とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ


良くない流れ


Re:メジロマックイーン 3R

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side:メジロマックイーン

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コツコツコツコツ・・・

 

(……わたくしが、慌てている?)

 

ウマ娘一人いない廊下を、わたくしは延々と歩き続けている。

あの日の走行妨害の上敗北という情けない結果を出したレース、そして何より大切なメグリさんに対する疑い、それを納得していないだけだ。

 

(あの時、わたくしのコース取りは間違っていなかった。ゴールドシップさんの忠告通り、背後には十分注意していた。いや、そんなことはどうでもいいのですわ!今、問題なのはメグルさんに疑いの目が向けられているということですわ!!それを…それを慌てないでどうするっていうんです!?)

 

わたくしに課せられた太りやすい体質を解決するスイーツをお出ししてくれるメグルさん、そして何よりわたくしのために頑張っているメグルさんに対する世間からの評価が…今回の件で悪化してしまったのだ。

 

(何が、『メグルさんのせいでわたくしが負けた』?何が『メグルさんを退学にしろ』?何が…何が、何が……何が何が何が何が何がッ!!」

 

ガンッ!!

 

「~~~ッ!」

 

怒りのままに、近くにあった木製の壁を殴りつける。

…わたくしが降着したこと、それは納得している。コース取りは間違わなかった、後ろにも細心の注意を払った…けれど、結局それが他人から見て進路妨害に見えてしまった、ただそれだけの話だ。

 

「何が…何が『念のための検査』だッ!!」

 

あの時、トレーナーさんが居なければ殴りつけていたかもしれない検査員の言葉。

あれは…あの力はトレーナーさんとメグルさんの三人四脚で作り上げた力だ。地道にトレーニングを続け、メグルさんがわたくしのためにと細心の注意でお弁当や献立を組み立て、わたくしはそれに答えただけなのだ。

 

「わたくしは……わたくしはこんなことでシリウスを盛り上げるつもりなんてなかったッ!!」

 

泣きじゃくりながら、壁に寄りかかり座り込む。

オグリ先輩が地道に築き上げたシリウスの栄光、そしてわたくしが引き継ぎ…その栄光を続かせるつもりだった…『シリウスの栄光』。スカートのポケットから落ちたスマートフォン(ウマ娘用)は、衝撃で起動し…ソレを映し出す。【号外!チームシリウス、地に堕ちる!】という、インターネットの記事。

ありえないことを長々と書いては、シリウスの名誉を…栄誉を辱める一言が書かれ…そのコメント欄は大いに荒れている。見たくもないその画面をスマートフォンごとはじく…

 

「わたくしは…どうすればいいんですの?」

 

もう、わからなかった。

トレーナーさんのせいでもない、けれど…トレーナーさんが信じきれない…

ブラストさんたちの視線が、疑いの目のように感じてしまう。ゴールドシップさんの笑顔が…一つ一つの表情が、恐ろしい。

 

 

(メグルさん…メグルさんっ!)

 

白くて、かわいらしいアナタ。

どうか、どうかわたくしにてを差し伸べて……

 

「…マックイーンさん。」

 

 

怖がる私に対して…優しい声が、聞こえてきた。

 

「こんなところにいたんですか?風邪をひいちゃいますよ?」

 

座り込んだ私の手を取り、私の前に座り込むメグルさん。

…彼女だけは、怖くない。恐ろしくない。信じられる。

 

「わたくし……わたくしは」

「…大丈夫ですよ、私は大丈夫です。」

 

そっと抱きしめられ、ふんわりとしたリンゴの香りがする。

それがわたくしの心をやさしく慰め、なだめて…そして安心させてくれるもの。

わたくしが…わたくしが初めて、友人以外で欲しいと思ったモノ。

 

「怖いんです、みんなが。みんな、わたくしを疑ってるんじゃないかって…みんな、わたくしに怒ってるんじゃないかって……。」

 

ポロポロと涙と共に、わたくしが押さえ込んでいた言葉があふれだす。

メグルさんは、ただ静かにわたくしを抱きしめ、頭をなでて…その言葉を一つ一つ聞いてくれる。

 

「だから、怖くて…恐ろしくてっ」

「…私にもわかります。私も、小さい頃ですけれど…マックイーンさんと同じようなことが起きましたから。」

 

そうかたるメグルさんは小さく震えた。

…あぁ、メグルさんもだったんだ。だから、走ることを選ばないんだ。

 

「だから、私は走らずともみんなに貢献できるサポート科を選びました。カフェ姉さんや、義理ですけれどお義父さんとお義母さんにお願いして……マックイーンさん、逃げてもいいんです。逃げたって誰も怒りませんし…誰も責めません。ですけど、今はゆっくりしましょう。今のマックイーンさんには、落ち着く時間が必要なんです。」

 

そういい、よしよしとわたくしの頭をなでてくれるメグルさん。

 

「……なら

 

 

―――わたくしと、逃げませんか?」

 

「…マック、イーンさん?」

 

…きっと、わたくしは許されないことを言っている。

けれど、願ってしまうのだ…メグルさんさえいればなんでもいい、この先どうなったって…メグルさんさえいればわたくしは何とでもなれると。

 

「もう、わたくしは…『メジロマックイーン』であることは、いやになりました……だから、メグルさん……

 

 

 

―――どうか、どうかこのわたくしと、逃げてくださらない?」

 

 

メグルさんは、静かに…わたしを見つめている。

 

 

 





マックイーンって天然芸人でビシッとしてるときはお嬢様だけれど、本質は思春期な女の子だと思うの。

(時間が間に合えば今日中にもう一本かもう二本投稿できるとは思いますが、間に合ない場合は明日に投稿します)


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