とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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あらすじ

とあるトレーナーがループしているせいで、メグリメグルとゴルシがループせざるを得ない。(放っておいてもいつの間にかループするため)

前回は、マヤノトップガンとトレーナーが恋仲になるようにしたが駄目だった。



2R

 

…私とゴルシは、現在『栗東寮』にある自室にいる。

私とゴルシは一応は、このトレセン学園の生徒ではあるが、学年は自分たちもよく分かっていない。どこのクラスにいって授業を受けても、それが当たり前のように受け入れられる。まあ、それに何度もループしているせいで在学中に習う場所はすべて覚えているし…

 

「…どう、ゴルシ。」

「うーん。今回のループだと、ループ前の例のトレーナーは何もアクションを起こしてないみたいだぜ?」

 

まあそんな話は置いておいて、パソコンを操作していたゴルシは背伸びをしながら私の言葉にそう返す。

最新版のハイスペックパソコンの画面にはハッキングしたであろうURAのデータベースだけでなく、中央トレセン、地方トレセン、各地のトレーナー養成学校のデータベースが表示されていて、そのうちとあるトレーナー養成学校の名簿にそのトレーナーの名前・・・『酉川 巧弥(とりかわ たくや)』の文字があった。

 

「採用試験の点数は相変わらずの500満点中474点で、平均点を21点上回った状態で合格。その後の秋川理事長の面接試験も問題なく通過、トレーナー養成学校の成績は平々凡々で成績カーストの中じゃぁ中の上に位置してる。」

「証明写真は…相変わらず、顔立ちはいいのにね」

「あぁ、顔立ちはいいくせして乙女心をわかってないニブチン顔だな!」

 

豪快な笑顔を見せつつ、机の上にあるルービックキューブを手に取り揃えだす。12回目ぐらいのときにプレゼントしたものだがまだ気に入ってくれているみたいだ。

…とにかく、この酉川トレーナーのループ現象を止めない限り、私とゴルシはそれに強制的に付き合わされてしまっている。

しかし、どう止めようにもその手段すら最長で3週間しか留めておけなかったのだ。どこがどうしてループするのか、そこがいまだにわかっていない。

 

今月(4月)の21日に着任みたいだ。所属はここ…トレセン学園、しかもチーム『シリウス』の推薦みたいだぜ?」

「…ということは、『シリウスシナリオ(メインストーリー)』か。たしか、メジロマックイーン、ライスシャワー、ウイニングチケット、ナリタブライアンにサイレンススズカ、そしてスペシャルウィークだっけ?」

「まっ、シリウスシナリオならアタシが潜入するしかないよな!ひひっ、今回はマックちゃんにどんなイタズラを仕掛けようかなぁ~楽しみだぜ!」

「一応言っておくけど、面倒は起こさないでよね?」

「ああ、もちろんだぜ!ところで、メグメグは今回のループじゃぁどうすんだ?」

 

ゴルシが揃えたルービックキューブを指の上で回転させながら、こちらを見つめる。

おそらく、ゴルシが言いたいことは今回のループだとどんなことをするのか~ではなく、今回のループでは”走るのか、走らないか”ということだろう。

心の奥底では、ターフを走りたい。ゴルシとレースをしたい。このループのウマ娘たちと走りたい。という、様々な気持ちが溶け合い…混ざりあい……複雑で何とも言えない感情が今にも吹き出しそうだ。

しかし、私の強さは…はっきり言って並みのウマ娘を超えてしまっている。ゴルシとのループを繰り返しているうちに、私は手を抜いてでもG1を勝ててしまうという強さに至ってしまっている。

…それでもめげず、私は全力で走ったことがある。結果は、もうループの彼方へと消えていったけれど、いつかのオークスで出した”1分53秒31”。……あの時の、一緒に走ったウマ娘たちの絶望の表情は忘れてない。あの時の、観客たちの畏怖の目を忘れてはいない。

それを少し思い出してしまい、思わず…ゴルシから目をそらしてしまう。

 

「っ……あー、悪い!余計なこと言っちゃったな!!」

「うん…ごめんね。」

「気にすんなって、ほれ。」

 

ゴルシがルービックキューブを机の上に置き、すぐさま立ち上がって私を抱きしめてくれる。

そのまま頭をなでてくれて、服を通して伝わってくる彼女の暖かなぬくもりが、怖がっている私に少しずつやすらぎを与えてくれる。

 

「大丈夫、大丈夫だ。何があっても、アタシはメグリメグルの味方だ。」

「うん…うん……っ」

 

