とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ

トレセン学園の動物事情



9R

 

「すやすや…ですわ。」

「ぐが~…すぴぃ~……」

「すぅー…すぅー……」

「むにゃむにゃ~……」

「え…えぇい、うかつなやつめ…スヤァ……」

「ふへぇ~…もるもっと……くぅん、このくすりを~……」

「スゥ…スゥ……」

「みんなお疲れみたいですね。」

「あぁ……ふぁ、ふぁるこしゃ~ん……ヒェ、トウトイ………」

 

今日のチーム『シリウス』は、珍しくメンバー全員がトレーニングのおやすみの日(酉川トレーナー公認の)。みんな疲れていたのか、安眠効果が高いハーブティーを飲むとおかわりもせずにみんなソファーで重なり合うようにぐっすりと眠ってしまった。それほど疲れが溜まっていたということなんだろうけど、酉川トレーナーに睡眠薬を疑われてしまったのは納得いかない。

私とナラクさんは、起きていて書類を静かに片付けている酉川トレーナーと小鳥遊トレーナーにお茶をお出ししたり…寝ているみんなにかけているブランケットがずり落ちたらそれを直したりしながら、私は読書…ナラクさんはテスト勉強に励んでいる。

 

「くっ…ど、どうしてタカシは2300mもの湖の周りを常に同じ速度で走れるの?う、ウマ娘じゃないのにどうしてこんなタイムを…!?」

「…あっ、ナラクさんここ。ここは、こう計算式を作るんじゃなくて…こんな風に」

「おー…なるほど、これならもっと早く解けるってことですね。いやー、さすが学年主席候補。」

「うーん、ゴルシがいるから次席だと思うけど…でもゴルシは気分屋だからなぁ……」

 

ゴルシはとても気分屋だ。自分の気分次第で何でもかんでもする。いくら私でも理解できないようなことをし始めるとさすがに困惑するのだけれど…意味のない行為はあんまりしない。

本人が無駄を嫌っているのもそうだけれど、それ以前にまるでわらしべ長者のように回りまわってゴルシにいいことが転がり込んでくるのだ。

すこしうらやましいと思うけれど、ゴルシ本人はかたくなに自分の気分でやったことだからとお礼を受け取ろうとしないので、あんまり嫉妬することはない…かな。

ちなみに…時々だけど、左耳を飾りつけしているウマ娘がゴルシに話しかけると嫉妬心が出たりするけどね。

 

「でも、メグルさんも十分すごいですよ。だって、あのスイーツだってA+評価どころかS評価じゃないですか。」

「まあ、新しい教頭先生が柔軟な考えの人だからね、でも認められたってわかっときはとっても嬉しかったなぁ~…」

「それに、何と言っても春の天皇賞を2連勝したマックイーンさんを支えたスイーツですもん…インターネットなんかだとそんなスイーツを食べてみたいってよくSNSで書かれてますよ?」

「あくまで”ウマ娘用”のだから、ヒト用に作るならもうちょっと時間がかかるかも。」

 

そんな会話をしつつ、静かだけれど優雅なお昼を過ごしていく。

遠くから聞こえてくる別チームの練習音や、ウマ娘たちの掛け声が響き…窓から差し込む暖かな日光のせいなのか、酉川トレーナーと小鳥遊トレーナーもゆっくりと舟を漕ぎだした。そういえばお二人とも最近徹夜が続いてるって言ってたっけ。私が静かに見ていると、やがて二人とも静かに机に突っ伏してしまい安らかな寝息が聞こえてくる。

 

「ナラクさん、ブランケットもう二つお願いできる?……ナラクさん?」

「すぅ……すぅ……」

「もう、ナラクさんも?」

 

仕方がないので、静かに立ち上がり静かにタンスを開いて3人分のブランケットを取り出す。酉川トレーナーが操作していたパソコンを少しだけ移動させ、作成中の報告書を上書き保存してシャットダウンをしておく。続いて小鳥遊トレーナーが手に持ってい万年筆をゆっくりと取って蓋をして落とさない場所に置いておく。最後に、ナラクさん…ナラクさんが下敷きにしているノートをそっと丁寧にとり付箋を貼って静かに閉じてそれぞれ三人にブランケットをかけておく。

 

「ゆっくり休んでくださいね?」

 

静かにそう声掛けし、音をたてないようにそっと元の位置に戻ってゼンノロブロイさんからおススメされた冒険小説を再び読み進める。

 

~~~~~

side:ゴールドシップ

~~~~~

 

シュゴ~~~~~

 

夢の中でアタシは、無限に続く螺旋階段をコードレスの掃除機で延々と掃除している。

何段掃除したかは、アタシ自身も分からない…下を覗けば無限に螺旋階段が続いているだけで、上を見上げればただ血のようにどす黒い何かで全体を見ることはできない。

どうしてこれを夢と認識できているのか、どうして無限に続く螺旋階段を掃除しているのか…アタシにはさっぱりだけれど、だけどやらなければならないとしか考えられない。…そんななか、誰かの視線を感じて見渡してみれば、いつの間にかアタシの目の位置の段差にメグメグの飼い猫であるかがみもちが何も鳴かずにアタシを見つめていた。撫でようと手を伸ばすと、かがみもちはいつの間にか一段上に上がっている。

 

「な”ぁ~」

 

ようやく、かがみもちが鳴いたと思うと、螺旋階段が下からボロボロと崩れ落ちる。とっさにかがみもちを抱えようと視線を移せば…いつの間にかかがみもちは居なくなっている。それなら、アタシも逃げないと。そう思い、大急ぎで階段を上り始めるがそれでも螺旋階段が崩れる方が速かったのだろう…やがて、アタシは階段から落ちた。

 

「うぁっ!?」

 

だけれど、落ちても目は覚めず…そして落下時間もなく、というより前のめりに倒れただけですんだ。

何が何だか分からないけれど、何とか立ち上がり…周りを見渡す。するとそこは、どこか見たことのある光景…マックイーンの領域(ゾーン)が見せる一瞬の幻であるはずの…マックイーンの青々とした空が広がり、きれいな海に囲まれた庭園だった。

 

 

「何が、どうなって―――っ!?」

 

 

後ろを振り返り、【巨大なドラゴン】を見てしまう。32m以上はありそうな身体のドラゴンが現れ…そしてアタシは―――そこで、目が覚めた。

 

 

 





次回はシリウスのモブ娘+ナラクちゃんのプロフィール回となります!
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