいモr……とにかくウキウキしている!
デジタルは尊い波長を感じ取りトレーニングに励んだ。
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