そのまま彼女の胸を借りて、こぼれそうな涙を抑える。

あの時の私は全力で走ってしまったが故に、恐れられた。URAからは表彰されたけれども、どこか取り繕っていた。

それまで仲良くしていた友達も、少しだけ距離をとるようになった。

全力で走り、その結果があのオークス…私と、ゴルシだけしか覚えていない”1分53秒31の恐怖”。

 

「…今日はサボっちまおうぜ!アタシも少し疲れちまってさ~!」

「くす…疲れ知らずって前まで言ってなかったっけ?」

「おっと、こうしちゃいられねぇ!ゴルシちゃんちょっと、自販機行って飲み物買ってくる!!」

 

ゴルシがそっと私を、ベットに座らせドタバタと自室から飛び出していく。

…少しだけ、その不器用なやさしさがじんわりと悲しみを和らげてくれる。

 

「…ありがとう、ゴールドシップ。」

 

~~~~~

 

カァ…カァカァ……

 

「んっ…んぅ?」

 

いつの間にか、私は眠ってしまっていたようだ。

夕日が差し込む、私とゴルシの部屋。どうやらゴルシはシャワーを浴びているようで浴室からシャワーの音が聞こえてくる。

もうそんな時間か~と思いつつ、背伸びをすると…

 

コンコン。

「もし?ゴールドシップさんの自室はこちらでして?」

 

私たちの部屋のドアがノックされ声がかけられる。この声は、確かメジロマックイーンさんの声だ。

残念ながら、ゴルシは陽気に鼻歌を歌いながらシャワーを浴びているのでノックされたことに気づいていない。

少しだけ眠気が取れていないけれども、ベットから降りてドアへと近づく。

 

「はぁ~い、今あけま~す。」

ガチャリ

「…あら、あなた・・・はっ!!?」

 

扉を開けた私を見た途端、メジロマックイーンさんは顔を仰天させて固まる。

何事かと思い、私自身を確認すると…おそらく、寝返りしているうちに半脱ぎになったであろう制服と脱げているスカート。

シャワー室から聞こえてくる陽気なゴルシの鼻歌とシャワーの音、散らかっている私のベット。

 

あれこれってもしかしなくてもまず「ゴォオオオルドシップゥウウウウウウウウウッッッ!!!!」

 

「うひゃぁっ!?」

「な、なんだぁ!?イガス星人のトレセン侵略作戦かぁっ!?」

「なになにー!?」

「い、今の声って中等部のマックイーンさんだよね!?」

 

至近距離で怒声を聞いた私、その怒声に気づいて全裸のままシャワー室から出てきたゴルシ。

周りの部屋からもウマ娘たちが続々と、その怒声を聞きつけて自室から飛び出してくる。

あ、あれ!?マックイーンさんってこんな大声出せたの!?いや、野球スタジアムでそんな声出してたの知ってるけど!?

というか、マックイーンさんの背後に般若が見えるんだけど!?今回のマックイーンさんまさか、気性難!?

 

「ゴォルドシップゥ…あなたという人は、こんな幼い子に手を出す外道だったのですね。」

「ケッ!?お、落ち着くんだマックイーン!!ゴルシちゃん何が何だかわからないんだぜ!?」

「しらばっくれるおつもりですの?!この子の姿をごらんなさい!!どこから、どう見ても事案でしょうに!!」

「め、メグメグ!?そ、そういえば寝てたっけな!?後生だマックイーン、説明を…どうか説明をさせてくれ!!」

 

ゴルシが珍しく全裸のまま焦り、マックイーンの怒りのオーラに気圧されている。

それであの~、マックイーンさん…あばら骨が当たってていた―――ア、ナンデモナイデス。

 

「そこになおれゴールドシップ!!その歪み切った貴女の態度、今この場でメジロ家の誇りにかけて修正してあげますわ!!」

「ま、まま、マックイーン!アタシは、メグメグとそんな事なんてしてないぞ!?メグメグは寝相が悪くて寝ている間に服を脱ぐ癖があるんだ!!」

「そんなバカな話があるか!!言い訳してねぇでとっととなおりやがれですわ!!!」

 

…あーもうメチャクチャだよぉ。





メグメグ
寝相が悪く服を脱ぐ癖がある。

ゴルシ
絶賛大ピンチ。

マックイーン
怒髪天を衝く。

その他モブウマ娘。
マックイーンの激怒におびえてる。
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